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 青江屋の若旦那
「小判商人」より  (平岩弓枝著:文芸春秋刊)
先月は「清姫おりょう」にご参加くださいまして、ありがとうございました。また、ご覧下さいました皆様も、ありがとうございました。「骨のつぶやき」も皆さんに大受けでしたね。すみれさん、改めまして、ありがとうございました。
さて、今月は「青江屋の若旦那」を選びました。

最初は若い二人の恋の話か…と思わせておいて、読んでいくと腹違いの兄弟の話。ならば跡目争いか…と思えば、爽やかな風が吹き抜けたような読後感でした。(うう〜何が言いたいんだ、自分)

お話を発表した頃は紫陽花さんが「小判商人の文庫はまだ買っていない」と書かれていましたが、情け容赦のない管理人は「あ、キッカケがほしいということなのね」と、自分に都合よく解釈しました(うひ)。その後「買った」という方が何人が続き、実は恐縮しております。

さあ、今月はどんな五七五になりましたでしょう。
(平成二十年五月)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
掲示板にもこちらにもご無沙汰致しております。
毎日掲示板にはお邪魔して話題に参戦したいと思いながらも、
足跡は残せず…なぜか、日々忙しく先月などは日付も
曜日もわからないままに尽句の日さえも過ぎてしまい呆然とした次第…。
なれど、今月のお題だけは…と意気込んだものの、
気合いだけが空回り… 申し訳ありませんが、
今月はお休みさせていただきたく…お願い致します。
(みちころんろんさん)
宗匠すいません、今月お休みします(汗)
(のばらさん)

申し訳ありません、今月のお題、欠席いたします。
代わりに新宿御苑の「こでまり」の写真をご覧ください。
(シュミットさん)
ごめんなさい、今月もお休みさせてもらいます。
せめて一句でもと思ってたんだけど纏まらなくて…
あまり引き延ばしても迷惑をかけてしまうので、
すみませんが欠席します。
(あっちの管理人さん)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 麦わらぼうしさんの五七五 

最近のお話は、初期の頃のお話と比べると読み返す回数が少なくて、題名を聞いても咄嗟に内容が思い出せなかったりする私ですが、あらためて読み返すと、なんといいお話なんでしょう!詠みどころもいっぱい、ホント爽やかな読後感でした。みなさまがおっしゃるように「小判商人」、とてもいいお話ばかりですね。
(麦わらぼうしさんの談)

るいが手にしたままの、最後の一つのお椀をそっと受け取りながら、お吉が待っていたとばかりにいった。
聞えないような顔をしていて、ちゃんと小耳にはさんでいる。
  (略)
「青江屋の成太郎さんなら、そりゃあ評判のよい若旦那でございます」
早速、夫婦の話にとび入りした。
「青江屋の若旦那」より
なんでもよく知っているお吉。頭についている耳の他に、体を離れてあちこちで情報収集する耳がいくつもあるのでは?と思ってしまいます。そして、ここぞという話題をキャッチしたら、瞬間移動してすかさず会話に参加!…すみません、アニメの見過ぎです(^_^;)
   
お吉には遠隔操作の耳がある
   

るいさんからどんなに睨まれても話に首をつっこんで、そこに聞き上手の東吾さんが加わると、話に加速がつきますね。「遠隔操作の耳」は、しばらく頭の中をくるくる廻りそうなフレーズです。
(こでまり)
やっぱり…(笑)お吉の地獄耳には度々驚きますが、麦さまのおかげで謎が解けました♪「今月のざぶとん10枚」は麦さまですね!
(はなはなさん)



「驚いたな。あいつ、いつから塗物屋の若旦那を贔屓にしてたんだ」
長火鉢に炭を足していたるいが、少しばかり、つんとした。
「御存じでしょう、あの人が男前に弱いのは……」
「青江屋の若旦那」より
片思い(多分)の娘さんを心配させたり、るいさん夫婦にちょっぴり波風立てたり。本人の知らないところで。
   
男前知らぬところで罪作り
   




「仁兵衛の考えは妾で肩身せまく暮すより、故郷へ帰って嫁入りしたほうが幸せということでしょう。実際、好吉の母親は再縁したようですよ」
「青江屋の若旦那」より
かわせみにはよく登場する外に女子供を作る亭主が出てきますが、本妻も妾たちも不幸にはなっていない、というのがいいですね。源さんのセリフにあるように、仁兵衛が女たちの行く末を考えて自分なりに誠実に対処しているおかげでしょう。「三日月紋の印籠」の殿様とは対照的だなと思いました。夫と書いて(つま)と読むのは吉川英治の小説に出てくるので使わせていただきました。
   
妻子らの幸せやはり夫(つましだい
   




とにかく、一件落着なので、お骨折りまことにありがとう存じました、と源三郎が帰ってから、東吾はお吉をはじめとする女中軍団に白い目で睨まれた。
「青江屋の若旦那」より
剣の腕で対処できる攘夷志士よりも、こういう状況の方が東吾さんは苦手では?女中軍団(アマゾネス)は、まるっきり当て字ですが、思いついたらイメージが離れなくて。
   
攘夷志士よりも恐ろし女中軍団(アマゾネス)
   

かわせみのデキる女中さんたちを敵に廻したら、それはそれは怖いでしょうね。「アマゾネス」……懐かしい響きです。
(こでまり)



 浅黄裏さんの五七五 

「若旦那」は四人いたのだと思いました。本妻の亡くなった息子、成太郎、好吉、若旦那詐欺の犯人・作太郎。そうして、いろいろあったけど最後には成太郎が跡継ぎの若旦那になったんだなと思いました。成太郎はまだ戸惑っているということですが、自分の祖父母や母をとられたような気になっているのかもしれません。若しくは、中野村のことも青江屋のこともうまくいきすぎた事への戸惑いでしょうか。
いろいろな人がみんな気持ちよくて、好きなお話です。でも本題の(?)成太郎と好吉のことは詠めませんでした。
(浅黄裏さんの談)

「青江屋さんに註文しましたの。大ぶりで使い勝手がよさそうでしょう」
おちかが少しうろたえて、赤くなった。
「本当に、波に千鳥が、とても美しゅうございます」
「青江屋の若旦那」より
おちかさんが可愛くて詠んでしまいました。お店の奥ですましているお嬢さんではなく、ちゃんと商売を手伝っているのが好感度大ですね。特に容貌について触れられてないところをみると器量は十人並みなのでしょうか。でもきっと素直な可愛いらしい人なんじゃないかと思います。
このふたりが夫婦になって青江屋を継いでいくといいかもしれないと妄想しました。
   
心寄す千鳥は遊ぶ皐月波
   

さすがに浅黄裏さんらしい、おちかさんの人物描写ですね。確かにいい娘さんだけど、その淡い恋心はすっかりスルーしてしまいました。椀の柄の「千鳥と波」も上手く詠みこまれていますね。
(こでまり)
「皐月波」きれいな言葉ですね〜。「千鳥」の配し方も素晴らしいです。おちかの切ない気持ちがよく伝わってきました。おちかのほのかな思いは、このお話の中では点景ですが、これだけを掘り下げていくと、またひとつ別のお話ができそうですね♪
(はなはなさん)



「本当に、もうお吉ったら……」
怒り切れないで、るいは長火鉢の前へすわって埋み火をかき起した。
この二、三日、天気がぐずついて夏だというのにどこか肌寒い。
「青江屋の若旦那」より
お吉さんの言葉にドキッとしました。あの冬の夜があったことを思い出させられて…。
「青天白日」かどうかは、難しいですね。ただ一人るいさんにとっては。
   
季はずれの埋み火おこす夏の居間
   




久しぶりに聞きましたね♪
ここは変わらぬ光景で、ホッとします。
   
風五月「馬鹿ばっかし」を撫でていく
   




 たまこさんの五七五 

塗り物が出てくる話は、前にお題になった「錦秋中仙道」もそうですが、塗りの食器といえば、かわせみのお出入りは「恋娘」に出てきた「池之端の京本屋」じゃなかったんでしょうか?山口屋の与之助さんの転職の面倒も見たはずだったけど、京本屋さんの商売はうまく 行っているのかなぁ…
(UP後に)
今月も力作がそろっていますね〜〜 もう、はいくりんぐが無いと、オール読物が出ただけでは次の月が来ないって感じになっています。でもお忙しいのは重々承知しているので、くれぐれもご無理のないように・・・(あ〜なんか空々しいかも。でもホント、大変な時には、お盆休み・秋休みとか入っても、良い子で待っていますので)
(たまこさんの談)

琴吹屋のおちかさんの娘心がいじらしい冒頭シーン。このまま成太郎若旦那と添えるといいのにねとオバサンは思うのですが。
   
走り梅雨騒ぐ心の波千鳥
   

今月は、たまこさんと浅黄裏さんがいいところで競演してくれてます!こちらのお句からも、おちかさんの気持ちが伝わってきますね。
(こでまり)
浅黄裏さんとたまこさんの波と千鳥の競演、さすがです。おちかさんの淡い思いがいじらしくて可愛いですね。優しい視点だと思いました。
(コシキブさん)
浅黄裏様とまるでデュエットのようで素敵! 青江屋の若旦那と上手く縁談が起こってほしいな〜と思いました。
(はなはなさん)



「よくも、そうべらべらと他人様の家の内証事を喋りまくれるものですね。どこのお宅だって世間へかくしておきたい事情の一つや二つはあるものなのに……」
「こちら様にはございませんです」
「青江屋の若旦那」より
「世間へかくしておきたい事情の一つや二つ」と言われても、この家にはそんなもの無いと100%安心しきっているからお吉の噂話は筋金入りなんですよね。読者だけがドキドキ。
   
噂呼ぶ居間は卯の花曇りにて
   




麻の座布団へどっかと胡坐をかいて女房の表情を窺った。
「まるで夜逃げの思案をしているって顔だったぜ」
「馬鹿ばっかし……」
「青江屋の若旦那」より
久々に「馬鹿ばっかし」が出たシーンなので、ここは是非と思っていました。
   
恋女房眺めて座る夏座布団
   

いつの間にか貫禄が出てきた東吾とるい。夫婦の年月がしのばれますね。
(はなはなさん)



高橋の上で源三郎が足を止めた。
いい風が吹き渡っている。手拭いを出して額の汗を押えながら源三郎が打ち明けたのは、たしかに奇妙な事件であった。
「青江屋の若旦那」より
やっぱり源さんにも登場してもらわないと…でも、事件のほうは、全く関係のない所で、いつのまにか解決していたんですね。
   
川風も汗を止め得ぬ難事件
   




締めの句は、「侍も町人も同じ兄弟愛」がテーマになるはずだったんですが、なぜか道がそれた…(>_<) 「女中軍団」ってすごいですね(^^ゞ わかっている所だけでもお吉・お石・お晴…(怖)女中たちの目を逃れて、おるいさんのいる居間へ向かう東吾さんですが、おるいさんはもっと怖そう。
いつもながら帳場から無言で見送る嘉助さんがいい味出してます。
   
厨避け飛んで火に入る東吾かな
   

詠んでいるうちに道がそれること、私もよくあります。ここで嘉助さん目線になるあたり、やっぱりたまこさんらしくて良いわあ〜。
(こでまり)



【たまこさんの現場検証】 今月の現場検証はこちらからどうぞ!!
今月も本当に盛りだくさんの検証ですよ。
ありがとうございました。
たまこ姐さんの現場検証も、広範囲を丁寧に、かつ楽しく検証されていて、 バーチャルお江戸散歩を楽しめました。
(すみれさん)
現場検証は、益々充実して「かわせみ」縁の地を網羅する勢い!以前行ったことのある場所が登場してとても嬉しかったです。
(あっちの管理人さん)
現場検証も濃い内容で、読みふけってしまいました。中野というともっと遠いイメージがあったのですが新宿からそんなに離れてないんですね。機会があったらぜひ行ってみたいです。おたま姐さんもお疲れ様でした♪
(はなはなさん)
現場検証も楽しく読ませていただきました。象のお話が印象に残りました。飼育を任された人は戸惑ったでしょうねー。何の資料も無いなか、よく14年も長生きさせたもんです。西田敏行さんが吉宗を演じた大河ドラマでも、息子たちと象の話をする場面がありましたね。
(コシキブさん)



 すみれさんの五七五 

離れて育った異母兄弟のお話で、初期の頃の「藍染川」を思い出しました。育ちは違うし、父親から離れていても、母や祖父母の愛を沢山受けて育った二人のようですね。読んでいても気持ちが温かくなります。
(UP後に)
爽やかなお話で、発句ポイントがニアミスしているのが、興味深いですね。それぞれの個性で、五七五に微妙な味わいの差がある…「はいくりんぐ」の楽しさを今月もありがとうございました。冒頭の場面は素通りしてしまったので、皆様の視点になるほどなぁと、読み返しました。
(すみれさんの談)

お吉が首をすくめた。
「若先生は青天白日、御立派でございますから、御新造様はお幸せでございますです」
嬉しそうな顔で居間を逃げ出して行った。
「青江屋の若旦那」より
るいさんとお吉さんのやりとりにドキッ!東吾さんが居たならどんな顔になったかしらね。ここに反応する方は他にもいそうだな。
   
真実は知らぬがはなよ夫婦碗
   

お吉さんの青天白日発言の所は詠みたかったけど出来なかったところなので、すみれさまの「真実は知らぬがはなよ夫婦碗」は、特に印象に残りました。
(麦わらぼうしさん)
ここはぴりっと利かせておきたいところですよね。天下泰平な東吾にお灸を据えることができるのは、案外お吉しかいないかも。
(はなはなさん)



「享保の頃、八代様の時代だが、交趾国から雄雌の二頭の象が献上されてね。長崎から京都へ来て天子様にお目通りした後、江戸へ連れて来られて、将軍家にも拝謁したそうだ」
「青江屋の若旦那」より
お江戸に連れてこられた象のお話、クイズがあったお蔭で調べる機会ができ、とても勉強になりました。
「源」つながりもありましたね。昔、象の世話には大変なご苦労があったでしょうね。でもそれよりずっと前に福井の小浜へ来ていたなんて驚きでした!小浜(オバマ)は今、旬の場所ですね♪
   
象の夢バナナ食べたし歩きたし
   

何だか楽しいお句ですね。お江戸の人たちもさぞかし驚いたことでしょう。当時の日本にはバナナはなかったでしょうから、何を食べさせていたんでしょうね。
(こでまり)
象は何を食べていたのでしょうね林檎とか野菜とかでしょうかお江戸は象には結構寒かったのではないでしょうかでも14年も生きたそうですから象とマンモスは生態が違うんですよね?
(ぐりさん)
「ばなな」とひらがなで書きたくなるような、ユーモラスでそこはかとなく悲しい、童謡のような御作だと思いました。
(はなはなさん)



るいさんを一人で帰らせた結果、成太郎の無実や兄弟の間柄が解ったわけですが、東吾さんも大胆な事をしたものです。後々までお吉さんやるいさんに仕返しされそう♪
   
捕り物に負けて独りの青田道(by るい)
   




俺は田畑で働くのが一番、性に合っているといった。
「俺にはおっ母さんも、かわいがってくれた爺ちゃんも婆ちゃんも、みんな死んじまって誰もいねえ。あの家にいると、おっ母さんも爺ちゃんも、婆ちゃんも生き返って来たみてえで、俺は嬉しくなってちまった……」
「青江屋の若旦那」より
好吉さんは一番幸せになったのかも知れません。父親以外、育ててくれた肉親を亡くし、苦労してきたのに、ひねくれもせずに兄を尊敬できる人柄です。その兄のお蔭で、新しい肉親と共に身にあった農業で生きていく事ができますから…時代の変遷があろうとも、大地に根を張った生き方ができる人は強いですね。
   
よみがえる絆かみしめ田植え歌
   

離れて育った兄弟のお話では「雨月」などもありましたが、あの話も悲しい結末でしたね。それに比べて好吉さんは実力を発揮できる立場を与えられ、しかも新しい家族もできました。そのことがしみじみと感じられる一句ですね。
(こでまり)



 コシキブさんの五七五 

実はまだ未購入だった「小判商人」の文庫、買いました。読みました!
「青江屋の若旦那」は人の縁や、お互いを思いやる気持ちの大切さが伝わるいい話でしたね。東吾の好奇心パワーにも感心です(笑)
(コシキブさんの談)

そのまんまですみません…。気を遣って庭伝いに帰ってくる東吾さんです。こういう場面もよくありましたね。宿屋という家業や女将である妻に誇りに感じているようにも思えます。
   
心得て家業優先夏の庭
   




「源さんがそれだけ青江屋について調べさせたということは、やっぱり只事じゃないな」
いい加減に教えろよ、と友人を肘で突ついた。
「青江屋だけではありません。このところ、内々にですが、日本橋から室町にかけて、大店の若旦那を根こそぎ洗っているのです」
「青江屋の若旦那」より
肩を並べて歩きながら青江屋の兄弟の話をする東吾と源さん。最初は牡蠣のように事件について黙っていた源さんに結局はしゃべらせてしまう東吾はさすが!八丁堀の旦那といえど長年の親友に笑顔でつつかれたら仕方ないですね。
   
友の口割らせる笑顔薫る風
   




「(略) 赤城に弟がいるのは聞いていましたが、会ったのはそれが始めて、それなのに始めての気がしませんでした。ずっと前から弟を知っていたような……弟も同じことを後になって申しました。兄ちゃんに始めて会った気がしないと……」
「青江屋の若旦那」より
中野村からの帰り道での成太郎の話では、初対面の弟と一瞬で心が通い合ったとか。育った環境は違えど、2人の苦労は似たものだったのかもしれません。成太郎も好吉も家族思いのいい青年達です。これからはそれぞれの得意分野?で力を発揮していくのでしょう。それにしても「若先生」は江戸じゃすっかり有名人なんですね〜。
   
若葉道ふたつの心帰すところ
   

帰り道の成太郎さんの話は、私もじ〜んとしました。道はこれからまた二つになりますが、いつでも心は一つなんですね。ところで、「若先生」の有名人ぶりは本物っぽいですね〜。
(こでまり)
なんだか今月の皆様の御作のなかで一番じんときました。「帰すところ」ここが素敵。若葉風のようなさわやかな兄弟と、東吾・長助。6月の、雨を受けてみずみずしい木々を思い浮かべました。
(はなはなさん)



 紫陽花さんの五七五 




通行が少いので、前を行く二人を見失うおそれはなくなったが、尾けているのを感づかれる危険は大きい。
けれども、好吉も成太郎もまるでふり返らなかった。日本橋から歩き続けて来たというのに、休む気配もない。
「青江屋の若旦那」より
一句しかできませんでした。
   
兄の背に“行かねばならぬ”とかいてあり
   

「一句」ありがとうございました!俗に大女優さんは「背中で芝居をする」とか言いますが、成太郎さんの背中にも必死の思いがにじんでいたんでしょうね。
(こでまり)
どんな思い出で好吉は兄を追いかけていたのでしょうね。心細いような、何としても突き止めなければ、と思いつめた好吉の気持ちが伝わってきます。
(はなはなさん)



オマケ…彼らは多少読み書きができるらしい。
   
   

前にかがみすぎるとお茶がこぼれそうになる分、湯飲みの方が上達が遅いのかもね〜。
(こでまり)
彼らは相変わらず可愛い字も書けるのね、−お茶が入っている分湯のみのほうが上達が遅いーの宗匠のコメントになるほどとうなずきました
(ぐりさん)
オマケは新機軸?かな、アイデア・洒落っ気がこたえられないですね。どうして毎月こんなふうに思いつけるんだろう?(あいつらが勝手に動いている、と言われそうですが)
(たまこさん)
意表をついたトリオのお習字にビックリ!やっぱり寺子屋で習ったのかしら…
(あっちの管理人さん)
彼らもお習字を始めていたとはびっくり・にやにやさせてもらいました。危なっかしい湯呑み、お茶をせっかく書いたお習字にこぼさないでね♪
(はなはなさん)
湯飲みのお茶がこぼれる云々と書きましたが、前にもそんなことを書いて、浅黄裏さんに「あれは中身なのでこぼれないんじゃないの」と言われたような……。そうそう、千春ちゃんが寝ているイラストの時でした。う〜あの時納得したのに、学習してないぞ、自分!
(こでまり)
たしかにそういう会話をした記憶があります〜。湯のみと呼んでいますが、湯のみと緑茶(静岡産とみた!)は一体なので、どちらが欠けても彼ではない気がしています。外側と中身は引っ付き合っているのです(←キッパリ言えるのは何故だ?)。表面張力とは別です(←なんで断言?)。だから傾けても逆さになってもこぼれないんです(←だから〜、作者でもないのに何故に言い切る!?)。…紫陽花さん、ごめんなさい。
(浅黄裏さん)
浅黄裏さんの湯のみ&茶たくのひとりつっこみ定義、面白い(爆) 海の水や人が地球からこぼれ落ちないのと一緒かな(ちょっと、違うか)
(すみれさん)
あいつらは千春ちゃんの手習いを真似ているだけで“習っている”とは違うような気がします。
湯のみの中身ですが、浅黄裏さんは「こぼれない」を力説していますが、こぼれるようです(笑)ただこぼれた分だけ自動的に補充されるのでいつもいっぱいでいるようです。想像ですが、熱くはないのではと思っています。人間が見れば熱いお茶を入れたのに飲まなかったので冷めてしまった状態なのでは。人間に使われるときは手足を出さず普通の湯のみのふりをしているようです。使うときにきれいに洗われて空の状態になったところで熱いお茶を入れてもらえるので油断さえしなければ「ばれない」とあいつらは思っているようなのです。
こんなことを真剣に考えているなんて……
(紫陽花さん)
あっこぼれてる!そういえば、いくつかの湯呑みにお茶を入れているとき、「あれ、これに入れて終りと思っていたんだけど、もう入っている。これに最初に入れたのかなぁ?」ということが時々あるような気がする…単なる認知症か? 浅黄裏説に深くうなずいてしまったので(だって前に中身をこぼさないで走っているのを見たような気がするし)お茶がこぼれる初シーンでビックリだ〜 「爆発だ〜」というような時にこぼれるのかなぁ。(芸術的達成感?)
(たまこさん)
あぎゃー!こ、こぼれてますね。拙説は撤回しますです。 紫陽花さんの自動給茶説(「説」じゃなくて、真相ですね)には納得しました。
(浅黄裏さん)
ずーっと以前にもお茶をこぼしながら走っている湯のみがいます。
(紫陽花さん)
お習字するトリオにもびっくり!のやりとりは大ウケです!そうか、お茶は自動補填されるんですね。アンパンマンが新しい顔をそのつど作ってもらうみたいに、こぼれると誰かに助けを求めて注いでもらうのかとも思いました。(けっこう真剣に考えてしまいますね)
(コシキブさん)
浅黄裏さんのキッパリした説が大受けだったのですが、ついにイラスト付で真相が明らかに〜〜。うひひひひ、こんな展開になろうとは、さっそく持ち帰らねば。(ずーっと前は「長助の女房」の時ですね)
(こでまり)



 ぐりさんの五七五 

秀作ぞろいの小判商人のなかでこのお話も大好きです、今まで兄弟を扱ったお話結構ありますねいいお話が多いですねでも姉妹を扱っていいお話しってあまり思いつかないのですそういえば姉の敵を取るという話はありましたね私が思いつかないだけでしょうか 今月もお願いします
(ぐりさんの談)

「長助、午飯は……」
東吾が気づいて訊ね、長助は漸くゆとりを取り戻したように笑った。
「ちょうど若え奴と交替で蕎麦をたぐり込んで戻って来た矢先だったんで……」
「俺も精進だが、たらふく食って来た」
「青江屋の若旦那」より
ひょんなところで出会う長助親分と東吾さん 昼飯はと東吾さんが聞きます
   
冷やしそば 手繰って飛び出す 青梅地へ
   

行く先もわからず、でも事件解決の鍵になるかもしれず、必死に追ってきた長助さん。東吾さんと出会えた時は本当にホッとした様子でしたね。
(こでまり)



兄弟それぞれに似合ったところに落ち着きましたね 二人のそれぞれに思い会う気持ちがそうしたのでしょうね
   
斑猫や それぞれの道 治まりぬ
   




このときのお吉さんのきっぱりとした態度 嬉しそうな顔るいさんももう怒りきれないで
   
吉も言う 青天白日 信じたい  byるい
   

お吉さんの返事は全然違う次元なのに、金科玉条のように言うから、るいさんも力が抜けちゃうんでしょうね。でも「青天白日」かどうかは、新作のオール読物に書かれていそうで、そちらも本当に気になりますね。(私は単行本になるまで待ってる派なので、ご本家掲示板もそこだけスルーしました)
(こでまり)



だしぬけに庭のほうから東吾の声が聞えて、るいは腰を浮かした。
  (略)
「さっき、何を考えていた。心配事でも出来たのか」
「青江屋の若旦那」より
でもこのとき気になるのは東吾さんの言葉 『夜逃げの思案でもしそうな顔」 唯人の恋模様を考えていただけなんでしょうか? 似ている麻太郎と千春に不安を持ったこともありましたね 何か思うところはあったのではという気もします その辺も明治篇で明かされるのでしょうか 発売間近ですね どきどきします
   
夏火鉢 囲む背なには いちまつの
   




「東吾さん」
背後から声をかけられる前に、東吾は彼がそこに来ているのに気がついていた。
「青江屋の若旦那」より
いつもなにかをしていても気配でお互いを認め合う 年季の入った二人の関係やっぱりいいですね 明治篇をキッズを主にするためにはこの凄い二人の存在があっては成り立たなかったのかも と今になっては分からないでもないという気もしないではないですが やっぱり三爺見たかったですよね 東吾さんはどうなるのでしょうねどきどき〜
   
気配でも 気づきあう友 巻羽織
   

東吾と源さんは本当に以心伝心。明治編のことを思うにつけ、この2人あっての麻太郎・源太郎の明治編だと思います。
それにしても東吾の背中には目がついているのか?(笑)
(はなはなさん)



 茜雲さんの五七五 

今月は比較的時間があり、早々に本も購入し、作品も何度も読み返したのに全然浮かばず結局ぎりぎりになってしまいました。それでも何とか送れてよかったです。どうぞよろしくお願いします。
(茜雲さんの談)

素早く店へ入ってるいに急な用で長助と行くから適当に駕籠で帰ってくれといい、駕籠屋には余分の酒手を与えて、間違いなく大川端町まで送るよういいつけて表通りを大木戸へ急いだ。
「青江屋の若旦那」より
翡翠が夏の季語と知って、これは絶対入れなければ…と強引に作りました。
   
翡翠の如く飛び 女房置いていき
   

上手いこと詠み込まれましたね〜。ついっと滑るように飛ぶカワセミは東吾にぴったりだと思いました。
(はなはなさん)



長助と同じく縞の着物の裾を帯の後に挟んでいるが、笠も杖も持たず、下駄であった。
「好吉で……」
  (略)
こちらは小さな風呂敷包を背負い、どこかで調達したのだろう真新しい笠をかむって、草鞋ばきであった。
「青江屋の若旦那」より
   
それぞれに思い詰め歩く青田道
   




適材適所…って言葉をうまく言い換えられないかなってずっと考えていたのですが結局浮かばず。
   
町に野に根を張りそだつ新樹かな
   

「新樹」の季語がピッタリの二人、暮らしは町と野に分かれましたが、ますます立派な青年に育っていくでしょうね。
(こでまり)



「そいつはわからねえが、成太郎って奴、出来はどうなんだ。評判の極道者かい」
  (略)
「若先生ほどじゃございませんが、ちょいとした男前で人柄はよし、腰は低し、商売熱心で、青江屋は若旦那の代になってからお得意先を二倍にもしたって、あそこの番頭さんがいってます」
「青江屋の若旦那」より
(おまけ) お吉さん男前が出てくると必ずこう言っているような。しゃべってる表情まで浮かびます。どの句より先にこの言葉が頭グルグルでした。
   
お吉贔屓の若旦那 男前されど若先生程じゃなし
   

「男前」に反応するお吉さんですが、いつも東吾さんと天秤にかけて優越感を味わっているみたいですね。
(こでまり)



 千姫さんの五七五 

先月は読んでいる途中から五七五が次から次へと浮かんできて、数をまとめるのに苦労したくらいなのに、今月は、お題から「青江屋=鯖=歯痛」が何故か頭から離れず(笑)五七五の方はさっぱり浮かんで来ず、の苦労でした。
(千姫さんの談)

御新造様は泣いていらっしゃいましたよ、と大袈裟にお吉がいい、慌てて居間へとんで行く東吾を、帳場の嘉助が気の毒そうに見送った。
「青江屋の若旦那」より
あ〜ぁ、やっちゃった東吾さん。捕物に夢中になって、おるいさんを置き去りにしちゃうなんて。
「るいを信じているからったって、心細かったんだから、怖かったんだから…」
   
無事帰着汗を拭って涙拭く
   

出かける時から乗ってきた駕籠なので、駕籠屋も顔なじみなんでしょうが、考えて見れば出かけた先で置いてかれるなんて、やっぱり可哀想ですよね。
(こでまり)
「おせん」じゃなくて、お千ちゃんのコメントに大受けしました。
(すみれさん)
るいさんの涙は悔し涙だったのかも。「わかっちゃいるけど、捕物に負けるなんて〜」
お千さまのコメントもウケました♪
(はなはなさん)



かわせみの好きな所は、人と人との絆の深さ、思いやりの心、なんです。じんわり涙が湧きそうになって、心には爽やかな風が吹いて晴ればれとした気持ちになれます。
   
兄想いどこか似ている初夏の風
   

成太郎と好吉の互いを思う気持ちにほろりとしながら、 通之進と東吾の兄弟愛も味わえる。やっぱり平岩先生は上手いなぁ〜と気づかせてもらえる御作ですね。「どこか似ている」が好きです。
(はなはなさん)



「俺は大川端のかわせみという宿屋の亭主でね。こっちは深川の長寿庵の亭主だ。少々、用事があって中野村の宝仙寺という寺まで行く途中なんだが、よかったら近くまで一緒に行こう」
  (略)
長助は東吾が何を考えているのかおおよその見当がついたらしく、黙って草鞋の紐を結び直している。
「青江屋の若旦那」より
長助は東吾との出会って勇気百倍。おまけに東吾の博学のお陰で(先月はスベっちゃったけれどぉ〜)、追跡が名所参詣になって東吾さま、様♪
   
追っていく供に供する寺参り
   

「供に供する」が上手いですね。宝仙寺の場面は成太郎さんが犯人ではなさそうだとわかって、どこかホッとした雰囲気もあり、いい息抜きになっていますね。
(こでまり)
お千さんの「先月はスベっちゃったけど」で「清姫おりょう」のほうも復習(笑)
(たまこさん)
言い回しが面白いですね〜。ついでのお寺参りなのに、なんだかのんびりしていて良い感じの長助と東吾ですよね。
(はなはなさん)



 花みずきさんの五七五 

最近は仕事と家事と子供の学校のことに追われ、お題に入り込める時間が少ないのですが、考えている間はみんな忘れて集中できることで癒されている今日この頃です。さて今回ですが、恋のお話かと思いきや兄弟の爽やかで好きなお話しなのですが出来ない!でもなんとか・・・ よろしくお願いします。
(花みずきさんの談)

一緒に育っていないからでしょうか?どこかお互いが遠慮しているように感じもするのですが、お互いのこと大切に思っているのも伝わってきます。
   
兄弟の間に流る涼風よ
   

寒さ橋の場面では普通の兄弟喧嘩かと思いましたが、言葉の端々に相手を思う様子が見えますね。その後もお話が進むほどに、兄と弟がかもし出す「涼風」が心地よいお話でした。
(こでまり)
この御作のままのお話でしたね。込み入った謎解きになるのかと思いましたが、さわやかな兄弟のお話でほっとしました。
(はなはなさん)



「夢中で母親を看取り、祖父母と話をしました。二十年余り、母も祖父母も手前が帰って来る日を必死で待ち続けていたのです。祖父は老い、手前を頼りにしていました。手前は中野村へ帰らねばと気がつきました」
「青江屋の若旦那」より
弟を思う気持ち、母や祖父母を思う気持ちを読んでみました。
   
草笛や深き想いと決意あり
   




「そこで、可笑しい話なんですが、その男、作太郎と申す奴ですが、年頃はまあ青江屋の成太郎と似たりよったりですが、容貌はまるっきり違いました」
少なくとも、男前はかなり落ちるという。
「青江屋の若旦那」より
お吉さんが怒るのが目に浮かぶ…
   
男前あてにはならぬひとの目よ
   




 はなはなさんの五七五 

今回のお話は爽やかなお話でしたね。事件は見込み違いで、中野まで尾けて行った長助と東吾は大変でしたが、そのおかけで疑いも晴れましたし、成太郎・好吉兄弟のお互いを思う気持ち、人柄のよさもわかって、読んでいるほうまで気持ちが暖かくなりました。
(はなはなさんの談)

成太郎と好吉、腹違いとはいえ、気持ちの優しいのは父譲りでしょうか。寄り添って、心を合わせて、あちこちを丸く納めて、皆が幸せになったのが印象的でした。 群れて咲くあやめ(文目)のように爽やかな人々が集まったのですね。
   
寄り合ひて心縒り合う文目かな
   

DNA的に考えると、やっぱり父親似なんですかね。私は本妻さんと似たような時期にお妾さんにも子どもを生ませ、本妻さんの子が亡くなったら引き取りに行ったまま、一度も中野へ帰さなかったなんて、ちょっと勝手な人!などといろいろ思ってしまいました。でも好吉さんがやって来た時にすぐに家に入れたことを考えると、子煩悩な人なんでしょうね。
(こでまり)



成太郎は孫兵衛の家の前で待っていた。
「好吉、たのむぞ。無理はするな。俺はもう一度、お父つぁんに話してみる」
「心配するな。兄ちゃん、おっ母さんも爺ちゃんも婆ちゃんも必ず俺が守ってみせる」
兄弟がふっと手を取り合い、それから弟のほうが東吾と長助へ頭を下げた。
「青江屋の若旦那」より
街道を行き来した兄弟と東吾、長助は大変でしたが、 爽やかな5月の風が上手く幸せを運んだようで本当に良かったと思います。
   
薫風は行きつ戻りつ幸求め
   




 こでまりの五七五 

月初に「うん、いいお話〜」と油断したのがマズかった。今月は大トリをつとめることになりました。
(こでまりの談)

この場面ですが、夫婦の応対が逆なのがとっても面白いですね。東吾さんはお客さんや嘉助さんに気を遣って庭に廻っての御帰宅です。
   
若葉寒客を気遣い庭づたい
   




「千春はお習字か」
「はい、お晴がお供でついて行きました」
「それじゃ手が足りないな。るいが出て行かなくていいのか」
「お吉が馴れていますもの」
「青江屋の若旦那」より
迎えるるいさんは、東吾さんが庭から入ってきたので表が忙しいと分かったはずなのに……、悠々と東吾さんの着替えの支度をしています。
   
夫が先客はその次袷出す
   

るいの幸せぶりがうかがわれますね。東吾のほうは気を遣って「庭伝い」なのに。かわせみの幸せな日常が切り取られていてしみじみします。
(はなはなさん)



この「寒さ橋」→「波除稲荷前の橋」→「高橋」→「亀島橋」と歩きながらの場面は、ずい分動きのある場面ですね。でもドラマだったら出てくる橋は1つだけだろうなあ。
   
橋ひとつ渡れば安し初夏の風
   

これもさりげないのですが、江戸の夏を思い浮かべることができる、素敵な御作だと思いました。たくさんの橋をわたる距離感や、川風の心地よさを感じました。
(はなはなさん)



るいが立ち寄ったのは素朴な麦藁細工を商う店で、女の買い物はどうしても長くかかるから、東吾は店の前でなんとなく往来を眺めていた。
「青江屋の若旦那」より
せっかく東吾さんと出かけてきたんだし、こんな時はお買い物もしたいですよね。麦藁はこの季節の季語だったんだ〜って、改めて実感。お店の中も、いい香りがしそうですね。
   
店先も香る麦藁細工かな
   




「弟は凄い男でございます。二十二年もの間、赤城の山里で貧しい暮しをし、母親を祖父母を次々と失い、一人ぼっちになって江戸へ出て来ました。あいつが汗と埃でまっ黒になった顔で店先にいた手前をみて、兄ちゃんと呼んだ声を手前は今でも耳の中にしまってございます」
「青江屋の若旦那」より
兄も弟も、互いに相手のことを心から「凄い」と言ってるんですよね。それも「凄い」ことです。弟は兄の目をよく見ているし、兄は弟の声をしまっている。本当はここもそれぞれに詠みたかったのですが、私にはハードルが高かったです。
   
子鴉や兄ちゃんと呼ぶ声今も