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  忠三郎転生
新装版「鬼の面」より  (平岩弓枝著:文芸春秋刊)
ある日外に出ると「雪が降る前の空気」の匂いを感じ、冬の記憶が一気に甦る……秋の終わりにはそんな一日があります。晴れていると思ったら、急にすごい荒れ模様。そんな変わりやすい天気を繰り返しながら、気がつけば冬を迎えていました。

秋季の「残月」には、たくさんのご参加をいただき、ありがとうございました。今回は登場した女性たちの誰かに偏ることなく、句や感想が寄せられたのが特徴的でしたね。オマケや現場検証も含めて、目からウロコの連続でした。

さて、今季は「忠三郎転生」を選びました。
名作揃いですからどのお話でもいいようなものですが、私なりのルールがあって(あったのね?)、あまり猟奇的なものは避けるようにしています。
このお話は猟奇的というわけではないのですが、何せ長い!たぶん2ヶ月分の長さですね。なので、以前のような月刊では大変だろうと思って省いていた作品です。でも今は季刊ですから、ゆっくり取り組んでも大丈夫ですね。
東吾さんが雨の中、「或る意識を持った」人物とすれ違う冒頭から、源右衛門さんの名言が出る終盤まで、詠みどころイッパイです。

さあ、今季はどんな五七五になりましたでしょう。
(平成二十二年冬)

なぜか最近、時間の使い方が下手になってしまったのか(前からか)
いつも時間に追われてしまって……。
忠三郎転生はかわせみの中でも節目の大作なので何とか…と
思ったのですが、どうにも時間が取れませんでした。
出せないことのメールまで遅れてしまって本当にごめんなさい。
今年は季刊になったにも関わらず半分と情けないです。
来年こそはもう少し頑張りますので見捨てないでくださいまし。
(茜雲さん)
あわわわわっ、大変です。
大切な管理人さんのお作品が抜けている…、新年早々大失敗です。
本当に申し訳ありません。(息が止まりそう)
明日にはUPしなおさせていただきますので、お許しください。
本当にごめんなさい。
(こでまり)
UP漏れについては私もざっと見て「あれ?」と思ったのですが、
明日の楽しみもあると思うと却って嬉しいような(管理人さんごめんなさいね)
さてもう一度行ってこようっと。
(たまこさん)
宗匠、アップ作業お疲れ様でした!早速拝見して
「あれ、私のがない!」とまず思ったのがメール送ったかなぁと
送ったつもりで送ってなかった?と焦り、
それからいや確かに送ったけど、PCを変えてメーラーも変えたから
メアドが違ってた?とか滝汗(笑) でも届いていて良かったです!
宗匠、別に急ぎませんので皆さんとご一緒させてもらえれば嬉しいです♪
これからもう一度ゆっくり楽しんで来ま〜す。
(あっちの管理人さん)
管理人さん、昨日は本当に申しわけありませんでした。
家に帰って皆さんの句を思い出したりしていたら、
意識の奥底からふっと管理人さんのことが浮かんできて、
本当にビックリしました。
しかも、よくよく見たら、はなはなさんのも抜けてるし(!)、
たまこさん、お知らせありがとうございました。
幸い(?)はなはなさんは外遊中、さっそく併せて再UPさせていただきましたので、
どうぞお楽しみくださいね。
(こでまり)



  浅黄裏さんの五七五 

因縁の忠三郎の再登場あり、七重さんの縁組あり、宗太郎さんのお家の事情についての新情報ありと盛りだくさんのお話ですね。また、雪夜へのつなぎでもあり、これだけのボリュームになるのもむべなるかなという感じです。
長くても冗舌でなくとっても読みごたえがあって、好きです。このお話を読むとこれ一遍では済まなくなって、つながるあの話とその話と…というふうに止まらなくなるのが玉にきずかもしれません。
我々は送ってしまえばそれで終わりで、しかもまだかまだかと勝手な期待感とともに待ち構えているだけですが、こでまり様には各コメント(私は実はこれがとっても楽しみ♪)やレイアウトのご苦労があるはず…。年末年始の忙しさは、大変なものだったと思います。本当にありがとうございました。
今季も皆様のお句あり、現場検証あり、彼らの姿あり、で楽しめますね。今季の競作ポイントは詠みたくても詠めなかったところなので、皆様のお句を拝見して、ひとりフムフム、なるほど、ウンウンと頷き、ため息をついています。
(浅黄裏さんの談)

あれだけの悪事を重ねてもまだ足りないというのは、一体なんなんでしょうね。もう悪事にしか生きる価値を見いだせなくなっているのか。
逆に毎日ご飯を食べるのと同じくらいに慣れてしまったのか。


短日やなおもひだるく慾を喰む





「お待たせしました。東吾さん」
東吾は太刀を取って立ち上った。
筒茶碗は、手つかずの儘、そこに残された。
「忠三郎転生」より
はっきりとは書かれていませんが、やはり毒入りだったのでしょうか。
茶碗に毒を入れるその危険さを忠三郎は思わなかったのでしょうか。茶を供したのは自分だと丸わかりになってしまうのに。


茶の花の白さ遠目に筒茶碗


東吾さんのことは行きがけの駄賃(?)みたいなもので、すぐ宗二郎さんにも毒をもったところを見ても、こういう行動力というか強引なところが、これまではたまたま通ってきていたんでしょうね。茶の花の白さが、筒茶碗の不気味さを引き立てているように感じました。
(こでまり)
筒茶碗の句では、まったく気付いてないことだったので浅黄裏さんの読みの深さに感心したし、コメントを読んで発見、添えられた物語で納得、って一粒で二度楽しめるキャラメルの悦びでしたわ!
(余談だけど今回の物語を読んでいる時、浅黄裏さんの「たぎる湯は濃茶に点てず炉を塞ぐ」が何度も思い出されましたわー、七重の思いを詠んだ名句だよね!)
(千姫さん)



医者の世界に潜り込んで悪事を働いていた頃までは、極悪であってもただの悪党という気がしました。
しかし、毒を使って…というあたりからはもう狂気の世界に入ってしまったのだと思います。


霜柱かくて末期は泥の水


浅黄裏さまの忠三郎関連の五七五には、お見事!!の声しか 出てきません。
(すみれさん)



「では、やむを得んな。このままでは、七重が婆になる」
改めて、天野宗伯へ両手を突いた。
「ふつつかな娘ではござるが、なにとぞ、末長く……」
源右衛門の声がうるんで、東吾も鼻の奥が熱くなった。
「忠三郎転生」より
夏に出会って冬に縁組なんて、本当にご縁があってこそのことだと思います。
長い長い時がかかってもちゃんと添えるるいさんと東吾さんのような二人もいますね。そうして、こういう早い展開の二人もいるというのは、やはり神様のなせるわざなのでしょうか。
月下老人が袋と帳面を持って江戸の街中をふらりふらりと歩いているのかもしれません。


縁むすぶ神おわします冬初め


出雲の国から戻って早々のお仕事、って感じですね。
(こでまり)



「がっかりなさっておいでなのでしょう」
「なにが……」
「七重様が、お嫁にいらして……」
「馬鹿……宗太郎が養子にくるんだ」
「忠三郎転生」より
七重さんがお嫁にいくことになってさびしくはないかと問うるいさん。
るいさんから問いかけたことに改めて気づいてちょっと驚きました。昔のるいさんなら出来なかったことですね。


さびしさも日なたに出して冬麗


そうですね。東吾さんから聞いたのではすぐそんな気持になれなかったかもしれませんが、七重さんから直接聞いて、るいさんも本当に喜んでいいんだと思えたんでしょうね。
(こでまり)



  麦わらぼうしさんの五七五 

どうにか出来ましたが、みんな冗談系(いつもの事…)それも宗太郎さんに関する句ばかり…(^_^;)
かわせみを代表するお話のひとつですから、きっと名作がたくさん集まるでしょうね。自分のは置いといて、UPが楽しみです。今季もお世話になりますm(__)m
年末年始のお忙しい中、本当にありがとうございました。浅黄裏さまに同じく、こでまりさまの名コメントを楽しみにしている一人です♪やはり、かわせみに欠かせないお話だけあって力作ぞろいですね。冒頭の、雨の中のすれ違いシーンの大競作が特に印象に残りました。また、じっくり拝見してきます。
(麦わらぼうしさんの談)

「そのことで、一度、東吾さんに相談したいと思っていたのです」
「いいとも、いつでも相談に乗ってやる」
「忠三郎転生」より
兵馬の時もそうでしたけど、今回といい、本当に東吾さんて、他人の恋心に疎いですよね。
そんな東吾さんがなにげなく引き合わせた二人が結ばれるのが面白いと思いました。


ニブチンが知らずに結ぶ赤い糸


「ニブチン」って言い方がとっても面白いし、この時の東吾さんにもピッタリです♪
(こでまり)



「あれは、いったい、なんだったんだ」
宗太郎が又、大きな息をついて、前方を眺めた。
「忠三郎転生」より
いろんな怪我や病気を迅速に的確に治してきた宗太郎さんですが、自分の恋となるとそうはいかないようで。


医者とても書けぬは恋の処方箋





忠三郎のせいで大勢の命が奪われたり大怪我をしたり、こんな事を思うのは不謹慎ですが、宗太郎さんと七重さんにとって今回の事件が結ばれるきっかけにはなりましたよね。
彼らも危険な目にあっているし、0.001パーセントぐらいはこう思ってもバチはあたりませんよね?


ちょっとだけアイツに感謝、なあ、七重


事件が宗太郎さんの後押しをしたのは、間違いなさそうですね。何もなかったらもっと後だったかもしれないし、そうすると麻太郎くんも居なかったかもしれない……、なんていろいろ思ってしまいました。
(こでまり)



  すみれさんの五七五 

オールスター登場のお話で、どこに注目してよいのやら迷いました。かわせみのお話の大きな転換期になる長編でもあり、それぞれのキャラクターが巧みに描かれていて、本当に読み応えがありますね。
忠三郎が黒子のような雰囲気で、かわせみの皆に関わっている構成が、たまりません。忠三郎は、名前を次々と変えて悪事を働いて、才能を善い方に活かせなかった可哀想な人生でした。
雪除け作業での腰や腕の痛さも忘れて拝見しました♪積雪は40cm位で、昔に比べれば少ないのですが、こちらの体力がドーンと落ちてしまっているので、堪えます。
競作ポイントの皆様の見事さにただ感嘆しております。自分なりに精一杯詠みましたが、やはり皆様はもっともっと 上級者だなぁと改めて確認しました。でも、句作ポイントを共感できたので、満足です (^^ゞ
寒い日々の慰めに何度でも今季のお話を楽しめそうです♪
(すみれさんの談)

あいにくの吹き降りで、男達は傘を東吾のほうへやや傾けて雨を防いでいるので、その顔は、みえなかったのだが、すれ違った瞬間に東吾は一人の男が自分に或る意識をもったような気がした。
「忠三郎転生」より
まずは、冒頭から、東吾さんが、加賀の銘酒を運ぶ場面は、私的には外せません。
東吾さんは、歩きにくい雨道で、銘酒の香りに包まれていても、やはり、剣の達人…格好良いです。


時雨みち見えぬ刃(やいば)の行き交いて


「見えぬ刃」が、この時の一瞬の緊張感をとても上手に表現していると思いました。
(こでまり)



七重さんと東吾さんが二人で会話する場面は、前にもお題になったことがありますね。
二人の行く末を知ってから読むと、重みのある場面ではありますが、七重さんが未来へ向かって歩みだす心情が切なくも可愛いです。


初恋を見送る先よ冬紅葉


このお句もとても好きです。初恋の終わりとその先の明るい未来がとても上手に詠まれていますね。
(こでまり)



「多少は、そういった気持もないわけではありませんが、正直に申すと、好きな相手が一人娘なのです」
「ほう」
「出来れば、養子に行きたいと思っています」
「忠三郎転生」より
お相手の宗太郎さんの気持ちは、東吾さん以外の人には、とっくにお見通しでしたね。


冬萌えや歩いてゆこう二人して





「畝様も、昨日、お床上げをなさったとか」
「あいつは馬鹿だよ。七針も縫われたっていうのに、けろりとしやがって……」
「忠三郎転生」より
源三郎さん、今回は探索から捕り物まで奮闘しているのに、手傷を負ってしまい、いつもながら、派手な場面は東吾さんの独壇場になってしまいますね。
でも、源さんの地道な務めぶりがあってこそ、事件は解決していくのですから…


町守る七針の傷冬北斗


お、新しい「源さん句」ですな。姐さんがさぞかし喜んでいることでしょう。
(こでまり)
すみれさん「冬北斗」の御句、しっかり出番待ちリストに入れさせていただきました!同じ寒い季節でも「初春」の源さん句は「女難剣難」に多かったのですが、「冬」のがあまりなかったので嬉しいです!
(たまこさん)



  たまこさんの五七五 

「かわせみ」全ストーリーの中でも転換点となる重要なお話で、緊迫感も一番ですよね。「髭の無い顔」を見破った藤吉さんの大手柄も嬉しいです。長助や仙五郎に比べると出番の少ない藤吉親分ですが、大事な所で活躍していたんですね。明治になっても元気でいるでしょうか。
偶然ですが、5句とも、明治編には登場しない人ばかりの句になってしまいました・・・(合掌)
さっそく拝見しました〜〜 年末年始のお忙しい中、その上雪かきなども大変だったでしょうに有り難うございます!!本当に力作ぞろいですね♪
冒頭のすれ違いシーンは大競作ポイントになっていますね。ここも考えたのですが結局出来ずじまいで参入かなわず残念でしたが、続く競作ポイント「時雨に見送る七重さん」は多数の方々とつながれて嬉しいです。門前捕りシーンもそれぞれ個性を生かした御作で楽しいですね!
(たまこさんの談)

雨の中を大股に遠ざかって行く東吾の後姿が、或る人になんとなく似ているのを、七重は甘酸っぱい思いで眺めていた。
「忠三郎転生」より
「江戸の子守唄」での七重ちゃんの切ない気持は晩春、宗太郎さんが現われて心境の変化は時雨、そして祝言は大雪と、作者はうまくそれぞれの心模様の背景を考えているなぁと思います。
「村時雨」って「降ったり止んだりする時雨」のことなんですね〜 物知らずの私、「村時雨」は村に降る時雨で、それに対して「町時雨」というのがあるんだと思いこんでいました(滝汗)


村時雨こころ去る影来たる影


きゃ〜、私も「村に降る時雨」かと思っていたので、勉強になりました!時雨には「降ったかと思うとすぐに止み、また降りだす雨」の意味がありますよね。調べてみたら、「村時雨」はその中でも、少し降り方の強い雨のようですね。ありがとうございました。
(こでまり)



水戸家の石揚場のあたりから、音もなく人の姿が浮び上って来た。一人、三人、四人、七人。
「何者だ」
源三郎が誰何したとたんに、夜気を切り裂くような声と共に白刃がひらめいた。
「忠三郎転生」より
映像ではこのシーンは沢村源さんでしたね。
沢村さんも勿論かっこよかったですが、山口源さんで見てみたかったなぁ。でも原作がそこまで行ってなかったから無理だったのよね〜


凍てし夜の闇に十手の火花散る





あの夜、水戸家下屋敷の門前に神林通之進と麻生源右衛門がかけつけたのは、畝源三郎の命によって藤吉が知らせに走ったからだという。たまたま、麻生源右衛門は娘の身を案じて、神林家へ来ていた。三河以来の譜代の旗本が、槍をおっ取って通之進と共に水戸家へやって来た。
「忠三郎転生」より
「三河・・・」を入れると季語が入りきらなくて悩んでいたところ、「鷹」が冬の季語とわかって早速。


鷹老いて三河の士魂衰えず

東雲(しののめ)に槍の穂先もいよよ冴ゆ


ちょうど新刊「花世の立春」を読んだばかりなので、5句とも明治編には登場しない人のお句というのが、グッときます。中でもこのお句は麻生様の気骨を見事に詠まれていますね。また「東雲」の方からは、町の人たちの歓声(まるで泉岳寺へ向う赤穂浪士を迎えた時のような)まで聞えてくるようです。
(こでまり)



本文は「夕陽が大川にさしていた」で庭の描写はないのですが、「冬萌」や「冬芽」って好きな季語なので使ってみました。


伸びしつつ目をやる庭に冬芽出づ


宗太郎さんと七重さんの様子を見極め、るいさんの居間で芯からほっとしている東吾さんの心情が、「冬芽」の明るさに表れているように感じました。
(こでまり)



【おたま姐さんのブラたまこ】 今季の締め切りは年末の慌しい時期に重なったにもかかわらず、いつにも増して充実度UPの現場検証を届けていただきました!
どうぞこちらからご覧下さい。
たまこ姐さんの「ブラたまこ」、今回も楽しく拝見しました。某局の番組の企画なんて、たまこ姐さんとほとんど一緒ですものね。
(すみれさん)
「ブラたまこ」、本当に番組になりそうですよね。今季も楽しませていただきました!
(コシキブさん)
「ブラたまこ」の命名、恐縮至極です♪今回の江戸川沿いの「胸突坂」も、以前に「ブラタモリ」でかなり詳しく紹介していましたけど、さすがNHKのカメラは上手に撮るものだなぁと思いました。知っている場所が映像になるといつも思うのですが、テレビに写ると、実際よりも大規模に見えませんか?逆によく映像で見る有名な場所を訪れると、案外こじんまりしてるのね、っていう事も多いかな。
土佐の観光ガイドさんが言ってましたが、そういう「こじんまり」な「日本三大ガッカリ名所」(私じゃなくガイドさんが言ったんですよ)第一が土佐高知のはりまや橋、第二が札幌の時計台、第三が長崎のオランダ坂なんですって(笑) それでも昔から名所とうたわれる所というのは、規模だけじゃなく、何らかの歴史や伝説、雰囲気などを通じて人々の思いの伝わる所なんでしょうね。
(たまこさん)
「ブラたまこ」良いですね。これからは、これでいきましょうか。
「日本三大○○」もウケました。もし加えていただけるなら彦根の「埋木舎(うもれぎのや)」(←井伊直弼が青年時代にくすぶっていた所)を入れて「四大○○」でもいいかもしれないと思いました。どう○○なのかは、説明が難しく、実際に見ていただかないといけないのですが。
(浅黄裏さん)



  コシキブさんの五七五 

すっかり掲示板にもはいくりんぐにもご無沙汰してしまい、敷居が高くなってしまいました(-_-;) 不肖の弟子をお許しくださいませ。例年にも増して忙しい一年でしたが、最後の締めくくりはなんとしてもこちらに参加したい!との一念?で投句させていただきます。宜しくお願いいたします!
「忠三郎転生」はかわせみの代表作のひとつですよね。名場面も詠みどころも多く、ポイントを絞るのに苦労しました。自分の中では、土蔵の上と下で、緊迫した東吾と飄々とした宗太郎先生の掛け合いの場面がお気に入りです。
見てきました!年末年始のご多忙のなか、UP作業ごくろうさまでした。いつも ありがとうございます!
やはり皆様うまいなあ。読むのも詠むのも深くて、お句の前のコメ ントで既に胸にジーンとくるものがあります。じっくりと一つづつ味わいたいと思ってます。
(コシキブさんの談)

雨の中でのすれ違い、「ある意識」に振り向く東吾。忠三郎は今大路家の人々をすっかり騙して仮の身分を手に入れてはいても、正体を見破られる危機感はいつも持っていたんでしょうね。殺気を感じ取る東吾も凄いです。


寒の雨 傘かしげ行く 蜥蜴の眼


この場面は今回の競作ポイントの一つでした。(私も参加♪) 二人の一瞬の気迫や、東吾さんを詠んだものまでいろいろです。このお句は忠三郎のひんやりとするような感じがよく出ていますね。
(こでまり)



子供の時から、ひたすら好きだった、その人を思い切る時期が、自分に今、来ているのを七重は感じている。そのことを、いつ、東吾に、どんな形で告げたらよいのか。
「忠三郎転生」より
七重さんの胸中の吐露の場面。昔からの読者にとってはなんとなく「良かった」と思ってしまう所です。
「片時雨」とは空の一方で雨が降り一方では晴れている事だそうです。長年の恋に別れを告げる淋しさと勇気の両方を感じている七重さんにぴったりな言葉だと思いました。


片時雨 遠ざかる背を 見つめつつ


このお句も心にしみます。「片時雨」の意味を知れば、なおのことです。
(こでまり)



東吾は自分の前方に立っている相手をみた。
月光が眉目秀麗といってよい相手の顔と鼻下の髭を照らし出している。
「岡崎半次郎……貴様、江嶋屋の忠三郎だな」
「忠三郎転生」より
闇夜の斬り合い、月光に浮かび出た岡崎半次郎こと忠三郎の顔…。ここも印象的な場面です。躊躇無く斬ろうとする賊たち、立ち向かう東吾と源三郎の緊迫感を表現してみました。


裂帛の 月凍らせてなお 響きけり





宗太郎さんと七重さんがとらわれていた間の描写はありませんが、まあ、火の気もないような土蔵に二人で閉じこめられていた訳ですから…。身を寄せて色々と話もしたのでしょう。宗太郎さんにとっては美味しい状況だったかも。


凍雲に 怯えるこころ 君溶かす





酒に酔ったふりをして、東吾は麻生家を抜け出した。
足は当然のように「かわせみ」へ向く。
  (略)
縁側に出て、大きく、のびをした東吾の肩へるいがそっと半纏を着せかけた。
「忠三郎転生」より
どんな危ない捕物に関わっても、どんな悪党と戦っても、東吾はこの部屋でるいと過ごす為に帰ってくる。これこそ「かわせみ」の基本ですよね。
緊迫感の多かったお話を、最後に二人の軽口が締めくくる所も好きです。


半天と 熱燗の居間に 帰還せり


何気ないいつもの風景のようでありながら、やはりこの時の二人には、心の深いところで通い合う安堵感があるように思いますね。
(こでまり)



  あっちの管理人さんの五七五 

一年が年々早く感じられ、ついこの間はいくりんぐが季刊になったように思うのに、年が明けたと思ったらあれよあれよという間にもう師走。今年最後のお題を無事提出して何とか新しい年を迎えられそうです。
さて、今回のお題「忠三郎転生」は読み応え十分、事件あり、門前捕りあり、最後は嫁取り、いや聟とりありの濃い内容。はてさて皆さんがどこをポイントに詠まれるのか楽しみです!
宗匠、お忙しいところ早速の再アップありがとうございました。無事皆さんとご一緒出来て良かったです!
さすが長いお話なので競作ポイントも多かったですね。すみれさんの「ブラたまこ」に座布団5枚!(笑)
(あっちの管理人さんの談)

子供の頃から一途に好きだった七重さんの初恋もるいさんという強敵の前には実ることがなかったですが、七重さんを一途に思ってくれる素敵な人が待っていましたね。


遠ざかる傘に降りつぐ氷雨かな

似た人のおもかげ行きて春待たる


「東吾さんに似た面影」ではなく、「東吾さんが或る人に似ている」というお句から、七重さんの心の変化がしっとりと伝わってきますね。初恋からの卒業も、宗太郎さんの思いを受け入れようとしていることも(←宗太郎さんは伝わっていないと思ってますけど)、自然な流れの中で七重さん自身が決めようとしているのが、読者にとっても嬉しいことですね。
(こでまり)



門の外では大捕物になった。
捕方に下知をしている神林通之進の横には槍をかまえた麻生源右衛門がいる。
東吾はまっしぐらに、岡崎半次郎を追った。
  (略)
颯爽とひきあげて行く一行のむこうの空を夜明けの光がうすく染め出していた。
「忠三郎転生」より
間違いなく映像化して欲しい話のトップ10に入ると思いますが、その中でも特に華やかなのが門前捕りのシーン。そういえば「幽霊殺し」でも麻生の殿様、兄上が華々しく登場していましたね。「かわせみ」では2度目の「門前捕り」ここは競作ポイントの1つになりそう!


茜さす門前捕りの大向こう





「東吾を、麻生家へくれる気はないのか」
通之進がさわやかに笑った。
「東吾は神林家の跡つぎでございます故、まことに申しわけございませんが、永久に御辞退させて頂きます」
  (略)
七重が、ちらと東吾をみ、その視線を天野宗太郎へむけ直して、手を支えた。
「何分、よろしゅうお願い申し上げます」
宗太郎が慌てたようにお辞儀をした。
「手前こそ、何分、よろしく……」
「忠三郎転生」より
とうとう麻生の殿様も東吾さんをあきらめて、やっと七重さんにも素晴らしい 伴侶が決まりましたね。人柄よし、家柄よし、なにより七重さんに惚れてるし!東吾さんも心のどこかに七重さんにすまないという気持ちもあったでしょうから、これで一安心。


嬉しさも寂しさもあり春隣


このお句は、麻生様とも、東吾さんのことともとることができますね。どちらも嬉しいことには変わりないでしょうが、それぞれに違った寂しさもあるような……。特に麻生様には娘が巣立つのとともに、神林家の先代の頃からの長い思い入れもあり、寂しさもひとしおといったところかと思いますが、やはり嬉しさが勝る感じが「春隣」に表れていますね。
(こでまり)



  千姫さんの五七五 

季刊になっても、なかなか推敲というには程遠い五七五ばかりです。今回、少しだけ進歩といえばすべてに季語を入れられた事でしょうか。(巻羽織はもちろん「御宿かわせみ」の季語ですよねっ。)
丁寧なコメントも超嬉しいし、添えられた物語からの抜粋はいつも感激と感心をしてます。自分は詠むことに必死で「ここから何か、浮かんで来いぃぃ〜」と念じながら何度も読んでいるので覚えているんだけれど、正にそこがドンピシャ、ピタッと充てられているのは、こでまりさん自身が、私の五七五を理解してくれているんだなーって、とっても嬉しいです!!。私だけでなく、投稿者みんながそれぞれ、同じ思いなんでしょうね。
(千姫さんの談)

「御当家が三千両もの黄金を貯えてお出でだったと聞かれたら、上様にはさぞかしお驚き遊ばすことでしょうな」
芳明がぐっとつまったのを尻目に二人はさっさと茶室を出て、裏庭から屋敷の外へ抜けた。
「東吾さんも度胸がいいですな。手前はどきりとしましたが……」
「忠三郎転生」より
読みながら東吾の言葉に「源さんは冷や汗たらぁ〜り、ひゆたらり」って言葉遊びの感覚で浮かんできたものを、巻羽織句にしました!東吾の胸のすくような皮肉に拍手喝采!!でも源さんには・・・。


背のひびに冷や汗たらり巻羽織


はい、「巻羽織」は姐さんの大好物の季語ですね。また「ひゆたらり」も耳に残る言葉でした。
「どきりとした」と言ってたけど、源さんもけっこう嬉しそうでしたね。
(こでまり)



まったく、宗太郎は東吾の侍としての立場や苦労も知らないで、恋している人なのか性格なのか。


人質の時間(とき)も嬉しや年の暮れ





「そいつが……その……神林の殿様がお出ましになったんで……」
「兄上が……」
「本所の麻生の殿様もです。御家来衆をおつれになって……捕方がずらりと並んで、そりゃもう、えらいさわぎで……」
「忠三郎転生」より
私が御宿かわせみで好きな場面が多々あるのですが、通之進が東吾の窮地を救う為、捕物に出張って下知をする・・・秀目華麗で凛々しい姿を思い浮かべて、うっとりしてしまいます。


顔見世や華とお株は門前に





「麻生様では、天野様を御養子にお決めなさったそうでございますね」
そっと、るいがいった。
「昨日、七重様が嘉助をお見舞旁、お出で下さって、そのお話をなさいましたの」
「あいつと宗太郎なら似合いさ。いい夫婦が出来上る」
「忠三郎転生」より
やっと七重にも春が来ましたね!七重にはつらい片思いだったけれど、おるいさんの為にも嬉しいです。


古暦初恋もまた終わりけり


本当に良かったですよね。先日新刊を読んだばかりなので、七重さんのように、千春ちゃんにも暦が変るような日が早く来てほしいと思いました。
(こでまり)



  紫陽花さんの五七五 

こでまりさんアップお疲れ様でした。かなりの量でまだ全部読んでないけどまたぼつぼつよませていただきます。「源三郎転生!」なかなかいけます(笑)誰に転生したんでしょうね〜
(紫陽花さんの談)

広い庭のむこうが畑になっていた。ところどころに茶の木が垣根のように畑と畑をへだてている。
  (略)
「畑仕事をする者が弁当をつかうところですが、まあ、おかけ下さい」
宗二郎が勧め、宗太郎をみた。
「ここのほうが、他人の耳を気にせず、よろしいのではありませんか」
「忠三郎転生」より
“立ち聞きしている”のほうがいいかなぁと思ったんですが、なんとなくこっちにしました。


茶の花が聞き耳立ててる薬草園


「茶の花」なので「聞き耳」の方がいいですね。ちょっとミステリアスな感じもします。
(こでまり)



結び文のように折ってあったのを、使が帳場へ出て来た宗太郎に手渡した。
  (略)
「この文は……」
「天野様が、さりげなく土間へ落して行かれたらしく、お見送りして戻って、嘉助がみつけました」
「忠三郎転生」より
オマケいろいろと使いまわしています。深く詮索しないでください(笑)

わはは、わざとなんだから、落としたことをバラしたらだめだよね。でも必死で拾おうとしている様子に、人の良さ(?)が表れていますね。
今季もありがとうございます〜。
(こでまり)
長いお話なので、紫陽花さんの彼ら登場場面もどこかなぁと思っていたのですが、例によって意表をつかれました。
(たまこさん)
彼らは今回は「結び文」の場面に出没してたんですね。「これなんだろ?」 と言ってるみたいでカワイイ!
(コシキブさん)



  はなはなさんの五七五 

最近はなかなか俳句のアタマになれなくて、つくづく自分の至らなさに反省するばかりです。せっかくはいくりんぐで機会を与えていただいているのだから、精進あるのみ!…と掛け声ばかりなんですが(汗)
「忠三郎転生」は本当に盛りだくさんで、どこを詠むか迷うところですよね。半次郎こと忠三郎を追い詰めていく、東吾さんたちの活躍はもとより、珍しく言葉少なな宗太郎さん、可憐な決心を固めた七重さんの心の動きにも惹かれます。
(はなはなさんの談)

七重さんは、東吾をついに思い切ろうとしています。それでも東吾の存在は七重さんにとって大事なものに変わりはないのでしょう。夏を越えて再び開く炉にも火は燃えていて、七重の決心を励ましてくれているのではないでしょうか。


炉をひらく熾火はあかく燃えてをり





番町の天野宗伯の屋敷を訪ねてみると、宗太郎は例によって縁側へ薬草を並べて、しきりに乾き具合などをみていたが、東吾の顔をみると、眩しそうな目をして、
「なんです、今日は……」
といった。
「忠三郎転生」より
どうやら、東吾は宗太郎の気持ちには気づいていないようです。また、宗太郎も東吾の本心はどこにあるか、最後のラインで確信がもてないのか、七重の気持ちを知りながら決着をつけない東吾を恨めしく思っているか。番町の天野屋敷で東吾を眩しそうに迎えた宗太郎が、なんだかかわいそうに思えます。


小春日の眩しさ友は微笑めり


いつも言いたいことをいっている宗太郎さんと比べると、この時は何を思っていたのか、気になるところです。このお句は、宗太郎さんを詠んでいるようにも、東吾さんを詠んでいるようにも思え、それぞれで感じ方も違いますね。
(こでまり)



敵の手に落ちているのは、天野宗太郎と七重であった。
  (略)
夜は更けて、人通りは全くなかった。
遠くで犬の吠え声がする。
長助のおいて行った提灯は、源三郎が持った。
月も星もない空が大川へ続いている。
「忠三郎転生」より
寒い江戸の町を東吾と源さん、長助はどんどん半次郎たちに迫っていきます。日本橋から本郷、小日向台、冬の日は早く暮れて番町、大川端から深川へと今から考えてもすごい距離を移動していますよね。特に深川から水戸藩下屋敷へは、斬り合いや嘉助や源さんの怪我等もあって、冷え込んだ冬の夜の捕物の緊迫した空気が、伝わってきます。


そくそくと夜は冷えをり悪を追い


冬の夜は暮れるのも早く、その分心急かされる思いがします。そこに人質となった二人を思う気持が重なって、心配は加速度を増しているのに、夜はどこまでも長く深い……。灯りの少なさや徒歩の移動であることを想像すると、緊迫感もいっそう感じられますね。
(こでまり)



神林通之進が、彼らにむかって丁重に頭を下げた。
「夜中、おさわがせ申してまことに恐縮至極に存ずる。手前は南町奉行所与力、神林通之進、たまたま、御当家門前にて盗賊を追いつめ、無事、召捕りました。御留守居役様に、よしなにお伝え下され」
「忠三郎転生」より
冬の明け方は特に冷え込むもの。星が冴えて、空気は冷たく、それだけに通之進や源右衛門たちの勇壮な様子は、すばらしかったでしょうね。きっと通之進の声がぴんと張り詰めて、捕物の完了を告げたことでしょう。 私のご贔屓・通之進兄上の名場面上位のこのシーンは、詠まずにいられませんね。


星冴えて声清冽に時告ぐる


この場面で「声」に注目するのは、やはりお能好きのはなはなさんらしいなあと思います。相手が御三家であっても、その場を圧するような声だったんでしょうね。
(こでまり)
「片時雨」や「寒九の水」などの知らなかった季語も勉強になりましたし、門前捕りシーンを舞台のイメージで捉えた句が多かったのも素敵でした。中でも宗匠がおっしゃっているように、はなはなさんが「声」に注目されていたのが目からウロコでした。
(たまこさん)



麻生家でのめでたい席を抜け出してくる東吾には、自分で決着をつけずに、七重任せにしてるいへの思いを貫いた「もて男」の虫のよさ(ちょっと辛口です)が見えていますが、ここは、おるいさんに免じてよしとしましょう。
おだやかな冬の日暮れ、おるいさんも心の荷を下ろすことができたのですね。


ほのぼのと冬陽は落ちぬ寄り添うて


はなはなさんの「ほのぼのと冬陽は落ちぬ寄り添うて」がとても印象的で、夕暮を前に安堵の思いで寄り添う二人の情景が目に浮かぶようです。
(あっちの管理人さん)



あの雨の日だったと思い、東吾は全身に鳥肌が立ったような気がした。
すれ違った時、異様な殺気のようなものを感じとった相手に違いない。
東吾が足袋はだしになって疾風のように走り出した。
「忠三郎転生」より
ところで、平成版で忠三郎を演じたのは京本政樹さんでした。冷たい美貌がよく役に似合っていましたが、もう少し彼に活躍して欲しかったなぁ〜と思うのはファン心理でしょうか。忠三郎だけではない、久之丞、半次郎などと名を変えてまで、なぜ矢倉市太郎は胸奥の怒りをここまで拡大させていったのでしょう。


凍て果てて滅びへ走る闇深く


はいっ、それはファン心理です!だって二度も出てきてるんだから、いいじゃない〜。(なんてね♪)
(こでまり)



  ぐりさんの五七五 

このお話は何と言っても東吾さんとるいさんと七重さんの三角関係に終止符がうたれためでたいお話ですね 七重さんの気持ちおお捕り物など読みどころ満載ですが
この後のお話で祝言をあげ目出たいと喜んだのですが〜 皆様がどう詠まれるのでしょうとても楽しみです
UPは明日か(別に意味はないのですが)と思っていて寝る前におとづれたら UPされていたので早速拝見して今日ゆっくり拝見しました 今回は共作ポイントに参加できうれしいです皆様のそれぞれの思いれを楽しませていただきました,片時雨、村時雨の知らない季語でした。
実は今回東京へ行ってきたのですが翌日浜御殿から浅草まで墨田川クルーズに乗る企画もあったのですが予定が変わってしまってすごく残念だったです ちょうど今回のおはなしの永代橋から佐賀町水戸様石揚げ場のあたりを通ったのですね いつかのってみたいと思います
(ぐりさんの談)

神林東吾が雨の中を、本所の一ツ目之橋の袂まで来た時、前方から二人伴れの男が来た。
  (略)
反射的にふりむいてみたのだが、二人の男はそれまでと全く変りのない歩きっぷりで、高下駄に泥はねを上げながら両国橋の方角へ去って行く。
「忠三郎転生」より
三人のすれ違うところ東吾さんは顔を見ていないのですが相手方からは見えたのですね
ある種のというのはやはり殺気?


傘の影 殺気感じる 氷雨かな





「こいつは、尾けて来たのを知られたんだと気がつきまして、慌てて逃げ出したんですが、万年橋のところで追いつかれまして……いけねえと大川へとび込んだんですが、その時、背中をやられたようで……」
いったん、水にもぐり、川の流れに従って川下まで行って暫く杭につかまって様子をみ、それから岸へ這い上った。
「忠三郎転生」より
嘉助さんあとをつけていったのはやはりただらなぬものを感じたからなのでしょうね


一太刀を あびて寒九の 水つかる


「あびて」が太刀にも水にもかかっているように感じられますが、特に「寒九の水」が、この時の危険な感じをよく伝えていると思いました。
(こでまり)



半刻ばかりで、そそくさと帰って行く東吾を、七重はいつもと同じように見送った。
東吾が畝源三郎と会う場所は、おそらく「かわせみ」だろうと見当がつく。そのことをもう、嫉ましいと思う気持は越えていた。
「忠三郎転生」より
七重さん「妬ましい」と思う気持ちわ超えていたというところが苦しさの後を思わせて 思わずジンとします
でも宗太郎さんの姿がしっかりと心に住みついていたのですね


炉を開き 道も開くと 思い秘す


コメントにある「苦しさの後」という言葉が、心に迫ってきます。七重さんの恋が実って、本当に良かったですね。
(こでまり)



源さんは今回も大けがをして危ない所でした
いつも損な役回りで最後も凶弾に倒れ でも考えてみればいつも危険にさらされていたのですよね
東吾さんの言葉には言い尽くせないいたわりがありますね


あのバカが 愛溢れてる 言い回し





すみれさまはオニオコゼと名言なさいました それをお借りするのも恐れ多いかと ここはどうしても詠んでみたいところでした


鮟鱇と 団さまでばる 門前捕り


麻生様と兄上は、やっぱり人気がありますね。「鮟鱇」か〜、オコゼといい勝負をしているかも〜。
(こでまり)



  こでまりの五七五 

年末年始にかこつけてすっかりUPが遅くなりましたが、季刊となってからようやく季節を一巡りすることができました。これもご参加くださる皆様、ロムしてくださる皆様のおかげです。いつも本当にありがとうございます。
さて「忠三郎転生」、やはり面白いお話でしたね。服毒事件や誘拐事件、嘉助さん、源さんの負傷などにハラハラさせられますが、最後はあっけなく捕まってしまったのが逆にリアルな感じがしました。またその中で、七重さんの心が宗太郎さんに向っていく様子は、何度読んでも心にしみてきます。また今回は皆さんの思いいれも深いようで、ほとんどの皆さんが4句5句と詠んでくださって、読み応えがありました。
折りしも、今度の月曜日の午前中には、「忠三郎転生」の再放送があるそうで、皆さんのお句を思い起こしながら楽しみたいと思います。
ぎゃはは〜やってしまった!新年早々再UPという大失態をしてしまった私ですが、実は知る人ぞ知る大ボケをもう1つしていたのです。(←告白) 拙宅のトップページのUPのお知らせで、「忠三郎転生」と表示するべきところを、何を勘違いしたのか「源三郎転生」と表示。まったく気づかずにいたら、さっそくたまこさんからお知らせメールを頂きました。あまりに受ける(?)間違いに、知らせるのがもったいないと思ったそうですが、お知らせいただいたのでさっそく&こっそりと訂正。そして何食わぬ顔で昨日再UPをしたのにぃ〜〜。 先ほどメールチェックをしていたら、今度はコシキブさんからメールが。そこに何と「『毎月の五七五』の表のところが「忠三郎転生」ではなく「源三郎転生」になっていますので、一応お知らせしておきますね。もうどなたかからご連絡があったかもしれませんね。ちょっと嬉しい間違いです(^_^)」と、書かれているではありませんかぁぁ。ううっ、私って、私って・・・。
これはもう単なる間違いというよりは、源さんファンのあの人とかかの人とかの強い願いに操られたとしか思えないっ(←責任転嫁) たまこさん、コシキブさん、お知らせありがとうございました。
(こでまりの談)
「源三郎転生」初春から目出度い(?)ミスプリを見つけて喜んでしまったのですが、「UPしました」の所以外にも、表もそうなっていたんですね。これは確かに宗匠のおっしゃるとおり何かの力が働いたとしか思えない♪そう聞いたら、「転生ということは、いったい源さんは誰に転生したのか?」という考えが頭に張り付いて止まらなくなってしまいました(笑)
たぶん皆様もしばしばご利用と思われるWEB百科事典Wikipediaですが、各年ごとの項目というのもありまして、その年の主な出来事のほか、その年に生まれた人々・死去した人々のリストものっています。
明治編によれば源さんの命日が慶応四年六月十五日、この慶応4年=1868の項をWikiで見ると、なんと「坂の上の雲」の秋山真之も広瀬武夫もこの年生まれなんですよね!おぉ〜っと思いましたが、よく見ると秋山さんは3月、広瀬さんは5月生まれで、まだ源さんは存命中でありました。(もっとも広瀬さんは「麻生家襲撃事件」の2日後に生まれているので、ひょっとしたら源右衛門さんか小太郎くんの転生ってこともあり得る)
慶応4年は9月で明治に替ってしまいますが、横山大観・徳冨蘆花もこの年です。う〜ん横山大観、ちょっと雰囲気的に源さんに通じるものがあるか? 徳冨蘆花も、蘆花公園駅がよく利用する電車の沿線で我が家からも遠くないこともあって親近感があります。いや〜宗匠のおかげで、いい夢、いやいい妄想させていただきました♪
(たまこさん)
「源三郎転生!」なかなかいけます(笑)誰に転生したんでしょうね〜たまこさんはいろいろ考えていますねぇ。さすがたまこさんです。
(紫陽花さん)
たまこさんの妄想、本当に興味深いです。今をときめく秋山さんや広瀬さんが生まれた年に、源さんが亡くなったというのも興味深い発見ですね。私も年表をじーっと見てしまいました。8月生まれの原さんという方は、養子に行った先のお父さんが善三郎さん、自分の次男が良三郎さんと三郎つながり!ちょっと気になりました♪
(こでまり)



東吾さんが顔を憶えていなかった忠三郎ですが、あちらはしっかりと憶えていたようですね。雨に煙る中、しかも傘の下から相手を見極め、瞬間に湧き上がる殺気をあっという間に沈める胆力。この男の不気味さを表す場面だと思いました。


一瞬に眠らす狂気時雨傘





「弟の宗二郎様とおっしゃる方が、この近くに用事があったついでにと、お寄り下さったのですけれど……」
語尾を、ふっと口ごもって、七重は茶釜の前へすわって茶の仕度をはじめた。
「忠三郎転生」より
七重さん+炉+お茶と揃えば、忘れられないのが「たぎる湯は濃茶に点てず炉を塞ぐ」(浅黄裏さん作@藍染川)の名句です。宗太郎さんを思う気持ちは、東吾さんの時のたぎらせるような思いとは違い、薬を煎じるように、時間をかけて火加減を見つめるような、そんな気持ちのように感じました。


消さぬようたぎらせぬよう炉火守る


以前の拙句までも出していただき、晴れがましい気持ちです♪
(浅黄裏さん)
お手前の場面でやはり浅黄裏さんの名句をそれとなく(はっきり思い出せなくてごめんなさい)思い出しておりました
(ぐりさん)



「あきれた奴だな。肝腎かなめの相手の気持もわからずに養子に行きたいとは、いささか乱暴ではないか」
つい、東吾は宗太郎を眺めて破顔した。宗太郎のほうは肩で大きな息をついている。
「忠三郎転生」より
宗太郎さんはここで二度、大きな息をついていますね。本当にいつもの宗太郎さんとも思えない、屈託した姿です。彼は七重さんの東吾さんに対する気持ちに気づいていたのか。知っていたとして、何が言いたかったのか。知らなかったなら、何を言おうとしたのか、いろいろ想像が膨らみます。


肩でつく息二つ三つ冬木立





「急げ……」
七重の手を宗太郎がひっぱって、東吾は二人に畑のほうの道を教え、自分はしんがりについて、追手がないかを確かめながら走った。
「忠三郎転生」より
捕われてから一晩も経っていないので、おそらくこの時初めて、七重さんは宗太郎さんに手を握られたのでしょうね。宗太郎さんは門に向って必死だったろうと思うけど、七重さんはこの瞬間のことをちゃんと憶えているんじゃないかなあと思いました。


君の手にあずけし吾(あ)の手冬の月





るいさんによれば、前日に七重さんが「かわせみ」で祝言の話をしているわけなので、事件の後、とんとん拍子に両家で話が進んだんでしょうね。でも両家の父親が初めて会ったと思われるこの日の神林兄弟は、まるでキャスターと解説者のように、宗太郎さんの心情を披露して、大切な話が進むように仕向けているようで、何度読んでも楽しくなります。


冬日和狂言回しする兄弟