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  煙草屋小町
「八丁堀の湯屋」より  (平岩弓枝著:文芸春秋刊)
空梅雨かと思うと突然の土砂降り、今年も不安定ですね。
春季の「柿の木の下」には、たくさんのご参加をいただき、ありがとうございました。最初の季刊は、いかがだったでしょうか。
人ごとに詠むポイントに違いがあり、自分が見落としていた所や、詠みきれなかった所のお句に出会うと、本当に嬉しくなりますね。その一方で、多くの人が選ぶポイントもあり、堀割りの場面ではその瞬間を切り取ったような秀句が、また最後の旅立ちの場面でも良いお句が揃いました。ありがとうございました。

さて、今季は「煙草屋小町」を選びました。
東吾さんとるいさんはまだ新婚の時期ですが、るいさんには新妻らしい悩みがあるようです……。一方東吾さんはと言えば、相変わらず……。
その東吾さんのことを語る嘉助さんと長助さんの会話がポンポンとはずみ、全編通して何度も「ニヤリ」としてしまいますよ。

さあ、今季はどんな五七五になりましたでしょう。
(平成二十一年夏)

締め切りを過ぎてしまって、遅れてでも…と思っていたのですが、
午後、出かける用事が出来てしまったので諦めました。
今回はずっと本を鞄に入れて持ち歩き、何回も読んでいただけに残念です。
歳時記が何故か行方不明になってしまって…とほほです。
入梅して、うっとおしい日が続きますが、どうぞお身体に気を付けてくださいね。
(茜雲さん)



  麦わらぼうしさんの五七五 

こんにちは、今季の五七五送ります。さっぱり出来ず、でもやはり欠席は寂しいので、どうにか出来た二句送ります。煙草がらみのお話という事で、どちらも煙管という言葉が入ってしまいました。
ところで、その後おはんと吉之助は夫婦になることが出来たのか?が気になるところです。
いろいろとお忙しい中でのUP、お疲れ様でした&ありがとうございました。楽しいお話だけあって、全体的に明るいお句が多いような気がしました。「その後の煙草の行方」は全然思いもしなかったのですが、みなさま気にかけていらしたのですね。やっぱり私は読みが浅いなぁ〜 またじっくり拝見してきま〜す♪
(麦わらぼうしさんの談)

その時の様子を思い出したのか、長助は腹を押えて笑い出した。
「畝の旦那も、俺も、びっくりしてみていると、若先生、一番上等の奴をお買いなすって、煙草屋小町の手から釣り銭と煙草を受け取って、人ごみをかき分けてお帰りなすった。(略)」
「煙草屋小町」より
「武士は食わねど高楊枝」のパクリです。吸わないけど煙草屋小町の「花屋」で買ってしまう東吾さんのような男たちの事を詠んでみました。はたして高煙管という言葉はあるのか?というのは置いといて…


吸わねども花の前では高煙管


ふふふ、「高煙管」は男性の心理を見事についている気がしますね。
(こでまり)
「花の前では高煙管」がいいですね。男の人が高煙管なら、女の人は何でしょうね。
(浅黄裏さん)



お吉が嬉しそうに、けしかけた。
そんなこととは露知らず、東吾は今日も花屋で買った煙草の包を袂に入れて、いそいそと大川端へ帰って行く。
「煙草屋小町」より
多分競作ポイントだと思われるラストの場面(のその後?)。


煙管では太刀打ち出来ぬるいの角





  たまこさんの五七五 

今回は、かわせみ近辺の日本橋と深川だけが舞台なので、あまりネタも無いかな〜と思っていたのですが、意外や意外、新大橋が隅田川三番目の橋であったとか、名主の小川吉右衛門さんと「萬屋」の話とか、知らないエピソードがいろいろあり面白かったです。句のほうは相変わらず、上達しませんが…(泣)
急に蒸し暑くなったところへその暑さも忘れさせるような嬉しいUPのお知らせ有難うございます!!早速さらっと見てきましたが、もう一度寝る前と明日も明後日もゆっくりと拝見させていただきます。宗匠いろいろとお忙しい中ほんとうにお疲れ様でした&有難うございました。皆さん週末はこれでお楽しみですね。
(たまこさんの談)

実に旨い煙草である。いったい、どこのどういう女が、こんな煙草を若先生にさし上げたのか、その女はまさか若先生が煙草を喫まず、よりによってこんな年寄りが有難がって吸っていようとは夢にも思わないだろうと、内心、可笑しくなった。
「煙草屋小町」より
一服しながらあれこれと考えを巡らす嘉助さん、いかにも人生の達人らしく、いい感じです♪


薫風に紫煙の行方問うてみる


紫煙う〜ん思いつかなかったですねうまい
(ぐりさん)



はっとして嘉助と長助が帳場をとび出すと、るいが店の暖簾口のところに立っていて
「日本橋まで行って来ます。長助親分、ごゆっくり……」
いくらか悪戯っぽい笑顔を残して、すいと出て行った。 (略)
「聞えましたかね」
長助が嘉助の顔をみて不安そうにいった。
「煙草屋小町」より
喧嘩揉め事どんと来い、深川一のベテラン親分なのに、「おるいさんに聞かれていたのを知らないで、まずい事言っちゃったかも…」と「しょんぼり」してしまう、この純情さがたまりません!


強面(こわもて)も女心は鬼門なり


今回は男同士の話がいろいろあって、どれもとても面白かったですね。この二人の場合も。
(こでまり)



またまた出ました「かわせみ御膳」!
今回は宗さまならぬ、源さまランチ(^O^)


謎解きの肴(さかな)や筍初鰹





昼が長くなって、男二人が急ぎ足で行く日本橋川のほとりは柳が長い影を落としている。
堀江六軒町はかつて芝居町として栄えた堺町と葺屋町を隣にする細長い町屋であった。
「煙草屋小町」より
柳は春の季語だそうですが…


連れ立ちて川端柳影長し





東吾さんには、あれだけ世話になったのだから、この煙草は東吾さんが買い求めたのではなく、おはんちゃんのサービスでしょう。おはんちゃんはもう婚約者のいる身だし、堂々と受け取っておるいさんから嘉助さんに渡してもらうなり、さっさと客に配るなりすればいいのにね。押入れにしまいっ放しじゃ湿気ちゃうよね〜


今日もまた断りきれぬ一袋


むふふ、姐さんのその心配を察してか、↓浅黄裏さんがちゃ〜んと考えてくれたみたいですよ。
(こでまり)
今までもたまこさんとシンクロする句が多くあったのですが、今季はたまこさんのお句と私の妄想劇場がシンクロしましたね♪
(浅黄裏さん)



【たまこさんの現場検証】 そして、今回もお楽しみの「現場検証」が届いておりますですよ。いつにも増して、まるで操るように(?)、時代と場所を超えて私たちをいろんなところに連れて行ってくれます。
操られたい方は、こちらからどうぞ〜〜。
たまこさまの現場検証も、かわせみにとどまらず、その場所ゆかりの出来事にあれこれと飛ぶのが楽しいです。地層のように歴史が折り重なっている?それが楽しいのですよね。
(はなはなさん)
たまこ姐さんの現場検証も回を重ね、益々充実。内容も「かわせみ」だけに留まらず歴史探訪のように江戸の町を覗いているようです。おはんちゃんと萬屋錦之助の意外な関係(?)も姐さんの説に納得!ほんと朝ご飯前にたっぷり楽しませてもらいました!
(あっちの管理人さん)
現場検証は今季も読みごたえ&見ごたえ十分ですね。梨園との並々ならぬ関係とか煙草屋商売の成り立ちと花屋との関係の検証も楽しませていただきました。今季も脱帽です。
「行ってきました。見てきました。…それだけ」というブログが多い中で、こうして「時代と場所を超えて私たちをいろんなところに連れて行ってくれ」る(by こでまりさん)のは素晴らしいと思います。
(浅黄裏さん)
たまこ姐さん、どんどん充実度が増している、現場検証、今月もしっかり操られましたよ…歌舞伎との関係や煙草の資料館まで、詳しく町を探訪していただいて、暑い中をありがとうございました。
(すみれさん)



  すみれさんの五七五 

さわやかな初夏に相応しいお話ですね。
とっても充実した内容で、はいくりんぐ、やはり良いですねぇ♪皆様の俳句もさわやかな夏らしい雰囲気の中に、それぞれ個性が光ってますね。皆様のお作を、またゆっくりと味わってきます。
(すみれさんの談)

「こんなものを貰っちまったんだ。俺は喫まないから……」
と一袋の煙草を手渡した。
嘉助は煙草喫みなので、喜んで受取ってみると、これが、かなりの上物であった。
  (略)
ちょうど買いおきが切れていたので、早速、封を切って、煙管につめて一服すると、これは普段、嘉助が愛用しているのよりも遥かに味も香もよい。
「煙草屋小町」より
煙草を飲まない東吾さんからもらったのを、嘉助さんが一服する場面、好みです。


端居してもらい煙草の香しさ


もらい煙草って、もともと美味しいものなんだそうです。嘉助さんが普段買わないようないいものだったなら、また、東吾さんがくれたものならなおさら美味しかっただろうなぁと思いました。
(浅黄裏さん)



るいさんの着物への可愛い悩みが微笑ましい。気付いていないけれど、幸福な時間ですね。柄選びの悩みは女性なら、誰にでも経験あります。


花菖蒲まとう嬉しさ君はまだ





出盛りに従って、一本が一分(約二万円)あたりになって、少しずつ買い手が出て来るが、庶民が口に出来るのは、更にあとということになる。
それでも人々は先を競って初鰹を食べるのを自慢にしていた。
「煙草屋小町」より
この時期のお話に、度々登場する、鰹、お江戸の人達がいかに貴重な魚と位置付けていたのかが伝わってきます。源さんも口運の良い人だ…
一本の鰹で何人前の刺身がとれるのかな?かわせみの人達みんなの口に入るには何本もいりそうです…るいさん、江戸っ子ですね!


初鰹お江戸の気風の見せどころ


考えてみたら高いですよね。すみれさんと私なら、冬場のずわい蟹を思い浮かべると、想像がつきやすいかな。それにしても高っ!
(こでまり)
こでまり宗匠、鰹を蟹に例えて下さって、本当に腑に落ちました。(合点、合点)
(すみれさん)



その吉之助が煙草屋小町のおはんに惚れたと源三郎は、えらく真面目に話し出した。
「まわりがみても良縁と思われるのに、何故か兄の彦太郎が承知しません」
  (略)
「これから日本橋へ行けってことか」
「恐縮ですが、手前は、どうも色恋の話は苦手で……」
「煙草屋小町」より
奉行所のお役目じゃないはずだけれど、嫁とりの口利きにも相談にのっている源さんは、本当に町の人達から信頼され、頼りにされていますね。東吾さんもそんな源さんの手助けをするのが楽しそうです。


婚カツもお役目のうち巻羽織


今流行の「婚カツ」という言葉も、そういえば源さんの仕事のひとつでしたね。
(こでまり)



  コシキブさんの五七五 

「煙草屋小町」なつかしく読み返しました。コミカルなオチが印象に残っていたお話でしたが今回もやはり笑いました。聞き込みに誘いにくる源さん、新そばを届けに来る長助親分、温情裁定を下す兄上、言いつけにくるお吉、と脇の みんなもしっかりそれぞれの役目を果たし(?)かわせみらしさが凝縮された一篇だと思いました。
日々、雑用に追われ読書の時間もままならない生活ですが、このような自分の楽しみの時間を持てる事がうれしいです。
(コシキブさんの談)

「御新造さまは、今までが少しお地味すぎました。お独りの時はそれでもよろしゅうございますが、旦那様がお出来になったのでございますから、もそっと明るく、きれいなものもお召しくださいまし」
といわれて、るいはどきりとした。
「煙草屋小町」より
おるいさんは美人で嗜みがあって完璧な女性というイメージが強いのですが、こういう場面では親近感を感じます。焼餅もそうですが、済んでしまった買い物についてあれこれ迷うところは東吾さんへの思いの深さが感じられて可愛いですね。


(つま)のため若くありたし衣更





「お嬢さんが、ぼつぼつ値段も落着いたから、この辺で七十五日長生きをしましょうって。畝様はいい日にお見えになりましたよ」
「全くですな」
「煙草屋小町」より
実は、以前「口運は俺もいいぞと巻羽織」という句を詠んだのですが、今回また一字一句同じ句を提出してしまうところでした(汗)
宗太郎さんといい、源さんといい、かわせみが第二の我が家のような感覚なのでしょうね。質実剛健な源さんのおうちでは初鰹はいつ頃食卓に出るのかな?


初鰹よそでよばれる巻羽織


あはは、同じような句を出してしまう危険、私も経験ありです。本当に源さんといい宗太郎さんといい、かわせみの大きな息子のようですね。
(こでまり)



盗賊の見張りは彦太郎にとっては、兄として妹を食べさせるための小遣い稼ぎだったのでしょう。兄上の裁量は真っ当で公平だと思います。店を出して暮らしが安定しても誰にも言えない秘密を抱えて苦しみ、体に傷を負ってなお罪滅ぼしの旅に出るのはひとえに妹の幸せを願ってのことだったのでしょう。


身を寄せる木の下闇の後の雲


なんで巡礼の旅なんだろうと思っていたのです。お仕置きにあった盗賊を弔うわけはないし、見張りをしていた盗みの先で殺められた人でもあったのかと。おはんちゃんのためなら、わかるような気がします。「後の雲」が長いトンネルを抜けたような安堵を感じさせますね。
(こでまり)
「後の雲」の解釈に実は悩みました。これは、巡礼を終えたあとには晴れることの暗示でしょうか。それとも晴れるにはまだ間があることの暗示でしょうか。もしよろしければ教えてくださいませ。
(浅黄裏さん)



「これ、みんな、堀江六軒町の花屋の煙草だってことは、お嬢さん、あとは申し上げなくてもおわかりですよね」
るいのきれいな眉がきっと上がったのをみて
「お嬢さん、たまには若先生にお灸をすえないと……、殿方ってのは放っておくといい気になって、なにをなさいますやら、知れたもんじゃあございませんよ」
「煙草屋小町」より
長助親分までおはんの顔見たさに煙草を買いに行ってたとはびっくり。東吾さんものんきに煙草を懐に入れて歩いてる場合じゃないです。おるいさんに一体どんなお灸を据えられたのでしょう。東吾さんのことだから新しい着物をきたおるいさんを盛大に褒めて、上手く切り抜けたような気もしますが。


夏きざす小町びいきの面々に





  千姫さんの五七五 

お題の発表と同時に取り掛かって、割とはやく出来ていたのにお送りするのが今ですワ。春の季語で作り始めたのに、雨が降った日には夏の季語になったりして、季節がわからなくなってしまいました。
もうひとつ詠みたいと思った、るいの気持ち。これは最初から私にはムリと諦めていたから、発表が楽しみです♪よろしくお願いします。
(千姫さんの談)

読み終えて直ぐに出来ました。もう、これしか無い!とまで思っています(笑)


新緑ややきもち喰らうふさぎ虫





「彦太郎は一味というわけではありません。ただ、焼け出され一文なしで、八つの妹は抱えている。食べるために十五の子が仕事をえらぶ余裕がなかったんです」
源三郎が含みのある言い方をした。
「煙草屋小町」より
足が不自由になった彦太郎が、巡礼の旅に出なくてはいけないほどの罪を犯したとは、思えなくてねぇ。


梅雨空に生きる術なし妹育つ


今回読み直すまでは「使った」のだと思っていましたが、実は戻していたというのがグッときますね。同じように心にグッとくるお句です。
(こでまり)



その時の東吾はまるで気のないそぶりで返事もしなかったのだが、それから半月ほどして、るいが出来上って来た浅黄に菖蒲の柄の着物を、いったい何時東吾に着てみせようか、帯はどれを合わせたらと思案していると
「お嬢さん、ちょっと来てみてくださいまし」
お吉がまっ赤になっていいつけに来た。
「煙草屋小町」より
題名にもなっている「煙草」の五七五を、一つは作りたいと頑張ってみましたが「配偶者有無のタスポがほしい妻」「役得は煙をくゆらす番頭さん」「買いおきの煙草が湿気る梅雨の入り」駄作ばかりで…結局、これにします。
新調の着物を褒めるんだろうなぁ…花屋で買った煙草が見つかった事を、知らぬは東吾ばかり也。おお怖っ。


初夏の風煙の行方けせらせら


煙草にちなんだお句がいっぱい、ありがとうございます。そして「けせらせら」がいいですね〜。初夏の風(るいさん)の吹き方次第で煙(東吾さん)はどうなることやら、怖いけど見てみたい、うひ。
(こでまり)
「けせらせら」と平仮名で書かれると不思議とお江戸風になりますね。事の成り行きを余裕で眺めている千姫さんの視線が感じられて面白いです。
(浅黄裏さん)
千姫さんの、煙草の三作も好きですね。「タスポ」のが一番私好みです(笑)
(すみれさん)



  あっちの管理人さんの五七五 

季刊になり時間的には今までよりずっと多くの時間を 費やせる筈なのに、やっぱり締め切りぎりぎりになってしまいました。実は5月25日にいくつか出来たのですが、もうちょっと推敲(推敲と いうのもおこがましいのですが)してから、なんて思っていたらあっという間に今日になってしまったという次第です。
夏風邪をひいてしまい早寝をしたのが運の尽き。「煙草屋小町」のアップを拝見するのがすっかり遅くなってしまいましたが、今一気に楽しんできました。みなさんのお句とおまけもたっぷりと相変らず濃ーい内容に土曜の朝から大満足です!
(あっちの管理人さんの談)

東吾はその時、嘉助からみると、えらく小むずかしそうな書物を読んでいたが、顔を上げ、嘉助をみて、その視線をるいへ移すと慌てたように
「ああ」
とだけ返事をした。
それで、勘のいい嘉助は、ひょっとすると若先生にあの煙草をくれたのは女ではないかと思ったものだ。
「煙草屋小町」より
東吾さんって何故か煙草を吸うイメージがあって、初代「かわせみ」でも煙管をポンポンとはたいていたシーンがありましたよね。
今は吸わないからと嘉助さんにあげた上等の煙草。「八丁堀の見る目嗅ぐ鼻」と言われた程の嘉助さんにかかっちゃあ東吾さんのちょっとした仕草一つでバレバレですよねぇ。


伊達じゃねぇ 煙草一つに年の功


ほんと、冒頭からの二、三ページでいろんなことに察しをつけていますよね。さすがって感じです。
(こでまり)



年上女房である。
今までは宿屋の女主人という立場もあって、黒っぽい、固い感じの着物を着て来たが、東吾からみると、華やかさや色気に欠けて面白くなかったのかも知れないと思った。
「煙草屋小町」より
るいさんの心配事ってまったく今の私たちと同じようなんですね。いつも地味に装っていて、でも呉服屋の番頭さんに言われた一言で姉さん女房はすっかり気になってしまった。
私なんぞは派手めな服だと服に負けちゃうし、着ていて自分でも落ち着かないので、結構地味な服?(笑) るいさんは地味に装っているつもりでも目に立つ美貌と新妻の色気 (o(^^o)(o^^o)(o^^)o キャアキャア♪で充分美しかったと 思われます・・・


嬉しくも恥ずかしくもあり花菖蒲


あはは、「キャアキャア♪」が受けました〜〜。そう言えば、地味に装っても目立っちゃうって、「持参嫁」の時にもありましたね。
(こでまり)
地味なつもりでも目立つ…。本当にそうですね。だからこそ新調の着物が映えすぎて(?)却って、るいさんを迷わせることになったのかもしれないと思いました。
(浅黄裏さん)
管理人さまのはいくも素敵ですが、コメントの顔文字がなんとも可愛いなぁ
(すみれさん)



お吉がお膳を運んで来た。
筍の炊き合せに、木の芽田楽、そして鰹の刺身。
「驚きましたな、かわせみは、もう鰹ですか」
「煙草屋小町」より
今日の源さんはほんと口運が良かったですね。ということで、そのままの句になりました(笑)


筍に木の芽田楽 初鰹





最後に東吾さん、源さんに言われたのをいいことに煙草も吸わないのにせっせと花屋で煙草を買って。嘉助さんにあげちゃえばるいさんにバレないとでも思っていたのでしょうか。お吉さんに見つかったのが運の尽き。 さてさてるいさんにどんなお灸を据えられたか気になりますねぇ。


花煙草妻のお灸に涙雨





  浅黄裏さんの五七五 

このお話を読み返して、一番気になったのが、煙草の行方です。嘉助さんの押入れにつみあがった大量の煙草の包み。そこへ東吾さんがまたまた新しい煙草の包みをせっせと補充していくわけですね。かわせみの面々は、みんな今回の事情は承知なわけですから、お吉さんにしてもおるいさんにしても本気で「こんなに煙草を買いこんで!!」とは怒らないと思うのです。でもそれも限度があるわけで、ワインのように古くてもおいしいとは思えない煙草をさて、どうしたのでしょうか。かわせみでも暇にまかせて話をしに帳場へ降りてくるお客もいるでしょうからそういうお客に「どうぞ」と勧めて消費してもいいですね。
競作ポイントは、煙草・初鰹・おるいさんの新しい着物・巡礼の旅でしょうか。 このうち、初鰹は詠めませんでした。う〜ん、残念。
(浅黄裏さんの談)

三百両に少々、手をつけたが、その後、自分の稼ぎで暮しが立つようになると、その分をだんだんに穴埋めして、三百両そっくりを壺に戻し、縁の下にかくして一切、手をつけないでいた。
「煙草屋小町」より
彦太郎の心情を思うと本当に哀れでなりません。すこしずつ壺の中に戻しておいたものは、お金ではありますが、見方を変えれば盗人になりかけた心の闇の部分でもあったと思えます。


皐月闇盗人の種を埋め戻す


彦太郎という人は苦労していたのに、埋め戻さずにはいられない性分だったのでしょうね。私に出来るかなあ。それを心の闇ととらえると、その心情も分かる気がしますが、よほどの決意がないとできないことですね。
(こでまり)
印象に残ったのが、浅黄裏さまの「戻しておいたものは、盗人になりかけた心の闇の部分」というコメント。ずしんと心に響きました。
(麦わらぼうしさん)
「埋め戻す」にも読みが深いな〜と感心させていただきました
(ぐりさん)



それから二日後、るいはまだ迷っていた。
派手すぎると思って日本橋の呉服屋まで注文の変更に行ったのに、番頭に説得されて、やはりそのまま仕立ててもらうことにしたのだが、気持がもう一つ落着かない。
「煙草屋小町」より
おるいさんの好みも持っている着物も呑み込んでいるはずの呉服屋の番頭さんの見立てですから、間違いがあろうはずはないと思いました。
おるいさんをすっくと立つ菖蒲に見立てたのではないでしょうか。


浅黄地に心映しの立ち菖蒲


コレ、ちょっと目からウロコって感じです。なるほど、番頭さんが力を入れるのには、そういう思いもあったのですね。
(こでまり)



罪を表に出さずにすんだ有難さとひとりだけで背負わなくてもよくなった安堵感の両方をもっての巡礼の旅なのかもしれません。


恩情と余花をそびらにたどる路





さて、勝手ながら妄想劇場の開幕です。
半月も前から逗留中の大阪の天満屋の番頭さんがこの話を聞きつけて(といっても彦太郎さんのことは抜きで)
「そういうことならわたくしどもで」
と言って、煙草の包みをまとめて引き取って行ったというのはどうでしょうか。
抜け目のない上方商人のことです。くだんの瓦版もしっかり増刷させて手にいれ、煙草ひと包みに瓦版一枚をつけて売り出します。

「花も煙草も寿命はたいそう短いものでございます。これは、かぎりの煙草と申しまして、一服すれば江戸は日本橋の、その名も花屋の煙草屋小町の顔がけむりの中に浮かぼうという煙草。遠く離れたお江戸の小町、一服ごとの一顰一笑でございます」

煙草を買った客たちが、朝の一服時には見えたが、今はいけない。どうやらひとりで喫むのがいいらしい、だの、いやいや、ひとりでなくてもいいが、かみさんがみている前では見えないものらしい、などとたいそうな評判をとったそうです。
こうしておおいに売れた煙草のおかげで、番頭さんは大番頭にとりたてられとか。
その後、くだんの瓦版をふところにして江戸へ来た客は、宿はかわせみ、煙草は花屋を長く贔屓にしたそうな。

お〜っ、妄想劇場、大歓迎です。煙草がどうなるのかなんて何にも気にならなかった私は、商売人としては成功できないということがよくよくわかりました。皆さんの心配にも、バッチリとこたえてくださってありがとうございます。
(こでまり)
浅黄裏さんの、立ち菖蒲をるいさんに見立てる呉服屋さんの目線といい、例の煙草の行方といい、素敵な妄想?に大拍手です。
(すみれさん)



  紫陽花さんの五七五 

締め切りすぎちゃった。すみません。
(紫陽花さんの談)

もっと若女房らしく、初々しい装いをしてもよい。そのほうが、東吾も満足してくれると考えて、迷いながらも、思い切って今まで着ないような浅黄色に菖蒲を描いた単衣を決めて来たのだが、今となってみると、いくらなんでも派手すぎたのではないかと心配になった。
「煙草屋小町」より


きみ思う心を映す浅黄色


るいさんのいろんな心の動きが丁寧に著されている今回のお話ですが、「浅黄色」を選んだ最初の理由はこれだったんだろうなあと素直に共感できたお句でした。
(こでまり)



神林東吾は煙草は吸わない。
格別、煙草が嫌いというのではなく、勧められて一服つけることもあるのだが、わざわざ買ってまで喫みたいという気はなくて、従って自分用の煙管も持っていない。
「煙草屋小町」より
オマケ!キセルっていうよりパイプみたい。
こだわらないようお願いします。

こだわりませんが、やっぱりパイプに見えます。いったいどこから手に入れたのかも気になります、こだわりませんが。
(こでまり)
紫陽花絵師、私も別にこだわりません!が、どこで手に入れたかは気になるなぁ(笑)
(あっちの管理人さん)
この煙管、夜店のパイプチョコレートに見えて仕方がないんです。成田祇園祭の夜店で、ってどうでしょうか。ヒロチャンさんの写真(S.ファロウ掲示板に貼られた)のお年寄り衆の信玄袋に入って祇園祭へ出かけたのではないかと。でもお茶に浸したら溶けちゃうし、とも悩みます。
(浅黄裏さん)
パイプの入手先…わたしも気になります(笑)
キセルっぽいものも描いてみましたが、どうもキセルに見えなくてパイプになってしまいました。描き直してみました。やっぱりキセルにみえません。どうみても“耳かき”です。
こでまりさんお忙しい中でのアップお疲れ様でした。明日の日曜日はゆっくりできそうですか。休めるときはパソコンもお体もお休みしてくださいね。チョコレート入りのお茶でも飲んで(不味そう・笑) また後でゆっくり拝見させていただきます。
(紫陽花さん)



  こでまりの五七五 

すっかりUPが遅くなってしまって、投句してくださった皆様には本当に申し訳ありませんでした。今年は母校の同窓会の幹事学年にあたっており、総会後の後始末や引継ぎがバッチリ今季に重なってしまいました。ロム組の皆様にも、お詫び申し上げます。
さて、煙草屋小町は面白いお話ですよね。事件は思いがけない展開(えっ、使ってなかったの)で、温情あるお裁きも気持ちよい終わり方でしたが、やっぱり男心にニヤリとしてしまいました。あと、るいさんの心の動きは、女性作家でなければ書けないだろうなあと思いました。
(こでまりの談)

「煙草を渡したのは女だろうが、こんな年寄りが吸っているは思わないだろう」という嘉助さんの自虐的な想像は、何度読んでも面白いです。同じ場面で姐さんとの「紫煙」つながりも光栄です!


短夜や紫煙の主を誰か知る





一枚の着物のことで、いつまでもくよくよしてはならないと思うそばから、折角、東吾が汗水流して働いた金で買えといってくれたものを、ろくに着られないような品物を買ってしまったのでは申しわけないと、心が沈んでやり切れない。
「煙草屋小町」より
るいさんの気持ちの揺れ、よくわかりますね。嬉しい、夫によく思われたい、嘉助さんたちには何と思われるだろうか……と、新妻のかわいい悩みは、まるでねじ花のようにくるりくるりとなかなか定まりません。でも新妻でなくなった私なら、浅黄色は自分で払って東吾さんからの分としてもう一枚買うかもね〜うひひ。


ねじ花や着物ひとつに幾たびも


るいさんの揺れて、戻って、また揺れてという気持ちが「ねじ花」によく現れている気がしました。この季語がとても生きていて、いいですね。
(浅黄裏さん)



「では、鬼のいない間に話をします」
源三郎が嬉しそうにいい、東吾がその友人に酌をした。
「源さんもよくいうぜ。人の女房をとっつかまえて、鬼とはさ」
「いや、手前が申したのは、お吉のことです。失言でした。あやまります」
「煙草屋小町」より
源さんの「鬼」発言に突っ込む東吾さんと、それを見事に(?)切り返す源さん。こういう会話も大好きです。


初鰹鬼の給仕で堪能し


源さんの「鬼発言」から出た「鬼の給仕」に爆受け!ぐれぐれもお吉さんにバレないように(笑)
(あっちの管理人さん)



いくら使ったのかわかりませんが、彦太郎は最初から盗む気がなかったのでしょうね。切羽詰った分だけ使い、その後はおはんが寝静まった頃合いをみて、一文、二文と少しずつ戻していったのでしょう。


文銭をそっと戻す夜蚊遣りの火





しんと聞いていた嘉助がいった。
「すると、お留守はおはんさんお一人で……」
「煙草屋小町」より
たしか男たちの中で、おはんちゃんに会っていないのは嘉助さんだけですよね。その嘉助さんが、いきなりおはんちゃんの一人暮らしを心配するなんて……。いつの間にか小町贔屓になっていたのですね。すみに置けないぞ。


夏灯し羽化登仙のまたひとり





  ぐりさんの五七五 

八丁堀の湯屋は東吾さんとるいさんが祝言をあげまだ2冊目よほど二人の仲は熱々かと思えば意外に落ち着いていて 二人のやり取りにも、ふいさんのやきもちにも落ち着きが感じられるような気がします
それにしてもおはんちゃんと吉之助さんのその後はどうなったのでしょうね 気になります 兄の彦太郎ももう行商はできないからどうするのでしょうね
アップありがとうございました 同窓会から引き続きでお疲れになったと思います 今回も読みどころたくさんありました、皆さんの視点楽しませていただきました
(ぐりさんの談)

このお話ではるいさんはずっと着物のことで悩んでいますね、でもこういう悩みよくわかります
私もよく(特に外出着など)買ったものの派手だったのではないかあっちのほうがよかったのではないかと 悩みます やっぱり新妻らしい思いでほほえましいですね(私は違いますけど)
その後いつ東吾さんにこの着物を着たところを見せたのでしょう 東吾さんは喜んだに決まっていますけど〜うふふ


浅黄色 単衣に迷う 妻の胸





「他人の恋路のとり持ちは、ぞっとしねえな」
へらず口を叩きながら、膳の上のものをあっという間に平げて、
「源さんの御用の筋で日本橋へ行って来る」
着流しに大小を落としざし、東吾はるいに声をかけ、威勢よく大川端をとび出した。
「煙草屋小町」より
颯爽と出かけていく東吾さんやはり人の世話好きなのですね


夏めいて 颯爽と行く 夫の背(せな)


「夏めいて」で、東吾さんの勢いのある感じもよく伝わってきますね。
(こでまり)
どんな時でも東吾さんの背中は爽やかですね。年下で、男前で、人に好かれて、頼りにされて…、そんな夫(つま)だからこそるいさんもあの新しい着物を仕立てようと思ったわけです。そういったるいさんにとっての東吾さんを改めて思い出させてくれるお句ですね。
(浅黄裏さん)



1分は2万円(一両8万円)
まあご祝儀相場というのは今でもありますが  


一分でも べらんめいだい 初かつお





「その金は、改めて十三年前、盗賊一味が覚音寺にかくしておいたものとして、奉行所へ戻されました」
更に神林通之進の情あるはからいによって彦太郎と五郎三とのかかわり合いは全く表沙汰にならなかった。
「煙草屋小町」より
怪我をした彦太郎に情ある捌き
流石に兄上、源さんですね


兄上の 情ある裁き 風薫る


通之進さんのはからい、さすがですね。本にも「全く表沙汰にならなかった」とあったので、いずれおはんちゃんは無事に嫁いだのではないでしょうか。また彦太郎も巡礼に行けるくらいだから、きっとまた行商を再開したと思います。
(こでまり)



「いけませんよ。嘉助さんの部屋へ勝手に入っては……」
「かまいませんよ。今、お風呂をたきつけてますから……」
遠慮なく、お吉があけた嘉助の押入れに、ずらりと積んであるのは、煙草、煙草、煙草。
「煙草屋小町」より
いつもながら面倒見のよい東吾さん いそいそと通うのはやはり可愛い娘さんだからか? 今回一番いい思いをしているのは嘉助さんですね


老鶯や 高級たばこ 至福どき





  はなはなさんの五七五 

やっとのことでひねり出せました。言い訳になってしまうのですが、この春からずっといろいろと振り回されて息をつくヒマがありません…。ぺース配分を間違えました。時間をうまく使うようにしなければ、と反省しきりです。
アップ、お疲れ様でした。宗匠の優しいお言葉に甘えて、とんでもなく〆切を超過してしまい、案の定トリでした(涙) ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。まだざっとしか拝見しておらず、それでも皆様深い読みとさまざまな表現で、目移りしてしまいます。私の視点なんてまだまだ浅いわ〜〜(汗)
(はなはなさんの談)

「かわせみ」の商売で、年に何枚かの着物を買うくらいの余裕はあるのだが、そこは女心で、惚れた亭主が着物でもといってくれたのがなにより嬉しい。
早速、呉服屋へ出かけたところ、出入りの番頭が勧めてくれたのが今までよりも派手な色合いのものであった。
「煙草屋小町」より
今回はどこが、ということではなくて、登場人物に詠みました。
まずはおるいさん。彼女は長い付き合いであっても恥じらいを持っているのですねぇ。だからいつまでも気が若いのかしら。


恥じらいを映して菖蒲濃き薄き





「へっへっへ、まあ、煙草屋小町はともかく、煙草が旨えって評判なんでね。御用の帰りに寄ってみたら、うまい具合にすいてたんでね」
「ついでに、とっくり、おはんちゃんの顔も拝んで来なすったってことか」
「へっへっへ」
「煙草屋小町」より
おはんはしっかりもので可憐で、可愛らしい女なのでしょうね。煙草屋小町と呼ばれても、のぼせていない感じがいいですね。
煙草は、ちょうど今頃、ピンクの星のような花を咲かせますが、葉を太らせるために、咲くとすぐに切り落とされるのだそうです。可憐なたばこの花のようなおはんについつい親身になってしまう東吾さんや老いの好き心をめずらしくあからさまにする長助と嘉助さんが面白かったです。


男気と好心呼ぶたばこ花


ココの会話も面白いですね。話に夢中になってたからうっかりしたけど、るいさんは絶対に聞いていたと思うなあ。
煙草の花って、そういう花なんですか。初めて知りました。見てみたいですね。
(こでまり)



彦太郎は、生活のためとはいえ、盗賊たちの隠し金をくすねたことがいつかばれると思っていたのでしょうね。それにしても、悪いときに五郎八に見つかってしまいましたね。
梅の実が知らない間に葉陰で大きく育っているように、ここへ来て全てのカタをつけなくてはならなくなったのがなんだか可哀想な気がします。一度もはっきり登場しないで、ただ淡々と描かれる彦太郎がとても気になりました。


みつしりと実梅のごとく時充つる


実梅ですが、最近同じように感じたことがあったんですよ。いつも見かける梅の木があるんですが、ふと気がついたら、実が本当にみっしりと成っていてビックリしました。葉とそっくり同じ色なので見逃していたんでしょう。わざと静かに成長していたみたいに思えて、しばらく見つめてしまいました。
(こでまり)



その不自由な足で、彦太郎は四国三十三カ所へ巡礼の旅に出た。
「神林様のお情に対して、彦太郎は彦太郎なりに、自分に出来る罪の清め方を考えたものでございましょう」
「煙草屋小町」より
源三郎が言うように、彦太郎の心根が哀れですね。足が不自由になっても、西国巡礼に出かけるという彦太郎は、自分が居ない間に、おはんは名主の息子と幸せになってくれれば良いと願っているように思います。彦太郎は西国巡礼から戻ってきて、どんな人生を送るのか、気になりますね。


梅雨あがる笈もいつしか背に添うて


私は、余花を背中に、と詠んだのですが、はなはなさんは笈を詠まれたのですね。巡礼の旅では背に負うものを自然に詠むことになるのかもしれないとシンクロを嬉しく思いました。
(浅黄裏さん)