掲示板のご常連の真名さんは、奥州は仙台で元気な現代っ子の高校生を相手に、今日も教鞭をとっておられます。



真名先生の古文講座T




S.ファロウの人気コーナー「はなはな歳時記・紫陽花花画集」

このH15年6月のお句に、ゆいさんから質問が寄せられました。
『「夏は来ぬ」と「夏来る」にお分けなさったのは、やはり意図があって…?それとも私の深読み??』というもの。
またその話の流れの中で、E/Fさんからも次のような質問が寄せられました。
『映画「風と共に去りぬ」題名で議論が。「風と共に去ったって意味じゃないの?」「え?風と一緒にこの場に居ろってー意味でしょ?」ワタシは後者だと思うのですが…。いかがでしょ? 』
この「ぬ」の難問に真名先生が、スッキリとお答えを出して下さいました。

ええと、「風と共に去りぬ」ですが、古典の試験によく出題される「ぬ」の識別の解説をする時によく使う例文なんです。 …ということで、高校生の授業を思い出してみてください。
「ぬ」 ・打消の助動詞「ず」の連体形
・完了の助動詞「ぬ」の終止形
《識別法》
(1) 「ぬ」の上が未然形の時は打消の「ず」、連用形の時は完了の「ぬ」
例えば
花咲かぬ時 「咲か」は四段活用「咲く」の未然形なので → 打消。
花咲きぬ 「咲き」は四段活用「咲く」の連用形なので → 完了。
(2) (1)でも見分けがつかない時(上一段活用、上二段活用、下一段活用、下二段活用がそれに当たる)
「ぬ」の下に来る言葉を見る。
  「ぬ」の下に名詞がくれば → 打消の「ぬ」
  「ぬ」で言い切れば → 完了の「ぬ」
ただし、「ぬ」で言い切っても、上に係助詞の「ぞ」「なむ」「や」「か」が来ている時は打消の「ぬ」になる。
例えば
京には見えぬ鳥なれば → 「ぬ」の次に名詞が来ているので、打消の「ぬ」
夏は来ぬ → 「ぬ」で言い切り、係助詞もないので、完了の「ぬ」

ということを念頭に「風と共に去りぬ」を見てみます。
すると「ぬ」の前の「去り」は、四段活用「去る」の連用形であることが分かります。
また、この文の中には係助詞もありません。そこで、この場合の「ぬ」は完了の「ぬ」だということになります。
直訳すれば「風と共に去ってしまった」になるでしょうか。原題のGone with the Wind なんて正に完了形だなあと思います。