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 虹のおもかげ
「源太郎の初恋」より  (平岩弓枝著:文芸春秋刊)
先月は「野老沢の肝っ玉おっ母あ」にご参加くださいまして、ありがとうございました。また、ご覧下さいました皆様も、ありがとうございました。「ドラマ化するならお石ちゃんはしずちゃんで」という方、多かったですね。今、しずちゃんが出ているドラマも見てみなくては。

さて、今月は「虹のおもかげ」を選びました。
ふた月続けて「あったかい家族愛」を詠んでいただきましたが、世の中、そうそういいことばかりで成り立ってるわけではありません。
(←なんかエラそう)
最近の事件を思い出させるような凄惨な事件の前後に、東吾さんにとっても私たちにとっても、忘れられない出会いがありましたね。「秘曲」以来久々となりますが、かわせみにとっての極めてデリケートな部分に、再び皆様とともに取り組みたいと思います。
ところで、最新のオール読物では麻くんと千春ちゃんのことについて触れているようなのですが、私を始めとして単行本からしか新作を読まない人もいると思いますので、お句のコメントや感想ではその点にご配慮下さいますよう、よろしくお願いいたします。

さあ、今月はどんな五七五になりましたでしょう。
(平成二十年七月)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
今月のお題は、奥の深いお話ですね。
東吾さんの動揺と何も知らない七重さんの言葉掛けが
なんとも微妙な感じを出してましたね。
いつものことながら微妙な心理を決められた字数で
表現することの難しさを痛感致しております。
ギブアップです。来月は必ずリベンジ致しますm(__)m
(みちころんろんさん)
またまたぎりぎりになりながらも何とか本は読んだのですが
今回は難しかったです。人形句に釣られてか、
ずっと先まで読みきってしまったのが敗因かしら(言い訳です)。
仕事が来てしまい、ちょっときついセットのため
ゆっくり考えられなくなってしまって今月は欠席させてください。
来月は頑張りますのでまたよろしくお願いいたします。
かなり要のお話ですし、みなさんの作品を楽しみしております。
(茜雲さん)
申し訳ありません… 暑さに負けております〜、
お店のエアコンは全然きかないしバテバテです〜。
なんだかわからないけど仕事も忙しくって…頭もまわりません。
(花みずきさん)
「虹のおもかげ」は好きなお話で皆さんのお作を楽しみにしておりました。
さすがに年季を感じさせるお句ばかりでしたね。
私は絵としては閃くのですが文字にはなかなか出来ません。
きっとどこか脳内の配線がみなさんとはちがうのでしょうね。
(ちょっと淋しいなぁ)
たまこさん、すみれさん、紫陽花さんのおまけも
充分に楽しませていただきました。素晴らしかったです。
(UP後に 春霞さん)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 すみれさんの五七五 

読み返すと、あそこにもここにも、作者の伏線がはってある…物語の巧みさに気づかされます。そして、東吾さんと麻太郎くんの初めての触れ合いが印象的です。これまで、顔を見かけても麻太郎くんはまだ 幼すぎましたからね。
(UP後に)
まず、自分のが一番手だったのに、びっくり!で、皆様の力作を拝見して納得!大感動です。麻太郎くん、東吾さん、琴江さんの心理分析の深いこと!(アー自分の幼稚なつぶやきが、恥ずかしいなぁ)
(すみれさんの談)

「よし、あそこだぞ」
最初は東吾に手を添えてもらって、少年は忽ち蝉採りのこつを憶えた。僅かの間に籠が蝉でいっぱいになる。
「このくらいにしておこう。あんまり採って帰ると、母上からつくだ煮にして食わせるといわれると困るからな」
東吾の言葉に少年は白い歯をみせて笑った。
「虹のおもかげ」より
冒頭、二人の蝉採りの様子は、競作ポイント間違いなしでしょうね。7年もの長い間、地中で眠り、世に出てから2−3週間の短い一生を精一杯生きる蝉…麻太郎くんの出生の秘密の表れ方と共通するように感じてしまいました。ちょっとこじ付け過ぎかな…
   
蝉しぐれ父子の記憶動き出す
   

はい、大競作ポイントでした!蝉と麻くんの現れ方、確かに共通するところを感じますね。
(こでまり)
たしかにそのとおりですね。決してこじつけなどとは思いませんよ。この夏に突然地上に現れ出でたのですものね。「動き出す」でそれがとてもよくわかります。
(浅黄裏さん)


【蝉のつぶやき】
ミンミンミン。七年、土の中に住み
殻を脱ぎ捨て蝉となり
生命をつなごうミンミンミン。可愛い雌よ、来ておくれ。
あれぇ!蝉とりのちっこい坊やが来たぞ。でもここなら大丈夫、坊やには届かないからね。ミンミンミン。
こんどは、向こうから立派な侍が来たぞ。これは危ない。殺気を感ずるミンミンミン。
おーい。蝉ども気をつけろ。奴は手ごわい…蝉とり名人らしいぞ、ミンミンミン。
あの侍とこの坊や、よく似ているぞ。まるで父子みたいじゃないか。
見比べている間に、しまった!捕まった!ミ〜ン。
事情がある二人みたいだなぁ…この坊やとなら、短い生命の残りを一緒に居てあげようか♪
ミンミンミン。元気に鳴くよ、ミンミンミン。

それから今月もオマケをつけてくださって、ありがとうございます。勝手に「蝉のつぶやき」なんてタイトルをつけてしまいましたが、蝉の目線で二人を見下ろしているのがとても面白いです。途中の「ミ〜ン」はけっこうツボでした。案外麻くんは母上に見せたら、その後放してやったかもしれませんね。
(こでまり)
すみれさんの「独り言」か「つぶやき」は絶対あると思ってました(^O^)
豪雨も大変だったと思いますが、ご報告で詳しいことがわかりました。ボランティアの方々のお働きには本当に頭が下がります。きっと被害の跡も順調に復興していることと思います。
(たまこさん)



通之進は脇息にもたれるようにして何か考えている様子だったが、東吾へ向けたまなざしは、いつもの穏やかなものであった。
「鮎か」
重かったであろう、と弟をねぎらった。
「虹のおもかげ」より
二人の関係をめぐって、兄上と宗太郎さんが心遣いをしておられる事に感じ入りました。嬉々として鮎を持って来る東吾さんは、この時点では未だ気づいていないから、陽気(のん気?)なままで、思慮深い兄上や宗太郎さんとは好対照ですね。
   
ほろ苦き鮎の美味さよ人の世よ
   

「ほろ苦き」が効いていますね。鮎が美味しい季節ですが、兄上はどんな気持で召し上がったんでしょう。
(こでまり)
兄上の慨嘆・溜息のような御作ですね。通之進さんは宗太郎さんからの相談をどう受け止めたのか。かわせみの物語の行方を左右するシーンに、素敵な御作だと思いました。
(はなはなさん)



本編の重要さに負けないインパクトが必要だから、吉田家跡取り騒動が凄惨な内容になっているのかな?不思議と、読んだあとの記憶は東吾さんと麻太郎くんの印象が勝っているんです。吉田家の哀れにも救いがあって良かったですね。広太郎さんが、育ての親に愛されていたからこそ爽やかな青年になったのでしょう。広太郎さんの描き方は麻太郎さんへの応援歌のように思えます。生まれてきた事を喜びとして、逞しく生きていって欲しいとの願いが込められていると感じました。
   
蛍袋お帰りなさい母の声
   




 麦わらぼうしさんの五七五 

みなさまおっしゃるように、私も蝉取りと虹の場面が印象的で、肝心の事件の方を忘れていました(^_^;) 句の方もさっぱり出来ず、タイトルを入れてなんとか一つだけ出来ました。今月も参加出来ただけで幸せ…
(UP後に)
やはり競作ポイントは冒頭のあの場面でしたね。みなさまの熱い想いが伝わってくるような力作ばかりですね。
(麦わらぼうしさんの談)

虹の中に、麻太郎の面影がくっきり浮かんでいる。
東吾の耳の中に、あの朝の蝉の声が甦っていた。
「虹のおもかげ」より
今回の出来事に対して、それぞれ想いがあると思うのですが、麻太郎の場合は単純に、親切で優しいおじさんと過ごした楽しい夏の日の一日の思い出。東吾さんは、自分の息子かもしれない子供と過ごした唯一の(この時点では)思い出。琴江さんは、息子が、もしかしたら本当の父親かもしれない人と過ごした貴重な一日、そして東吾さんに対する様々な想い…
   
それぞれが虹のおもかげ胸に秘め
   

「虹のおもかげ」は東吾さんだけのものと思い込んでいましたが、麦わらぼうしさんのお書きのように、この日の虹に琴江さんも麻くんも、それぞれの想いを重ねたのでしょうね。
(こでまり)
おっしゃるとおりそれぞれの心に想いを残した一日だったのですね。
(浅黄裏さん)
「虹のおもかげ」とは何と美しい言葉なのでしょうか。私も琴江さんや麻くんからの視点には気づきませんでした。ストレートな言葉が印象的です。
(はなはなさん)



 浅黄裏さんの五七五 

このお話を読むと「笹舟流し」も読みたくなり、当然「秘曲」も「菜の花月夜」も読み返したくなります。それにしても三年前に出合った時にはなんでもなかったのに今年、この夏に急にこれほどまでに麻太郎くんのことを思い始めたのは何故なんでしょうね。蝉取りの場面でじかに触れ合ったから急に父性のスイッチが入ったってことなのでしょうか。
さて、「秘曲」ではお吉さんが「かくし子みたい」と口走り、「虹のおもかげ」では「俺の甥っ子ってわけじゃねえんだからな」と東吾さんが(広太郎さんのことを、ですが)言っています。明治の展開を知らないのでなんともいえないのですが、あちらこちらにドキッとする言葉がちりばめられていますね。
(UP後に)
さきほど拝見しました。お疲れ様です&ありがとうございます。明日から実家の方に帰省するので、プリントアウトしました。新幹線の中でゆっくり読ませていただきますね。(↑本当は新幹線+特急+普通電車の組み合わせでないと帰れないド田舎ですが、ちょっと見栄を張ってしまいました…、笑)
(浅黄裏さんの談)

麻太郎くんのことを思い出すときは蝉の声がBGMになっていたことでしょう。誰にも中断されずにずっと思い続けていたいと思っていたでしょう。
   
いま少し長鳴き給え今朝の蝉
   

「いま少し」に、東吾さんのこの日の楽しさや充足感みたいなものがよく現れていますね。
(こでまり)



少年が母親に何かを告げた。母親が東吾に気がついて顔色を変えた。
「この子が……お世話になりましたとか、ありがとう存じました」
「虹のおもかげ」より
琴江さんと言うひとは、何故だか東吾さんとの直接の会話があまり無いように描かれているんですね。あの雪の夜があったのは確かなのですが、それも仮の場面設定でのことだったし、その後の情報は七重さんや宗太郎さん経由、または通之進さんへの手紙経由なわけです。
東吾さんの湧き上がる思いはあくまでも麻太郎くんに対してであって、琴江さんにではないので、そういう描かれ方なのでしょうか。実体はあるのにいつでもするりするりと抜け出てしまうような感じがします。それでも琴江さんの残した有縁(うえん)は明治までもずっと続いていくんですね。
   
うつせみは有縁の糸を残しけり
   

「うつせみ」と「有縁」言葉の対比が素敵です。浅黄裏さまのコメントとこの御作のおかげで、源氏物語との接点にも気づくことができて、うれしくなりました。
(はなはなさん)
「有縁の糸」って素敵な表現だなと思いました。この先の物語を知る読者は、琴江さんが「有縁の糸を残していった」ということがさらにしみじみと胸に響きますね。
(たまこさん)
源氏の空蝉を思い浮かべたことは確かなのですが、共通点となると難しいですよね。これは想いをかける側の想いの強さの違いでしょうか。
東吾さんは、雪の夜の出会い以外では、琴江さんに特に興味もないんですよね。文字通り一夜かぎりってことです。我が子かと思ってからの麻くんにかける想いは強いんだけど自分の相手であった琴江さんには想いはないと。するりするりと身をかわしていなくなる(?)のは同じなんですが、かわす理由が空蝉とは違うんですよね。
(浅黄裏さん)
そうなんですよ〜。東吾さんはまったく琴江さんには興味がない!子供の親だと主張するなら、それはどうか、とも思うのですが、いきさつから言って仕方がないし、琴江さんに思いを掛ければおるいさんを不幸にしてしまいますし(麻太郎を引き取れば、おるいさんを不幸にすると思い至らないのは、東吾さんらしくもなく浅はかですがね…)
また琴江さんも後ろめたいのか、東吾の気持ちは承知なのか、するりするりと身をかわす。確かに源氏物語の空蝉とは違いますね。正直なところ、東吾さんの男心はよくわからなくて。そんなに子供が欲しかったんでしょうかねぇ。
(はなはなさん)
そうなんですよ。東吾さんの「お父さんスイッチ」が急に入った理由がやはり不明です。孕まぬ性であるからこそ子供を見た瞬間にスイッチが入ったのかとも思ったのですが、普通の(夫、兼)父とは違いますしね。東吾さんは子供がこの世に誕生していることすら初めて知ったわけです。妻のお腹に我が子が…と思って出産を待つ夫とは最初から違うわけです。
たしかに我が子だと思えば一緒にいたいと思うでしょうが、その子の母親は全くの想定の外において、子だけを欲するというのがねぇ〜。やはり謎ですよね〜。
(浅黄裏さん)
いや〜東吾さんの場合、「子供が欲しい」っていう明確な気持ちは全くなかったと思いますけどね〜。男性って、若くても子供を欲しがるタイプと、全然無関心なタイプがあって、うちの亭主なんか、結婚する前から「子供が欲しい。それも男の子が複数欲しい。」とわめいていたけど(^^ゞ、騒いだわりには、生まれてみると案外、淡々としてました。まぁ仕事が忙しかったせいもあるけど、下手に溺愛するより良かったかもしれません。
たぶん東吾さんはその逆で、子供がいない時は欲しい気持ちは全くなかったけど、現実に目の前に子供が(それも、好みのタイプの?)あらわれて、もしかしてこいつに俺の血が流れている?と思ったとたんに、逆上したんじゃないですか?
千春ちゃんの時も、自分たちが父母になるっていうイメージは全くわかなかったみたいだけど、生まれてからはメロメロでしたもんね。 計画性が無いともいえるか(爆)
(たまこさん)
東吾さんの「琴江さんに興味なさすぎ&でも子供ほしい」話題、興味深いですね。子供の件は、たまこさまが書かれている事で、すごく納得出来ました。琴江さんの件は、麻太郎が自分の子では?と気付く前ならいざしらず、気付いた後でも興味の無さは変わらず… 「よ〜〜っぽど琴江さんて、東吾さんのタイプでは無いのかな?」などと考えてしまいました(^_^;) まあ、それだけるいさん一筋って事なんでしょうけど。
(麦わらぼうしさん)



 紫陽花さんの五七五 

19日になってしまったので律義な紫陽花はオマケと強引に作った五七五をおくります。
(紫陽花さんの談)

「大木の父の好きな花でした。田や畑のそばにもよく咲いていて、母は大木家の墓所にもこの草を植えました。手前が江戸へ出て来る時、まだ花は咲いては居りませんでしたが」
帰心矢の如くという感じであった。
「虹のおもかげ」より
“父”は亡き大木のお父さんです。“亡父”と書いて“ちち”としようかと思ったのですが、実の吉田の父も“亡父”になるなぁと思いやめました。“養父”や“義父”も考えたんですが、シンプルに“父”にしました。
   
花揺れて父の笑顔を思い出し
   

あの時、一時の気持にまかせて同心になっても、後々きっと後悔したと思います。大木の父の気持も自分の立場もよくわきまえた広太郎、父の笑顔を思い出してくれて良かったです。
(こでまり)
広太郎の気持ちは詠んでみたかったのですが、なりませんでした。やさしい御作ですね。周囲に流されずに、自分の大切なものに気づいた広太郎はきっと幸せな大人になっていったと思います。
(はなはなさん)



久しぶりに兄弟揃って八丁堀の町を行くと、やはり吉田家へ行く人々が、
「これは、お揃いで……」
と声をかける。
「虹のおもかげ」より
このお話の“吉田どの”を殺した犯人は結局捕まったんでしょうか。気になります。
もう一つ気になるのは宗太郎先生がお兄さんに何のお話をしたのかです。本当に麻生のお義父さんと頼み事だったんでしょうか。ちょっとかんぐっています。

オマケです。“お揃い”にしてみました(笑)

今月もオマケをありがとうございました。彼らの紋服姿もなかなかですな。うひ、家紋が湯飲みと茶たくになってる♪狐火も今時のケータイみたいに、着せ替え?
(こでまり)
おまけもなんだか似合いすぎてて…本来のお仕事にご出勤ってことですよね〜。いい感じです。
(はなはなさん)
紫陽花さんとこのトリオは紋服まで持ってるとは侮れません!
(あっちの管理人さん)
トリオのもんどころ初めはわからなかったんです(このパソコンは角度によって画像が暗く見えるのでよ〜く見たらチャンと違うんですね
(ぐりさん)
トリオの紋付は一瞬クビが無い?心霊写真?とか思いました。 あの子達が着てたんですね〜。
(コシキブさん)
湯呑みと茶托の思いがけない正装、そしてわかりやすい家紋(笑)もすごくツボです。
(たまこさん)
私もコシキブさんと同じで「く、首が無い〜」と驚きましたが、もともと無いんでしたね、首。毎回の発想には「こう来たか」と本当に驚かされます。
(浅黄裏さん)



 千姫さんの五七五 

毎日暑いですね〜。暑いとしか挨拶がないくらい暑いですわ。ギリギリの投稿ですみません。でも、私の後にも何人かいるでのしょうねっ♪
(千姫さんの談)

試合は夕方に終るが、その後、年少組にはあんころ餅や黄粉餅が出るし、年長組には少々の酒と肴が供されて、殊に年長組は更けるまで東吾を囲んで談論風発、時には夜が明けてしまうことも珍しくなかった。
「虹のおもかげ」より
東吾を慕って、褒めてもらいたい一心で頑張っている豆剣士たち、可愛いです。
   
夏草や団子につられて腕自慢
   




「今度は、みんみん蝉を採ろうか」
片手で少年を抱き上げ、竿を持たせた。
「虹のおもかげ」より
五、六歳って、成人と同じ姿だし気概も一丁前だけど、腕もうなじも細くって「守らなけれぱ!」という気になりますね。
   
腕で抱く重みも軽(かろ)し白絣
   
幼日の俺と出合った蝉時雨
   

二句とも大人からみた子どもへの愛おしさが表れていますね。肉親であるなしを超えての共通の感覚とでもいうのでしょうか。子どもって本当に宝の存在ですね。
(こでまり)
私もこの「白絣」で一句詠みたかったんですが、ダメでした。少年の「白絣」姿って、幼さ・健気さ・賢さがギュッと入っている気がして好きです。
自分の子かと思った時の東吾さんは、きっとこの時の感触を思い出したでしょうね。
(浅黄裏さん)
千姫さんの御作「幼日」のほうは「ようじつ」でいいのかしら?「幼日の我」ではなく「俺」っていうのが東吾らしくていいですよね。
(たまこさん)



結局、吉田殿は誰に、何故、殺されたのでしょう… 題名で直ぐに、東吾が麻太郎と出会った蝉採りの場面を鮮明に思い出せたけれど、事件の内容はまったく記憶にありませんでした。今読み返すと東吾と麻太郎との関係も、一歩間違えは吉田殿のように自身も周りの人たちも巻き込んで亡くなってしまうってほどの出来事で、東吾の性格や人柄、まわりの人々との関わり方を、対照的に暗示した事件だったのかも…と。オール読物でその後の麻太郎と千春ちゃんの何が書かれているのでしょう。配慮しなければいけないって、興味津々ですぅ〜。
   
青時雨縁と出会いの虹かかる
   

「青時雨」はきれいな言葉ですね。虹のようにむすばれた縁は、明治まで、青春のかわせみが廻っていくのを暗示するような御作ですね。
(はなはなさん)



 シュミットさんの五七五 


(UP後に)
「UP」ありがとうございます。毎日暑いですね…皆さんお体を大切に。
(シュミットさんの談)

「大村……、麻太郎だな」
この前、麻生家で東吾がみかけた時は三歳の筈であった。
あれから三年。
「俺は、あの子に会ったんだ。この前、溜池で……朝早く……」
「虹のおもかげ」より
   
真っ白な頭の中でよみがえる 耳に琴の音 虹におもかげ
   

七重さんの屈託のないお喋りから、ようやく麻くんに思い至った東吾さん。短時間にいろんなことが頭の中を駆け巡っている様子が、下の七七に現れていますね。
(こでまり)
東吾さんの脳裏に麻太郎くんがいきなり浮かび上がった瞬間ですね。
(浅黄裏さん)
東吾さんにはまさに信じられない思いだったでしょうね。思いがけない蝉取りでの出会いとともに、東吾さんの混乱がよく伝わってきました。
(はなはなさん)



 ぐりさんの五七五 

このお話はかわせみではひとつの節目になる大事なお話ですねこのお話の後にかわせみは大きく動きますね 句はなかなか難しかったです
(UP後に)
今月はむすかしかったですねその中でも皆さんの深い読み宗太郎さんと兄上のお話何か深刻そうとは思ってもそこに結び付かなかったですさすがは兄上ですね
(ぐりさんの談)

   
蝉しぐれ 親子の縁を つなぐもの
   

「蝉しぐれ」私も使いましたが、無心に蝉を取る二人がまさか親子とは…。すがすがしくも縁(えにし)を感じて怖ろしいような気がします。
(はなはなさん)



   
鮎料理 話弾みて 姉上と
   

ここで鮎料理について「塩焼き」だの「味噌田楽」だのと講釈している東吾さん。いつもならこういう東吾さんの「おばさん」みたいな一面も可愛いなあと思うのですが、今回はねえ〜。
(こでまり)
この時の姉上はまだはっきりとは聞かされていないんでしょうね。それでも少しは察していたでしょうか。賢い方だから「旦那様からきちんとお話があるまでは」と控えていたのかもしれませんね。こでまりさんの突っ込みコメントにも受けました。東吾さんは所謂「おじおばさん」なんですね。
(浅黄裏さん)



「ありがとうございました」
地面に下すと、はっきりとした声で礼をいった。嬉しそうに手の中の戦利品をみる。
「虹のおもかげ」より
   
蝉の殻 握り締めては うれしそう
   

子どもの頃に父の田舎に行って、大きな蝉を採ったことがありました。いくつだったか忘れましたが、その夏の蝉取りは妙にハッキリと憶えています。麻くんも蝉の殻を持った嬉しさや、指の間で鳴いている蝉の感触などを、親切な小父さんの記憶とともにずっと忘れないでしょう。
(こでまり)



まるで釣り鐘のような恰好をした花がいくつも咲いている。
「こいつを、蛍袋というのか」
「八王子ではそう呼んでいますが、江戸ではなんと申しますか」
「虹のおもかげ」より
   
ふるさとで ホタルブクロも 咲いて待ち
   




東吾は両手で自分の頬を叩いた。
それでも、瞼の中から虹が消えなかった。
「虹のおもかげ」より
   
目の中に 涙と虹が あふれている
   




 たまこさんの五七五 

今回の御題をきっかけに、「雪の夜ばなし」「秘曲」「菜の花月夜」「虹のおもかげ」「笹舟流し」「紅葉散る」と読み返してみて、改めて作者がいろんな伏線を巧妙に張り巡らせていることに気づきました。もちろん、加えてこでまり宗匠の「花月の行方」も読み返しましたとも〜♪ 作者も、「花月の行方」のように事をおさめようかなぁ、と迷った事もあったのではないかしら。でも麻太郎の誕生日を12月から10月に変えたとき やっぱり東吾と実の親子で…と決心されたのかも(もしかして密かに「花月の行方」を読んだから?) それにしても、おそのさんはどうしているのでしょうねぇ。
(UP後に)
皆様、明治編で立派に成長した麻太郎くんのイメージを重ね合わせながら詠まれたのだなぁと思わせられました。
(たまこさんの談)

「それは、蝉のぬけがらだ。知っているか」
東吾が訊くと、
「はい、柳河にいた時、母上に教えて頂きました」
きびきびした返事であった。
「虹のおもかげ」より
私たちは、どうしても東吾との関係で麻太郎を見てしまいますが、清水琴江さんのDNAも半分、彼は受け継いでいるのですよね。幼い時に四国や九州も知り、母と長旅の苦労を分け合ってきた麻太郎だからこそ、海外留学もおおいに成果を上げることができたのではないでしょうか。
   
母と見し柳河の舟多度津の江
   

う〜ん、確かにそうですね。このような目のつけどころ、さすがは姐さんですわ。
(こでまり)



少年の目が口惜しそうに周囲を見廻した。
たしかに、蝉は高い所にとまっている。
「なまいきな蝉だな」
「虹のおもかげ」より
「なまいきな蝉」は、ご本家8周年企画のカルタがすごく印象に残っていて…
   
夏の朝小さき影の勇み行く
   
なまいきな蝉梢より睥睨(へいげい)
   

思いがけなく籠いっぱいの蝉を持って帰ることになった麻くん。嬉しさが体中から溢れていて、弾むように歩いている様子が「勇み行く」でよくわかりますね。
「なまいきな蝉」の選者は紫陽花さんではなかったですか。私もあのカルタを見たときには「やられた〜」と思いました。
(こでまり)
「なまいきな蝉」が「睥睨す」る…やられた〜。さわやかなシーンに、こういうぴりっとした御作が気持ちいいです。
(はなはなさん)
「なまいきな蝉」は、コメントにも書いたように、紫陽花さん作のご本家のカルタがとても印象に残っていて、ぜひこれで一句と思っていたのですが、蝉取りの2人の視点で「なまいきな蝉を…」「なまいきな蝉に…」と考えるとうまく続かなくて、「蝉のほうを主語にしてみよう」と思った途端に、すっと出てきたものです。
(たまこさん)



「其方も気をつけよ」
通之進が笑い、
「手前は、それほど行儀悪くはありません」
反射的に答えた東吾だが、胸の奥にひっかかるものがある。
そんな弟を通之進はさりげなくながめていた。
「虹のおもかげ」より
通夜のあとで、兄上が東吾を「さりげなく眺めていた」という所はすでに隠し子の件を知っていたという感じがします。その後の宗太郎の「難しい話」も、たぶんこの件でしょうね。通之進さんは大体のことはもう「雪の夜ばなし」の直後に源さんから聞いており、麻太郎親子の出府にあたって、詳しい話と万一の時に備えての根回しを宗太郎と打ち合わせていたと考えると「紅葉散る」 で麻太郎の養子話が素早く実現したことにも納得がいきます。
   
謎かける兄の心や竹落葉
   

コメントにあった、この時点での根回しが「紅葉散る」での養子話の素早い実現に繋がった、というのにとても共感しました。「紅葉散る」での展開が速すぎたことに疑問を持っていましたし、そんなにも麻太郎はあちらの家では歓迎されていなかったのかとも思っていたからです。たまこさんのコメントでとてもスッキリした気分です。
(浅黄裏さん)
兄上のさりげなく釘を刺すところがたまらないですね。三重四重にも、兄上と宗太郎、あと個人的には源三郎もまちがいなく「Xデー」を心していたのだと思います。
(はなはなさん)



「千鳥が啼いた」と同じような設定でも、あちらは明るい結末となったのにこれは罪のない子供たちも含め多数の犠牲者を出してしまったんですね… 事件の成り行きを憂慮していた源さんはとくに、最悪の事態を防ぐことが出来なかったことで深い苦悩があったと思います。 広太郎さんが無事だったのが不幸中の幸い、八王子で幸せに暮らしてほしいです。
   
胸騒ぎ現実となる土用雨
   




【たまこさんの現場検証】 姐さんから今月も現場検証を届けていただきました。ありがとうございます。おっと、今回は「妄想編現場検証」とか。ささっ、急いでこちらをクリック!
おたま姐さんの現場検証も磨きがかかって…ついにここまで♪わーん、一緒に歩きたいよぉ〜。思わず江戸東京散歩を辿りながら読みました。
(はなはなさん)
現場検証バージョンUP編、妄想現場検証に引き込まれました。このまま本編に掲載されていても、違和感なくかわせみワールドのお話になっていて素晴らしいです。蝉採りに出かけるまでの麻くんの物語、「黄菊白菊」のお爺さんも巧みに登場されてましたね♪新之助さんは何のお話だったかしら?これからも妄想検証シリーズを期待しも良いでしょうか?
(すみれさん)
たまこ姐さんの現場検証はなんと妄想編の豪華おまけ付き!これからも時々こういう妄想バージョンがお目見えするのを期待しちゃいます♪
(あっちの管理人さん)
現場検証は妄想編だんだんバージョンアップしますね楽しみが増えます新之助さんは藍染川 でしたっけ
(ぐりさん)
たまこ姐さまの現場検証はまさに都心一等地めぐりで、ここで蝉取りしてたというのが贅沢のようですね(笑)妄想なんてとんでもない!スピンオフと呼ばせてください。記憶が曖昧なので久作も新之助もどのお話だったか思いつかなかったです。すみれさんとぐりさんのお陰でスッキリです。
(コシキブさん)
現場検証、なんて素晴らしい!毎月毎月グレードアップしていますね。
(麦わらぼうしさん)
ますます磨きのかかった現場検証ですね。そして、なにより楽しかったのが妄想編です。菊作りのお爺さんはすぐにわかったのですが、新之助さんが誰かわからなくてウ〜ウ〜唸りました。あれからどうなったかと心配していた登場人物がこうやって出てきてくれるのも二重の楽しさですね。
(浅黄裏さん)



 あっちの管理人さんの五七五 

今月のお題「虹のおもかげ」なんとか出来ましたのでお送りします。
(UP後に)
「かわせみ」の中では気がかりベスト5に入る東吾さん麻太郎君問題の大事な話ということで、みなさんの2人の偶然の出会いに寄せる思いがとっても温かくて印象的でした。
(あっちの管理人さんの談)

みなさんが書いている様に、このお話、冒頭の蝉採りに気を取られ、隠し子の跡目相続争いの事件をうっかりしていました。それほど「蝉採り」は印象的でした。この時東吾さんはまだ目の前の少年が我が子だとは知りませんでしたが、なぜかずっと心に残ったのはやはり親子の絆だったのでしょうか。
   
抱き上げし吾子の重たさ心地よし
   

白絣の少年の重みが東吾さんに残した印象深さがよくわかるお句だと思いました。
(浅黄裏さん)



「あの子は、どうなるんだ」
「琴江どのは、多度津へ連れて行くといっていますが……」
視線を大川のほうへ向けた。
「東吾さん、虹が出ていますよ」
ふりむくと、ちょうど新大橋のあたりと思える見当に、鮮やかな七色の空の橋がかかっている。
「虹のおもかげ」より
遙かなり多度津へ続く蝉の声
   
遠き道虹の彼方に思いはせ
   

駆け出したい気持を殺してかろうじてとどまった東吾さん。「遥かなり」「遠き道」という言葉は、どちらも東吾さんの絶望的な気持を表していますね。
(こでまり)
「多度津へ続く」東吾さんの思いは蝉しぐれとともに多度津へ飛んでいるのでしょうね。じれて無理を言っても、東吾さんにはできることなど何もないと、重々わかっているのでしょうが…。東吾さんの焦りが伝わってきます。
(はなはなさん)



 コシキブさんの五七五 

「虹のおもかげ」難しかったです。東吾と麻太郎の邂逅がメインテーマではありますが、ストーリーの大半が吉田家のゴタゴタに割かれていて、ポイントがなかなか絞れませんでした。結局事件のほうは詠めずじまいです。最後の東吾の心象風景は切なくて、それでいて美しいですね。
(UP後に)
やはり今月は同じ場面での競作が多かったですね。それぞれに個性的で視点も色々。一句一句味わいながら読ませていただきました。宗太郎さんと兄上の話はやはり麻太郎の ことでよかったんですね。たぶんそうだろうと思ったけれど自信がなかったです。
(コシキブさんの談)

「手伝おうか」
声をかけて、東吾は少年をひょいと抱き上げた。驚いた表情のまま、少年はしっかり蝉のぬけがらをつかむ。
「虹のおもかげ」より
蝉取りで偶然の再会を果たした父子。お互いにそうとは知らず束の間の二人だけの時間を過ごしたわけですが、別れた後もそれぞれの心にお互いの姿かたちが忘れられずに焼きついたのは、やはり親子の血なのでしょうか。
   
手のひらの空蝉うれし木々揺れて
   




子供好きな東吾ですから思わず蝉取りの少年を手伝ったのでしょうね。まさかわが子だったとは…。先々の運命を知らぬこの時点では、この日を何度も思い出して切ない思いにかられていたと思います。
   
蝉しぐれ無邪気な瞳抱いた日よ
   




かすれた声でいい、丁寧に頭を下げると、少年をうながして足早に歩き出した。
少年がものいいたげに二度、三度とふりむき、東吾も何かいってやりたいと思いつつ、言葉がみつからなかった。見送っていると母子は新大橋の方角へ道を折れ、その姿が消えてしまった。
「虹のおもかげ」より
麻太郎がいい子なだけに、琴江と東吾の間に気まずさ以外の情が何も無いのが残念に思えます。いえ、もちろん私はおるいさん贔屓なんですが…。それにしても琴江の人生も落ち着く間がなくて大変ですね。
   
浮草の目を逸らし去る女あり
   

私はすっかり抜けていた琴江さんですが、深窓のお嬢さん→結婚→離縁→家老の奥方→未亡人→キャリアウーマンと、環境がどんどん変っていく中で、成長したのでしょうね。でなければ、麻くんがいい子に育つのも難しいですもんね。東吾さんの前でなければ、それなりに一目おかれる女性だったでしょうに。
(こでまり)
琴江さんではなく、麻太郎にだけかけられる東吾の心。琴江さんは東吾さんへの未練は何もないとは思いますが、後ろめたさだけがあるのでしょうね。御作を拝見して感じました。
(はなはなさん)



「東吾さん、その顔をなんとかしないと、花世と七重が来ますよ」
耳の近くで宗太郎がいった。
「あの子のことは、いずれ、話をします」
「虹のおもかげ」より
麻太郎を想い心みだれる東吾、そばにいてそんな東吾の心情を汲み取る宗太郎。暴走しそうな東吾にさりげなく声をかけ落ち着かそうとする宗太郎の配慮がいいですね。東吾の耳には蝉時雨の方が大きく聞こえていたのかもしれませんが。
   
虹見つめ立ち尽くす友遠き声
   

ここを宗太郎さんにポイントをおいて詠まれたのは、コシキブさんだけですわ〜。いつもはとぼけたことを言っているようだけど、宗太郎さんの存在って本当に重要ですね。
(こでまり)
いつもは可愛く思っている花世ちゃんがこの時ばかりは目に入っていなかったかもしれませんね。
(浅黄裏さん)



 はなはなさんの五七五 


(UP後に)
お忙しい中、お疲れ様でありました!さっそく拝見してきましたとも。爽やかな夏の朝、なんて似たもの同士の親子なんだろ〜と思いつつ、皆様の名作を堪能して参りました。事件と親子の邂逅が、同じような状況にもかかわらず、あまりにもギャップがありすぎて、かえって考え込んでしまいますが、それも皆様の御作を拝見して、なお迫ってくるのがさすがでございます。
(はなはなさんの談)

あの虹の下を今頃、麻太郎が歩いていると思ったとたん、東吾は我を忘れて走り出しそうな衝動をおぼえた。
「虹のおもかげ」より
東吾さんの焦燥ぶり。
子供がそんなに欲しかったのか…とちょっと意外でしたが。
   
かがやける虹のおもかげ胸を灼く
   




出会いのシーンは本当にさわやかで微笑ましく間違いなくかわせみ名シーンのひとつだと思います。
ここから東吾たちの運命は大きく動き出したのではないかと思います。
   
蝉しぐれ押す運命の小車を
   

あの前日に試合がなければ……、この日が非番であったなら……でも、出会うべくしての出会いなんですね。加えてお互いに(多分麻くんも)忘れがたい印象をもたせたりして、「運命の小車」は作者によって美しく切なく、そして巧妙に動き始めたんですね。
(こでまり)
「運命の小車」いい言葉ですね。
ここからずっと動き出す運命の小車…。麻くんの運命を思うと読者も胸がドキドキしてくる気がします。
(浅黄裏さん)
感想を、ありがとうございました。「小車」は、お能に「時の小車」という慣用句がよく出てくるのですが、そこからいただきました。
(はなはなさん)



 こでまりの五七五 

うぎゃ〜、本当に難しかったです、今月。何故かお話に集中できない日が続き(アレ、この間もこんなこと言ってたような)、読んでも読んでも頭から抜けていく感じで。ようやく出来て皆さんのを拝見すれば、「遅くなってごめんなさい」のコメントが続き、「こちらこそ」と恐縮しっぱなしです。でも苦吟の間に、今月も良いお句・よいオマケ・よい検証が届きました♪ま、結果オーライってことで、お許しくださいね。
(こでまりの談)

方月館では、東吾が師範代をつとめていた時分から、年に四回、試合の会を催していた。
稽古に通って来る者が、どれほど力をつけたかを見るためのもので、五人抜き、十人抜きに勝った者には、松浦方斎から御褒美が出される。
「虹のおもかげ」より
年4回の試合を目標に、子どもたちの稽古にも力が入ることと思います。真剣に取り組めば子どもであっても手ごたえを感じるでしょうし、励みになったと思います。。私が通っている二胡教室でも、この秋生徒同士がお互いの曲を聞く「勉強会」をやることになりまして(焦)、練習にも力を入れなければならないと感じている昨今です。
   
鍛錬を競ひ合ふ日や雲の峰
   

すがすがしい御作ですね。若い剣士たちの掛け声や笑い声が聞こえてきそうです。
(はなはなさん)



「借りるぞ」
断って、竿をひとひねりすると、ちちっと声がして、一匹の蝉が採れた。
「これは、オーシイツクと鳴く奴だ」
竿からはずし、東吾は蝉の羽についた黐を丹念に手拭いの先で拭き取った。
「虹のおもかげ」より
「手伝おうか」で始まるこの場面、何度読んでも心を打たれます。見ず知らずの小さな子に対し上から目線ではなく、対等な接し方として「手伝おうか」と言い、次に「借りるぞ」と断って自分でやってみせて、そのまま子どもの好奇心を十分満たしてやる……、東吾さんのこういう接し方って、本当にいいなあと見直しました。
   
蝉採りや手本を見せつ竿渡し
   

コメントも含めてハッとしました。東吾さんの魅力はこういうところにもあるんですね。
(浅黄裏さん)



「たいしたことではない。麻生の義父上の頼み事を伝言に参ったのだ」
「夫婦喧嘩ではなかったのですか」
陽気な弟の声を背に、通之進が出仕し、東吾は鮎を台所へ運んだ。
「虹のおもかげ」より
今から読めば、朝からやって来ていた宗太郎さんと兄上は、大事なことを話していたのだろうと察しがつきますね。おそらくこの江戸滞在中に麻くんの存在は通之進さんに伝わったと思われますが、この朝の東吾さんの陽気さがちょっとイタくて、通之進さんの心中もいかばかりかと察せられます。
   
土用浪胸で鎮めて出仕する
   




広太郎は急に吉田家を継ぐと言ったり止めたり、ちょっとどうなんだ?と思わないでもないですが、それほどに叔父の押しが強く、それだけに亡くなったこともショックだったのでしょうね。今後実父の墓に参ることはないかもしれませんが、蛍袋(釣鐘草)を見るたびに両父を思ったことでしょう。
   
釣鐘草二人の父の墓脇に
   




思いがけない「再会」に気づいた時には、目の前から消えてしまった麻くん。まるで追いかけても手の届かない「虹」のようです。続く「笹舟流し」では「俺の子であろうとなかろうと、引き取りたい」とまで言い出す東吾さんですが(何でそうなる?)、やっぱり出会いの印象がとても良かったからでしょうね。これがすっごい「小生意気な」少年だったら、ここまで思ったかしら?と、二つ目のコメントとは全然違う感想を持ったこでまりでした、うひ。
   
あの朝の虹いつまでもいつまでも
   

「あさ」に朝と麻太郎が掛けられているのかしら?「いつまでも」のリフレインが素敵ですね。
(はなはなさん)