戻る

  紅葉散る
「春の高瀬舟」より  (平岩弓枝著:文芸春秋刊)
いつまで暑さが続くのかと思っていましたが、すっかり秋らしくなりました。
過ぎてしまえば暑さなどは忘れがちですが、この夏ロンドンから届けられたハラハラや感動は、簡単に忘れられるものではありませんね。先行き不安と言われる日本ですが、オリンピックに多くの選手を送り出すことができ、毎日のようにその選手らの活躍の報に接することが出来ること自体、とても幸せなことだと、しみじみ感じました。

夏季の「女同士」にたくさんのご参加をいただき、ありがとうございました。
菊屋幸二郎が人気だったのも(むふふ)、登場した女性たちそれぞれを見渡して「誰も本当に悪い人はいない」と結論づけられたのも、さすがご常連の皆さんだと感じ入りました。

さて、今季は「紅葉散る」を選びました。
言わずと知れた麻太郎くんの一大ターニングポイントのお話です。悲しく切ないお話ではあるのですが、久しぶりに皆さんと、ドラマティックなお話に取り組みたくなりました。

さあ、今季はどんな五七五になりましたでしょう。
(平成二十四年秋)



  千姫さんの五七五 

今朝は新聞を取りに出るのにカーディガンを羽織るほど肌寒く、秋らしくなってきました。
今季は力が入っています(五七五の出来ではないですが)。俳句に関しての本は、お題のたび図書館で借りていましたが、遂に「やぎけん流 最強!俳句入門(主婦と生活社)」を買いました!!俳句の禁じ手や推敲のチェックポイントなど「えっ、そやったん!?」と今頃、目から鱗なことばかり。腕の差を温かく見守ってくれていた宗匠、皆さんに感謝です。
(千姫さんの談)

私のぼんやり読みは、同じものも何度も読めるのが利点(?)ですが、題名から物語が思い出せないのが残念なんですわ。「言わずと知れた麻太郎くんの一大ターニングポイントのお話です」 今季のお題発表に書かれたこでまりさんのコメントに思わず反応しました。内容はもちろん、よっく覚えていますとも。これで題名も覚えました!!


ここよココ駕籠で出会った“紅葉散る”


今季は5句提出で、力が入っているなあと思ったら、本まで買われたとか。私の方が読まなきゃならないような内容ですぅ。この「紅葉散る」もそうですが、平岩先生はお話のタイトルに時々「季語」をそのまま使われているのが、何となく嬉しいです。
(こでまり)



奥から兄嫁の香苗が、夫に見送られて出て来る。
「お待たせ申してあいすみませぬ」
二人の義弟に挨拶をし、夫をふりむいた。
「では、行って参ります」
「滝川どのによろしゅう。道中、気をつけてな」
「紅葉散る」より
最初にここが詠みたいと思ったトコロ、香苗さまが通之進に見送られるシーン。
屋敷、冠木門、妻を見送る男前の通之進、全くまとめられず約一か月が経ちました。そのまんまです!!


朝立や屋敷・門・夫誇らしく


ココ、早速独占ポイントですね。周りの人たちの振る舞いから、香苗さんの人柄がしのばれますし、幸せも伝わってきますね。
(こでまり)



ひらりと先に馬上の人となった。
「東吾さん、行きますよ」
「紅葉散る」より
「鳥居坂」や「京極壹岐守」を江戸切絵図で見つけた時、嬉しくって出来た五七五→ (鳥居坂馬上に名月巻羽織) 意味不明だけど、捨てたくなくて看板狙いの巻羽織句にしました〜♪


名月や馬上に輝く巻羽織


ココ、競作です〜。↑の「鳥居坂〜」の句も、いいと思いますよ。地名が入っている所がお気に入りです。
(こでまり)



「明日は、みなで御殿山へ参ろう。母上の野辺送りじゃ。よいな」
少年の目がふっとうるんだが、その返事はけなげなものであった。
「ありがとう存じます。何分、よろしゅうお願い申し上げます」
「紅葉散る」より
琴江さんの考え方、生きよう、取った行動、すべて苦手なタイプ(以前にも書いたから割愛)。ただ、麻太郎のしつけは◎。
母との別れを武士の子供らしく立派に務めた姿は東吾と重なるなぁ。おさない子の聞き分けの良い、いじらしさに弱いの、私・・・。わけありの東吾でなくても肩を抱いて安心させてやりたいです。


幼児のたえる肩ごし赤とんぼ





直接何も聞いていないのに通之進の英断、事の始まりからこの日まで全て知っている友の意見、いつもはかわせみの居間での町屋風景を思い浮かべる物語の終わりの光景なんだけど、今回は鹿おどしがある武家屋敷の中庭をみているようなお堅い光景です。


小言きく秋の陽だまりほっと温もる





  麦わらぼうしさんの五七五 

今季の五七五送ります。かわせみの中でも、はずせないお話、きっと素敵な御句が集まる事でしょうね。なのに私は、冗談系ばかり・・・まあ、私らしいかな〜
(麦わらぼうしさんの談)

「御殿山へ出かけるのは二年ぶりだな」
宗太郎と肩を並べながら、東吾が思い出した。
「この前の時は大騒動だった」
「七重が昨夜、いっていましたよ。滝川家の隣家で人殺しがあって、源太郎君と花世が一役つとめた一件でしょう」
「紅葉散る」より
二年前も殺人事件が起き、そして今回も…


御殿山東吾向かえば事件起き





宗太郎がみたのは、この第三の襲撃だったが、東吾の体は柳のように撓って、正確に相手の両膝を断ち割っていた。
殆ど一瞬の中に、三人の侍は地面にころげて闘志を失っている。
「紅葉散る」より
ここで言う「無双」とは、ゲームのジャンルの事で、“一人もしくは少人数で、多数の敵をどんどん倒していく”もので「真・三国無双」「戦国無双」等があります。一瞬の中に三人を戦闘不能にするなんて、もし「かわせみ無双」があったら、東吾さんは間違いなく最強キャラだろうなと思いまして。


東吾サマかわせみ無双のナンバーワン


おお、CMでよく耳にする「無双」には、そういう意味があったんですね。「かわせみ無双」も面白そう〜。
(こでまり)



そして、その最強キャラに真っ先に倒される雑魚キャラたち。口封じの為に命も奪われるというのはよくある設定ですね。そして謎が生まれ、話が動く…あなた方の犠牲のおかげです、ご愁傷様です、合掌…


ヒーローに倒され光る雑魚トリオ


もう一人の倒されキャラの仁村。最近忘れっぽいのですが、仁村はこの後、どこかのお話で出てきましたっけ?
(こでまり)



「義姉上は、それでおわかりになったそうですよ。御自分がかくまっている子供が、どういう子なのか」
宗太郎の言葉は思わせぶりだったが、東吾はそこに気が廻らなかった。
「紅葉散る」より
子を託す母(琴江)の想いが紅葉となって母(香苗)のもとへ。せっかくの名作に冗談系ばかりでは・・・と、真面目な句も詠みたい、出来ればタイトルの「紅葉散る」も入れたい、とがんばってみたのですが、だいぶ無理やりでした(^_^;)


珠すくう聖母の肩に紅葉散る


おそらく香苗さんは通之進さんから麻太郎のことを聞いていたんでしょうね。神林家と妹の友につながる小さな命を抱いた香苗さんの気持は、まさしく「掌中の珠」のような気持だったと思います。
(こでまり)



  すみれさんの五七五 

かわせみお話中、最重要(名作)なもののひとつですから、ハードルが高くて困りました。お話の流れの故に、るいさんの登場場面が無いのも、稀有なことです。
兄上ご夫妻ファンにはもう最高!のお話ですよね。東吾さんも奮闘しているけれど、脇になってしまいますから・・・特に、香苗さまの素敵な要素がいっぱいあって、憧れてしまいます。これをドラマ化するなら、兄上ご夫妻の配役は、私的には、昭和版の田村・河内お二人が一番好ましいですが・・・
(すみれさんの談)

八丁堀から品川の御殿山まで、およそ二里の道のりで、東吾と宗太郎だけなら一刻(約二時間)もかかりはしない。
  (略)
「陸にいるのが惜しいような軍艦日和だな」
東吾が沖を眺めて呟いたくらい、江戸湾は美しい青に染まっている。
「紅葉散る」より
御殿山へと向かう、のんびりした前半は、行楽気分たっぷりで楽しめます。二里の道のりと説明してあるのが、地方住まいの自分には有難いです。


海の青いつしか沖で空の青


すみれさん、最近海を見に行ったんですか?「いつしか沖で」がとってもいいですね〜。
(こでまり)



初めてこのお話を読んだ時は、東吾さんと同じ気持ちで麻太郎ちゃんの行方をはらはらと心配しながら読みました。何回読み返しても同じ気持ちになれます。


月明かり小さき影に守りあれ





行きの駕篭と帰りの駕篭、香苗さまの変化は、お話には書かれていませんが、麻太郎ちゃんをしっかりと抱いて帰られたであろうと思っています。本当に優しく、賢く、情深く、配慮が行き届いていますね。
麻太郎ちゃん・・・お話中では、我慢強くて、けなげな様子ですが、泣けないのも悲しすぎます。香苗さまとの二人だけの駕篭の中で、母上を案じながらも自分の身は守られていたから、少しは泣けたのではないかな?


小鳥くる慈母観音に抱かれて


麦わらぼうしさんのところでも書きましたが、香苗さんもどんなことがあっても守り抜くつもりで抱いていらしたでしょうね。麻くんが「八丁堀の神林家」へ行くつもりだったのを打ち明けたのは、やっぱりこの駕籠の中だったのかなあ。新しい母子の物語が静かに始まっていたんですね。
(こでまり)



「よいか、早とちりをするでないぞ。わしは麻太郎をあくまでも大村麻太郎として養子に迎える。幼くして両親を失った麻太郎には、今のところ、継ぐべき家はない。彼が香苗の駕籠へ救いを求めたのも神仏のお導きと思う。生前の琴江どのとの約束に応えるためにも、それが一番の道と考えた」
「紅葉散る」より
琴江さんの生き方と最後・・・自分の意志を貫いて、麻太郎を生み育て、非業の最期ではありましたが、強い母親になりました。兄上さまも本当に見事に、行く末のことを決断されました。さすが名与力ですよね。


奏でだす調べ新し秋うらら





「手前は、神林様から申し付かったことがございますので、これにて失礼仕ります」
「すまなかった、源さん」
「紅葉散る」より
私的な疑問・・・源三郎さんがあの夜、兄上さまから言いつかった事は何だったのか?
東吾さんと麻太郎さんの間柄については、はっきりと関わっていないけれど、苦労人の源さんだから、宗太郎さんとの会話などで、うすうす察したのではないでしょうか?翌日はまた御殿山へ出かけて琴江さんの野辺送りをするとなると、かわせみへの帰宅は相当遅くなることでしょう。るいさん達の心配と詮索を無くすために、かわせみへ出向いて、源さんなりの、言い訳をしてくれたのでは?なんて考えました。


足早に頼もしき紋星月夜


そもそも、雪の日のことがあって、その家を探してくれたのは源さんなんだから、察しがついてたと思いますよね。けど、私も気になっていたんです。何か後から出てくるんじゃないかって。
でもすみれさんのが正解だと思います!通之進さんもあとで言ってたし、きっとかわせみに行って、言い訳してくれたんですね。あ〜スッキリした。
(こでまり)



  たまこさんの五七五 

「虹のおもかげ」に続き、全シリーズの中で重要な転換点となるお話ですよね。「虹のおもかげ」と「紅葉散る」の間に、「源太郎の初恋」があって「立春大吉」で千春ちゃんの誕生・・・明治編の基盤は、この時期に作られていたんだな〜と読み返すと感慨深いものがあります。
(たまこさんの談)

このあたりから高輪にかけては袖ヶ浦と呼ばれる海辺が広がっていて、なかなか見晴らしがよい。
「義姉上、安房上総の山がみえますよ」
宗太郎が海のむこうを指し、香苗が小手をかざした。
「紅葉散る」より
夜明け前に八丁堀を発って、海の近くに来て朝を迎える、まだ事件が起こる前のすがすがしい朝の描写、何度読んでもいいですね。


曉闇の川霧分けて進む駕籠

小手かざす軍艦日和の空と海


やっぱりこの「空と海」は詠みたくなりますよね。ずい分「江戸東京散歩」をめくって、ようやく「左に海が見えたんだな」とイメージできたのですが、そのあとで「ブラたまこ」を拝見し、もっとイメージが広がりました!ありがとうございました。
(こでまり)



「馬上では舌を噛みます」
これも源さんの名セリフの一つですね♪


月皓く駒駆け抜ける道長し


競作です〜♪ところで、「皓く」は「しろく」と読んでいいのですか?
(こでまり)



「義姉上はさりげなく中間に用事をいいつけて、駕籠の傍を退け、麻太郎にこうおっしゃったそうです。お助けします。私を信じて、申し上げる通りになさい、と」
  (略)
身分のある奥方とはわかっただろうが、見も知らぬ他人である。少なくとも、麻太郎にとって、香苗は初対面の女であった。
「麻太郎が、こういいましたよ。母上の声のように思えた、と……」
「紅葉散る」より
宗太郎さんの言う「まさに縁の糸」で、香苗さんに危うい所を救われた麻太郎。
秋の陽の満ちあふれるラストシーンも大好きです。


夕紅葉息ひそめ居る駕籠の内

天命を思う心に秋の声





【おたま姐さんのブラたまこ】 ↑でも書きましたが、今季のブラたまこも大変有難かったです。ではこちらから、どうぞ!



  浅黄裏さんの五七五 

麻くんがレギュラーになっていくお話。哀しいのですが、とても印象の強いお話です。麻くんの健気さに泣かされ、麻くんが東吾さんに飛びついていくのに驚かされます。
(浅黄裏さんの談)

「母上から密書を渡され、教えられた方角へ向った麻太郎は、前方に仁村大助をみたそうです。それで、彼から姿をくらますために、脇道へと逃げ込んだ。そこに、義姉上の駕籠があったというわけです」
「紅葉散る」より
りんどうの花言葉に「悲しい時のあなたに寄り添う」「悲しんでいるあなたを愛します」というのがあるそうです。
麻くんが香苗さんに助けられたのも理屈では説明のつかない力が働いたのかなと思いました。


りんどうに手を添えられて道をゆく





本来は桜の名所だが、その葉も美しく色づき、更に楓が風情を増している。
東吾が到着した時、滝川大蔵はすでに参会している客達を菊畑へ案内していた。
「紅葉散る」より
琴江さんの命が尽きた日。紅葉が鮮やかで、菊の香りがむせるようで、とありましたね。琴江さんを送る情景として美しくて強烈でかえってやるせない気がします。
やるせない理由のひとつに宗太郎さんや麻生のおじい様はその女性が琴江さんだとすぐに気づくのに東吾さんは言われてから気づくというのがあります。麻くんにはあれほど激烈な感情を噴出させるのにその母にはそんなもの?思ってしまって…。雪の夜のいきさつからすればそんなものなのでしょうか。顔を合わせた回数からいってもすぐに気づかないのも仕方がないのでしょうか。でも白萩屋敷のあの方のことは記憶も強いわけで、そうなるとやはり回数ではないのだなとまた思ってしまいます。


風吹いて露のちからの尽きし日よ


あらら、紅葉は意識していましたが、菊のことはちょっと忘れていました。
「そんなもの?」って思う気持もよくわかりますが、平岩先生って、いつも琴江さんを「そんなもの」的なスタンスで書かれていますよね。でも私はちょっと、琴江さんの中でも「子の父」であって「夫や恋人」ではなかったんじゃないかな〜と思っています。
(こでまり)



  茜雲さんの五七五 

台風が列島を縦断していますが、こちらもだいぶ雨風が強くなってきました。
今月のお題、かわせみの中では基軸となる一本なので何としてでも・・・と思いながらもなかなか手が付けられずぎりぎりになってしまいました。かわせみを読んでこうやって五七五を考える時間がとても楽しいです。
(茜雲さんの談)

「どこにいたと思いますか、東吾さん……」
「さて……」
「義姉上の駕籠の中にいたのです」
流石に、東吾が絶句し、宗太郎がしみじみといった。
「まさに、縁の糸というものですね」
「紅葉散る」より


紅葉野に散る命 つなぐ縁の糸


意識するしないにかかわらず、琴江さんと香苗さんというふたりの母の麻君への愛情は、寸分の隙間もなくつながっていたんですね。
(こでまり)



まず宗太郎が清水家での話を報告し終ったところに、香苗が麻太郎を伴って入って来た。
「麻太郎」
思わず、東吾が呼び、その瞬間、麻太郎はまっしぐらに東吾の腕の中へとび込んで来た。
「紅葉散る」より
今回はつい、この先麻太郎はどうなったのかななんて、2、3冊取り出して「千手観音の謎」や「長助の女房」など大好きな話を読みふけってしまいました。


月明かり導く先に児の姿





  あっちの管理人さんの五七五 

今季のお題、「かわせみ」でもいろんな意味で大切なお話ですが、このところ公私ともにバタバタしていて、とうとう締切り当日こんなぎりぎりになってしまいましたが、なんとか一句だけ提出させて頂きます。
本当は白旗上げてお休みしようと思ったんだけど、「お休みします」メールを書き始めたら一句浮んで、お、それでは一句だけでもと提出させて頂きました。やっぱり参加出来てよかったー!w
(あっちの管理人さんの談)

追いつめられた仔犬のように、自分をみつめた麻太郎をみて、香苗はなにを感じたのだろうか、と東吾は不思議に思った。
「麻太郎は、義姉上の言葉を信じたのか」
「紅葉散る」より
あの時香苗さんの駕籠に隠れたのも、「お助けします」という香苗さんの言葉を信じたのも、香苗さんと麻太郎君の間の「えにし」を感じます。麻太郎君が「母の言葉」のように思ったというのもまさにそうですね。
あれから長い長い月日が経ち、今、明治編では新たな展開が。これからどんな方向に進んで行くのか気がかりでもあり楽しみでもあります。


義母(はは)と子の不思議な縁 紅葉燃ゆ


「母の声のように聞えた」ではなく「思えた」というのが、より深いものを感じますね。
(こでまり)



  紫陽花さんのオマケ 

締め切りは台風とともに過ぎ去ってしまいました。もう間に合わないかな。間に合わなかったらこでまりさんがこっそり見てくれればいいです。
(紫陽花さんの談)

庭のつくばいの鹿おどしがことんと音を立てた。
日頃、聞き馴れているその音が、東吾の心の深いところまでしみ渡った時、通之進が立ち上った。
神林家の庭には、秋の陽が満ちあふれている。
「紅葉散る」より
五七五も出来なかったけどおまけも思いつかなくてこれでは何のお話かぜんぜんわからないおまけになってしまいました。




今季も素晴らしい&楽しいオマケをありがとうございます。こういうお話のときは、こうでなくちゃね。
でも、ちゃんとアニメーションが動いてくれるかなあ。私のサーバー、大丈夫かな〜。
(こでまり)



  はなはなさんの五七五 

「紅葉散る」気持ちだけが先走りして、まったくまとまらないまま月末になってしまいました。本当に重く、また運命を感じさせるお話です。詠みたいところが多すぎて、とても5句に絞れない、と苦しみましたが、母と父(決して「父」が先ではありません)の気持ちに絞って合唱させてみたい、と思いました。
(はなはなさんの談)

御殿山は今では丘というよりは坂のある高台のような地形で、某コンツェルンの迎賓館が鬱蒼とした森になっているのがわずかに往時をしのばせるような、高級住宅街です。箱根駅伝で八ツ山橋を選手が通過するとき、バックに御殿山ヒルズがちらっと映るたび 、「紅葉散る」を思い浮かべます。
琴江の気持ちと行動を考えるとき、いまだ私には疑問ばかりなのですが、麻太郎を思う母としての気持ちだけは信じられるような気がします。その気持ちが麻太郎を強くしているのではないのか、と思います。死んでも麻太郎を守ろうとする気持ち、母の命が尽きてもその気持ちが麻太郎の行く手をしめして、香苗の駕籠に導いたのではないでしょうか。


つゆならば散れど流れて道しめし

紅葉をば死出の衣と思い決め


その後のお話に琴江さんのことは出ていませんが、この日のことは麻君の心の深いところにしまわれていて、何かあった時には影響を与えているんでしょうね。
(こでまり)



京極家上屋敷は鳥居坂を上り切ったところにある。
果して麻太郎がここへたどりつくか、不安は濃くなるばかりだったが、他にどうすることも出来ない。
居ても立ってもいられないという、激しい焦燥の中で、東吾は暗い町辻に目をこらし、人影をみると、無駄とは知りながら走り寄って確認した。
「紅葉散る」より
東吾の麻太郎に対する執着はまっすぐで、「いまさら」という私たちの疑問さえ押し流してしまうほど強いのですね。
鳥居坂は歩いたことがありますが、現代でも結構勾配のきつい坂です。そこを東吾はどんな気持ちで登ったり下りたり、暗闇に目を凝らしていたのでしょうか 。


胸痛む足早の夜目を凝らす


そんなに勾配があるんですか。現地をご存知なら、いっそう東吾さんの気持も察することもできますね。
(こでまり)



「そうであったか。それは奇縁。では、今夜は、当家で、この小父様と共にやすむがよい。それならば、よく眠れるであろう」
明らかに、ほっとしたような少年の髪をそっと撫でた。
「紅葉散る」より
場面は飛びますが、神林家で麻太郎に添い寝をしたときは、東吾にとっては胸の迫る時間だったことでしょう。無残に死んだ琴江に何もできなかったこと、残された麻太郎の気持ち、そして自分はこの先どう行動すべきなのか。
冷えてくる秋の夜長をあたためるのが麻太郎のすこやかな寝息であることが、唯一救いだったのではないでしょうか。


寄り添ひて夜長温まる子の寝息


うわ〜読んでビックリ、もろ競作です〜〜。後で詠み換えたのですが、その前は「寝息」も使っていました!
と、最初のコメントで書きましたが、間違っていました。最初に「温み」と詠んだけど、後から直して「寝息」を使ったので、わわっどっちも被ってる!ってすごく興奮しました!
(こでまり)



「琴江どのは麻太郎に、万一、自分の身に異変があった場合、八丁堀の神林家を訪ねよと教えたそうじゃ、そして、その文にもある通り、如何なることがあろうとも、麻太郎を守ってやってくれと願われて居る」
「紅葉散る」より
本当は香苗や通之進、宗太郎も源三郎も詠みたかったのですが、ここはぐっとこらえました。
多度津へ迎う前も、江戸へ戻るに際してしたためた覚悟の手紙も、琴江にとっては通之進しか頼るところはなかったのでしょうね。通之進はそれを鷹揚に受け止めて、適切な判断と対策を施したのですね。
源三郎が事情を知っている、と私は推測するのですが(皆さまはどうでしょうか)、すべては、琴江のすさまじいまでの母の願いを皆が受け止めたのですね。いちばんの奇跡は、香苗の直感ですけれど。


すさまじや母の心よ子はいのち





  ぐりさんの五七五 

このお話麻太郎くんが神林家の養子になり明治編の主人公へとなる足がかりですね 読んでいるうちに涙が出て来てしまいました さすがは兄上うまく収められましたね、優しいお方ですね
他にも東吾さんがあさくんを抱きしめるシ〜ンなど読んでみたんですがイマイチまとまりが〜
天野家の3兄弟、宗太郎さん−婿に行く、宗二郎さん−家を継ぐ、宗三郎さん−実家を継ぐという設定 実は我が家もそうなのです 長男−婿に行った、次男−家を継ぐ、三男−父の実家を継ぐ 読んでいて気がついてびっくりしましたそこも読んでみたんですができは良くなかったです
(ぐりさんの談)

人々の涙をさそったのは、麻太郎がすでにものいわぬ母の枕許にすわって、
「母上、お別れを申し上げます」
せい一杯泣かぬ声でいい、頭を下げた時で、傍にいた東吾は思わず抱きしめてやりたいほどのいじらしさをおぼえた。
「紅葉散る」より
麻太郎くんの母上への別れ
あまり辛いとかえって泣けぬといいますね
子供ながら武士の子しっかりして涙を誘いました


身に入むや 母への別れ 泣かぬ声


通之進さんにとっては、母をなくした頃の東吾さんに再び出会ったような感慨も覚えたのではないかと思います。その分、愛しさが募ったことでしょう。
(こでまり)



「花世はおかんむりでしたよ。てっきり、自分も連れて行ってもらえるものと思っていたらしいのです」
「あんなことがあったのに、懲りないんだな」
「女のくせに無鉄砲で……、いったい、誰に似たのかと思っていたら、天野の父がいうのですよ。お前の子供の頃にそっくりだと……」
「紅葉散る」より
花世ちゃん全編を通じて物事をあまり気にしない性格ですね
敵の友達も許してしまうし明るくてもしっかりしているし 芯が通っている気がします


かんむり姫 懲りない性は 親譲り


ここにもさりげなく、「父と子」のきずなが書かれていましたね。さすが「花世ラー」のぐりさん、見逃しませんね。
(こでまり)



浅太郎くんと香苗さんの出会い運命的ですね
この期私が生んだという気がしてならないと言っているくらい愛して育てますね
でも明治篇になって登場が少ないのが不満です


水澄みて 母子のえにし 結ばれて





源三郎さんは麻くんのことを知っていたのだろうかとずっと気になっていましたが このお話を読むと知っていたんですね 宗太郎さんのとぼけた味,源さんの爽やかな味ともに友を包みますね


秋の虹 友の思いが 身にしみる





どうじゃ、承知してくれるか、と重ねて通之進がいい、東吾は畳に手を突いて、深く頭を下げた。
「なにも申し上げることはございません。ただ、兄上の御配慮、義姉上のお情、ありがたく……この通りにございます」
「紅葉散る」より
兄上の配慮で麻くんは神林家を嗣げることになりました 東吾さんどんなに嬉しかったでしょう
今回はかわせみに描写はあまり出てきませんでした それも作者の配慮だったのでしょうか


叔父になる 兄への感謝 空高し


最後のところを読むほどに、何て素晴らしい兄上かと思います。



  こでまりの五七五 

今日は東吾さんの言う「軍艦日和」さながらの、雲ひとつない一日でした。すっかり遅くなりましたが、ようやくUPできてホッとしています。このお話、もっと前にとりあげていたら、私も皆さんももっと濃〜〜く詠んだかもしれませんね。麻太郎君を取り巻く「縁の糸」の本当の意味を、「かわせみ」の人たちが知るのはずい分後になってからですが、その時にはこんなに走りまわっていた東吾さんが居ないのも、不思議な感じがします。
(こでまりの談)

駕籠が上り、男二人がその後に続いた。
八丁堀は日本橋川から立ち上る朝霧が白く流れている。
  (略)
汐留あたりですがすがしい朝になった。
「紅葉散る」より
汐留には1度行ったことがあるのですが、あの辺りの高層ビルが東京湾からの風を遮って、「ヒートアイランド現象」の原因になっているとか。
ということは、江戸の頃はこの辺りから大川伝いに気持のいい風が吹いていったんだろうなあ〜ということが詠みたかったんですぅ!詠めてないけど。


汐の香の川遡り秋の朝





秋になって海の色も深くなり、それを映したように空も晴れている。素晴らしい朝だったみたいですね。


江戸湾の空も真青や秋の潮





御殿山の麓は鮮やかな紅葉であった。
  (略)
紅葉の美しい季節なので、その風情を楽しみながら散策する人々があり、滝川家へ難を避けて来たのも、そうした者らしい。
御殿山の林の中の道は西陽が当っていた。
「紅葉散る」より
一昨年に琵琶湖近くの湖東三山と呼ばれるお寺に、紅葉狩りに行きました。その時の真っ赤な美しさは、忘れることができません。
なのに「林の中の道は西陽が当っていた」の一節を読んだ時、真っ赤に染まった紅葉の葉裏に、黒く妖しい何かが隠れているような気がして、そわそわしました。


魔も棲みし桜紅葉の道の先





新堀川沿いの道を二頭が前後して駈け抜けて行く。
東吾は全く気がついていなかったが、満月が皓々と道筋を照らし、馬の脚は極めて軽かった。
「紅葉散る」より
ここは競作ポイントの一つ♪いい場面ですね。


月の道人馬二対の影走る





はなはなさんに同じく、本編では書かれなかったこの場面が私も気になりました。あの夏の日以来、ようやく触れることのできた麻太郎を、東吾さんはどんな思いで抱いたのでしょう。
それにしても、すごい競作だわ〜、はなちゃん!


陽の匂いする子の寝息虫時雨