ドラマ化された作品の中には、登場人物のイメージが大きく変えられてしまったことがあり、原作を愛する一人としては、何かがつっかえたような気分を味わったものです。
一方、毎月原作をもとに五七五を詠んでいると、ご贔屓の登場人物に気持ちが入り、お話が沸きあがってくることもありますね。そんな私たちの気持ちを満たしてくれた、たまこさんのスピンオフ的な一編。サイトの引越しでリンクが切れていたのですが、たまこさんのご厚意でデータを貸していただきました♪ありがとうございました。
皆様も、どうぞお楽しみくださいね。
(平成20年2月)



忠三郎転生
ラストシーン(妄想編)



【畝家玄関】

お千絵が神林家からの使いを送り出している。

千絵 「わざわざのお見舞い、本当に有難うございました。」
神林家用人 「後はこちらにまかせて、畝殿にはくれぐれも養生第一にとの仰せです。どうぞお大事に。」
千絵 「神林様と奥方様に、どうぞくれぐれもよろしくお伝えくださいまし。」

提灯を下げて出ていく用人を、深く頭を下げて見送る千絵。

子供部屋で源太郎の寝ているふとんを直す千絵。その後、源三郎の寝ているはずの部屋にいくと、布団はもぬけのから。愕然とする千絵。

千絵 「貴方! 旦那様!!」


【水戸屋敷門外】

忠三郎を追いつめる東吾。忠三郎が懐から爆薬を取り出し投げつける。
白煙が立ちこめ、とっさに東吾が身を引く間に、忠三郎が脇の路地へ逃げる。

東吾 「待て!」

逃げる忠三郎の前に立ちふさがる黒い影。
衣服も鬢も乱れ、蒼白な顔ではあるが、眼を光らせ気迫に満ちた源三郎が立っている。

源 「悪事の数々、すべて証拠は上っている! 神妙に縛につけ、矢倉市太郎!」

忠三郎は大刀をふりかぶるが、本名を呼ばれて一瞬ひるんだところへ源三郎の十手が手首に決まり、刀を取り落とす。
東吾と長助が駆けつける。

東吾 「源さん!」
長助 「旦那!」

気力を使い果たし、その場に崩折れる源三郎。

東吾 「やったな源さん、もう大丈夫だ。長助、後は頼んだぞ。」

捕り方に忠三郎を引き渡し門のほうへ引き返す東吾。

長助 「久三のとっつぁん見ていたかい、旦那が見事に仇をとって下さったぜ。旦那…」

源三郎にすがりつき泣く長助。


【かわせみ居間】

事件の概要を東吾が説明している。

るい 「番頭さんは、今日、無事に床上げできたんですけど、畝様はその後いかがなんですか。お千絵様もご心配では…」
東吾 「七針も縫われたっていうのに、八丁堀から本所まで駆けつけたというんだから大馬鹿だね。宗太郎の奴が縫い直したらしいが、あいつの事だから、けろりとしてるんじゃねぇか?」
お吉 「畝様も、こんな事でもないと、なかなかお家でゆっくり休むこともお出来にならないでしょうからねぇ。だけど久三さんの仇を討つことができて、ほんとに良かったですねぇ。」


【畝家居間】

長助が源太郎をおんぶしてあやしている傍で、宗太郎が源三郎の手当てをしている。

宗太郎 「まぁこれで、あと2日もすれば、少しは起きて動いても大丈夫でしょう。しかし、こんな重傷で捕り物にかけつけるなど、命知らずもいいところですな。全く、とんでもない患者です。ふつうなら大目玉ですが、今回の件については、私も少々責任のあることでもあり、目をつぶっておきますが、今度からは、ご新造を心配させるようなことは一切なしですよ。わかりましたね。」
源 「よくわかりました。以後気をつけます。」

言葉だけは神妙だが、にやにやしている源三郎。
お千絵がお茶をもってくる。

千絵 「天野先生、お忙しい中をわざわざ往診してくださって恐れいります。」
宗 「いやなに、弟たちや弟子たちもいることですから、どうぞご心配なく。」
源 「お忙しいのは、お仕事ばかりじゃないでしょう。天野先生もおめでた事が近いのではありませんか。今日は本所の麻生様のお宅にいらっしゃらなくてもよいのですか。」
宗 「いや〜それはその、あの、何ですから…」

やたらに照れる宗太郎。

千絵 「あら、貴方、お茶熱いですよ、舌を火傷しないようにお気をつけになって。」
源三郎の湯呑みをふぅふぅする千絵。
宗太郎と長助、目が点になる。

誰も気がつかないが、湯呑みが身体をよじって恥ずかしがり、茶托は大笑いして、ついカタカタと鳴りそうになっている。

千絵 「あなた小腹がおすきになったのではと思って、蕎麦がきを作っているんですよ。」
長助 「え、蕎麦がきですか、それならあっしが…」
千絵 「い〜え、いいんですの私がやりますから、親分はもう少し源太郎をお願いしますね。」
いそいそと台所に行く千絵。


【かわせみの居間】

宗 「いや〜もう、こちらのお二人に見せつけられるのはもう慣れましたが、あの源さん夫婦までがあんなに熱いとは」

湯呑みふぅふぅの物真似をしてみせる宗太郎。

お吉 「え〜〜あの畝様が」
るい 「お千絵様が」
宗 「そうなんですよ。もう見てられなくて、さっさと逃げ出してきました。」
東吾 「ははは妬くな妬くな、もうすぐ七重が、おぬしの湯呑みもふぅふぅしてくれるだろうよ。」


【畝家居間】

長助 「あの〜蕎麦がそのへん、ダマになってますぜ。もうちょっと強くかきまぜないとね。やっぱりあっしがちょっくら…なんといっても本職でござんすから」

千絵、無視して源三郎の傍にいく。

千絵 「できましたよ。はい、あーんして。」
源 「うん、うまいなぁ。お千絵の作った蕎麦がきが一番うまい。」
千絵 「それじゃ私も失礼して。」

自分で「あーん」と言って食べてみる千絵。

千絵 「ほんと、おいしいですわ〜はい、あなた、あーん。」
源 「あーうまいうまい。」

長助はなんとか二人に割り込もうとするが、無視される。
自分が構われてないと気づいて腹をたてた源太郎が、突然長助の耳を思いっきり引っ張り、ぎゃーと引っくり返る長助。


〜〜〜 The End 〜〜〜


うひひひひ〜
「△だらだら文化祭」とは良くいったもので、またしても素晴らしいお作品をゲットいたしましたよぉぉ〜皆様!
おたま姐さんのシナリオシリーズ(いつから命名?)は、過去に拙宅「初春の客」の折に頂いた「再会の場面」、また「狐の嫁入り」の時の「番外編」などがあり、読むたびに驚き、感動し、そしてドラマの消化不良をスカッと晴らしていただいたものでした。
いずれも「うねうね横丁」メンバーが登場しないのをいいことに、拙宅からリンクさせていただいております。
今回も「源さんファン」たまこさんならではの傑作です。拙宅の「毎月のお話」から、どうぞお楽しみくださいませ〜〜。
この新作、すぐにもドラマに出来そうですよね。私も「脳内劇場」フル回転で楽しみながら一気読みしました〜。皆さんもお好みの配役で(わはは)、今一度お楽しみください。 【こでまり】

\(^o^)/こちらで宣伝されていたとは、露知らず、ご本家から入り込み、もう読ませていただきました〜!
「忠三郎転生」妄想篇☆♪もうおもしろくて!!何度も読み返してしまいました〜!
お千絵さんの「ふうふう」に湯呑み君の身のよじり…頭の中にその場面を思い浮かべ、一人でにたにた楽しんでました〜(#^.^#)
次を期待しているのは私だけじゃないはず〜〜♪ 【みちころんろんさん】

平成版「かわせみ」ドラマの「忠三郎転生」については、「京本さんの忠三郎はぴったりのキャストだったけど、話の筋を追うだけで、ちょっとインパクト不足」「酸漿は・・・の時の忠三郎(小島久之丞)が、けっこう良い人ぽかったけど、もっと原作通りワルに徹したほうが」などの声がありましたね。
私も、橋場の久三さんには気の毒なのですが、やっぱりここは原作通り、命を落としてもらっていたほうが、「玉菊燈籠の女」でのしみじみとしたやり取りも生きるのにと思っていました。
さらに言えば原作でさえも、ちょっと物足りないというか、前々から?に思っていたのは、なぜ「忠三郎転生」の中にお千絵さんが出て来ないのか?という点でした。この時点では、源さんはすでに祝言をあげており、源太郎も生まれていたはずなのに・・・その後の源さん夫婦の描かれ方からいって、お千絵さんがこのような重要な局面で、負傷した夫の看護に献身しないはずはないのにと。
もしかしたら、七重さんの幸福を願っていた平岩先生が、「美男の医者」を書かれた直後に、この物語も書かれてしまったのではないか?それならば源さんはまだ独身のイメージで書かれた訳で、お千絵さんが登場しないのも納得かも、と思ったりもしているのですが・・・
さらに、忠三郎捕縛にあたっては、やはり部下を失った源さん自身に、花を持たせてほしかった!というのも、源さんファンならきっとうなずいて下さるはず。
さらにさらに、「第三章」が始まってみれば、あらまぁもう源太郎も生まれてしまっていて、あの、湯呑みふぅふぅの名場面はどうなったの?
そんなこんなが一緒になって、「玉菊・・・」の時に久三の墓の前で誓った仇討ちを、負傷をおして登場する源さんが見事実現、そして「源太郎誕生」のラブラブシーンもついでにこっちに貰ってしまったという、「源さんファンのための勝手な妄想シナリオ」が出来上がった次第です。(「源さんファンのための」というだけがポイントなので、肝心のタイトルロールである忠三郎自身の話は何にも書けてないしぃぃぃ)
実は書いたのは少し前で、こっそり隠していたのですが、やっぱり油断も隙もないこでまり宗匠の目を逃れることは出来なかったのでした(^^ゞ
そして、宗匠のスバヤイ(「容赦ない」とも言う)UPに続き、皆様からの思いがけない熱い反響が! ほんとうに汗顔の至りというか恐縮の限りというか、ともかくもお忙しい中こんなものを読んでくださった皆様に、御礼に代えて皆様のお声もアップさせていただきました。皆様のお気持ち嬉しく読み返させていただいてます(しかし、「脳内妄想シナリオシリーズ」私の担当はこれを持ちまして終了しましたので、今後は別の方々の手によって書き継がれていくことを楽しみにしております←キッパリ)。 【たまこさん】
宗匠のうひひひひには何かある♪
お昼休みにちょっと覗いたら宗匠のうひひひ笑いが〜♪早く帰って読みた〜い!
* * * * * * * * * * * * 
約7時間30分、待ちに待ってやっと読めました。((T_T)今日も残業でした。)
妄想版「忠三郎」面白〜い♪源さんとお千絵さんのラブラブぶりが楽し〜い。いつも東吾さんとるいさんのラブラブに当てられてる源さんもお家ではしっかりお千絵さんと(^_^)
原作には湯のみ君と茶托君は出てこないけど(当たり前ですが)最近原作でお団子食べたり粟餅食べたりしてるとこを読むとそこに二人?がいるような気がするのは私だけでしょうか…。 【あるみさん】
私も今日は仕事場でちらっと盗み読みしてからあとは、ゆっくりデスクに座る暇もなく…帰ってきてからまたむさぼり読みました♪
たまこさま こんなすごいものを隠し持っていたのか〜。ずる〜い!! それはこでまりさまが見逃すまい♪
それにしても源さんがカッコいいし、らぶらぶだわ〜。そりゃカレも身をよじるでしょう〜。ひゃひゃひゃ♪ あいかわらずたまこさまの視線はスルドイな〜。源さんらしくない「転生」でしたものね〜。
これも源さんへの愛情のなせる業でしょうか、お千絵さんのらぶらぶ「ふうふう」にはたまこさまのちょっと自虐的な笑いも♪  【はなはなさん】
かくし玉があったんですね! △文化祭、ますます充実〜。
確かに怪我のせいで見せ場をすべて東吾さんに持ってかれては源さんが気の毒ですよ。
久三さんの無念は旦那の源さんが晴らさなきゃ。
「美男の医者」の直後に書かれたという説もありえるなーと思いました。
お千絵さんの名前すら出てこないのは言われてみれば不自然ですしね。
湯のみと蕎麦がきのところ、笑えました。 【小式部さん】
うわ〜い、はなはなさんの「月行」に続いてのたまこさんのお作拝見しました〜。
長助親分が逃げ出すのがよくわかる〜(^^♪(ネタばれ、すいません〜) 【花みずきさん】
あはは♪ 忠三郎転生(妄想篇)読みました。見事久三親分の仇を討ったのが源さんだとホロリと来るかと思いきや、読んでる顔がニヤケてしまいました。しっかりお湯呑君と茶托君も登場しているし、源さんとお千絵の仲の良さにオチまでついて。
源さんファンのたまこさんらしい楽しい読み物でした〜宗匠がひとりじめ出来ない気持ち、当たり前ですよねっ。 【千姫さん】
ちょっと覗かないとすごい事になっている!
私もS・ファロウではおなじみの↑のタイトルを使わせていただきま〜す!
>さらに言えば原作でさえも、ちょっと物足りないというか、
たまこさまのコメントを読んで、私もそう感じた事を思い出しました。
私の場合、「酸漿は・・・」で相当な悪のインパクトを残した忠三郎、その割りには、「忠三郎転生」では、捕物の場面が思ったよりもあっさり片付いたような感じを受けたので、たまこさまのお話を読んで、すごく納得というか「そうそう、これぐらい盛り上がらなくちゃね!」と思っちゃいました。
「源さんファンのための勝手な妄想シナリオ」だそうですが、宗太郎さんファンも大満足です(^^♪ 照れたりアテられたりしている宗太郎さん、いいです〜♪
「△だらだら文化祭」、次々と新しいアトラクションを考え出して、けっして客を飽きさせる事のないディ○ニーランドのようですね。かわせみ△は、文芸のテーマパーク?次は「酉の市の殺人」のUPに(←欠席したくせに態度がデカいぞ、麦!)、アンケート。楽しみはまだまだ続きますね〜♪  【麦わらぼうしさん】
会社から帰って早速こちらに来てみたら、なんとすごいことになってますねぇ。
たまこ姐さんの「妄想版・忠三郎転生」すごいすごい!
ちょっとモヤモヤとしていたものが一気に「そうよね〜こうでなくちゃ!」っていう感じでパーッと晴れた気分です。
源さんかっこいい!お千絵さんとのラブラブぶりに当てられちゃいます。しかも湯のみと茶托君のコンビがここにも登場していたとはおたま姐さんの気配り目配りには恐れ入りました。こんな隠し玉があったとは。こでまり宗匠、しっかりアップして頂いてありがとうございました。もしまたこんな隠し玉が出て来た暁には、ぜひその時もよろしくお願い致します! 【あっちの管理人さん】
うわあ〜(^-^)たまこさんの「忠三郎」一気読みしてきました♪スゴイ〜〜♪
麦さまと同じく宗太郎さんもいいわあ〜〜〜。そして源さんも仇討って…。「お千絵さんが出てこなかったのは・・・説」にも、はあ〜なるほど!と納得です。
お千絵さんのフーフーや蕎麦がきを長助さんと争う(?)シーン、すっごく楽しいです!
皆さまの感想にも「そうそう!」と目を見開いて喜んでうなずいてます!
たまこさま〜フフフ(^-^)アップしてもらうために描いてるのに何故かいつもアップを見て「ギャ〜」とか思っちゃうんですが、おたま姐さんもそうなんですね(^m^) 【のばらさん】
読んだ読んだ読みましたぁ。文化祭大賑わいですね。
まさか湯のみ茶托が畝さんちにいたなんて。それも千絵さんにふぅふぅしてもらって。手足は出さなかったようで“ホッ”です(笑)よくがまんしたとほめておきます。 【紫陽花さん】
たまこさんの「忠三郎転生」妄想篇、楽しく読ませていただきました。
「畝家の居間」は湯のみや茶たくならずともおかしくって思わず声をたてて笑ってしまいました。
今日はちょっとブルーな一日だったのですが、読ませていただいた後、気分が一転しました。有難うございました。
それにしても皆さん本当に文才に長けていらっしゃる、いつもただただ感心するばかりです。次を期待してしまったりして…。 【春霞さん】
拝読しました。「そうそう、そういう展開じゃなきゃね!?」とか、「やっぱり“ふぅふぅ”は欠かせないわ♪」とか一人突っ込みながら私も妄想の世界を楽しませていただきました。
個人的に今作の中で好きなのは、やはり「湯呑みの身のよじり」でしょうか。たまこさんの以前の作品の中の「源太郎が鍋を持って立っていた」に勝るとも劣らぬツボで、お腹がヒクヒクしてしまいました(笑)。最高です! 【浅黄裏さん】
たぶんこの24時間で結構な数のかわせみファンが楽しまれたのでは? もちろん私も、こでまり様のおすすめを待つまでもなく、しっかり脳内劇場でお気に入りの役者さんに源さんを演じてもらって、もうメロメロです♪ちゃんと声まで聞こえている辺り、自分の妄想に呆れるやら感心するやら(笑)。
そう!そしてこのお話、物足りなく思っていたのはやっぱり私だけじゃなかったんですね〜!
何といっても、「酸漿は..」で久三親分を失った源さんが、「玉菊灯籠」で久三親分の息子夫婦に「すまぬ」と手をつく場面が昔から大のお気に入りなので…あの痛恨の思いを込めた声に、悔恨と決意を秘めた横顔にもうクラクラしちゃって(←また脳内劇場モードに入ってます(汗))。
たしか、随分前に飛び入りさせて頂いた「源さん名セリフアンケート」でも投票したような…。
とにかくこれだけ思い入れがあるお話のせっかくの続編なのに、えらく源さんの出番が少なくてず〜っと消化不良だったんですよ。お千絵さんが出てこないのも不思議だったし…
その辺りのもやもやを一気に解決して頂いてありがとうございました、たまこ様!悲壮なまでの気迫で敵討ちをする源さんにお千絵さんとのラブラブモードの源さん、は〜なんて素敵なんでしょ(そしてまたにたにた)。そして勿論湯のみ&茶たくくん達も!これからもまたまた期待してま〜す。 【じゃからんださん】