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 おたぬきさん
新装版「秘曲」より  (平岩弓枝著:文芸春秋刊)
先月は「横浜から出て来た男」にご参加くださいましてありがとうございました。またご覧下さいました皆様もありがとうございました。欠席の方も多かったのですが、しみじみとしたお句が揃い、読後感も爽やかでしたね。

さて、今月は「おたぬきさん」を選びました。

のっけから「九月十五日」とはっきりした記述があるのですが、その後に「この前の十五夜は」とあることからも新暦十月のお話だとわかるので、取り上げさせていただきました。
そのお月見のお団子を受け取りに、東吾さんが団子屋の前で並んでいたところに、事件の一報が飛び込んできます。

さあ、今月はどんな五七五になりましたでしょう。
(平成十九年十月)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
今月のはいくりんぐですが、
どうにも出来そうにないので欠席します。
(麦わらぼうしさん)
宗匠への御見舞いのはずの今月のお題。
いち早く本を読みやる気満々だったのですが、
どうにも休みになるとやらなければならないことが山積みで、
じっくり考える時間が取れず今月はギブアップです。
本当にごめんなさい。
ワンセルフロシアンルーレット、詠みたかったのだけれどなぁ。
皆さんの作品を楽しみにお待ちしています。
(茜雲さん)
ごめんなさい、今月もダメです、
何もしてない時はボーっとしてしまって、
体調が悪い訳じゃないのですが…。
(花みずきさん)
「すまぬ」と源さんを気取ってみたいところですが、
今月はついに息切れで「はぁ」も出なくなりm(__)m
柳森神社は実は少し前に行ってきて写真はあるので、
ほとぼりのさめた頃(って犯罪か?)
こそっとアップするかもしれません。
(たまこさん)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 すみれさんの五七五 

「可愛い題名、綺麗な花の題名のお話しは内容が正反対…」平岩先生がどこかの本の対談の中で言われていたのを思い出しています。それと、「お勝」という名前の登場人物はそろって名前負けしていますね(>_<)
(すみれさんの談)

今回のお勝さんも自分の弱さに耐え切れずに服毒死を選んでしまいました。常備薬と紛らして毒をもる気持ちは…本当はまだ死にたくなかったか?思い切れなかったからこの方法になったのでしょうか? お秋さんに「すまないねぇ」と言ったのは、おたぬきさんに参拝して気持ちが固まり、自分なりに目印をしてあった薬を選んで飲み干したのかも?自分勝手に見えるけれど、気持ちが優しすぎて気鬱が酷くなったのかなぁとも思えます。
   
秋思果て異国にも似たルーレット
   

気持ちの出口が見つからない…お勝の追い詰められた気持ちが「果て」という言葉に表れている、と思いました。私も「おたぬきさん」にお参りしたお勝が、やっと死ぬ決心が付いて薬を選び取ったのかも、と思いました。
(はなはなさん)



「まるで仏さまみたいに神々しい感じがしますね」
小さくささやいて、居間の東吾をちらりとみた。
「おたぬきさん」より
折角の名月を鑑賞もせずに仕事に没頭してしまう、無粋な東吾さん…男って本当にねぇ… 今夜のお吉さんは団子よりもお月様が良いようで、やはりロマンティックな女性でした。
   
月明かり月見ぬ人の背にもあり
   

誰にも遍くそそがれる月光。「見ぬ人の背にも」がいいと思いました。
(こでまり)



源さんは、東吾さんを相談相手にして、かわせみの美味しい料理を平らげて八丁堀へと帰りましたが、途中でお月様を眺めたでしょうか?
   
月光やお役目終えて巻羽織
   




「結局、お店のためにはそれが一番いいと思ったんでしょうし、まわりの勧めを断り切れなかったのかも知れませんけど、女の気持としたら、なにかと厄介だと思います」
珍しく饒舌になっているるいに、東吾も長助も無言で聞いている。
「おたぬきさん」より
るいさんの講釈を聞いている東吾さんと長助さん、どんな顔をしていたのかしら?無粋な二人には複雑な女心は納得し難いでしょうね。
   
心持ち語ってあげましょ酔芙蓉
   




最後の場面にはっとしました。以前は読み過ごしていたのに、新時代になってから読み返すと、「俺は断じてるいより先に死なないからな。安心して…」東吾さんの言葉が、今となっては切ないです。 
   
三日月やこの世に一つただ一人
   

私も同じことを感じて、↓で愚痴った句を詠んでしまいました〜!
(こでまり)



すみれさんのお調べ帖  「その他のお勝たち」
今月登場のお勝さん、他のお話にも色々なお勝さんが登場していたので、自分の整理も兼ねて、書いてあります。ご常連の皆様はご承知だと思います。初めはそれぞれのお勝さんに語ってもらおうかな…と、妄想の神様御到来を待ってみましたが、残念ながら、見限られてしまいました。あ…今更ながら、才能が無いなぁ(>_<)
その1 「花冷え」より、芸者、千代次の母親
種違いで二人の子供をもうけた。出来の良い千代次に稼がせて、遊び人の弟の定吉と暮らしてきたが、最後は娘の行く末を思って、息子に毒河豚を食べさせ、自分もそれを食べて無理心中して果てた。(はいくりんぐH17年3月のお題)
その2 「女がひとり」より、飯屋の女中、おかつ
実家が零落した後、飯屋で働いていたが、女たらしの市之助との色恋と優しい与吉の情との間で心身共に翻弄され、最後は金を奪おうとして水死して果てた。(はいくりんぐ H16年8月のお題)
その3 「奥女中の死」より、水戸家奥女中みよじこと、お勝
実家は水戸家御用の深川の材木問屋 大忠。御役を終えて町中へと戻ってきたが、自分の居場所を探しあぐねて、独り芝居に及び、出入りの呉服屋の奉公人を巻き添えにして無理心中して果てた。(S.furrow こころ模様)
その4 「恋文心中」より、青山下野守の御後室、お勝の方
殿様の側室となり子を生したが、殿亡き後、幼なじみの坪内文二郎と恋をした。身篭ったのだが、一緒になれない境遇と逃げ腰の男の態度に悲観し、無理心中して果てた。
その5 「招き猫」より、神田の大月屋彦市の元女房、お勝
糟糠の妻であったが、子供と共に離縁されてしまい、娘と猫の置物を売りながら、やっと暮らしている。唯一、寿命を全うしたようだ。
「お勝」さん達に共通する所は、男運が悪い事でしょうか。気持ちを強く持って、自立し、男に頼らずに生きていけたなら、もっと良い人生になったでしょうね。
すみれさん、何て楽しい企画!お勝がこんなにいて、拙宅でもずい分扱っていたことをすっかり忘れていました。改めていろいろと思い出し、楽しかったです。お勝の共通点は確かにそんな感じですね〜。ありがとうございました。
(こでまり)
それにしても「お勝さん」がこれほど登場していたとは!すみれさんの「その他のお勝たち」楽しませて頂きました♪以前名前のイメージの話題が出たことがありましたが、「お勝」という名前、平岩先生の中では男運の悪い女性というイメージなのでしょうか…
(あっちの管理人さん)
私は「お勝さん」は、ふたりしか思い浮かばないでいたのです。こんなにもいたんですね〜。しかも多彩!あの人もこの人も「おかつさん」だったんですね!すみれさん、ありがとうございました♪
(浅黄裏さん)
すみれ様の『お勝考』、私は思い浮かんだのは二人…まだまだ読みが甘い(ーー;)
(みちころんろんさん)
「お勝さん」て、こんなにいたんですね!それもみんな男運が悪い…言われるまで気づかなかったなぁ〜私もやっぱりまだまだ読みが甘いです…すみれさま、ありがとうございました。
(麦わらぼうしさん)
私も「おかつ」さんはいっぱい居るよな〜と思いながら、すみれ様のようにまとめてみようだなんて、ちっとも思いませんでした。う〜む、名前負けしちゃうのかな…親はいろいろな思いを込めて名前をつけるのだろうに、などと溜息をついてしまいました。
(はなはなさん)
すみれ様のお勝さん孝興味深いですこんなにたくさん其れも男運の悪い人ばかりなんて思っても見なかったです すみれ様の目線鋭いですね
(ぐりさん)
お勝さんリストは、愛想の無い箇条書きの物で、お恥ずかしい限りでしたが、宗匠の綺麗なデザインのお陰です。ありがとうございます。他のお話し中にも別のお勝さんがまだ登場しているかも知れませんね。
(すみれさん)
私もすみれさんの「お勝さん考」興味深く拝見しました。確かにお勝さんという名前はあちこちにでてきましたね。でもこんな共通点が あったなんて。面白いです。すみれさん、ありがとうございました。
(コシキブさん)

あっちの管理人さんのお調べ帖  「さらにその他のお勝たち」
すみれさんの「その他のお勝さん」以外にいるかなぁと探してみました。ワンシーン登場も入れるといくつかありました。こうやってみると随分沢山の「おかつさん」が登場してるんですねぇ。他の名前はどうでしょうね。すみれさんのおかげで新しい楽しみを見つけました♪
その6 「女主人殺人事件」より
日本橋の両替商、富田屋の女主人、お勝
女主人ばかりを狙った殺人事件と見せかけて義弟に殺された。やっぱり男運悪し、ですね。
その7 「神かくし」より
本銀町 煙草問屋山田屋孫右衛門女房お勝
二十三歳
大店の後妻になりながら、結局吉原に居た時の客であった店の番頭とかけおち。男運いいのか、悪いのか?!
その8 「怪盗みずたがらし」より
江原屋のお千絵の乳母の娘お勝
江原屋では、お千絵の乳母の娘のお勝が女中頭として奥向きの一切を取りしきっている。このお勝さんはなんにも事件に関わることはなさそうですね(笑)
その9 「黒船稲荷の狐」より
門前仲町の呉服問屋要屋の女房おかつ
娘のおしまさんの聟になった男がくわせもので、店が狙われた。
その10 「春や、まぼろし」より
深川猿江町の老舗の足袋問屋三河屋の娘おかつ
あまり出来のよくない姉妹の妹で、父親の先妻が残した娘になりすました女に店を乗っ取られそうになる。
その11 「蓮の花」より
深川佐賀町の大和茶屋の女中おかつ
若い頃は大和茶屋の主人次郎八といい仲だったかも知れないが、今は岩のように頑丈な女中頭になっている。
その12 鳥頭坂今昔」より
羅宇屋万三の歿った女房おかつ
万三と夫婦になる以前、夫に死なれ八歳になる一人娘を抱え父親の残した田畑や茶店を手伝いながら暮していた。でも万三さんと夫婦になり幸せに暮していたようで、良かった!
その13 「芋嵐の吹く頃」より
深川門前町の茶問屋清水屋の嫁のおかつ
大川に落ちた所を東吾に助けられた深川門前町の茶問屋清水屋の隠居金右衛門の長男金太郎の嫁のおかつ。"るいさんが見たところ、金太郎さんもおかつさんも人が良さそうだとか。こちらも事件に巻き込まれることなく暮していきそうですね。"
うわっ、てんこ盛り! すみれさんに刺激されたのか、あっちの管理人さんのリストも凄いですね〜。すみれさんのリストを見た時にも「へえぇ〜」だったのに、管理人さんのにもビックリ。中でも烏頭坂はつい先日読んだばかりなのに、頭に浮かびもしなかった自分がショックです。「およね」とか「吉右衛門」はよく出てくる名前と思ってましたが、気づかないだけで他にももっとありそうですね。すみれさんも管理人さんも、ありがとうございまっす!
(こでまり)
すごいです。言われてみればちゃんとお話も知っているし、覚えているのに「おかつさん」は記憶なしでした。「ばあやは、およね」以外に一部を除いて「おかつは男運悪し」が定着しそうですね。
(浅黄裏さん)
うわぁ〜こんなにも「おかつ」さんが!! あっちの管理人様、もう感服しました。すご〜い\(~o~)/ 自分の調べなんて、薄っぺらいものでしたね^_^; かわせみサイトの奥深さを実感できて嬉しいです。ありがとうございました。
(すみれさん)
今月は、パソコン入院は結局応急手当のみで本格的修理は見送って今までどおり使うことにしたものの、急な孫守りやら、風邪を引くやらで、せっかく月始めに早々と柳森神社は訪れたものの、ギブアップしてしまいました。前にどなたかが書いていらっしゃいましたが、欠席すると、何となく「くちびる寒し秋の風」って感じですね(淋)でも、そのぶん、いつも以上にじっくり皆様の御作を楽しませていただくつもりです!
そして何と嬉しい新企画、すみれさんの「お調べ帖」私は「奥女中の死」のお勝と「女がひとり」のおかつしか記憶していませんでした。管理人さんの追記もすごいですね!「お調べ帖」は、もちろん、今後も続きますよね?(名前調べだけじゃなくても、何のお調べでも)差し支えなければ、現場検証目次と並べてお調べ帖目次作ってもいいですよ〜
(たまこさん)
すみれさんのお調べ帖にも目がうろこでしたがその後をさらっと出される管理人様も凄いです やっぱりあまり幸せでない人が多いようでせっかく親のつけてくれた名前ですが負けているのですねお気の毒に それにしても今後いろいろなお調べ帖が続くと楽しみですね、名前もまだまだいろいろありますね
今月はたまこさまの欠席に少し驚きましたいろいろ差し支えがおありだったのですね、『唇寒し』は本当ですねなので参加するに意義ありと思って毎月参加させていただいておりますがどうしても無理というときは皆さんの句を楽しまさせていただきます
(ぐりさん)
「おかつ」さんこんなにも登場していたなんて〜すごいです。お話は全部思い出せるんですが、登場人物は思い出せないです。お題になっているお話もあるのに〜(>_<)もう1回読み返してみよう(^^♪ さっそくの「お調べ」ありがとうございました。 あらら、たまこさまもお忙しかったんですね〜。風邪はもういいのでしょうか。 またぜひお時間のあるときに「柳森神社」拝見させてくださいね。
(はなはなさん)



 千姫さんの五七五 




「しかし、それで死ぬ気になるか」
「わかりませんけど、ただ、お勝さんが一人ぼっちに耐え切れなくなっていたのだと……」
自分の周囲に気を許せる者が一人もいない。
「おたぬきさん」より
秋の夕暮れはふっと温もりがほしくなる時がありますよね。お勝はいつもの薬に石見銀山を混ぜても区別がつかないと気が付いたり、ロシアンルーレットのような死に方を考えたり、遺書が後から出てきて自殺だとわかるようにしていたりと、頭のいい人だと思います。
そのしっかりとした頭の日に、残される娘の事をもう少し気に掛けてやってほしかったなぁ。後の波紋は広がるばかりで、残された人達の事を考えるとせつない物語です。
   
秋深し 川面に小石 投げ入れる
   

「川面に小石投げ入れる」がとても印象的です。お勝が小石を投げたのは、いつのことなんでしょうね。命を絶とうと決めた日か、毒薬を作った日か、それともそれを飲んだ日か。いろいろと考えてしまうお句です。まだまだ必要とされている人だったのに……。
(こでまり)
こんなに周りを驚かすとは、お勝自身考える余裕がなかったのではないでしょうか。残される人々のことを考える余裕もない状態だったのかも。もう少し怖いことを考えると、小石を投げるように、人の思いもよらないことをして死ぬことで、自分の本当の気持ちに気がついてほしかったのかもしれません。
(はなはなさん)



(いくら頑張っても一つしか出来なかったので…)余計なおまけを。
   
満月に 二すじのわだち 玉の跡
   

「二すじのわだち」お勝の涙のあとかもしれませんね。明治編を知った今となっては、天に昇った東吾さんと源さんかもしれない、と思ってしまいます。東吾さんは死んでない、と思いたいのですが、お話はそう上手く行かないような気がして。
(はなはなさん)



 こでまりの五七五 

お勝のかかりつけ医が言う「どなたにでもあること」って、今で言う更年期でしょ。三十五歳のお勝が〜って(ないことではないけど)まずそれがショック。それにそのための薬がもとでマイナス思考になったなんて。江戸時代って女性が「売り手市場」だったらしいから、二度目でも三度目でも有難く貰われてあげて、大きな顔をしてたら良かったのに。それに娘にだって商家の内儀としてこれから教えなきゃいけないことも山ほどあるはずだから、先輩としてもっと自信をもてたら良かったのに。などと思うのは読者だからで、一つ掛け違うと、お勝のような気持ちは誰にでも出てきそうです。
(こでまりの談)

柳原という名前の通り、神田川の筋違御門から浅草御門までの堤には川に沿って柳の木がずらりと並んでいる。
  (略)
もともとは、太田道灌が江戸城にあった頃、この辺り一帯の鎮守神であり、城から鬼門に当るので、方除けに柳を植えたとも伝えられている。
「おたぬきさん」より
たまこ姐さんのおかげで、今年は柳原の柳を身近に感じられましたね。
   
方除けの柳の列や秋の水
   




「花より団子」って言葉がありますが、東吾さんたちは「月より事件」ってところでしょうか。それにしても、やっぱりこの二人は、思いあっているんですね。
   
月よりも竹馬の友を待つ良夜
   




周囲のいろいろな人の思惑に振り回されていた時は、本当に辛かったと思うのですが、一度心を決めたしまったら、むしろ楽になったのではないかと思います。乳鉢で薬(毒?)を作っている時は、静かな心持ちだったのではないかと思いました。
   
秋思みな包みて練るや銀の粒
   

まずは「更年期」というのにびっくり。江戸時代のこの年齢はそういう感覚かも知れませんが…。厄を過ぎて、ちょうど体が変わる頃のうつ状態だったのかも。確かに気を大きく持てば乗り切れた状況でも、お勝にとっては大きすぎる荷だったのかもしれません。
何度も何度も考えた末に、薬を作っている。そのお勝の気持ちが身近に感じられたのです。
(はなはなさん)



「お勝は、いつも薬を飲んだあと、包紙を傍の者に渡すのか」
と東吾が訊ね、お秋もお八重もかぶりを振った。
  (略)
「すると、昨日に限って、お秋に渡したんだな」
「おたぬきさん」より
普段渡さない使った後の包紙をお秋に渡したことからも、その一包を取り出した時に、お勝は何かを察したのではないかと思いました。「混雑の中で自殺などするか」と東吾さんは言いましたが、むしろ雑踏の中でこそ、お勝は背中を押されるようにそれを飲むことができたような気がしました。
   
その時をひとりで覚り秋の宮
   




これは私のボヤキです。
それにしても自分は先に死なないから「安心しろ」って、わかるようなわからないような東吾さんの激励の言葉だわ〜。
   
夕月や安心してと言ったのに
   

そう、男ってみんないい気になってそういうことを言うけど…。結局危険に飛び込んでいくのは男なんですよね。それがカッコ良いんだけど。
(はなはなさん)



 あっちの管理人さんの五七五 

遅くなりましたが、今月はなんとか参加出来るので嬉しいです!3句だけなのですが、やっぱり「はいくりんぐ」は参加することに意義があると思ってお送りします(笑)
今月のお話、地味な話ですが面白い題名とともに印象に残る話でした。
 (UP後に)
面白い題名とは裏腹の哀しいお話で、やはり皆さんの句も深く静かな秋の冷たさを感じるものが多いですね。
(あっちの管理人さんの談)

果して、月がまだ上らない中に源三郎がやってきた。
「やっぱり、うちの若先生と畝の旦那とは、以心伝心っていうんですねえ」
「おたぬきさん」より
「おたぬきさん」の出開帳で賑わう境内で女が死んだ。すわっ事件か!? いつもの源三郎、長助コンビに東吾さんも加わって事件の探索が始まるという時。東吾さんと源さんにはしっかり結ばれた朱房色の糸がある?
   
月待ちの以心伝心胸のうち
   

うふふふふ〜「朱房色の糸」って。でも確かに繋がっている気がしますね。
(こでまり)



雲一つない夜空に、月は一人でみるのがもったいないほど冴え冴えと輝いている。
ことりと小さな足音がして、お吉がるいの隣に並んだ。
「おたぬきさん」より
るいさんのお月見のシーン、まるで映像を見るようにその姿が浮んできます。晩秋のひんやりとした夜気の中で、お吉さんと二人、静かに月を見上げる後姿を明るい月が照らしていたことでしょう。
   
冴え冴えと月見る影の二つあり
   

この主従二人のしみじみした月見を、私もこんなふうに詠んでみたかったんです。
(こでまり)



女の気持は女にはわかる…るいさんが女心の解釈をして事件解決となった話がもう1話「幼なじみ」がありましたね。東吾さんや源さんには解らない、女だからわかる女心。頼りにしていたご亭主に死なれ、気乗りがしないまま店のために再婚し、誰彼に気兼ねしながら暮す毎日。もう若くはない女が夕暮の中に一人ポツンと立った時、秋風がより一層冷たく感じられたのでしょうね。
   
夕紅風の冷たさ吾一人
   

なんだか胸に迫るような御作です。寒々と一人で秋を過ごす寂しさは、言葉に尽せないと思います。おるいさんにも大事な人が居るから、その気持ちがわかったのでしょうね。
(はなはなさん)



 浅黄裏さんの五七五 

お勝さんの迷いはどこにも拠り処がないことから発しているような気がします。お勝さんは、自分ひとりでお店を切り盛りしていく気概も才覚もなく、と言って傾かせたり潰してしまう程の馬鹿でもないんです。だからこそ周りの意見をいれて辰三郎さんと夫婦になったわけですが、果たしてそれが正解だったのかどうかわからないまま来てしまったんですね。たとえ偽物でもいいから誰かが「それで正解だよ」と言ってやっていれば、こうなってはいなかったという気がします。「偽物の正解」というのは、たとえば「実は昔から好きでした」と辰三郎さんがお勝さんに言ってやることです。その言葉を拠り処に「自分の選択は間違っていない」とお勝さんが思えたなら、初めは「偽物の正解」だったとしても年月と共に「真の正解」になったかもしれなかったのに…と思うのです。
(浅黄裏さんの談)

夫の辰三郎が自分と夫婦になったことを後悔しているのではないか、娘は自分を憎んでいる、お秋も自分をさげすんでいる。
「そんなふうに思いつめると、女はふっと何もかも捨てて、歿った御主人の傍へ行きたくなってしまうかも……」
「おたぬきさん」より
お勝さんにはもう目の前の迷い多き世界しか見えず、そのままどんどんと嵌っていってしまったように見えます。
   
まなかいの此岸重りて冬隣
   

今月もお句の前の「偽者の正解」という談話が面白いですね。でも辰三郎はどう考えても、そんなことが言えそうなキャラじゃないから、取り持った親戚のじーさんが、その辺ちょっと気配りをすべきだったわ。でも何か一つ歯車が変れば、幸せになれそうな家族でしたのに……。
(こでまり)
心に残ったのが、浅黄裏さまの“「偽物の正解」だったとしても年月と共に「真の正解」になったかも”というお言葉。考えてみれば、この世の中に初めから正解と確定している事なんて少ないのかも。親子の情や、友情、男女の愛などなど…共にこつこつと作り上げていって「真の正解」が出来ていくのかも。などといろいろ考えてしまいました。
(麦わらぼうしさん)
すみません 実は「まなかい」を私も最初まかないと読んでいたのですがどういう意味があるのでしょうか? それから「しかすが」「はじむ」も……(しばらくして)失礼しました、検索してみればよかったのですね「まかない」「しかすが」分かりました 「はじむ」が分かりませんでした
(ぐりさん)
こちらこそすみません。一句目の「まなかい」は「目交」で、「目と目の間、目の前」の意味で使っています。 お勝さんの心は、悟りを得て心穏やかになれる“彼岸(ひがん)”ではなく、迷いばかりが多い“此岸(しがん)”にあったと思ったのです。その此岸が目の前でどんどん重くなり、周りを見渡す余裕もなく、毒入りの薬包をみずから掴む最期へ続く道を選んでしまったんだなぁと。
(浅黄裏さん)
浅黄裏さまも千姫さまも指摘しておられるとおり、お勝は頭の良い人だったんでしょうね。先を見通して、悪いほうにしか考えられなくなった、そこがお勝の弱さだったかもしれません。弱いのが悪い、と言い切ってしまうにはあまりに哀れなんですが…。「まなかい」の御作を読んでいろいろと考えてしまいました。
(はなはなさん)



中秋だろうが後の月だろうが、謎を追いかけたい人々には関係ないんでしょうね(笑)。
   
しかすがに捕り物はじむ良夜かな
   

ところで、今月は恥ずかしながら二句とも辞書引きまくりでした〜。(↑「まなかい」からして最初は「まかない」と読んでしまった)
(こでまり)
二句目の「しかすがに」は「然すがに」で、「そうは言っても」の意味。「はじむ」は「始む」で、「始める」の意味です。
どんなに月が見事でも恋女房が傍に居てお酒の準備をしていても結局は捕り物の方が気になってしまう東吾さんや源さんを詠んでみました。さて、ここであらためて気付いたのですが、この二句目は見事な「三句切れ」でした…。素人は手を出すなといわれる禁断の(?大げさですが)三句切れ。今後のためにも修正もせずほっぽっておくことにします。笑ってやってください(笑)。
(浅黄裏さん)
検索はしてみたんですがやはりご本人から教えていただいたほうがしっくり理解できました 難しい言葉を知っていらっしゃいますね、うらやましいです、言葉が豊富だと素敵な句もできますね何時も頭の中の貧弱さを身にしみています ところで『三句切れ」とはどういう意味でしょう?
(ぐりさん)
三句切れ」とは、一句の中で三つの切れがあるものをさします。視点や意味が分散してしまう恐れがあることから素人は止めれ〜と云われているようです。個人的は面白い効果もあると思うので、嫌いではないです。
で、拙句ですがまったく「三句切れ」ではありませんでした!!自分で書いていていったいなんてことだろうと反省しております。自分への戒めのためにこれもほっぽっておくことにします。お目汚しですみません。
(浅黄裏さん)
俳句をかじっていても知らないことばかりですもう少し勉強しないとと反省しました、私などただ作っているだけでまあこの方が調子が良いかとか言葉の響きが良いかぐらいしか考えませんでした 2つともとってもいい句だと思い好きです
教えていただいてありがとうございました
(ぐりさん)
言葉で少々考え込んで、それゆえに深く味わえました。
(はなはなさん)



 ぐりさんの五七五 

週末ごとに行事があって秋は忙しいですね あわただしく過ぎていきます よほど欠席と思ったのですが やはり1句でもと思い向かってみました 参加できたと言う気持ちが嬉しいです 何時もなんですが今月は特にとらえどころが難しいです
(ぐりさんの談)

亭主にすまない、娘に、辰三郎に、お秋にすまない と気持ちが追い詰められていたんですね
こんなとき誰か(るいさんとお千絵さんのように) 気の置けない話し相手があったら愚痴を聞いてもらって又違った展開になっていたかもしれないですね
でも辰三郎さんが好きだったなら又気持ちも違って生活に張りがあっただろうかとか考えてみました
   
うそ寒や 女心は 切なくて
   




旗本神保三千次郎へ入った盗賊のお話雨月ですね
あれから何度となく神保家から見事な菊が届けられていますね
   
菊の滝 見事さを皆 ほめたたえ
   

お花の好きなぐりさんらしい視点のお句ですね。
(こでまり)



「お勝は、お秋の気持に気がついていたのか」
「女には、女の心の中がみえるものですからね」
「おたぬきさん」より
女には女の気持ちが見える
この事件は東吾さんも源さんも手も足も出ませんでしたね
   
秋の闇 るいの薀蓄 的中す
   




いつものように、がやがやと賑やかな中で着替えをすませ、るいがすぐ夜の御膳にしましょうかといったのを、
「ちょっと待ってみよう、源さんが寄るかも知れない」
「おたぬきさん」より
源さんの訪れを予感し待つ東吾さん 訪れる源さん相変わらずさわやかな友ですね
   
そうらいや 以心伝心 友来る
   

「そうらい」は「霜来」ですね〜。東吾さんも源さんも捕物好き、お互い呼び合っているのかもしれませんね。
(はなはなさん)



「お勝さんは随分、辰三郎旦那に気を遣っていたそうで……(略)……いえ、旦那だけじゃなくて、娘のお八重さんにも、姪のお秋さんにも、なんだか、びくびくしているみたいだったと、こいつは女中のお民ってのもいってました」
「おたぬきさん」より
お勝は心は人の目におびえ 肉親の目にさえおびえこんな心境だったかと
お勝は亡くなっただんなさんに助けを求めていたのかもしれないですね
   
威し銃 撃たれたように おびえつつ
   

おたぬきさん直前の頃のお勝さんの気持ちは、これほどだったかと可哀想に思います。
(こでまり)



 はなはなさんの五七五 

「おたぬきさん」ですが、皮肉な、ちょっと怖いようなお話ですね。「自分の殺人」とでもいうような事件を犯してしまったのですが、周囲を気にして、自分の殻に閉じこもったお勝を、責められない。こんなふうに絶望してしまうような瞬間が、誰にも来ないとは限らない。それだけ死んだ夫のことを愛していたのだろうし、これから幸せになれるだろうか、ということも考えることができなかった。それは、今でいう精神安定剤の乱用からくる副作用だったかもしれませんが、お勝にはどこかにそんな願望があったのかも。ちょっとだけ、お勝がうらやましい私にも、自殺願望はありそうです。
 (UP後に)
「おたぬきさん」は、ずーっと気になるお話でした。自分のマイナス面とシンクロするお話だし、ユーモアもあるし…いろいろな読み方のできる面白いお話でした。死をタブーにする気持ちもわからなくはないけど、私はそうじゃないんですね。死に当たってうろたえたくはない、と私はいつも思っています。普段から考えていれば、うろたえることも怖いこともないのではないか、と思っています。皆様の「びっくり」とか「怖い」という反応が、かえって怖かったですね。こういう微妙に価値観のずれる話題は、触れないほうがいいのかな。いろいろなことを考えつつ、感想です。
(はなはなさんの談)

お勝は出先で、それもおたぬきさんにご利益を授かりに来て、死ねたら良い、と願っていたかもしれません。月が満ちるように望みが叶って死んでも、お勝の気持ちが理解できた者はだれも居ない…。周囲に迷惑のかかる、自分勝手な死です。それも孤独な死です。それでも死にたい。お勝はそれだけ追い詰められていたのではないでしょうか。
   
月満ちて召されても私はひとり
   




遺書によると、お勝は自分で石見銀山ねずみ取りの毒の入った丸薬を作り、それを、他の薬とそっくり同じようにして紙に包み、しかも、薬包の中にまぜてしまったらしい。
「おたぬきさん」より
お勝は辰三郎と閨をともにしていたのでしょうか。娘のお八重や義理の姪のお秋に対する引け目や面目なさ、年下の義弟に対する遠慮や気後れもあったでしょうし、夫婦らしいこともできなかったのではないか、と思います。ひとりで、夜、薬をすりつぶし、石見銀山を混ぜて、自死のための毒を作る、それでやっと安心できたのではないでしょうか。哀れな気がします。
   
長き夜に毒あつらえてやつと寝る
   

このお句、最初は「毒を用意してやっとねむれる」という句かと思ったのですが、「やつと寝る」って書いてあるので、お勝は従順にしているようで、実は心の中で義弟だった男を「奴」と呼んでいるのかと、ちと怖くなりました〜。
(こでまり)
「やつと」が「やっと」なのか「奴と」なのか…。気になります。
(浅黄裏さん)
拙句への疑問ですが…作ってみてびっくり、でした。「やっと」の意味でしたが、意外と「奴と」なんて思っているかも、と思ってあえて解説せずに宗匠にお送りしたのでした。義弟として接してきたものが今日昨日で良人とすぐに切り替えがきくものなのでしょうか?…私にはできないなぁ〜。
(はなはなさん)
お句はもちろんですが、今月はみなさまのコメントも興味深かったです。はなはな様、ちょっとドッキリですよー。
(コシキブさん)



「すまないね」そういって薬の包み紙をお秋に渡した… お勝の気持ちはここにも込められていたようにも思います。お八重に対する母としての面目なさや、お秋の気持ちを心ならずも踏みにじってしまったすまなさ… 女として、お勝は自信を失っていたのかもしれません。
   
女ゆえ出せぬ言葉よ秋海棠
   

お勝は義弟と夫婦になってしまってから、お秋の気持ちに気づいたのかもしれませんね。先に気づいていたら、夫婦になることもなく、こんな思いに陥ることもなかったかもしれません。
(こでまり)



「しかし、凄いことをするものですね」
源三郎が眉をしかめた。
  (略)
「いつ、自分がそれを飲むか、自分でもわからない。飲んだ時があの世行きです。そんな怖ろしいことを、東吾さん、考えますか」
「おたぬきさん」より
お勝は、毒を準備しながら一思いに死ぬことができない。「こんな凄いことを、怖ろしいことを」と東吾さんや源さんは言いましたが、私は「怖いからこそ毒を薬に混ぜた」と思います。「いつか死ねる」それこそが救いだったのではないでしょうか。お勝の心の闇は深かった、と思います。
   
死ぬ勇気生きる杖なく柘榴落つ
   




 みちころんろんさんの五七五 

女性が自分の考えをハッキリと言える時代ではなかったにしろ…気持ちを誰かに打ち明けることができていたら…(>_<) 自分を押し殺し自ら命を絶つほど思い悩む…女性であるが故…るいさんが同じ女性としてその気持ちをわかっていたことがなんとなく私としてはうれしかったです。
(みちころんろんさんの談)

   
男にはわからぬものか細やかな女心の奥の深さよ
   




「どうも、この件に関しては女にふり廻されっぱなしだったな」
「全く、女には困ります。お上によけいなお手数をかけるのですから……」
「おたぬきさん」より
   
女とは妻娶り(メトリ)てもなおわからぬと眉間に皺の巻羽織かな
   

あはは、源さん(私の場合は山口源さん)の顔を思い浮かべてしまいました。このお話の源さんは、いつもよりずっと愚痴ってますよね。
(こでまり)



「お嬢さん、ごらんなさいまし。まあ、お月様があんなに細くなりましたよ」
大川の上に夕月が出ていた。
「おたぬきさん」より
   
満ちて欠け見下ろす月は何思う
   

りんぐをやるようになって、「月」の満ち欠けに目が行くようになった気がするんです。大きさに限らず、目が離せないような月もあって、江戸時代の夜を思うこともあります。
(こでまり)
月見をそっちのけで捕物に熱中したり、死ぬ方法を考えていたり、人の世のあれこれを超えて月は冴え渡る…。これがこのお話の隠れたテーマかも。月夜には「タヌキ」がつきものですものね。腹鼓は打ちませんでしたが(笑)
(はなはなさん)



 コシキブさんの五七五 

機会をいただき「おたぬきさん」を久しぶりに読み返しました。お勝さんがこのような結論に至った胸中をあれやこれや考え想像し、同感できるところもあり、ひとときしんみりとしてしまいました。
(コシキブさんの談)

今朝、出がけにるいとお吉が註文しておいた団子を誰が取りに行くかと話をしていたのを小耳にはさんだ東吾が、
「柳原なら帰り道に寄って来てやるよ」
と引き受けた。
「おたぬきさん」より
「かわせみ」レギュラーの男性陣は本当にフェミニスト揃いですよね。こんな用事を気安く引き受けるノリの良さも東吾の魅力のひとつと思います。
   
目尻下げ女房の遣い二本差し
   

侍の面子なんてどこへやら、女房に甘い東吾さん。近頃は、東吾さんのような優しいご亭主が多くて、女性には嬉しい世の中ですね〜。
(はなはなさん)



源三郎が盃を取った。
「やはり、相模屋の女房は殺されたようですよ」
酒が咽喉を通ってすぐに報告した。
「おたぬきさん」より
お吉には散々な言われようですが、東吾も源さんも不可解な死を目の当たりにして、ある意味張り切っているような気がします。心底、事件が好き、というと語弊があるので、真相を追究する使命感が強い、と言っておきましょう(汗)
   
月見酒お役目一途の友来たり
   




今回のお話に登場する三人の女性を詠んでみました。まずお勝さんです。元々、気を使う性質で、特に周囲の思惑を気にする女性だったのでしょう。薬の副作用もあって益々気分が落ち込んでしまったのが気の毒です。ロシアンルーレットのような自殺方法は驚きですが、今日死ぬというはっきりした決断すら出来ない心理状態だったのでしょうか。家族と参詣に出掛けた先で毒薬にあたるのも皮肉な最期になってしまいました。
   
懐に秋思忍ばせ福願う
   

どんな思いを胸に忍ばせていたとしても、残された家族に良かれと思っていたのでしょうね。
お句はこの日の参詣したお勝の心情を、よく詠み込んでいらっしゃると思いました。
(こでまり)



「辰三郎さんの方は知りませんけど、お秋さんは辰三郎さんが好きだったと思いますよ」
そうでなければ、辰三郎と浮名が立って、彼が迷惑するからと、相模屋を出て行くのは平仄が合わないと、るいは主張する。
「女の気持って、そういうものですよ。本当に好きな人のためなら、自分はどうなってもいい……」
「おたぬきさん」より
これはお秋さんです。彼女の身の上にも同情します。相模屋との関係も、遠縁にも程がある、という位で、さぞ立場が中途半端で苦労しただろうと察します。辰三郎に思慕を寄せてはいても夫婦になれる訳も無く、結局は出て行く事で思いを遂げるしかなかった。これからの生活を思うと店に留まった方が良かったのでしょうが、自由を手に入れ運が開けていくといいな、と思いました。
   
想い断ち空に放たる秋茜
   

お秋さんて、本当に普通はここには来ないだろうという娘さんですよね。どんなに不安かと思いますが、運が開けるといいですね。
(こでまり)



お勝の娘、お八重ですが、利口、賢いという表現が何度も出てくるので、娘らしい顔立ちの中にも目がきりりとし、まっすぐな視線で物をみつめる子だったのではないかと勝手に想像しました。気になったのは、母親の死を目の前にしても泣き叫ぶ訳でもなく、その後も悲しんでいる様子が見えないこと。幼いころから母との結びつきが希薄だったのか、争いごとを身近に見て育ったのか、冷めたところが多分にあるように見受けました。両親を相次いで失い、叔父が店を継いだいまは、嫁に出されるしかないのでしょうが、この子もまた幸福を手に入れて欲しいな、と思いました。
   
眼差しのいつか緩みて吾亦紅
   

「秋茜」「吾亦紅」お秋・お八重への優しい眼差しがステキです。お秋にもお八重にも、お勝が死んで考えさせられることはたくさんあったように思います。
(はなはなさん)



 じゃからんださんの五七五 




「本当に人殺しなんでしょうか」
東吾の表情をみて、いい直した。
「お勝さんという方の気持ですけれど、なんだか、追いつめられていたようで……」
「おたぬきさん」より
お勝さんの心理が一体どのようなものだったのかという問題はたぶん今月の競作ポイントの一つなのでしょうね。暑い夏が去り、秋風が身にしみるころに、それまで溜まりに溜まった不安や悩みが、ふとしたことからもう耐えられないと思わず感じてしまうような…そんな生きる気力がふっと体から抜けていくような出来事があったのではないかとかなり勝手に想像してみました。
   
二人目の夫の着物を畳む指ふっと冷えゆく今日の秋風
   

秋ゆえの冷え込みだけではない冷たさが伝わってきます。残暑をすぎた今頃の冷えは、ひとしお心にもしみわたりそうな…。
(こでまり)
「二人目の夫の着物を畳む指ふっと冷えゆく」この視点が素晴らしいと思いました。大恋愛でむすばれたわけでもないけれど、長年馴染んだ死んだ夫と今の夫、お勝にはふと寂しくなる瞬間もあったように思います。そういうときにお勝は死を考えたのかもしれませんね。
(はなはなさん)



 紫陽花さんの五七五 

このお話で宗太郎先生が「女房も時々外に出してやらないと気鬱になる」ってあるでしょう。お嫁にきた奥さんならたまには実家にというのはわかる気がするのですが、お婿さんをもらった家の娘さんはこんな風にいわれたらどこに行くんでしょう。姉妹の嫁ぎ先に顔を出してものんびりできないような気がするのですが。るいさんが東吾さんに言われたらどこに行くんだろう。お千絵さんのところかな。
(紫陽花さんの談)

この時代15日は毎月満月だったんだと今頃になって思いました。狸をお稲荷さんで出開帳する、それも毎月15日。何か意味がありそうな、なさそうな(笑)
   
十五夜は狐も狸も仲良く月見
   

そう言えば狐と狸だったんですね。楽しいお句です。私はねずみ取りのねずみと狸でできないかと思ってました。
(こでまり)
「狐も狸も」面白い符合ですよね〜。稲荷でおたぬきさんのご開帳。それもお月見、と来れば舞台はできすぎでしたよね。
(はなはなさん)



「そういえば、包紙を渡す時、すまないねとか……すまなかったとかおっしゃったような気がします」
「おたぬきさん」より
   
秋風に最期の言葉残し逝く
   

お勝の亡くなり方って、本当に風が吹いてすっと消えるような印象でした。
(こでまり)



大きな銀杏の古木が枝を広げている一方に茶屋があった。
「おたぬきさん」より

こちらは本格的な紅葉はまだなので、先にイラストで楽しませていただいてます。狐火もうまく紛れ込んでいますね。
(こでまり)
「狸をお稲荷さんで」というのも目からウロコ♪です。
(浅黄裏さん)
もののけトリオは先月からの続きなんですね♪確かに黄金を連想させるような美しい黄葉も、もうすぐ目にすることが出来そうな、今日この頃の冷え込みですね〜。
(はなはなさん)



 bf109さんの五七五 




東吾が、るいの肩を叩いた。
「俺は断じて、るいより先に死なないからな。安心して、飯にしよう」
ここ数日、日が暮れると火鉢が恋しい陽気になっている。
江戸の冬は、もう近い。
「おたぬきさん」より
私など、奥方よりも先に逝こうと思っています。あとに残されたら…考えられません。
   
男なら 先に逝くぞと思うもの 東吾の本音 思いはどちら
   

bf109さんも、先に逝くつもり?やっぱり奥方様に先だたれたら、突っかい棒がなくなるから。私は見送るつもりでいたのですが、今年になって、何だか私が先のような気がしてきました。それにしても、この東吾さんの「安心して、飯にしよう」って変な台詞ですね。
(こでまり)
「男なら先に逝くぞ」なんだかわかる気が…。普段から殿方を見ているとそんな気がします。私は「そんなの関係ねぇ」と先に逝かせていただきたいのですが(笑)
(はなはなさん)