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 秘 曲
「秘曲」より  (平岩弓枝著:文芸春秋刊)
先月は「祝言 御宿かわせみ傑作選2」の発刊や、今春から放送予定のNHK「御宿かわせみ」で、沢村一樹さんが源さんを演じられることなどの話題で賑わいましたね。また、「江戸の初春」にもたくさんご参加くださって、ありがとうございました。

さて今月は、「秘曲」を選びました。

「傑作選2」にどのお話が選ばれるかは、皆の関心事の一つでしたが、惜しくも選にもれたとはいえこれも印象深いお話です。
以前掲示板で、「かわせみの三大ヒロインは」という話題があり、「岸和田の姫の花姫」と「白萩屋敷の月の香月さん」までは文句なく決ったのですが、あとの一人で意見が分かれたことがありました。
その時に私が思い浮かべたのは、「秘曲の高信さん」でした。
この頃、るいさんはすでに東吾さんと祝言を挙げ、晴れて夫婦となっていたのですが…。今回はまたまた皆さんの心をグッと揺らしちゃうかも〜。

さあ、今月はどんな五七五になりましたでしょう。
(平成十七年ニ月)
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 TERAIさんの五七五 

「秘曲」は大好きな話です。鷺の作品もいくつか作りましたし、文庫のイラストも好きです。
 (UP後に)
「秘曲」は感想が難しいです。S.ファロウでの皆様の話題についていくのが精一杯です。
(TERAIさんの談)

「当年とって十五だそうだ」
「そのお若さで、お母様から秘伝を伝授されたのですか」
るいが感心し、そっといった。
「そのお方が秀れた素質をお持ちだと、今の宗家は剣呑にお思いかも知れませんね」
「秘曲」より
   
宗家より 勝った十五の 忘れ形見
   

歳は下、能舞台には立てない女の子供が、本来受け継ぐべき跡取より勝っているなんてチクリと皮肉の効いた五七五ですね。
(千姫さん)



鷺の秘曲というのは、どんな能か知らないが、この娘の口からこぼれ出る謡は、どんなだろうと心が惹かれた。
「秘曲」より
   
秘曲とは 知らねどこぼれる 謡(うた)想う
   

知らないけど惹かれる、見てみたい、という気持ちをうまく表現されていますよね。私も、そんな気持ちになりました。
(麦わらぼうしさん)



   
あらうっかり 東吾の隠し子? 正吉君
   
餌を求む 狐か狸か また猫か
   




「母は、おじい様の御恩をよく申します」
晴信の父であり、綾路が娘のように厄介になった吉信のことだといった。
「私、考えましたの。おじい様が一子相伝の秘曲を晴信だけではなく、私の母にも伝えたのは、万一を思ってではなかったかと……」
「秘曲」より
   
一子相伝 ふたりに伝えし 祖父の恩
   
秘曲とて 数多に伝えん 宝ゆえ
   

「数多に伝えん」というこの表現、高信さんの演じ手としての心意気のようで、とても好きです。
トップを走りながらもどんどん句作に深みが増しておられるようで、「秘曲とて〜」「一子相伝〜」合点のいくお作ですね。
(すみれさん)



   
髪垂らし 紐で纏める まさに鷺
   
水鳥や 目は見えねども 鷺を舞う
   




   
男の子 成長早いかそりゃそうだ 花世は大晦日 この子は十月
   
花月とは 父子再会 貝合わせ
   

「男の子〜」は先月の「オール読物」の話題からですね。以前十二月生れとなっていた麻太郎くんが十月生れとされたことで、近々何か展開があるのか!とハラハラします。
ちょっと前に話題になった麻太郎君の生まれた月の事ですね。さっそく詠まれるなんてさすがTERAIさま。う〜ん、今後の展開、気になります。
(麦わらぼうしさん)
次に貝が合うときは父子の本当の再会のときになるのでしょうか。琴江さんは、東吾に再会して貝をひとつ取り去ることを考えついたのでしょうか。もしこのとき再会していなかったら貝合わせは完全に揃ったものだったかもしれませんね。
(浅黄裏さん)



 たまこさんの五七五 

掲示板で、どなたかが「今月は冗談系が詠みにくい」とおっしゃっていましたが、何の何の。そりゃ〜私だって、「鷺の舞」や「花月」を詠みたかったですよ〜〜でも、「目黒の金比羅さんって、ぜんぜん跡は残っていないのかしらん?」 と目黒散歩に出かけたのが運のつき。金比羅さんの跡はわかりませんでしたが、「金比羅さんから歩いてきて、目黒川に出る手前のあたりで賊が。権之助坂のほうからは仙五郎親分が」などと現場検証(?)していたら、捕り物シーンしか浮かばなかったんです(泣)。
(たまこさんの談)

「東吾、一人も逃がすでないぞ」
月光の中に松浦方斎が木刀を手に姿をみせて、曲者は浮き足立った。
「秘曲」より
久しぶりに師弟そろっての活躍となったが、あっという間に終わってしまい
   
久々に木刀振るも物足らず by 方斎
   

確かに、人目につかない所とか、大仕掛けなかんじの割りに、捕り物のシーンは2ページ足らずで片付いて、ちょっと拍子抜けでしたね。
(麦わらぼうしさん)



地から湧いたように、人影が駕籠を取り巻いたのは目黒川の手前であった。
「何奴だ」
正吉が勇ましく叫んだ。
「秘曲」より
能舞台の場所として、正吉くんがここを思いついたのは大手柄ですよね。方月館の縄張りでなかったら、こう、うまくは行かなかっただろうから…
   
場所紹介 捕り物も参加 満足だ by 正吉
   

方斎先生↑と正吉くんのお句、なおも木刀を振る老師と、頬を紅潮させた若者の姿が目に浮かぶようで楽しいですね。



せっかく目黒まで出張した仙五郎とっつぁんは、秋刀魚をお土産にしたかったのじゃないかと思いますが、残念ながら季節はずれ?(ちなみに、目黒の区民センターは「サンマサロン」っていうんですよ。本当です。検索でも出てきます〜)
   
狸穴に土産の秋刀魚探さなきゃ by 仙五郎
   

まったく最近は、「目黒」と聞いて「秋刀魚」がピンとくる小娘(今月の流行語大賞だわ〜)がどれほどいるのかと思います。(とか言いつつ、このお句を読むまですっかり忘れていました)
「脇役(?失礼!)三部作」方斎先生の張り切ったお顔が見えるようだし、正吉くんの東吾先生の一番弟子を自称する誇らしげなところも目に浮かびます。それに「目黒の秋刀魚」のお句が楽しくて受けてしまいました。
(浅黄裏さん)



ラストシーンで、麻太郎の出生の秘密に思い当たり、巍然とする東吾さん。シリーズの物語の流れの、大きな転換点として、忘れられない所です。「秘曲」には源さんは登場しませんが、ラストシーンの東吾さんを見かけたが声はかけずに立ち去った、ということにして、強引に登場させてしまいました。
   
柳河の桜を胸に立ち尽くす
   
花吹雪友を遠目に町廻り
   

競作を避けて(?)老師、正吉、仙五郎、それにやはり源さんですかーー さすがですね。花吹雪で去年のあっちの管理人さまの看板を思い出しました。(^_-)
(すみれさん)
源さんのでない作品でたまこ姐さんが寂しかろうと、一句献上した積りでしたが(↓)、こんなに楽しそうに(?)遊んでいるとは…
(七歩さん)
麻太郎の事を思い当たって立ちすくむ東吾さんを見かけて、カンのいい源さんのことだから、なにか感じたかもしれませんね。
(麦わらぼうしさん)
「花吹雪〜」そうです、遠くから見かけた東吾の只ならぬ様子に声を掛けずに行く、これも源さんらしい友情です!出てこなかった源さんを詠むなんて、さすが、たまこさん!
(千姫さん)



 浅黄裏さんの五七五 

「秘曲」はとてもきれいなお話ですね。高信さんはその出生の経緯からいっても暗い目をした少女になっても不思議ではないのに本当に気持ちのしっかりした伸びやかな娘さんに育ちました。また、平岩先生の描きかたによっては、もっと凄惨な物語になったかもしれないのにそうはならず、僭越ではありますが先生に感謝したい気持ちです。かわせみの三大ヒロインにはやはり高信さんを推したいですね。
 (UP後に)
今月はやはり「貝」のお句が多かったですね。私も詠みたかったけど詠めませんでした。今後の展開のキーワードとしてまたこの貝合わせが登場するときにはひと波乱ありそうです。
(浅黄裏さんの談)

大友吉右衛門は、先代の鷺晴信から、京へ去った綾路がむこうで晴信の子を産み、その子に晴信が高信と命名したということしか知らなかった。
「秘曲」より
「父」晴信が高信の名を与えたとされていますが、母綾路さんは高信の名をその祖父吉信から信の一字をもらったつもりでそれを許したのかもしれないですね。そうでなければ「父」らしい気遣いが何もなかったという晴信からの命名をそのまま受ける筈がないと思うのです。
   
男名と舞をさずけし吾子十五
   

浅黄裏さんの解説を読んで、私はあえて「信がつく男名」を与えたことに「父」としての愛情の一端を見たように思い、ハッとしました。
相変わらず、浅黄裏さまの読みの深さに脱帽です。ただ、たんに男名をつけたのではないのですね。な〜るほど!
(麦わらぼうしさん)
名前を授けた父と舞を授けた母、そうかぁ〜と思いました。(変な感想ですみません。うまく言葉にできません)
(紫陽花さん)



「では、鷺の秘曲、御伝授申します」
仕舞扇を手に橋かがりに高信が立つと、雪之助は後見の座についた。
「秘曲」より
   
春愁をはらさんと舞う扇かな
   

春愁、ことばがばっちりあたってますね。
(すみれさん)
「春愁」という言葉が好きです(実は「春愁」という名前のついた漆芸作品を知っています)。
(TERAIさん)



金毘羅大権現の境内は広かった。北側に南面して社殿があり、それと境内の空間をはさんで舞楽殿がある。
  (略)
春の陽が、やがて傾く。
「秘曲」より
   
春の陽のやがて傾く鷺舞台
   

「〜やがて傾く〜」もそうそうって思ったし「おもかげ〜」↓もなんとなくもやもやした東吾さんの気持ちがわかる句でいいなと思いました。
(紫陽花さん)



「父」として何の気遣いも出来ず、「父」としての自覚すら危うい東吾。東吾は知らなかったとはいえ、このお話に二人の「父」が登場するのは興味深いです。
   
おもかげは春の霞にまぎれけり
   

出会いの時さして気にもとめなかった東吾さんは、麻太郎くんの面影を追ってみても思い出せなかったかもしれませんね。
私は、琴江さんの方にばかり思いがいってしまって、東吾さんと麻太郎くんの関係は深く考えなかったのですが、確かにこの時の東吾さんには、麻太郎くんのおもかげ、浮かばなかったかもしれませんね。
(麦わらぼうしさん)
浅黄裏さんの句は、コメントに書かれている自分の考えた事を、五七五で表現出来切っているのが、すごいなぁ、と思うんです。
(千姫さん)



 七歩さんの五七五 

今月の「秘曲」はとてもいい作品でした。俳句の材料は色々ありますが、ポイントはぐっと絞られてくるように思います。そこを狙って時間をかけて推敲しましたが、やはり独り善がりになったかも知れません。
 (UP後に)
自作がUPされるのは大変楽しみですが、後で読んでみると、決して満足できるものでなく、いつも後悔しております。やはり「かわせみ」フアンの方は、多く読んでおられるから、読みも深いですね。感心します。
(七歩さんの談)

舞楽殿は月光の湖であり、そこに舞う高信は優艶な鳥の化身であった。
足拍子は時に高く、ひるがえる袖はしばしば光の波を切った。
「秘曲」より
ポイントの第一は、まさに秘曲の舞でしょう。
   
舞い殿に冴える響きや冬の月
   
冴え返る光の湖(ウミ)に鷺が舞う
   
高殿に秘曲がひびき舞う鷺の伝統を切る袖ひるがえる
   

「袖ひるがえる」は映画「陰陽師」の野村萬斎さんの姿を思い出し、私も詠んでみたい情景でした。(つまり詠めなかったということで…)
秘曲の舞を詠まれた3作、すばらしいですね!月の光の中で舞う、高信さんの姿が見えるようです。
(麦わらぼうしさん)
鷺の秘曲を舞っている能舞台、風景が目に浮かんでくるような三句ですね。使ってある言葉の一つひとつが素敵で、その場の空気の冷たさまで伝わってくるようでこの三句は好きです。
(千姫さん)



或る光景が脳裏をよぎっている。
あれは、三年前、宗太郎と七重の祝言の夜であった。
  (略)
この間から胸につかえていたものが、俄かに吹きとんだ感じであった。
「秘曲」より
第二のポイントは、ラストの場面。麻太郎が東吾の子とは何かで知っていましたが、こんな経緯で生まれた子だとは、ここを読むまで知りませんでした。う〜ん、そんなことがあったのか!? ところで、このことは、おるいさんは知っているのですか?
   
三歳の子の母に見るわが春よ
   
春おぼろあの雪の夜から三年(みとせ)過ぎ散る花の中浮かぶ面影
   

五・七・五はもとより五・七・五・七・七にも的確に言葉を当てはめていらっしゃいます。
(TERAIさん)



ところで、「秘曲」には源さんが出てきませんね。そこで、淋しそうなたまこ姐さんに捧げる一句。
   
料峭やこたつの中の巻羽織
   

わっはっは、姐さんは寂しがるどころか、源さんにはいつも通り町廻りをさせていたみたいですよ!(たまこさんの作品をご参照あれ↑)
「料峭」の季語を初めて知りました。勉強になります。結局いろんな季語検索サイトなどを訪問して知ることが出来たのですが、春の季語として採用していないところも多かったですね。読み方も含めて難しい季語なのかもしれません。
(浅黄裏さん)
七歩さまには「秘曲」に源さんが登場しないということを早々と忖度くださり、お心遣い有難うございました。「料峭」という季語は全く知りませんでした。ぱっと見、源さんが蛸を料理して炬燵で一杯やってるのかと思っちゃいました(恥)IMEの手書きパッドでは「山」を書いただけで出てきましたので、常識な文字だったのかしら〜〜
(たまこさん)
すっかり風邪っぴきのわたくしですが、春寒の今頃にピッタリのお句ですね!ところで私も「料峭」知りませんでした。たまこさんと同じく蛸かいな?なんて思っていた不逞の輩で、実はもう一つたまこさんが書いていらっしゃる「忖度」も知らなかったという始末です。早速広辞苑で引いて「ほほーっそう意味なのか!」と納得。ここはいつも本当にいろんな話題が豊富で勉強になります。
(あっちの管理人さん)
本当に素敵な季語ですよね。なのに、わたしもパッと見て「蛸」と見間違ってました。わたしだけじゃなくてよかったです〜〜。まったくたまこさまと同じ図を妄想してました。調べてみれば、まるで違ってて、初めて聞いた素敵な語感の季語。勉強させていただきました。
(のばらさん)
「料峭」は読むには読めたのですが、季語とは思わず意味も知らずで勉強させていただきました。(ついでに白状すると「忖度」もです。)
(こでまり)
「料峭」読めなかったし、意味もわからなかったしで調べました。私も蛸かと思った口です(笑)本当に勉強になります。それに源さんがでてこないからさびしそうなたまこ姐さんに捧げるっていうのもいい!!
(紫陽花さん)



 麦わらぼうしさんの五七五 

今月のお題、「秘曲」と聞いて、まず思った事…「む、難しそう〜〜!」(←いつもですが、いつも以上に…)かわせみを語る上で、絶対はずせないお話ですよね。この話抜きでは、先に進めないし。内容が深〜いですよね。表面上は、鷺宗家の問題だけど、根底には、東吾さんのかくし子問題があって…今回は、冗談系の出る幕が無いようなお話なのに、私が作るとやっぱり冗談系になってしまいます…
 (UP後に)
私にはとても無理、と最初からあきらめていた秘曲の舞のシーン、みなさま、とても素敵に詠まれていて感動です。で、あらためて自分の読んでみると、う〜わ〜、ハズカシ〜〜自分の素養の無さを思い知らされました…
(麦わらぼうしさんの談)

「まあ、まるで若先生のかくし子みたい……」
「馬鹿野郎、なんてことをいいやがる」
嘉助にどなられて、お吉はくすくす笑いながら台所へとんで行った。
「秘曲」より
この時のお吉さん、ほんの冗談で言ったと思うのですが、あとから振り返ってみると、すごく意味のあるセリフですよね。もちろん、平岩先生も深い意味を込めて、お吉さんに言わせたんでしょうけど。
   
冗談で 済まなかったね 東吾さん…
   

お吉のおしゃべりには時々、ドキっとする言葉が入っているけれど、この五七五はお吉の言葉より怖いですね、私なら片眉上げて言うだろうなぁ、あはは。
(千姫さん)



「そんなもの、あるわけありませんよ」
たまりかねたように叫んだのはお吉で、
「能舞台はいけない、どこかのお屋敷も駄目、人のみない場所なんていったひには、お城の天守閣のてっぺんにでも登らない限り、ありゃあしませんよ」
口をとがらせて抗議した。
「秘曲」より
お吉さんはじめ、この時のみんなの、鷺宗家に対する気持ちは、こうだったと思うのですが。
   
宗家だと 思っていい気に なりやがる!
   

何とかひと気の無い所に高信さんをおびき出すため、宗家もいろいろ苦労してますね。それにしてもお吉さんの啖呵は気持ちいい。そして麦さんも!
「…なりやがる!」というのは東吾さんの口調のように思いましたが、どうでしょう。江戸っ子の啖呵ですね。
(浅黄裏さん)
実はこれ、宗家に対する私の気持ちなんです。最初、(by麦)をつけようかと思ったのですが、この場にいた人たちもみんな、そういう気持ちだったと思うので、みんなの気持ちということで、つけませんでした。でも、浅黄裏さまおっしゃるように、たしかに口調は東吾さんですよね。
(麦わらぼうしさん)
私もそう思っていました。最後についてる「!」が好き。
(紫陽花さん)



「やれやれ、大友どのもお人がよいな」
と東吾は呟いたが、考えてみれば、能の世界に生きる者はすべてがシテ方の能楽師に従属せねばならないので、ワキをつとめる家の者も囃子方も狂言も、シテ方の絶対的な権力の下で各々の流儀を支えている。
鷺流ワキ方の大友吉右衛門が、シテ方の鷺広信のいいなりに奔走するのも、能の社会では、むしろ当然かも知れなかった。
「秘曲」より
大友さんと、現代のサラリーマンや零細企業主が、重なって見えます。上司の命令、大手の取引先の無理難題には逆らえない…今も昔も変わりませんよね。
   
いつの世も 上の命には 逆らえぬ…
   




猫狸はビョウリと読んで下さい。え?狐狸って言葉はあるけど、そんな言葉は無い?わぁ〜!!許して〜〜
   
金毘羅に ひそむ猫狸は 爪を研ぐ
   




この時は、麻太郎くんの件、琴江さんにしかわからなかったんですよね。一生、自分一人の胸の内に秘めておくつもりだったんでしょうね。その想いを左貝に封じこめて、柳河へ旅立ったのでしょうね
   
片貝に 想い封じて 新天地
   

この後思いがけない運命が母子を待っていましたが、この時の琴江さんは、誰にも言わない覚悟をしていたと私も思います。夫である大村氏との家庭を大切にしていく、「新天地」にそんな気持がうかがえるようです。
冗談系の中にも「片貝に〜」しっかりと芯ははずされません。
(すみれさん)
片貝の意味を私は結局分からず提出してしまったのですが、麦さまの「解釈」になるほどと思いました。
(TERAIさん)



これはおまけです。かわせみには、外に子供を作った話がよく出てきますが、先月の「江戸の春」、今月の「秘曲」と、二ヶ月続いたので、特別に(?)駿河屋の先代と徳右衛門さんにも登場していただきました。
   
婿どのよ 仲間がいたぞ 梨園にも(by駿河屋の先代)
   




 コシキブさんの五七五 

いつも皆様のお言葉選びや感性に圧倒されつつ、感動をいただいておりましたが、このたび無謀にも「わたしも参加したい…」などと考えてしまいまして…。なにしろ俳句というものは中学の卒業文集用に作らされて以来、1度も挑戦したこともなく、皆様のお句を拝見しても、「どうしてこんな短い言葉で表現できるの!」「え、この言葉しらなーい」とまったくの門外漢を思い知らされっぱなし、だったのですが…。「かわせみ」を愛読するはしくれといたしまして、本当に「門前の小僧」ではありますが、浜藻さまのようなこでまりさまを私も「宗匠」とお呼びしたい一心で、恥をしのんで投句させていただきます…。(前置きからしてメチャクチャですね)なお、こちらでは漢字の小式部ではなくかたかなの「コシキブ」でお願い致します。さすがに恐れ多いので。
 (UP後に)
穴掘って1日隠れていた、○○○○こと小式部でーす。いやー、恥ずかしさの極みですう。皆様、新参者の小娘に暖かいお言葉ありがとうございます…ウルウル(T_T) 私の場合、俳句というより五七五の穴埋めクイズと思ってくださいネ。参加してみて、改めて先輩の皆様の感性と表現力の豊かさに圧倒されました。
(コシキブさんの談)

当日はあらかじめ知らせがあったように、通之進の妻の香苗が大川端の「かわせみ」へ寄って、そこから駕籠を二挺並べて本所へ向った。
能楽師、鷺宗家の屋敷は本所の割下水沿いにあって、附近は旗本や御家人衆の住居に囲まれている。
「秘曲」より
おるいさんが、麻生家からの招待を受けて…
お能のおさそいもそうですが、香苗さんと籠を二挺並べて行くこともとても華やかで雅やかな春のおでかけですよね。でも、その中にはおるいさんも誰も思いもよらない秘密が潜んでいる…。春の嵐、とか春一番、に類する言葉を捜していて、「春疾風」 を見つけて、早速使ってしまいました。
   
みやびなる 誘いにひそむ 春疾風(はるはやて)
   

コシキブ様、ようこそ「はいくりんぐ」へ!小式部さんでもいいと思うのですが…でも私の方こそ浜藻様と比べられて畏れ多いことです。(もっとも最近はイガと言われていますが)どうぞこれからも、お気軽にご参加くださいませ。
華やかな場面の裏で始まってしまった新たな展開、どう吹くか分からない春疾風ですね。
初参加とは思えない、すばらしいお句ばかりですね。「みやびなる〜」新たな物語がはじまるかわせみの幕開けにぴったりのお句ですね。のばらさまが「大奥」のエンディングテーマとおっしゃっていましたが、こちらのお句には「大奥のオープニング」がぴったりのような気がします。
(麦わらぼうしさん)



東吾は娘の声に聞き惚れていた。なんとさわやかで、耳に心地よい声かと思う。
「秘曲」より
この場面がとても好きなんです。釣り糸を垂れる東吾さんとやや心細い思いを抱える高信さんが春風のなかで語り合う、絵になる場面ですよね。この娘を守ってあげたいという気にさせてしまう高信さんの自然な表情、澄んだ声の描写が印象に残りました。
   
川風に 吹かれ少女の 声さえる
   

この場面私も好きで、「川風」と高信さんの「声」を入れたいと挑戦してみたのですが…、なんて素直にスッキリと詠まれたのでしょう。「声さえる」がいいですね。
今月もうれしいお仲間デビューですね♪お句も好きです。なかでも「川風」のお句が一番好きです〜。宗匠もウハウハではないでしょうか♪
(のばらさん)
謡曲の世代交代の新風がさわやかに感じられるような…
(七歩さん)



冗談系にしてしまいましたが、お吉さんの目ってほんとに鋭い。なにかを感じていたのでは、とさえ思えます。禁句とはもちろん「かくし子」のことです。
   
禁句とは 知らず戯言 お吉さん
   

わ〜い!コシキブさまと同じ所を詠めてうれしいです。本当にお吉さんて、いつも絶妙なタイミングで、鋭い事言いますよね。
(麦わらぼうしさん)



秘曲を伝授されたのは祖父の愛情ゆえ。高信さんが命を狙われてしまったのも秘曲のせいでしたが、鷺の舞を舞う高信さんの幽玄さには受け継いできた人々の思いがこもっているからでは…などと勝手に解釈してしまいました。
   
秘曲という 守り刀よ われ包め
   

「…守り刀よ」がいいですね。いろんな人々の思いそのものが守り刀になって高信さんを 守ってくれたのですね。
(浅黄裏さん)



東吾のほうは、どっちみち、数多い七重の友達の一人だと思うから、あまり気にもせず挨拶をして、宗太郎の診療所になっている離れのほうへ行き、世間話をしていると、男の子が入って来た。あとからその母と、七重がついて来て、
「大村様がお帰りになるので御挨拶に……」
という。
「秘曲」より
この場面の琴江さんの心境は…。琴江さんにとっては「かりそめの一夜」ではなく「永遠の一夜」の重みを持っていたはず。面影をもつ麻太郎さんを毎日育てているんですしね。この時に東吾さんが何らかの反応をしていたら、のちの「笹舟流し」での対応も違っていたかな、とも思います。間違いなく、この時琴江さんの中で何かが終わったのでは。
   
忘れじの 君は他人の 顔をして
   

デビューだそうですが、堂々の詠みですねえ。もとの理解力が優れておられるから、春疾風、守り刀、お吉さんの戯言、忘れじの-- どれも巧みなことばえらびばかりで、パズル合わせの有段者じゃありませんか?(^^ゞ
(すみれさん)
「忘れじの〜」のコシキブさんの解説に納得です。
(TERAIさん)
そうですよね!蛍さまも、たまこさまの掲示板でおっしゃってましたが、かりにも一夜をともにした女なんだから、ちょっとは覚えていてほしかったな〜と思います。(←そりゃ〜無理だよ!と東吾さん擁護派の声が聞こえてきそう…)
(麦わらぼうしさん)
「忘れじの」は琴江さんの気持ちに言及していてハッとさせられました。
(浅黄裏さん)
琴江さんから見た東吾の事をすっかり忘れていました。そう言われると、この五七五から琴江さんの心は決まったのかな、と思いました。鋭い視点に初登場なのが、ビックリです。きっと、はまりますよ〜。
(千姫さん)
琴江さんの気持ちはそうでしょうねぇと納得の一句です。ここで琴江さんが「お久しぶりです。その節はどうも」と声をかけたらどうなっていたんでしょう。
(紫陽花さん)



 すみれさんの五七五 

『秘曲』意味深な物語。これまでの陽気な東吾さんに作者が重い枷を背負わしてくれて、かわせみのお話の深みがぐーんと増していく大事な分かれ目のお話ですね。平岩先生も「かわせみ読本」の中で、仲良く幸せに暮らしました、めでたし、めでたしーーーおとぎ話のような暮らしが実際の人生で続くはずはないことで、と、言っておられたような−−−これは、現在の私がただいま実感中であります。
苦しく思えるその中でも、小さな幸せを見つけて、日々をありがたく過ごすことのむずかしさと大切さを勉強しております。
 (UP後に)
想像のとうり、高信さんの舞姿と東吾さんの隠し子の競作そろいぶみですね。ありきたりの五七五しか浮かばぬわが身に比べて、皆様方の語彙の豊富さ、想像力、表現の豊かさにあらためて感じ入っております。
(すみれさんの談)

「あんたは若いのに、たいした才能を持っているのだな」
満月の夜に羽ばたく鷺の舞が瞼の中に浮んで、東吾は感心した。
  (略)
「女は能舞台にも立てませんのにね」
「秘曲」より
『秘曲』鷺流の能の高信さん、凛とした美しさがよく書き込まれていますね
   
佐保姫や冴えた謡いにさぎの舞い
   
春の月照らす舞台にさぎ一羽
   
ごらんあれ舞台に立てぬ身にあれど (by 高信)
   

高信さんが舞う場面は、字数にするとほんのわずかなのに、とても心に残りますね。
「すみれさんの談」に納得です。
(TERAIさん)



素謡の何番かが終ると、漸く、能で、宗家の鷺広信が「花月」を舞った。
喝食の面をつけているので、容貌はわからないが、男にしては上背のあるほうではなく、声にも艶がない。
「秘曲」より
高信さんのように生まれはともかく、芸のそなわったかたよりも、やったことは悪い事ですが上手になれない自分に苦しむ広信さんの気持ちが今の自分には近いような感じです。
   
口惜しや我には舞えぬ足も出ぬ (by 広信)
   

そうですよね。現実には、高信さんのような人よりも、広信さんのような凡才の人が大多数なわけで…広信さんも、鷺宗家なんぞに生まれなければ苦しまずに済んだかもしれないですね。
(麦わらぼうしさん)



東吾さんはこれからわが身にふりかかる宿命を未だ知らず
   
おぼろ月さぎに見ほれて夢心地
   




一樽といっても、雛祭用の小さな塗りの樽で、東吾は気軽に下げて行ったのだが、麻生家ではもう雛飾りが出来ていて、その部屋に客があった。
「こちらは大村様の奥様と、御子息の麻太郎様ですの」
と七重が紹介し、ふっくらしたその人妻は、はっとしたように東吾をみつめ、慌てて頭を下げた。
「秘曲」より
この後に、琴江さん、麻太郎ちゃんと図らずもお目見えすることになるとは作者のお話作りの巧さに当然ながら脱帽していまいます。
   
ひなの酒とけない謎も召しあがれ (by 琴江)
   

すみれさんが詠んだ琴江はお茶目ですね〜。本当に平岩先生の斜糸の巧さは素晴らしいですよね。
(千姫さん)



この場面の琴江さんのやり方、おそらく賛否が分かれるところですね。わたしは『花月』を(かげつ)と読みました、能の知識がないので(はなつき)だったら五七五になりませんね (+_+)
   
ひなの客まぶたの父も貝合わせ
   
秘曲とは『花月』にあらむ春の夢
   

琴江さんは一話かぎりの登場人物ではないので、長く見ていかないとわからないこともありますね。



るいさんが麻太郎ちゃんを印象深く思う場面、他の方々はどんな風にに詠まれるかなーー
   
面影がだれかと似てる内裏様
   

この内裏様は、麻太郎くんのことでしょうか。私は東吾さんにあてて詠んでみました。



 ぐりさんの五七五 

このお話は麻太郎ちゃんの登場と言うことでかわせみには大事なお話ですね。るいさんのことを思うとチョット悲しい。其れからはこの不安と言うか悲しみが(おるいさん側から見ると)ずーと底辺にあるんですね。
(ぐりさんの談)

「母は鷺を、私にも雪之助にも教えました。私も、雪之助も、腕のある者にはいくらでも教えようと思って居ります。あのように美しく、悲しい能の名曲を、この世から失っては御先祖に申しわけないと思いますので……」
「秘曲」より
   
伝授する 娘心の 清らかさ
   


ぐりさんのご自宅に咲いた鷺草の写真を
送って下さいました。(05年9月)

流派は滅びましたが、若い二人がこの先何にもとわられず、京の都で鷺の舞を伝えたであろうと思うと、それで良かったんだと思えますね。
鷺を伝えようとする高信さんの清らかな美しさが伝わってきて、すがすがしい気持ちになります。
(麦わらぼうしさん)
同じ父の血を引く兄弟(妹)なのに…と思わずにいられないですね。
(千姫さん)
“清らか”いい言葉を選んだなと思いました。
(紫陽花さん)



雛壇の横においてある貝桶の中の、花月の貝が右貝だけである理由を、この時、麻生家の人々は、まるで知らなかった。
「秘曲」より
   
片貝の 花月のなぞは 未だ知らず
   
雛遊び 貝あわせには 秘密あり
   




   
はたとまり 思い浮かべる 三年前
   
ついに知る わが子の存在 妻の顔
   

この瞬間に「妻の顔」が浮んだというのは、なるほどと思いました。
今回は東吾さんの隠し子問題についてのお句が多いようですね。私も作りましたが…。
(TERAIさん)



 こでまりの五七五 

毎月の捕物話が横糸であるなら、東吾さんるいさんの関係や麻太郎くんの問題は縦糸のようで、たまにその展開に浸って妄想してみたくなります。琴江さんは最初ずい分大胆な…と思いましたが、再会したこの時は優しい夫と可愛い子に囲まれた暮らしに満足していたと思うんです。そりゃ東吾さんは長く憧れていた人だし心はザワついたでしょうが、今の幸せを壊してまでという気持はなかったのではないかと思います。現実的な女性に比べて男性の反応は違いますね。皆さんがどう詠まれたか、とても楽しみです。
(こでまりの談)

「姉上様、おるい様、ようこそ」
と七重が近づいて来て、あらかじめ定められていたらしい桟敷に案内した。
  (略)
麻生家へ子供をあずけて来たという夫婦は、すぐ隣の桟敷にいて、
「手前は立花左近将監が家臣、大村主馬と申す。これなるは家内の琴江でござる」
と自己紹介をした。
「秘曲」より
七重さんがるいさんたちを大村夫妻に引きあわせるにあたり、夫妻にも隣に座る人について事前に伝えられていたと思うのです。自然に振舞いつつも琴江さんは神林東吾の妻、その人につい視線を送ったのではないかと思いました。
   
春装の隣の桟敷そぞろ見る
   

男には気付かぬ女性の感性が溢れてますね。
(七歩さん)
これには全く思い至らず、でした。琴江さんの心中はどんなものだったのでしょうか。
(浅黄裏さん)



ここで春秋に勧進能が催され、集って来るすべての人に拝観が許されるというのを、高信は目を輝かせて聞いていた。
侍も町人も百姓も、男も女も、老人も子供も、美しい謡曲に耳をすませ、舞に目を奪われる。
「ほんに、それこそが、まことの能と申すものでございましょう」
「秘曲」より
高信さんは老若男女身分を問わず観ることの出来る目黒村の勧進能に、ことのほか心を動かされたようですね。神に奉納する時と同じ気持で人々のために舞い謡う、それが彼女の信条のように思われました。
   
鷺の舞神へ民へと隔てなく
   

「隔てなく」ほんとにそうですね。限られた人にしか見せないなどともったいぶるのは思い上がりもいいとこですもの。
(すみれさん)
この場面、私も大好きです!でも、詠めませんでした…そう!こういう風に詠みたかった!です〜
(麦わらぼうしさん)



手の込んだことをしたわりには、ずい分へなちょこな刺客でしたね。
   
捕物の勝負は一瞬目黒川
   




七重の声が耳の中をすり抜けて行き、東吾は、花月の右貝を、ぼんやり眺めていた。
なにかが心にひっかかっているのだが、その何かがわからない。
七重が雛壇のぼんぼりに灯を入れて、内裏雛の顔がくっきりと浮び上った。
「秘曲」より
東吾さんにはいろいろなご意見がありましょうが、私は琴江さんを思い出した瞬間に「吾が子ではないのか」と思ったことと、ラストの見たことがないような狼狽振りに、東吾さんの人柄が表れているように思いました。
   
今はまだ花月を知らず内裏雛
   

「内裏雛」と「花月」の組みあわせも素敵です。
(すみれさん)
その「花月」である麻くんは、いったいどこへ行くんだろうと思ったら、むくむくと妄想が…。こでまりの妄想はこちらから ⇒ 



吾が子にとっての「相伝の秘曲」とは…、琴江さんの思いに想像が膨らみます。左貝を貝桶から取り出したのは、るいさんに会い、広信の「花月」を観た日かもしれませんね。この時の琴江さんは、先々誰かに何かを知らせようというより、自らの思い出を大切に手元に残したかっただけのような気がしました。
   
貝に寄す父子の秘曲や桜東風(さくらごち)
   

「秘曲」と「桜東風」の取り合わせもリズムが良い感じで好きです。
(すみれさん)
こでまりさまのコメントに同感です。思い出として大事にしまっておくために、ひとつだけ取っておいたと。
(麦わらぼうしさん)
貝と桜東風が春のお節句にふさわしくて、 とても綺麗です。
(浅黄裏さん)
うっかりしていました、宗匠のコメントで琴江が観たのは「花月」だったと気づきました。ほんの半日の出来事に、琴江の心中は桜の花びらが散ってしまうかの如く…すごい句だ…(ため息、ふぅ〜)
(千姫さん)



 紫陽花さんの五七五 

先に昼飯をすませていた花世が、あずけられていた大村家の子供と一緒に、客に挨拶に出て来て、舌足らずながら、祖父の稽古を聞いていておぼえてしまったという「住吉詣」の一節を披露して、麻生家は相変わらず陽気であった。
「秘曲」より
   
幼児(おさなご)の「住吉詣」愛らしく
   

一同にとっては、鷺宗家よりも、こちらの舞台の方が、感動したことでしょうね。
(麦わらぼうしさん)



鷺流では、昨年、先代の宗家が急死して、その喪のあけたこの正月に悴の広信が宗家を継いだのだが、
「先代の晴信どのは謡もよし、舞も見事であったが、若宗家は稽古不熱心ということもあって、どうも評判が悪い」
腕も未熟で、この先、宗家の重責に耐えられるかと一門では心配しているらしい。
「秘曲」より
こちらはそんな場面は当然ありません。広信の自分自身が感じている才能のなさ、伝統を背負うプレッシャー、見事な“鷺”を舞う高信への嫉妬、などを詠んでみたかったのですが、うまく収まらず、こんな形になってしまいました。
   
天高く舞う鷺に向け銃を撃つ
   

広信からしてみれば、高信はまさに「天高く舞う鷺」、高く舞うほど、忌々しく映ったことでしょう。
広信の重圧、嫉妬、うまく表されていていて、それでも後味がさっぱりしていて、このような五七五が詠める紫陽花さんの感性が羨ましいです。
(千姫さん)



オマケです。
「東吾 庭に猫が居ったの」 「山から狸が下りてきたのかも知れません」てな会話が障子の向こうで交わされていますが、本当に猫と怪しい奴らがいたようです。

「猫」が登場しただけで嬉しいです!シッポがもう少しふさふさしていたら、我家の駄猫のシルエットにそっくりです。あいつも怪しい奴でした。
紫陽花画伯のイラスト、このお話で大好きなシーンなので 嬉しい。
(たまこさん)
トリオにも黒猫が登場で我が家の ぐり がと思ってしまいました。尻尾の短めのところもそっくりです。
(ぐりさん)
今月はこうきましたかーーお見事!猫、狸、のそばにあいつたちもいるってわけでーー 狐火さんですものね。発想がすばらしい。
(すみれさん)
ぐりさんちは黒猫ちゃんだったんですね。黒猫かっこいいですよね。モデルは会社の駐車場にたむろっている黒猫ちゃんです。駐車場には何匹か猫がいるのですが(たぶん近所の飼い猫)、どの猫も全然相手をしてくれません。
(紫陽花さん)
紫陽花さまが描かれた場面と同じ場面を詠めたぞ!うれしいな〜♪
(麦わらぼうしさん)



 あっちの管理人さんの五七五 

「秘曲」とってもいいお話ですよね。ドラマ化したら絵になるお話って気がします。なぜか高信さんは財前直見ってイメージなんだけど、よーく考えたら「天河伝説殺人事件」の能楽師役がすり込まれてるみたい(笑)
(あっちの管理人さんの談)

さてこの秘曲では鷺流宗家の跡目問題と併せて麻太郎ちゃん問題がついに出て来ましたね。そしてその鷺流の演能の後、るいさんは偶然だけど初めて麻太郎ちゃんに会いましたね。その時はまさかその男の子が神林家の養子になるとは思いもしなかったと思いますが、その凛々しい面立ちや澄んだ瞳が印象に残って。
   
面差しの澄んだ瞳に誰を見る
   

るいさんは、東吾さんの秘密全然知らないはずですが、女のカンで、なにか感じたのでしょうか。
(麦わらぼうしさん)



月光の中で、それは、一羽の鷺を思わせた。
  (略)
川の流れの中を水鳥が進むに似た優雅な足の運びである。
「秘曲」より
あとはやっぱり秘曲伝授のシーンが競作ポイントなのかなぁ。月明かりのもと、目の不自由なはずの高信さんがそうとは思えない足取りで舞う秘曲は東吾さんを恍惚とさせるほどでした。月明かりの中の能舞台ってそれだけでとても幻想的ですね。
   
朧月(ろうげつ)の光をまとい鷺の舞い
   

私も月光の中で舞う場面を何とか詠みたいと思ったのですが…、「光をまとい」はとても素敵な表現だと思いました。
朧月(ろうげつ)の光をまとい、という表現がとても美しくて素敵です。
(麦わらぼうしさん)
人を惹き付ける高信さんとその舞のオーラが表現されていて本当に素敵ですね。
(浅黄裏さん)
「朧月の〜」 きれいな表現ですね。“朧月”も“光をまとい”も本当にきれい。
(紫陽花さん)



もしや、あの麻太郎という子は……。血の気のなくなった顔で、東吾は麻生家へたどりついた。
「秘曲」より
そして東吾さんが初めて麻太郎ちゃんが自分の子かも知れないと気づいた時、すでに麻太郎ちゃんは3歳になっていました。
   
我が子かと秘めたる思い胸に抱く
   
父と子の縁を結ぶ能舞台
   

女の私にはわかりませんが、東吾さんがこんなにストレートに「自分の子では」と思ったことに、ちょっと驚きました。
現在なら、父親にも知る権利があるって言うところでしょうが、知った時にはもう3歳、子供好きな東吾にはつらかったでしょうね…
(千姫さん)



でも気づいた時はもう麻太郎ちゃんは両親とともに遠い柳河へ旅立った後だった…
東吾さんと麻太郎ちゃんの初めての出会いはすれ違いに終わりましたが、その三年後の偶然の出会い。やっぱりめぐり逢うべくして逢った親子だったんでしょうか。
   
西国へ旅立ちおくる春霞
   

わたしの期待のとうり、るいさんの心情はさすがに外されませんね。(^。^) 「面差し」「朧月」それに「春霞」ことばも素敵です。春霞さまのお人形が浮かんできます。
(すみれさん)



 のばらさんの五七五 

初めてこのお話を読んだときは「うへえ〜〜っ?!」とビックリ仰天でした。詠めなかったポイントも気になってます。皆さまのお作楽しみです。
(のばらさんの談)

お能は未経験のわたしですが、何度読んでも吸い込まれそうに心がシーンとするシーンです。「ひるがえる袖」と本文にはあったのですが、ひるがえる扇も妄想して。
   
ひるがえり扇光の矢を放つ
   

仕舞扇は普通の扇子と違い、大きくて立派。その扇を、まるで手のように操りながら踊ったのでしょうね。
あのですね、感想に宗匠が「仕舞扇」と書いてくださってて、気になって調べなおしたんです。お能には「仕舞扇」で「舞扇」は日本舞踊などだそうで(>_<)、本文中にも仕舞扇とあったのに「まいおうぎ」のほうが収まりがいいかなあ〜などと思ってましたが、やっぱり「舞扇」のままではダメだわ〜〜、どう直しましょうと思っていたのですが、ただの「扇」にしてみました。
(のばらさん)
私にはとっても無理でしたが、皆様は鷺の舞のところをどう詠まれるのかなあ、 と楽しみにしていたんです。のばらさんの「光の矢放つ…」は凄いなあ…さすが。
(コシキブさん)
お蔭様で、舞扇と仕舞扇という区別を初めて知りました。まだ、実物はよく知りませんが…
(七歩さん)
私も本に「仕舞扇」とあったので単純にそう書いたまでで、勉強になりました。
(こでまり)
私、最近実際に仕舞扇を見ました、とても立派でした。「扇光の矢を放つ」がわかるような気がします。
(千姫さん)



るいはなんとなく、大村麻太郎という、三歳になったばかりという男の子を眺めていたが、鼻筋の通った凛々しい面立ちと、よく澄んだ目が愛らしい。
「秘曲」より
あっさりした描写のシーンですが、以前からの、そしてその後のお話を知ってる者としては、ここのるいさんの視線は気になります。
   
万華鏡のぞく記憶をたぐるように
   




「積もるかなあ」と思いながら雪が降りつづくのを見ていることもありますが、朝、気が付いたら積もっていた、というときもあります。東吾さんにとって雪の夜は、麻太郎くんに出会うまでは、あの一夜限りの事、琴江さんには、どうだったのでしょう。
   
降りつづく雪を知らずに過ごしけり
   

おお〜意味深なお句ですね〜雪、東吾さんと琴江さんとのあの夜に始まり、東吾さんの知らない間にしんしんと降り続いて、麻太郎くんが成長して…う〜ん、うまい!
(麦わらぼうしさん)



その帰り道、向島の堤は満開の桜だったが、夕暮のせいか人出はそれほどでもな い。白い花片が雪のように舞っている道を本所のほうへ歩き出して、東吾は突然、立ちすくんだ。
「秘曲」より
なぜか大奥のエンディングテーマが(ドラマかわせみのじゃなく)頭の中で鳴り始めるシーンでした。(わたしだけか?!)「つづく!」って感じで。
   
目の奥で砕けし波濤桜散る
   

この時の東吾さんの衝撃を「砕けし波涛」がよく表していますね。BGMはサザン?
いつもながらのすてきな言いまわしで、「目の奥で」まさにぴったしカンカン、さすが感服しました。
(すみれさん)
のばらさまのコメントを読んで、私も大奥の、ここぞというシーンに流れる、「ああ〜ああ〜ああ〜 あ〜ああぁ、」というスキャットが鳴り始めました。
(麦わらぼうしさん)



 花みずきさんの五七五 

さて、今回の「秘曲」、「鷺流」のことと「東吾さんの隠し子」どうしよう〜と悩みどちらかにしぼって考えようかとも思ったのですが、なんとかひとつづつ出来ました。ので、今回もよろしくお願いします。
(花みずきさんの談)

   
舞殿を、照らす月光、鷺の舞
   




「随分と立派なものだな」
東吾も、その一つを手に取った。右貝だったとみえて、謡曲の一節が書いてある。
  (略)
「それは花月です」
七重が東吾の手の中の貝をのぞいた。
「琴江様が、その左貝だけ、失ってしまったとおっしゃっていましたけれど……」
「秘曲」より
   
思い込め、右貝残し、旅立ちて
   

貝を「持って行った」というのと「残して行った」というのでは、琴江さんの心情が違うように感じますね。私は「持って行った」視点で詠んでみました。
私も、こでまりさまと同じように「持って行った」としか考えつかなかったのですが、一つだけ無い貝あわせセットを残していったという事は、やはりなにか感じ取ってほしいという願いが込められていたのでしょうか。
(麦わらぼうしさん)
以前、ご本家で琴江のやり方は嫌いだと書いて顰蹙を買ってしまいましたが、持って行ったのと残して行ったのとでは大違いですよね。でも花みずきさんの五七五からは切ない琴江の心情が伝わってきました。
(千姫さん)



 千姫さんの五七五 

「鷺」「花月」の五七五はお能に詳しい、はなはなさんにお任せするとして…あは、は。
ちなみにイラストになっている「サギ草」は姫路の市花です。
(千姫さんの談)

「その日の午後、東吾が「かわせみ」の庭から大川へ向って釣糸を垂れていると、足音が近づいて来た。
ふりむいてみると若い娘が遠慮そうに立ち止っている。
「釣れますか」
「秘曲」より
東吾が釣りをする場面結構あるけれど、かわせみの庭から釣り糸を垂れているって書いてあるのは珍しいのでは?、と思い記憶に留めておくために、一句。
   
川風や 釣りする君に 春告げる
   

今月も、「君」五七五をお作りですね。
かわせみの庭から大川へ、直接釣糸を垂れることが出来るのですね!間に道とか土手はないのかな?大川にそんなに近くて危険じゃないのかな?と、変な心配したりして。
(麦わらぼうしさん)



大川の岸辺からみる西の空は春霞であった。
筑後柳河は、あまりにも遠い。
「秘曲」より
ぼんやり読みの私は麻太郎の「問題」ではどのお話でどうなって、今どうなっているのかいつも???
「秘曲」でもわかったような、わからないような…。
新しい話ではまた、謎が出てきているみたいだし、誰か私に説明して〜。
   
春霞 晴れる向こうに 靄(もや)が出る
   

霞を抜けたら靄の中、まさにラストの東吾さんの気分ですね。
これも、うま〜い!と思いました。ラストの東吾さんの気持ちといい、これ           からの麻太郎問題についてといい。
(麦わらぼうしさん)



おまけです、メールを書きながら出来ました。
(きっとUPされたのを見て、あれは余分やったなぁ〜と後悔するでしょう…残念ッ)
   
花月知る 片貝の意味 先ありや
   




 はなはなさんの五七五 

「秘曲」思いのほか難しかったのです。どうもお能に集中できず、東吾さんの浮気発覚に気を取られ…何となく消化不良で。。。もう少し、もう少し、と思っているうちにこのていたらくです。この程度だったらちゃっちゃと送っておけばよかった(恥)
(はなはなさんの談)

同じ茶の湯の稽古友達だったと、七重は、るいにいい足した。
「大村様へ嫁がれる時、あちらには前の奥様のお子が二人もいるし、旦那様とお年は離れているので、私なぞ、とても心配でしたの。でも、案ずるより産むがやすしとは本当でございますね」
るいも相槌を打った。
「愛らしい坊ちゃまでございますね」
「秘曲」より
「雪間」という美しい季語を見つけました。春が来て明らかになる不思議な縁。おるいさんは何も知らなくても、恋しい人の面影をあやまたず追っているのだなぁと思いました。
   
子の瞳澄みて呼ぶ雪間のえにし
   




両親が早く歿って、晴信の父、吉信がひき取り、娘同様に育てていたのだが、
「女にしておくのは惜しいといわれるほど、謡も舞も上手でございました」
勿論、能楽は表むき、女が稽古出来るものではなかったが、宗家の娘分ではあり、当人も好きなので、ごく内々に吉信が教えたところ、舌を巻くほどの上達ぶりだったという。
「秘曲」より
私には綾路さんの恋が気になって仕方ないのです。 芸術と恋と、彼女は子どもをなすことで、そのどちらもに別れを告げなくてはならなかったような気がして、身を隠すように京へ去る…その心根があわれです。
もしかしたら、ただ舞って謡って、晴信のそばにいられたらそれでよかったのではないかと、思いました。
   
舞ひて謡ひただそれだけの鷺の恋
   
水辺には鷺たたずんで春の雪
   

そういうはなちゃんが、私は気になります(あはは)
琴江さんを詠んでいないのが意外でしたが、この解説を読むと、なるほどはなはなさんらしいと思いました。はなちゃんと綾路さんが重なります。(妄想〜)
ご期待に添えなかったのは単に忘れたから〜。だって琴江さん幸せそうなんだもん。はなはなはどうも不幸に惹かれるみたいです(笑)しかし、まさかこのときは大村殿の死も「紅葉散る」の悲劇も思いも寄らなかったでしょうね〜。
(はなはなさん)
流れるリズミカルな五七五、歳時記とは一味違うすてきな雰囲気ですね。皆が高信さんに集中する中、母親の綾路さんに目がいくところなど、はなはなさまの感性のすごいところと感じいりました。
(すみれさん)
はなはなさまの、綾路さんの恋についてのコメントを読んで、私は宗家の正香さんに思いがいきました。私だって、もし夫がよそに子供を作り、その子が我が子よりも出来がよかったとしたら、殺そうとは思わないまでも、憎い、と思うような気がします。正香さんという人も、夫に裏切られたかわいそうな人なんだな、と。
(麦わらぼうしさん)
「舞ひて謡ひ〜」コメントの「芸術と恋」からどうしても、はなはなさんの恋と重ねてしまいます(勝手に、何度も、すみません)。「ただそれだけの」が逆に、深く感じられて…妄想が止まらない〜
(千姫さん)



雪の中を帰りかけて、大川へ身投げをしようとしている娘を助けた。娘は幼い日、男から悪戯されたのが心の傷になっていて、男女の契りを結べないでいる。娘にすがられ、求められてかりそめの刻を持った。
「秘曲」より
とうとう東吾さんの行状が露わになってしまいました。喜ぶべきことなのか悲しむべきことなのか。東吾さんの親としての情も理解できますが、それではおるいさんはどうなるの、琴江さんの苦しい気持ちはどうなるの、と蛍さんじゃなくても東吾さんを責めたくなります。
   
春遠し花月の縁をむすびけり
   
つかのまの恋あらわにす雨水かな
   

季節はまさに「雨水」ですが、雪に隠されていた「雪間のえにし」が、その姿を現しつつあるのですね。
なかなか風情があっていいですねぇ。『季節はまさに〜』というコメントが↑とても的確で、よく理解できました。
(七歩さん)



今回は変なところに妄想が行ってしまって、肝心の主題について何も詠んでいませんでした。本当は、「鷺」伝授のシーンはいつ読んでもうっとりする美しいシーンだと思います。
   
月冴えて鷺舞い降りるひとの世に
   

さすがはなはなさまですね!高信さんの、神々しいまでの美しさが感じられるお句ですね。
(麦わらぼうしさん)