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 浦島の妙薬
「横浜慕情」より  (平岩弓枝著:文芸春秋刊)
先月は「虫の音」にご参加くださいまして、ありがとうございました。また、ご覧下さいました皆様も、ありがとうございました。
自宅からのUPに手間取っている間に、春霞さんから「感想」と称してステキなお人形画像が届き、おかげ様でとても華やかなページになりました。いつもお世話になっている姐さんの現場検証の姿と、彼らを描く紫陽花さんをうつしたお人形もあり、管理人としても本当に嬉しく思いました。ありがとうございました。

さて、今月は「浦島の妙薬」を選びました。

私は「おはぎ」(ぼた餅?あんころ餅?)の出てくるお話として記憶していたのですが、ご本家の「私が見つけた御宿かわせみ−10」を拝見して、かの有名な「よね饅頭」のお話だったとわかりました!(オイオイ) ここを見ると朝霧さんは浦島寺(現在は慶雲寺)にもお出かけになってたみたいですね〜。(って、姐さんを挑発しているのではありませんです)
そしてもちろん、「甘味」ばかりのお話ではありませんのでね、念のため。

さあ、今月はどんな五七五になりましたでしょう。
(平成二十年十月)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
毎日横に横浜慕情を開いておいていたのですが、
やはり週末の奴が一段落するまでは落ち着かず
詠みきれませんでした。
今月でかたがつきますので来月こそは頑張りたいと思います。
(茜雲さん)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 コシキブさんの五七五 

このお話は、冒頭から登場する浦島屋太郎兵衛が私には甘いもの好きの好人物のように思えたのですが、あっけなく死んでしまうし実は女衒商売してたり私利私欲で弟を困らせていたりと、ちょっと意外な展開が印象に残っていました。東吾を中心に宗太郎、お吉、長助、二人の子供たちという顔ぶれでの遠出が楽しいですね。
(UP後に)
豪華なランチ?が競作ポイントだったんですか〜。確かにお昼とは思えないほどのお献立でしたねえ。
(コシキブさんの談)

3ページに渡る?東吾とお吉の浦島伝説談義の場面が面白いですね。お吉が真剣に聞いてくれるので東吾も中途半端に話がやめられなくなってしまった、という雰囲気がいつものこの二人らしくて笑いを誘います。
   
伝説の由来語りて飯を食い
   




「わかった。用心棒か」
「うちの奥方が申すのですよ。東吾さんにでもついて行ってもらえるのなら安心だが、そうでもないと夜も眠れないくらい心配だと」
「おきゃあがれ。どこの世界に人にものを頼むのに、女房ののろけを聞かす奴がいる」
「浦島の妙薬」より
花世との約束に便乗してちゃっかり東吾を自分の用心棒にする宗太郎先生。名医また策士なり、なんちゃって。
   
新蕎麦をすする親友策士なり
   




いい年をして、本当に困り者で、と、るいは眉をひそめたが、子供の頃からの忠義者のお吉を喜ばせてやりたいというるいの本心は東吾にもすぐわかった。
  (略)
「あなたからおっしゃって下さいまし。私が申しますと遠慮をするんです」
「いいとも、呼んで来いよ」
「浦島の妙薬」より
お吉を旅に加えるにあたっての夫婦の気遣いが優しいですね〜。普段は女主人としてお吉をたしなめる事も多いるいさんですが、こういう時は遠慮しないよう噛んで含めるように話して送りだしてあげるんですよね。
   
気配りも似たもの夫婦秋うらら
   

気配りある二人ですが、この後、揃って声を忍んで大笑いしたというのも楽しいところですね。
(こでまり)



源太郎も花世も、馬上で見た海沿いの風景を東吾の優しさとともにずっと覚えているんでしょうね。
   
爽籟と沖の景色を胸きざむ
   

「爽籟」がとても雰囲気を出していますね。この風景、二人は今も忘れられないでしょう。
(こでまり)



 麦わらぼうしさんの五七五 

いろいろ道中とか風情のある場面がいっぱいなのに、そのへんはまったく詠めず…あいかわらずサラリーマン川柳みたいな句ばっかりです。今月もよろしくお願いします。
(麦わらぼうしさんの談)

「昼飯がまだなのですよ。なにか、こう、あっさりしたものでいいですから……」
  (略)
居間に腰をすえた宗太郎の前に、とりあえず酒と、お凌ぎにと板前が松茸を焼き、穴子の鮨を小さく握って運んで来る。
「浦島の妙薬」より
おなじみの、誰が主人なんだか状態の宗太郎さん。仕事の忙しさは同じくらいかもしれないけど、こんな豪華で風情があって、いたれりつくせりのランチは現代サラリーマンには夢のようでしょうね。あげくのはてに調子のいいたのみごとまでするし(^。^)
   
社食にて宗さまランチ夢に見る
   
飯を食いのろけ聞かせてたのみごと
  

ここは本当に競作ポイントでしたよ。みんな「夢見て」いると思います。
(こでまり)
「宗様ランチ」(命名の妙に拍手!)
(たまこさん)
「宗様ランチ」私も受けました。たしかにちょっと時間をはずした宗太郎さんのお昼はいっつもご馳走ですね。おしのぎが松茸で、蕎麦の登場を待つってことは蕎麦の方が格上なんですね。
(浅黄裏さん)
松茸、そういえば昔は今みたいな高級食材じゃなかったですよね?シイタケやシメジ並みとはいわないけれど、マイタケクラスあたりだったのでは…?
私幼稚園のころは、けっこう食卓にのったような記憶があります。で、中学生くらいの時は、たま〜にお吸い物とかになって、祖母が「戦争前は松茸なんか、鍋いっぱいに盛ってすき焼きにしたのにねぇ」なんて言ってた(注:戦争=太平洋戦争。ベトナム戦争ではありません。もちろん応仁の乱でもありません。)
逆に、バナナなんかは、近所の八百屋では売ってなくて、フルーツ専門店やデパートで、うやうやしく包装してリボンをかけてもらうものでしたわ。
(たまこさん)
バナナは私の子供の頃には確かに高級品でしたね(注、戦後です)。8歳の時にはしかに罹ったのですが、近所の方からのお見舞いがバナナだったのを憶えています。普段は遠足のおやつでしかお目にかかれないので、子供心に嬉しくてワクワクしながら、布団の中からいつ食べていいかを母に聞いた記憶もあります。
かたやいちじくなどは、近所のほとんどの家の庭にあって、いただきものが重なって邪険にされていた気がします。いまや5個入り1パックで480円もして、驚かされます。
松茸は戦前は高級食材じゃなかったんですか。ということは「香り松茸、味しめじ」という言い方は戦後生まれなのでしょうか。あっ、でもこれは価格のことじゃないですよね。う〜ん、食べ物話題は止まりませんね♪
(浅黄裏さん)
きのこ話題に乗らせて下さい。松茸は、自分の小さい頃(当然、戦後ですよ)には、 当地の近在の山でもけっこう採れていましたよ。毎年、親戚からお裾分けに、何本か 戴いていた記憶があります。大人になる頃には、もう高値のキノコになっていました。 松露やしば茸なども、昔はよく食べたものですが、最近はとんと見かけません(残念) バナナは高級〜普通〜安い果物とされていたけれど、近頃はダイエット人気で品薄でしたね。 最近はまた店頭に戻ってきたから、もうブームは終わったのかな?
(すみれさん)
すみれさんの「松露・しば茸」ぜんぜんわからないです。マツタケはスーパーでみかけますが、半額シールが張ってあっても買いません(買えません)
(紫陽花さん)
紫陽花さん、しば茸の呼び方はあみ茸の方が全国区らしいです。熱すると黄色から赤紫色に変わるのが不思議なキノコです。松露は漢字のとおり、確か、ころんころんとした球体のキノコでした… (大分遠い記憶ですが)…キノコの味わいは子供には難しいものですね。
キノコの口当たり、歯ごたえ、香り、旨み、などは大人になって解るもの、人生の色々を経験するほどに解るものかもしれません@理屈っぽいのも歳の所為?
(すみれさん)



太郎兵衛がメタボでなかったら、こんなふうに急死する事もなかったかも、そして、道中あんころを食べなかったら次郎作も、俺が殺したのかも…などと思う事もなかったかも。事件じゃないのにあやうく事件になりそうになったのは、あんころとメタボのせいでした。
   
あんころとメタボがとんだ事件生む
   

すっかり「メタボ」という言葉も、浸透しましたね。
(こでまり)



 たまこさんの五七五 

江戸から川崎で一泊して横浜へ…現在の東海道新幹線を思うと、信じられない気がしますが、逆に考えれば、今では東京−大阪があまりにも近くなりすぎて、途中にせっかくいろいろ好い所があるのにスルーされてしまっているのではないかという気もしますよね。
今回はなんだか、単語を並べただけの五七五ばかりになってしまいましたm(__)m
(UP後に)
今月も面白いポイントがいっぱいで、皆さんの作品ももちろんながら、「目のつけどころ」というのが本当に興味深いですね。「妙薬」は、「浦島」とのつながりが私も今いちハッキリしないと思いましたが、やっぱり薬ってあれしか出てこないから、あんころ餅にまぶした薬が、事実としては単なる重曹だったのだけれど、人の心の中で、よく効く薬となったり、毒薬となったり、ということを「妙薬」と表しているのかなぁと思っていました。
(たまこさんの談)

「日本は島国だから、どこへ行っても、漁師が海で遭難して、ずっと後になって帰って来たなんて話はあるだろう。それが、みんな浦島太郎の話になっちまうのさ」
「そうしますと、太郎さんはお一人というわけには参りませんのですね」
「浦島の妙薬」より
日本各地に残る浦島伝説が、海難にあい生き残った人々の話であろうという東吾さんの解説は説得力がありますね。
私は大河ドラマ「篤姫」にも出演している、ジョン万次郎のことも連想してしまいました、「かわせみ」とは関係ないんですが…過酷な体験を逆利用して多くの知識と技術を身につけ、日本の近代化に貢献した功績は素晴らしいと思います。
   
わだつみの浦島太郎万次郎
   

やっと帰ってきても受け入れて貰えなかった人も多かったとか。万次郎さんは自身の努力もあったでしょうが、受け入れられて功績もあげられ、幸せな人でしたね。
(こでまり)
たまこさんの『人の心の中で、よく効く薬となったり、毒薬となったり、ということを「妙薬」と表している』説に「おぉ〜っ、なるほど」と思いました。平岩先生の題名のつけ方は不思議なことが多いのですが、そう考えると納得できます。
(浅黄裏さん)



完全に並べただけ…だって美味しそうなんだも〜ん。宗太郎先生はいつも、かわせみでご馳走が食べられて羨ましいなぁ。
   
穴子鮨焼き松茸に手打ち蕎麦
   




子供たちを交えた賑やかな旅の様子が楽しく、また長助親分とお吉さんが同行するまでのいきさつも微笑ましいです。明治編の展開を知ってから読むとこの明るさがいっそう懐かしく胸に迫ります。
   
潮風に手綱並べて秋の駒
   
秋晴れを映す白帆は沖はるか
   

潮風も沖の白帆も同じだったろうと思いますが、明治になって、人々の置かれた環境はすっかり変りましたね。新刊を読んだばかりなので、私も姐さんと同じように思いました。
(こでまり)



宗太郎が薬の入った袋を持って、せかせかと戻って来た。
「東吾さん、出かけますよ。今日は一日、歩き廻りますから、覚悟をして下さい」
「浦島の妙薬」より
新しく開かれた港町横浜の様子は、続編の「横浜慕情」に詳しく書かれていますが、新開発の活気に満ちた町の雰囲気は、きっと東吾さんもおおいに気に入り、宗太郎先生のお供をしながら、颯爽と闊歩していたのではないかと思います。
   
天高し用心棒行く新開地
   




【たまこさんの現場検証】 やっぱり今月も、お出かけくださったんですね〜。
寺の今昔が本当によくわかります。ありがとうございました。
それでは、現場検証をこちらからどうぞ。
たまこさんの現場検証がまた面白かったです。浦島伝説のいろいろも楽しく読ませていただきました。
(浅黄裏さん)
現場検証も今回はさらに充実度が増していて…次回が楽しみになってしまいます。
(緑茶桜さん)
たまこ姐さんの現場検証も写真満載、濃い内容でますます充実。浦島伝説も楽しく読ませてもらいました!
(あっちの管理人さん)
たまこさまの現場検証は、なんだか本職めいてきて、圧倒されますね〜ふたつの浦島寺探訪は特にすごい〜〜。足で稼いだ力作、臨場感が素晴らしいですね。紫陽花さまの絵本は、びっくりしました。動く動く〜♪2人で浦島のお話を勉強中とは…熱心ですね。きっとお吉さんにお供して行ったに違いない。
(はなはなさん)
たまこ様も現場検証ご苦労様でした!事前の下調べから、現地取材、原稿UPまで、毎月の労力は大変なものと思います。ありがとうございます!今月も知らなかったことが一杯でした。
(コシキブさん)
たまこ姐さんの現場検証、今回も地元へ出向いて、伝説の今昔、由来等など、沢山の写真付きで丁寧に解説していただき、とっても楽しめました。 いつもありがとうございます。
(すみれさん)



 紫陽花さんの五七五 

19日ですね。ぎりぎりです… 石山寺への吟行楽しかったようでこでまりさんの俳句に対する情熱(?・笑)が高まってしまったのではと心配(?)しています。
(紫陽花さんの談)

浦島太郎の話は、かちかち山や桃太郎、一寸法師のお伽噺と一緒に、この頃、千春が好んで東吾やるいに、
「また、おはなしをしてください」
とねだる一つであった。
「浦島の妙薬」より
オマケですが、先月の昆虫図鑑をそのまま使おうと思ったんですが、やってみるとどうも変。直して直しているうちに19日になってしまいました。俳句を作る余裕がなかったです。
ということで今月はオマケだけ。変なお話に変なオチになっています。中の文章が読みにくいかもしれません。直せるところは直しますので連絡ください。

私の熱より、紫陽花さんのイラスト熱の方がますますUPしていますね。今月も本当に素晴らしい(パチパチ)
(こでまり)
(シュミットさんがお知らせ前にUPを見つけてくださって)シュミットさんすごい!宗匠からのお知らせまだですよね?あっでも本当にUPされてる!!
拝見の途中ですが紫陽花さんの絵本、うちの孫用にも欲しいです(^^ゞ
(たまこさん)
私も欲しくなりました。ちゃんとめくれるし、絵も可愛いし、字も読めるし。続編希望♪
(浅黄裏さん)
見つけてくれてありがとうございます♪九時過ぎまで粘って、何とかUPして帰って来ました。お知らせをしなくてはと思ったのですが、後になってすみませんでした。今月のオマケ、すごいでしょ。毎月本当にビックリですね。
(こでまり)
パソコン開いたらUPされている、早速拝見しました
絵本いいですね家の孫にも欲しいです、彼らがちゃんとページをめくっているのも芸が細かいですね
帰ってからゆっくり拝見したいと思います
(ぐりさん)
夕べ遅くにささっと拝見したのですが、紫陽花様の絵本に見とれてしまいました。素晴らしいです。ほしいです♪
他のお話でも作っていただけたら…『岸和田の姫』などいかがでしょう?
(緑茶桜さん)
紫陽花絵師の絵本シリーズ←勝手にシリーズにしちゃいました(笑) 動きもすごーく丁寧だし、なんたって可愛いし、しばし見とれてしまいました。
(あっちの管理人さん)
絵本、素敵ですね。玉手箱の中身がサイコー♪
(麦わらぼうしさん)
絵本も可愛い!新・浦島太郎ですね。本当に別バージョンも見たいわ!
(コシキブさん)
出遅れ組みです〜もう眠たいのでざっと見ただけでまたゆっくり拝見します。
あの適当な絵本は本当にいい加減なお話です。「なぜ亀がおぼれるのか」という突込みがはいったら「陸に住む亀で泳げないから」とか「足(?)がつった」とか「甲羅が重かった」とか考えていたのですがそのような突込みがなくてホッとするやら残念やらです(笑)
(紫陽花さん)
突っ込もうと思ったんですよ、実は。「亀なのに溺れるの?」とか「溺れた次の日にもまた泳いで玉手箱を運ぶのね!?」とか。でも絵師さんのお作にケチをつけている気分になってやめたんです。
今回、絵師さんが突っ込みを予想していたということがわかったので、次回からは突っ込み解禁です♪(笑)
(浅黄裏さん)
浅黄裏さん!無理して突っ込みしてくれなくてもいいですぅ〜(笑) それから「おぼれた亀」ですが、翌日は陸(砂浜)を歩いて太郎さんちまで行ったようです。
の題名の「浅黄裏さん」が「浅黄浦さん」とでました。いままで普通に「裏」が出てたのに…
(紫陽花さん)
陸に住む亀は泳げないってことはないけれども、川や沼など、淡水の中しか泳いだことがないので、海の中では呼吸困難になるんです(実際、英語では、海の亀はタートル、淡水亀はトータスと区別します。「ウサギとカメ」は「ザ・ヘア・アンド・ザ・トータス」:うさぎもラビットは人間が飼うウサギや人里近くに住むウサギで野ウサギはhare) だけどこの亀はなんで海に入っていったんでしょうか?
竜宮城に用事でもあったのか、美人いや美亀の海ガメに恋でもしたのか?
(たまこさん)
亀とウサギの英語名のこと、知らなかったです。タートルとトータスは聞いたことがあるような気がしますが、ウサギのヘアとは初耳でした(どれだけ英語が出来ないかの証明になってしまいますが、汗;)。
(浅黄裏さん)
紫陽花絵師の絵本には、わあ〜♪と歓声をあげてしまいました。当家の孫、絵本を見られるにはちと幼いですが、もう少したったら是非見せたいです。
浅黄裏さまとのかけ合いは愉快ですね。亀だって溺れることもあるでしょうね サルも木から落ちるとか弘法も筆の誤りとかのことわざもあることだしね。
亀もバナナも英語名は色々あるのですね。私もタートルとか、トータスとかラビットまでしか知りませんでした。
(すみれさん)
たまこさんが亀に詳しくてびっくりです。
(紫陽花さん)



 浅黄裏さんの五七五 

「浦島の妙薬」…なにが妙薬なのかわからないまま再読を終えました。これも題名と内容との関連がはっきりとはわからないお話のひとつかもしれないですね。結果としては殺人事件は起こっておらず、「死因不明の変死事件」発生かと思われたけれども東吾さんと宗太郎さんの活躍で死因は解明された、ということになります。
ただ、「未必の故意」の方はどうなんでしょうね。「この白い粉をあんころ餅にまぶしたら結果として兄は死ぬかもしれない」と思って弟は実行(まぶす行為を)したわけです。その行為が原因で兄が亡くなったわけではないけれど弟がまるっきりの無罪放免でよかったのかどうか。悪人の兄と善人の弟という単純な色分けで済む話ではないと思うのですが、どうでしょうか。兄が弟に与えた粉はさほど効果はないものの一応薬ともいえるもので、土地欲しさに弟を殺そうとしたわけではないのです。かたや弟には「未必の故意」があったわけです。まあ、粉は弟が自分で用意したものではなく、兄が弟に与えたものですし、兄は自然死だったので、厳密には違うかもしれません。
商人になった弟を農民である兄が殺してしまうお話が他にもありましたね。どちらも農民側がいきなり逆上してしまうのは何故なのでしょう。意外と耐性がないというか、なによりコミュニケーション能力に問題があると思えます。絶対的に優位にある自然を相手にしていると交渉や調整といった能力が低くなってしまうのでしょうか。
句よりも長〜〜い「談」で、ごめんなさい。
句の方は苦吟だったけど談の方はすらすらと(?)出てきちゃって…。
(浅黄裏さんの談)

東海道は麻太郎にとって、生母と江戸へ向って来た道であった。
もう一息で江戸という品川御殿山で、母は京極藩の追っ手によって殺害された。母から密書を托されて必死で逃げた麻太郎には、おそらく忘れられない悲しい旅であろう。
「浦島の妙薬」より
麻太郎を連れていかないことにした東吾さんは優しいですね。そして、まわりの誰もが「麻太郎くんは?」とは言い出していないのもさすがですね。
   
かの街道(みち)をいゆけば今は花野道
   

私も東吾さんの優しさに一句献上したのですが、コメントの「誰も言い出さない」は、目からウロコでした。
(こでまり)



「俺は心配になったです。兄さんは親からの土地を全部売るつもりになっていて、俺がこればっかりは親父の遺言だで手放せねえ。そのことは庄屋様も浦島寺の和尚さんもみんな知っているで、その二人に相談してくれろといい張ったで、腹を立てていなすったです」
「お前が死ねば、親からの土地は太郎兵衛の好きに出来るわけだな」
「浦島の妙薬」より
兄は、声も態度も大きくて、ごり押しが得意で強欲だったかもしれないけれど弟殺しを企むほどのワルではなかったのです。弟は、一生ずっと心に闇を抱えていくのか、それとも吹っ切れたように明るく生きていくのか。個人的にはずっと抱えていてほしいと思います。
兄を殺したいほど憎むというのと実際に白い粉をあんころ餅にまぶす行為との間には差があるのではなく、違いがあると思うからです。
   
はらからに離(さか)る風吹く芒原
   
秋天の見透かす闇はここに在り
   

浅黄裏さまの「談」はとっても興味深かったです。「農民キレ」説にはうーむと考え込みましたが、普段身分制度の中で虐げられているだけに、キレるときは極端に走る、ということなのか、と思いました。
(はなはなさん)
(浅黄裏さんの談)に、なるほど〜です。「なにが妙薬なのかわからないまま」ま〜ったく気にも留めませんでした。
弟の心理もこんなに深く考えもしなかったし。やっぱり私は読みが甘いなぁと実感…
(麦わらぼうしさん)
浅黄裏さんの「未必の故意」というお言葉にドキリとしました。確かに悪対善という単純なお話ではなかったし、「自然死で良かった」と晴れ晴れとしていいのか、と私も思いました。コミュニケーション能力についてのご考察も鋭いですね。
(コシキブさん)
浅黄裏さんの「農民vs商人」の考察も目からウロコでした。「青江屋の若旦那」では、これが兄弟それぞれ適性を生かしあうということでハッピーエンドになったんですよね。「かわせみ」を始め平岩作品では、農民と職人にはほぼ暖かい目が注がれているのに対し、商人は、もちろん良く描かれているケースもありますが、あまりシンパシーの無いことが多いですね。典型的なのが小源と兄たちとの関係ですが、私がこっそり感じる所では、兄たちにも奉公の苦労はいろいろあっただろうし、父親が自分たちの母とは違う女に産ませた弟に対しては多少偏見があるのは仕方ないのでは〜という気もするんですけどね。
(たまこさん)
浅黄裏さまの弟への考察は鋭いですね。確かに粉をまぶしたという行為には恐ろしいものがあったのは事実ですから、扱いが少し甘いかも… 今ごろにやっと気付きました。
(すみれさん)



 こでまりの五七五 

今月は、浦島太郎のお話と松茸が競作ポイントでしたね〜。お吉さんや宗太郎さんといる時の東吾さんの会話は、本当に面白いですね。最後の方のあんころ餅のあたりも競作でしたが、コレって本当に自然死だったんでしょうか。何となく東吾さんと宗太郎さんとで一芝居うったんじゃないかと思ってしまいます。
(こでまりの談)

横浜への旅に誘おうと、いろんなところを身軽に廻る東吾さん。本当に人がいいですね。そんな東吾さんも素通りをした神林家。誘わなくても思いやりがイッパイです。
   
秋の旅誘わぬ理由(わけ)と誘ふ理由
   

『東吾さんと宗太郎さんとで一芝居うった』説もありかもしれないと思いました。たしかに探偵と法医学者が容疑者の事後共犯となれば(?)白い粉は妙薬として何にでもなれるし、事件そのものが存在しなかったことにできますね。
(浅黄裏さん)



花世は馬乗袴をつけている。
「道中、馬に乗るかも知れないし、このほうが歩きよいからときかないのですよ」
少年のような娘の姿を父親はむしろ、たのもしがっている。
「浦島の妙薬」より
馬乗袴を着けて行こうって、花世ちゃんはいつごろ思いついたんでしょうね。その時からすでに、ワクワクしていたでしょう。綺麗な着物や髪飾りじゃないところが、いかにも彼女らしいし、そんな娘を頼もしげに見ている宗太郎さんも、微笑ましいですね。
   
秋暁や馬乗袴着けし娘と
   




このところ夜はすっかり寒くなってきましたが、明日は浦島寺と思いながら眠りについたこの夜。寒さも、慣れない布団の感触も忘れ、夢の中は玉手箱のことでいっぱいだったんではないでしょうか。
   
夜寒など忘れて玉手箱の夢
   




「浦島寺でございましたら、うちの者にご案内をされます。まあまあ、お茶でも……」
如才なく縁側に座布団を並べる。
みたところ、百姓家としてはなかなか立派なもので広い土間には米つき道具まで揃っている。
「浦島の妙薬」より
兄とは正反対の弟一家。父母を支えて田畑を守り、この広い土間でも、幾夜、夜なべ仕事をしてきたのでしょう。また村や親戚との付き合い、小作の人との応対など、弟一家の実直な生き様を、この家や土間が、みんな知っている気がします。
   
夜なべして守りし家や槌の音
   




おいねが指したのは観音堂の左手で、いくつかの石塔や墓石が並ぶ中にある石の塚であった。苔むして古風な墓石は如何にもそれらしい。
お吉が江戸から持って来た線香に火をつけて、墓前に供え、みんなは神妙に合掌した。
「浦島の妙薬」より
ここを読んですぐ、平岩先生が先の大戦で亡くなった日本人の墓を訪ねて、ベトナムに行った時のエッセイを思い出しました。現地の人が今も手あつくまつってくれていたのに、線香一本持たずに来た自分を恥じたというような内容でした。お吉さんがわざわざ江戸から線香を持って来たという心根が、優しいですね。
   
浦島の塚に手向けの江戸の香
   




 シュミットさんの五七五 


あいつも俺も、相当のお節介のお人よしだと内心、苦笑しながら、東吾はおいてある重層をせっせとなめた。
さっきのあんころ餅が胸につかえたようで気分がよくない。
「浦島の妙薬」より
私も甘いものには強く、いつも食べているわけではないですが、でてきた時はお饅頭3個5個はすぐになくなります。
   
浦島屋 白い煙が白い粉 食べて死んだか 食べてぺろぺろ
   

3個5個ですか〜〜。それは浦島屋なみのつわものです!でも、どうぞお体にも気をつけて。
(こでまり)



 ぐりさんの五七五 

秋も深まり朝晩は寒くなってきましたこのお話の浦島太朗兵衛さん今で言う生活習慣病ですね現代だったらキット助かっていたでしょうね
(ぐりさんの談)

何時もお昼ごはんを食べはぐれてかわせみへ寄る宗太郎さん
ここへくれば何かにありつけるちゃんと分かっていましたよね
それにしても豪勢だ
   
おしのぎが 松茸穴子 ご馳走だ
   




枕許におそらく長兵衛が供えたのだろう、線香が燃え切っている。
茫然としている次郎作に、長兵衛が子細を話した。次郎作は余程、動転しているのだろう、それらを殆ど聞いていないようにみえる。
「浦島の妙薬」より
次郎作さん生きたこごちがしなかったでしょうね
でも重曹でよかったですね
悪い薬だったらどうなるのでしょう?
   
鶏皮(そぞろさむ) 兄のなきがら 目の前に
   

「鶏皮」→「鳥肌」→「寒い」っていうつながりの季語なのでしょうか。初めて知りました。寒さだけでない「鶏皮」なんでしょうね。
(ごてまり)



「そうか、源太郎も花世も乗馬の稽古をしているのだな」
品川を過ぎたら、乗せてやってもよい、と東吾がいい、二人の子供は大喜びをしている。
「浦島の妙薬」より
源太郎ちゃんと花世ちゃんは小さな時から何かにつけて事件にあったり楽しいお出かけだったり一緒に出かけることが多いですね
小さな二人はほほえましい
   
馬上行く 二人に降る陽 麗らかや
   

そう言えば、この二人の出かける先には、よく事件が待っていますね。麗らかな陽を浴びた馬乗袴姿の花世ちゃん、源ちゃんの目にはどううつったでしょう。
(こでまり)



海沿いの風景はなかなかのもので、お吉も長助も時折、小手をかざして沖の白帆を眺めたり、道ばたの社寺に手を合せたりと、すっかり遊山の気分になっている。
「浦島の妙薬」より
浦島太郎の玉手箱だけではないでしょうが 子供たちよりお吉さん長助親分張り切っていますね お吉さんは子供たちの世話という大義名分もあるし
   
天高し シニア張り切る 旅立ちか
   




秋のきはいのなか(東海道になるのですね)
景色もよくて〜
   
白波と 花野を行くよ 五人連れ
   

もしかして、六人では……。
(こでまり)



 すみれさんの五七五 

このお話に限って読むならば、賑やかで楽しい横浜への旅道中ですね。近頃の悪い癖で、つい未来からの目線で読んでしまいがちです。
それに、今月は秋の夜長を時代劇チャンネルで、初期のころ(若い村上東吾さんと沢口るいさん)の二人のお話に浸っているので、余計に切ない気分になります。やはり歳とったわ…(←自分の事です)
つぶやきは前座の役目を終えたので、上級者に代わってもらいます(苦笑)
(UP後に)
秋の味覚にごっくんと舌舐めずりしていたのは、自分だけじゃなかった♪それほど、「宗様ランチ」は美味しいのでしょうね。ランチのお代の支払いはどうなっていたのか、お話の中には出てきませんね。時々風邪薬とか滋養の漢方薬をもってきてくれるから、物々交換なのかもしれません♪
(すみれさんの談)

「要するに浦島さんの舟も気が遠くなるほど流されたんだ。運よくひっくりかえらずに、見知らぬ国へたどりついた。故郷に帰りたいと思ったところで、あんまり遠くまで来ちまったものだから、おいそれとは帰れない。  (略)  」
「浦島の妙薬」より
東吾さんがお吉さんに、浦島伝説の解説をして聞かせるくだりが、一番関心を引きました。
かわせみの本編も再開されますが、東吾さんの行方はどうなるのでしょう?
   
伝説となりし浦島また一人
   

この「一人」は東吾さんのことですね。私は今もやっぱり伝説を信じたままです。
(こでまり)



宗太郎が蕎麦をたぐりながらいった。
「決まりですね。東吾さん、明後日は早立ちにしましょう」
「浦島の妙薬」より
センチメンタルはここまでとして、宗太郎さんが横浜行きを誘う場面は、二人の会話テンポも良く、なによりとっても美味しそうです。蕎麦を待つお凌ぎが、焼き松茸とあなご寿司等々だなんて…豪華ですね。
私もかわせみのご馳走を食べてみたいなぁ。
   
松茸と蕎麦でまとまる旅の絵図
   




源太郎さん、花世さんには初めてのお泊り旅行、二人が張り切っている様子が楽しそうです。大人達ものんびりと旅を楽しんでいますね。
   
楽しみは気の合う仲間と旅すがら景色と美味に満たされる時(by お吉)
   

まあ、旅の楽しさを「独楽吟」で詠んでくださったんですね。ありがとうございます。若い頃は夫との二人の旅が気楽でいいと思っていましたが、最近は気の合う同士のグループ旅行も大好きです。
(こでまり)



「高いのなんの、なにしろ石段が一の鳥居までに三百段、それから先も急な坂道を何丁も登って行くような所だから……」
といわれて黙ってしまった。
「浦島の妙薬」より
浦島屋太郎兵衛さん、今で言うメタボリックシンドロームだったみたい…急で長い石段を昇り降りばかりしていれば、心臓に負担がかかって当たり前ですね。
   
石段は浄土へ続く寺の秋
   




 千姫さんの五七五 

先月は紫陽花絵師のいつもの挿絵にプラス春霞さんの写真ありで随分華やかな句会(苦界と出たぞぉ〜)になりましたね。ありがとう、春霞さん♪ ピー音のお陰で私も随分話題の人になれて、はなはなさんに近づけたかしら、とほくそ微笑んでいます。
…が、コメントも句も浅黄裏さんの情念系には敵わないなぁ、完敗だったなぁ、と思っています。恐るべし隠れ情念!(笑)
(千姫さんの談)

無論、源太郎の喜びようは並ではなく、
「先生、ありがとう存じます」
といったきり、あとの言葉が出て来ない。
  (略)
「そうだ。永代の元締めのところの、小文吾とも約束していたな」
「浦島の妙薬」より
子供についうっかり約束をしてあたふたする事がありますが、お吉も、長助も心の中では期待していたんですね。人の良い東吾があの人も、この人も、と声を掛けてしまった結果…
   
嬉し顔ついついついと秋の旅
   

「ついついつい」が、東吾さんの気分と行動をよく現わしていますね。
(こでまり)



品川までおよそ二里を一息に来て、ゆっくり昼飯を食い、休息した。二人の子供もお吉もあまり疲れた様子もない。
約束だからと、東吾が立場へ行って、馬をえらび、源太郎と花世が各々に乗った。
「浦島の妙薬」より
東海道から見える海の輝きを詠みたかったのですが、力及ばず…でした。
花世と源太郎、この調子のまま明治になるのですね。
   
馬の背で張り合っている夜明け前
   

馬に乗って行く子供たちも競作ポイントでしたが、お千さんの「夜明け前」に脱帽です。この子供たちが、新しい時代を作っていくという事まで織り込まれているのが素晴らしいですね。ご本家の「今日のお話」を読んで改めてそう思いました。
私は最初「秋駒の並び行く背に浜の風」としたのですが、「馬の背には子供が乗っているわけだから、風が来るのは背じゃなくて尻だなぁ」とか「背(尻?)に海からの風が来るってことは海沿いに行くのでなく、海から遠ざかっていく方向になってまずいだろうか」などとオバカなことを考えているうちに、何が焦点だかわからない句になってしまいました(>_<) お千さんや宗匠のように、乗っている子供たちのほうを詠むべきだったと気づいたが遅かった…
(たまこさん)



亡くなってみれば、勝手者には違いないけど直球しか知らない生き方で憎めない人です。
   
浦島の妙薬兄の思いやり
   




 緑茶桜(みちころんろん)さんの五七五 

今月のお題でございますが、すんなりとお話は読めるのですが、これを句にしようとすると難しくて…今月も欠席したほうがよいくらいのできですが、よろしくお願い致します。
(緑茶桜さんの談)

「子安村の近くというのは初耳だが、浦島伝説というのは、あっちこっちにあるらしいよ」
  (略)
「それじゃ、本当のお話で……」
「浦島の妙薬」より
   
傍らで お伽話を 耳にして 夢と現ウツツを 重ね合わせる
   

お吉さんに限らず、何度も聞いたり読んだりしていると、何が本当だか見分けがつかなくなることがありますね。明治編が始まって随分経つのに、私はよく「うねうね横丁」の明治編と混同してしまいます。
(こでまり)



「庄屋様から聞いたです。お前の兄貴は横浜で悪い仲間とつき合っている。いざとなると何をしでかすか知れんで、用心しろと……」
「あんたは、本当に薬かどうか、心配になったんだな」
「浦島の妙薬」より
   
弟を気遣い渡す粉薬 疑心暗鬼に 心寂しく…
   

重層って苦いイメージがあるのですが、それをまぶしたあんころ餅を食べて、兄は何も気づかなかったでしょうか。疑った弟もですが、もしそれに気づいていたら、兄も寂しかったことでしょうね。
(こでまり)



   
玉手箱 遊山世話焼き 用心棒
   




 あっちの管理人さんの五七五 

すっかり遅くなって、今月は白旗を揚げるか、と思ったのですがなんとか出来ましたので送ります。
今月は秋の季語なのか、冬の季語なのか迷って、結局「秋」にしたのですがよかったでしょうか?神無月は冬の季語だけど、お話の中に「秋」とあったのでそちらにしてしまいました(;^_^A アセアセ…
(UP後に)
私も昨夜寝る前にアップされてる!と一通り拝見して、今朝もう一度じっくり拝見してきました!今月は早く提出するぞーとお題発表になってすぐ読み返ししたのに、気がつけば締め切りギリギリの駆け込みになってしまいました(滝汗)
競作ポイントに「松茸と穴子鮨」っていうのが・・・なんとも可笑しいですよね〜!
(あっちの管理人さんの談)

親子水入らずにもしっかりお邪魔して腰を据えているお吉さん。るいさんや東吾さんが千春ちゃんにおとぎ話を聞かせている時も傍で一緒になって聞いている姿が浮かびます。時にはうつらうつらしているかも(笑)
   
秋日和おとぎ話に居眠りや
   




ちょうど深川の長寿庵の長助がこの秋の蕎麦粉を持って来たところで、
「なんでしたら、あっしが蕎麦を打ちますので……」
というと、宗太郎は大喜びした。
「浦島の妙薬」より
相変わらず患家を駆け回っている宗太郎先生、何か食べたくなると「かわせみ」にやって来るのか、たまたま「かわせみ」がそこにあるのか。飄々としてすっとぼけた人柄がなんとも良いですよね。
今日も今日とて、松茸と穴子鮨がさっと出てきて、おまけに長助親分の新蕎麦まで。なんとも羨ましい秋の味覚です。
   
新蕎麦のくつろぐ居間に名医あり
   




子安村へ行くためには、その東海道を通らねばならない。
すでに神林通之進夫婦の嫡子として落ちついた日々を過している麻太郎だが、まだ、切ない思い出の道を歩かせるには忍びないものがあった。
「浦島の妙薬」より
横浜への旅に、麻太郎君も一緒に連れて行きたかっただろうけど、東海道を行く旅にまだまだ心の傷が癒えていないと麻太郎君を気づかう東吾さんの気持ち、きっと伝わったでしょうね。
   
紅葉散るいく旅に知る父の愛
   

ちょうど同じ季節ですものね。ここでタイトルでもあった「紅葉散る」の季語を、うまく使われたと思いました。
(こでまり)



 はなはなさんの五七五 

いろいろあって、全く今回は俳句の頭になれませんでした…(涙) でも、参加だけはしようと思って…搾り出してみました。今月は、きっと競作ポイントがいっぱいでしょうね…。ウロコがぽろぽろ落ちるのを楽しみに、拝見したいです。
(UP後に)
出遅れました〜。宗匠アップ、ありがとう&お疲れ様です。お手を煩わせて申し訳ありません。久しぶりに〆切破りのトリをやらかしまして、アップを遅らせてしまったのではないかと、反省しています。皆様ごめんなさいm(__)m
かわせみの豪勢なランチが競作ポイントだったんですねぇ〜。子供2人と長助、お吉、宗太郎さんとの道中や、このランチの風景など心和むかわせみらしいシーンを詠み込まれた皆様の作品は目からウロコがぽろぽろ落ちました♪やはりやっつけ仕事はいけません(反省…)
(さんの談)

太郎兵衛は外面はよくても、身内には因業な男で、どうも好きになれません。
でも、自分の体調の悪さに何を予感したのでしょうか、弟を呼び寄せようと、親代々の土地を売り払おうとする…。好きに暮らしてきた男も去るときは、寂しさを感じたのかもしれません。
最後まで自分勝手でしたが。
   
浦島も去るにはさびし暮れる秋
   




「すまねえことをしでかしたです。猫や犬でためしてみればいいものを、どう魔がさしたか、兄さんが残りはもらって行くといったあんころ餅に、その薬をまぶしつけて……」
「それが五個のあんころ餅だな」
次郎作がぶるぶると慄えた。
「浦島の妙薬」より
次郎作は、兄に比べれば、気も弱く、実直に生きていくタイプですね。分を知っていても、自分のいのちが危なくなれば、思い切ったこともしなければならない…。きちきちは、ショウリョウバッタのことです。
   
きちきちは草を揺らして飛び立てり
   

何だか秋の虫は、寂しい感じがします。それでも飛び立つ時には目立つ音を立てて飛ぶというのが、次郎作にも通じるところでしょうか。余韻のあるお句ですね。
(こでまり)