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  初春弁才船
「初春弁才船」より  (平岩弓枝著:文芸春秋刊)
秋季の「月夜の雁」にはたくさんのご参加をいただき、ありがとうございました。詠むほどに、また読むほどに、お句からもコメントからも温かな心が伝わってきましたね。本当にありがとうございました。

さて、今季は「初春弁才船」を選びました。この巻からは、初めてのお題です。
ちょうど立冬の頃、伊丹の新酒をわずか二日半で江戸まで運んだ船の話で、人々は沸き立っています。一緒に発った他の船も次々と江戸に着く中、一艘だけ消息のわからない船が・・・。
そんな時、宗太郎さんが十五、六の若者を連れて「かわせみ」にやってきたところから、お話は大きく展開していきます。

さあ、今季はどんな五七五になりましたでしょう。
(平成二十四年冬)

季刊になり絶対毎回出したいと思いながら、
10月から仕事を増やしてしまった事もあって、少し慌しい日が続いて
ゆっくり考える事ができませんでした。
ごめんなさい、今回もお休みさせて下さい。
皆勤は来年の課題にしたいと思います。
例年は年内に仕事を終えるのですが、今年は持ち越しになりました。
年とともにしんどくなってきていますがもう少し頑張ろうと思います。
寒い日が続きますがどうぞお風邪など召されませぬよう。
(茜雲さん)



  千姫さんの五七五 

もう、今年最後の投句なんですね。今年の五七五は「やっとこさ参加」でした。句なんて代物じゃありません。ほとんどコメントで体裁つけてたみたい(^_^;) 来年は心穏やかに頑張ります♪
来年も不肖の弟子、千姫をどうぞよろしくお願いいたします。皆様もよろしくお願いいたします。
(千姫さんの談)

察しのいい女房は、こういう場合、なにもいわない。ただ、晩餉がすみ、千春を寝かしつけてから居間へ戻って来ると所在なげに炬燵の上に頬杖をついている東吾をみて、さりげなくいった。
「先程のお話で、あなたが弁才船とおっしゃいましたの、あれは千石船のことでしょうか」
東吾が猫板の上ですっかり冷えてしまった湯呑を取り上げた。
「初春弁才船」より
かわせみの好きな所の一つに、るいと東吾は夫婦ながらお互いの心の中の全てを口にしない。それが相手や、その話題の人を思いやっての事ってところが好きです。
話せば気は楽になるけれど・・・。


粉雪やしんしん積もる胸の内


特に印象に残ったのが、トップを飾った千姫さまの「粉雪やしんしん積もる胸の内」です。書かれたコメントと合わせて、なるほどなぁと思いました。
(麦わらぼうしさん)



粉雪は止んだが、曇天で底冷えがする。
軍艦操練所は上官の挨拶だけで終った。
門を出たところから見渡せる海は灰色で、三角波が立っている。
「かわせみ」へ帰って来ると、部屋の中はもう正月の風情であった。
「初春弁才船」より
五七五を送ろうと決めた寸前に出来ました\(^O^)/!「帰り待つ不安紛らす師走かな」と迷ったけれど、ぱっとひらめいた方にします♪


帰り待つ不安を師走に紛らわせ


師走の忙しさや正月の仕度は、いつもの風物詩のように読んでいましたが、不安をそこに紛らわしていたというお句に、なるほどと思いました。
(こでまり)



「道中はどうだった」
「あいにく、熊野灘へかかるあたりから風が変り出して……俺は先生に教えられた通り、思い切って沖へ出すよう親父に頼みました」
「親父さんは承知したんだな」
「初春弁才船」より
昔気質の船頭、岩吉には陸の見えない沖まで出た航海はとても不安だったでしょう。


丘の灯に導かれおり冬の海


船は壊れ積荷も流されたけれど、一人の命も失わずに大坂へ戻った岩吉は、立派な船頭です。昔ながらの航海術にこだわらず、新しいものを取り入れようとする姿勢も。イタリアで起きた豪華客船事故の船長が、客より先に逃げたかどうかと話題になっていますが、考えさせられました。
(こでまり)



今と違って「初荷」は威勢が良く、縁起が良かったですよね。私の時代はトラックでしたが(笑)
「よっ!!弁才船〜」って掛け声があったかしら〜。


胸躍る帆をはらみくる初荷かな





この話題では源さんが登場しませんでした。みんなが無事お正月を迎えられているのは、源さんが市中を見回っていたからですよね。
来年の年の瀬の看板を狙いました♪


行く年も来る年も守る巻羽織


狙いはバッチリ、年末年始に使えますね〜〜。
(こでまり)



  すみれさんの五七五 

大きな災害が続いた一年でしたが、それ故に家族の絆を強くしてくれる一年でしたね。
助け合い、寄り添って生きることの有難さを実感させてくれる一年でもありました。
(すみれさんの談)

新酒番船というのは文字通り、その年一番に早造りされた伊丹の新酒を積んで江戸へ運ぶ番船のことで、例年、西宮樽廻船問屋と大坂樽廻船問屋が合せて十艘前後の船を仕建て、江戸到着の早さを競った。
いつの時代にも出来立ての新酒を一刻も早く飲みたい者は少くなくて、この新酒番船の競争に勝ち抜いて一番乗りをした船の酒は最高の価で取引され、忽ち売り切れてしまう。
「初春弁才船」より
初物好きは古今を問いませんね。江戸っ子は、季節毎に初物をより美味しく食べる事を楽しみにしてようです。特に、新酒は、酒好きには堪えられない魅力です


帆を張らみ灘の生一本波まくら





「もっとも、俺が乗る船は樽廻船なんかと違って洋式の設備が整っているから、まず心配なことは何もないと思っていていいんだよ」
千春が無邪気に父親を仰いだ。
「麻太郎兄様と波除稲荷のところで大きなお船をみました。帆柱が三つもあって、白い帆が沢山、沢山ついているお船……」
「初春弁才船」より
海難事故の会話は、今となっては切ないですね。かわせみ大河で、未来も知ってしまった現在、どこに詠みの支点を定めるか・・・色々な読み(詠み)が出てきそうで、興味深いです。


大海に生命預けむ白帆ゆく


案外そういうふうに詠まれた方はいなかったのですが、そう思って読むと、本当に切ないですね。
(こでまり)



東吾さんから和船と洋船の違いの講釈を聞いて、航吉さんは純粋に反応して怒りや悲しみを噴出しました。荒療治にみえるけれど、あれで次の一歩へ進むことができたように思えます。
祖父や父の跡継ぎとしての覚悟が定まったし、父への思いも強くなったことでしょう。


学ぶ目の力強さよ冬の星





「とにかく、上って下さいな」
すすぎを、と若い衆が走り、お吉が手拭を航吉に渡す。
「まず屠蘇だ。それから、今年一番の酒を汲みかわそう」
東吾が指図し、女中達が盃を運んで来る。
「初春弁才船」より
世話好きな、かわせみ一家が頼もしくもあり、微笑ましいです。航吉さんにとって、東吾さんは恩師、るいさんは観音様、千春ちゃんは守り神になりましたね。


酌みかわす笑顔そろいて宝船






【すみれさんのプチ妄想〜〜】
明治○年の暮れ、「かわせみ」の千春の部屋

最近の千春は、気が付くと、自分の部屋の棚に置いてある小さな千石船を手に取っている。
それは、幼い頃に、航吉という船乗りが作ってくれた船である。記憶の中で、彼の顔はぼやけているが、精巧にできている千石船は何年経ってもしっかりとした手応えで、千春の手の中に納まっている。

あの時は、航吉の父親が一時行方不明になっていて、皆で心配したり、航吉を慰め励ましていた。
まさか、自分達が同じ定めになってしまうなんて、思いもしなかった。それから千春と母るいの周辺には大変な事が次々と起こったが、何とか今日まで寄り添ってかわせみの人々と共に暮らしてこられた。

寂しくなる時、この千石船を手に取ると、父が居た昔が戻ってくるような気持ちになるのだった。
叶わぬことと判っているのだが、あの頃の無垢な自分に帰りたい願望があるのかも知れない。

麻太郎が異母兄と知ってから心の中にぽっかりと抜けてしまったものがある。それを埋めてくれるものは何なのか?誰なのか?この船で探しに行きたい気持ちになる。そんなことを考えている横顔は、だんだん母のるいに似てきたようだ。試練の日々が、千春を美しく成長させてくれている。
ご本家掲示板にUPされた、紫陽花さんのイラストです


冬の灯や追憶のせて夢の船


いや〜、本当に千春ちゃんはこんな日々を過していたんじゃないかと思ってしまいますね。いや、絶対にあったはずです!
すみれさん、ありがとうございました。
(こでまり)
すみれさまのおまけも思わず「親戚のオバサン」目線でほほえましく拝見しました。
(はなはなさん)
すみれさんのプチ妄想最高です!!何度読んでも心あたたまりますね。ぜひプチからビッグ妄想へと育てていただきたいです♪千春ちゃんのように、きっと航吉くんのほうも、お守りを折にふれて見ているでしょうね。
(たまこさん)



  麦わらぼうしさんの五七五 

今年も、もうあとわずかなんて、本当に早いですね〜 毎回、稚拙な五七五をきれいにUPして下さってありがとうございます。今年も大変お世話になりました。来年もぜひはいくりんぐ参加したいと思いますので どうぞよろしくお願いします。
今回のお題、困難を乗り越えた先に希望がある、というのが今の日本に重なりました。とても希望に満ちたお話で、年の初めになんてふさわしいんだろうとあらためて思いました。
ささっ〜と拝見しただけですが、やはりお話の雰囲気に合った希望に満ちた御句が多いですね。ぐりさまに同じく、あの視点この視点、私もなるほどとうなずくばかりです。
(麦わらぼうしさんの談)

「お出でなさいまし」
ちらりと若者を眺めてから、さも用ありげに暖簾のところまで戻って行ってから、
「番頭さん」
と呼ぶ。
大方、若者の品定めだろうと気がついていて、嘉助はお吉の傍へ行った。
「初春弁才船」より
新顔のお客さんが来た時のお約束の場面♪特に若い男性だと品定めに力が入る?


帳場脇始まる吉の品定め


この場面、お約束だけど面白いですね。麦わらぼうしさんはお吉さんで詠んでくれましたが、あとでこの場面をたまこ姐さんが嘉助さんで詠んでいたのも、面白かったです。
(こでまり)



ひたすら船を進めて来て、やがて左手に下田の港がみえて来た時は、夢のような気がしたと航吉は目をしばたたいた。
「いい具合に風が船を江戸湾へ入れてくれまして、あとはもう親父の采配通りでした」
「初春弁才船」より
海の神様はいろいろいますが、今年は辰年という事でやはり龍!
もちろん航吉が身につけた知識と技術、そして息子を信頼する父があっての航海の成功ですが、龍神のご加護もあったのかも?と思ってしまいました。


龍神の導く先へ父子船(おやこぶね)





  はなはなさんの五七五 

すみません、バタバタしていまして、とりあえず今年の締めくくりだけは、きちんとこなしておきたいと、送ります。
もう掃除はあきらめました。ひたすら風邪を治して帰省の準備にかかります。今年も、お世話になりありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします。
今月も読みごたえたっぷり、ブラたまこもしっかりたっぷり歩いていらして、素晴らしいし♪紫陽花さまのところのトリオも嬉しそうだし♪航吉親子への気持ちのよせかたは、私たちもかわせみファミリーにシンクロして、勝るとも劣らないのがまた嬉しい♪ いつもながら更新作業ありがとうございました。ゆっくり味わってまたゆっくり書き込みしますね。
(はなはなさんの談)

「あいつ、真底、船が好きなんだな」
東吾にしても航吉に情が移って、教えるにも熱が入った。その分、万事にきびしくなって、時には台所のほうまで東吾が航吉を叱る声が聞えて来て、るいやお吉をはらはらさせたが、航吉は必死になって東吾の学習について行く。
「初春弁才船」より
航吉のひたむきさはすがすがしかったですね。守袋も詠みたかったのですが、たぶん競作ポイントだと思うのでちょっとはずして、惚れた「冬芽」で詠んでみました。


厳しくて冬芽の伸びる日なたかな





たしかに品川は初日の出を見物する人々が押しかける場所の一つではあったが、長助の気持の中には岩吉の乗った船、もしかすると航吉も一緒かも知れない鹿島屋の船が無事に品川へ入って来るのを見届けたい思いがあるに違いない。
それは、るいにもわかっているようであった。
「初春弁才船」より
航吉の無事と岩吉の快挙を祈るかわせみファミリーの暖かさがいいですね。江戸の師走を意識してみました。長助のいじらしさが特に印象的でした。


帰り花咲くを祈って江戸の明暮れ

思い込め品川沖の初日かな


航吉くんはそのひたむきさで、わずか半月ほどの間に、かわせみファミリーの心をグッとつかんだみたいですね。
(こでまり)



岩吉と航吉はどちらも船乗りとして土性ッ骨の通った、父子鷹ですね。その行く手は一路東、海も凪いで茜色に染まっていたことでしょう。


意地がゆく大海原や初茜





「海図と磁石と象限儀が揃っていりゃ、陸がみえなくたって何てことはありません。親父は俺の頼み通り、船をぐんと沖へ出しました」
沖へ出るほど逆風のあたりは少くなって来る。
「先生、海図ってのは、てえしたもんでございますね」
「初春弁才船」より
海図を学んだ航吉は日本が西洋と出会う明治時代にどんな活躍をしたでしょうか。もしかして海軍兵学校に入学なんかしてないでしょうか(笑)
航吉の初夢は船出する宝船だったかもしれませんね。江戸っ子船乗りの心意気と西洋の知識を兼ね備えた彼の将来を祝したいと思います。


夢はじめ海図の示す未来かな


航吉くんが維新を迎えたのは、いくつぐらいだったのでしょう。それまでにもきっと、航海術をさらに学んだはずですし、なくてはならないキーマンとなっていたでしょうね。
(こでまり)



  あっちの管理人さんの五七五 

このお話、如何にも初春にピッタリな華やかで爽やかなお話ですね。主人公の航吉君、いいですねぇ。筋骨隆々、でも性格はすごーく素直で優しくて真面目そして強い!好感度バッチリ!
東吾さんに航海術を習うのが楽しくてしょうがない感じが伝わって来て、読んでいてワクワクしました。
最後はいつもながらの「かわせみ」の暖かな正月風景に心が和みます。あれから長い歳月が経って、その風景も様変わりしたけど、でもやっぱりお正月は特別。穏やかで暖かな正月がなによりです。
今年も大変お世話になりました。いよいよあと明日一日。今年最後の尽句を締めくくりに新しい年を迎えたいと思います。どうぞ来年もまたよろしくお願い致します。
今年最初の皆様のお句を拝見して、家族の絆、人との絆を詠まれたものが多かったですね。今だから余計心に響くものがあった気がします。すみれさんの妄想も「うんうん、きっとそうだ!」って頷きながら楽しませてもらいました♪ブラたまこ、紫陽花さんのとこのトリオも健在で、読み応えたっぷりです。
(あっちの管理人さんの談)

航吉を乗せた船が品川を出帆してから、「かわせみ」の人々は落付かなくなった。
嘉助は夜明け前に起きると必ず大川の岸辺へ出て、西の方を眺め、そこで合掌する。
どうか無事に航吉が大坂へ着きますようにと海へ向って祈念するのであった。
「初春弁才船」より
父親の岩吉が生きて帰って来たとの知らせを受け、航吉が上方へ行ってから「かわせみ」のみんな落着かなくなりましたね。
誰もが同じ思いだったと思います。


寒暁に手合せ願う無事帰還


この場面、管理人さんとご一緒でした〜♪
(こでまり)



「ありがとうございます。なにもかも、先生のおかげで……」
懐中から赤い守袋を出した。
「何度もこれを拝みました。その都度、力が湧いて来て……」
「初春弁才船」より
時化にあった時、千春ちゃんからもらった守り袋がどんなに心強かったか。きっと赤い守り袋を首からさげてパワーを貰っていたのでしょうね。


手をやれば守り袋がそこにあり


父の長年の経験と、最新の航海術とで海に立ち向いながら、それだけに頼ることなく、ちゃんと「怖さ」も知っていることは、とても大切な気がしました。思わず千春ちゃんの守り袋を握りしめた気持が、これからの船乗りとしての人生でも大切ではないでしょうか。
(こでまり)



航吉君もすごいけど、子供の意見をきちんと聞いて船を沖へ向けた親父さんもすごいなぁと思う。自分は使えないけど象限儀を手に入れていたっていうことは、将来を見据える眼力があったってことですよね。
息子の提案を受け入れて、やがて下田港の灯が見えた時、父親としてさぞ息子が頼もしく誇らしく感じたことか。


初春や荒波越えた祝い酒





  たまこさんの五七五 

なんとか滑り込み提出です!かわせみの初春物語って、初期は「初春の客」や「女難剣難」のように悲しい結末だったり殺人事件があったりというのが多かったですが、子供たちが登場するようになってから、心あたたまる物語の印象が強くなり、ちょうど西欧のクリスマスストーリーのような位置づけになって来たのかななどと思ったりしています。
はいくりんぐ「弁才船」も、もう一度ゆっくり拝見しました。皆様の御句、「あ〜こういう表現が良いな〜」「なるほどこういう視点からも詠めるのね」と思って一つ一つうなずきながら拝見しました。
(たまこさんの談)

「俺は水夫だと思うよ」
「なんですって」
「大川や本所の川を漕いでいる分には、あそこまで力瘤が盛り上りゃあしまい。まず、弁才船かな」
「まさか」
「初春弁才船」より
初対面の若者を一目見て「弁才船の水夫」と見抜く嘉助さんの目利きぶり、人を見てきた長い経験のなせるわざですね〜


鷹の目は老いてますます確かなり





「この子の名前は航吉と申します」
畳の上に指で航の文字を書いた。
「なんですか、この字はかわらと読むそうで船底を作る厚い板のことだと、この子の父親が申しました」
たしかに、航は弁才船の船底材で、これが船を組立てる基になっている。
「初春弁才船」より
掲示板でご紹介した「黄金の日々」再放送で、助左の父が海で死んだため、母親が息子には陸の仕事をさせたいと願ったというのがありましたが、航吉の母は、陸でも不慮の事故で命を落とすことはあるのだから、思い残すことのないように海で生きろと・・・どちらの母親の思いもわかる気がしました。


父母の願いをこめた航(かわら)の名


ここは私も詠みましたが、なかなかに胆のすわったお母さんですね。
(こでまり)



足許から鳥が立つように慌しく品川へ出かける航吉に、るいはかなりまとまった金を餞別として持たせ、千春はいつも首にかけている赤い守袋を取って渡した。
「これを持っていれば、嵐にはあいません」
「初春弁才船」より
航吉の作った船の模型を喜ぶ千春と、千春が渡した守り袋を持って生還した航吉。これを読んだ時(ちょっと年齢が離れているけれど) 二人の間に赤い糸をちょっぴり感じたのですが、明治編では違う展開になったようで…(^^ゞ


真心を交わす小船と守袋


明治編での赤い糸はかなわなかったみたいですが、姐さんの「鰯雲」には、ちゃんと航吉くんが船会社の社長さんとして登場していましたね。
(こでまり)



源さんが登場しないぶん、長助親分がいい味を出していますね。人情に厚い江戸の人々の思いが伝わってくるラストでした。


凱旋の船を迎える初日の出

深川と品川巡る宝船





【おたま姐さんのブラたまこ】 今季も、期待を上回る現場検証を届けて頂いておりますよ。姐さんならではの切り口で、古今の「現場」をご覧下さいませ。
さあ、こちらからどうぞ!



  浅黄裏さんの五七五 

今回もかわせみの人々が気をひとつに揃えているお話で、とても気持ちがいいですね。
さて、一番船の運んだ新酒の売れ行きや値段がどうなったのか。そして新しい航海術はその後弁才船にどういかされたのか。航吉のお父さんも登場しての後日談がスピンオフとしてどこかに存在していないかと本気で期待してしまいます。
これまでの航海術とこれからの航海術とが出会った物語のような感じでとても興味深いです。
(浅黄裏さんの談)

神棚をみると波除稲荷の御神符が納めてある。
「さっき、嘉助とお吉がおまいりに行って来ましたの」
東吾の視線を追って、るいが教えた。
「みんなが、無事を祈っているんです。なんですか、胸が切なくなって来て……」
「初春弁才船」より
花の兄とは梅のことだそうです。どの草木にも先駆けて咲くのでそう呼ばれるのだとか。
波間からどうか無事に船が現われてほしいと思う気持ちを詠んでみました。


波間見る瞳に待たるる花の兄


「花の兄」は「梅」なんですか。勉強になりました。
いつもは船の上の東吾さんまでもが、今回は待つ身の切実な気持を味わったようですね。
(こでまり)



「若先生、鹿島屋一番船、今暁、無事に品川へ到着致しましたんで……」
長助の目がきらきら輝き、うながされて、航吉が前へ出た。
「親父はまだ船に仕事が残って居りますんで、俺が一足先に正月の酒をお届けに参りました」
「初春弁才船」より
元日の暁を背負って現われた一番船です。
江戸の人々にとってどれほど縁起のよいものだったか、想像できます。


春告げの暁を背にす父子船





  ぐりさんの五七五 

このお話はお正月の様子などを盛り込んで明るいお話ですね かわせみみんなが航吉ちゃんを後押しし祈っていますね 船には東吾さんも乗っていることがあってなおさらだったのではないかと思いました 東吾さんが航吉ちゃんを叱ったまで真剣に教えるところなども読んでみたいと思いましたができませんでした
こうして毎回参加させていただいてかわせみの皆さんとつながっていたいという思いが強い私です ブログを始めてから書き込むことも減っていますのでなおそんな思いが強いです ネットを初めて最初にかわせみの世界へあの日のことが思い出されます 
今年もありがとうございました 来年もよろしくお願いします
あの視点この視点なるほどとうなずくばかりですまたゆっくり拝見してきます UPありがとうございました
(ぐりさんの談)

一家の主人がお正月の行事を主になってするというのは一般的ですね 東吾さんがかわせみに住むようになっていつもそうやっていたのでしょうね るいさんもかわせみのみんなもそんな東吾さんの様子を好ましく見ていたでしょうね


凛として 若水酌む主 見惚れおり


「若水」は、母が使っていた懐かしい言葉です。子ども心にお正月だけの、何か特別な気持がしたのを思い出しました。
(こでまり)



廊下から嘉助が呼んだ。
「千春嬢様、猿廻しがまいりましたよ」
てけてけとんとんと、太鼓の音が聞え、千春がわあっと走って行った。
「かわせみ」の庭に、正月の陽がいっぱいに降りこぼれている。
「初春弁才船」より
猿回しに喜んで駆け出す千春ちゃんかわいい


猿回し 喜び走る 幼子や





風がやんだと東吾が気づいたのは除夜の鐘を聞いている時であった。
庭へ出てみると、晦日で月こそないが満天の星であった。
  (略)
鹿島屋の船はこの夜空の下、どこまで来ているのかと思いながら、東吾は体が冷たくなるのも忘れて海の方角をみつめていた。
「初春弁才船」より
荒れるという灘を無事こえてきてほしい みんなの祈りが通じたのでしょうねーもちろん東吾さんの教えも第一ですが


冬の海 無事超えてこい 江戸湾へ


年末から元旦にかけて、克明に天候の変化が書かれていますが、天候が変わるごとに待っている人々の祈りも深まっていったように感じます。特に航吉を教えた東吾さんは、人一倍心配したでしょうね。
(こでまり)



「これから、町内の連中と品川まで初日の出を拝みに行って参ります」
商売のほうは女房と悴夫婦にまかせて行くのだとぼんのくぼに手をやった。
「きれいな初日の出が拝めるといいですね」
「初春弁才船」より
長助親分初日の出見物にかこつけて船を見に行きますね


初日の出 一番船を 拝みたし





今回源さんは出番なしですね 物騒な話もないしお正月たまにはこんなことも〜


出番なし 家族サービスか 巻羽織


登場しなくても詠んでもらえる源さんも、幸せですね。
(こでまり)



  紫陽花さんの五七五 

年が明けてしまいました。年内に送ろうと思ったんですが、紅白途中から寝てしまいました。いまちょっと復活しています。
今年もきっとこんな調子で一年が過ぎていくんだと思います。
ご迷惑をかけることもあるとあると思いますが今年もよろしくお願いします。
(紫陽花さんの談)

明けて元旦。
「かわせみ」では東吾が若水を汲み、それを神棚と帳場にある恵方棚に供えると、家族、奉公人一同が集って合掌し、それから、るいのお酌で屠蘇を祝い、年玉袋を頂く。
「初春弁才船」より
結局俳句は出来ずおまけだけです。


わ〜良かったね〜。あれ、狐火はもらえなかったの?
(こでまり)
紫陽花さんの「彼ら」も、お年玉もらえてよかったね〜〜宗匠もおっしゃってますが、狐火ちゃんはもらえなかったのか、それとも早速使っちゃったのかな?
(たまこさん)



  こでまりの五七五 

昨年は大変な年になりましたが、皆様とともに、いつものように更新を重ねることができました。本当にありがとうございました。それなのに最近更新が遅れがちで、お待たせばかりして申しわけありません。皆様からのコメントの、年末年始のご挨拶が少々時季外れになりましたが、お気持が伝わってきて、また新鮮な気持になりました。
今季も、そして今年も、どうぞよろしくお願いいたします。
(こでまりの談)

「親がそういう名をつけて育てた子でございます。なにがあっても船乗りで一生を終えるなら後悔はございますまい。陸にいて、もし馬に蹴られて死ぬようなことがあったら、親も子も浮ばれないのではないかと……」
「初春弁才船」より
冬の北風に向かって進む弁才船。船乗りはもちろん、送り出す家族にも(たとえ女や子どもであっても)、弁才船が人々の暮らしを支えているという誇りがあり、またもしもの時の覚悟もあるのだと思いました。


北風に覚悟の航路弁才船





航吉くんがいかに船が好きか、また、いかに本物の船乗りを目指しているかがわかるエピソードですね。この船を見て、東吾さんの本気度もUPしたようです。


水夫の組む小さき帆船や冬ぬくし





「若いってのはいいもんだよ。まるで乾いた土に水がしみ込むみたいによく憶えるんだ」
十二月のなかば近くなって、東吾がるいにそっとささやいた。
「初春弁才船」より
東吾さんも航吉くんも、時の経つのを忘れて航海術の勉学に励んでいました。二人が学んだ時期は、ちょうど月が大きくなっていく時。月の光も学ぶ手助けになったかもしれませんね。


師も弟子も学ぶ手止めず寒月光





嘉助さんは航吉くんの行った西に向かって手を合わせたとありますが、その直後、クルリといつものように東に向かい、もう一度無事を祈ったことと思います。


西空に無事のみ祈り冬堤





「これで、やっといいお正月が来ましたね」
炬燵の上に頬杖を突いて、少しばかり眠そうな目をしている東吾へ笑った。
「貴方、お召しかえをして、兄上様の所へお年始にいらっしゃらないと……」
「初春弁才船」より
さすがの東吾さんも、ようやくホッとしたみたい。ここ数日の心配が晴れて、兄上への年始を前に、目が重たくなったようですね。


礼者行き一番船の酒まわる