大川の舟遊び



……今度来た時には水上バスに乗って、この流れや風景をもっと間近で感じてみたい。
優しくてたおやかで、ちょっぴりおきゃんな管理人さんと、穏やかであたたかく、でも好奇心いっぱいのたまこさんとふたたびご一緒に。…・・


こう書いたのは約一年前、初めて管理人さん、たまこさんにお会いした直後のこと(「大川のお散歩−2003/8」)、それがこんなに早く実現するとは。しかも今回は、はなはなさんも一緒に…。

最寄駅を7時15分発の特急で出発し、名古屋ではなはなさんと合流した。この日の天気予報では、日本に接近した台風とともに東京に向うはめになりそうだった。「嵐を呼ぶ女かも」とがっかりしていたのに、東へ向うほど晴れ上がる空に、「最強の晴れ女かも〜」と強気になる二人。
その朝の掲示板やたまこさんからのメールを、はなはなさんが携帯で見せてくださる。たまこさんが飯田橋に寄って、以前掲示板で話題になった「ペコちゃん焼」を買ってきてくださるとのこと。何味がいいかと訊いてくださっていた。

     悪遠慮せず返信す「チョコとあん」


ますます晴れてくる空を見たり、前夜のドラマの話をしていたら、東京まではあっという間だった。待ち合わせの新橋を右に見ながら東京駅に近づく。期待がいっそう高まってくる。

去年のことを思い出し、管理人さんに初めてお会いするはなはなさんがどんなお気持ちかと想像しながら、待ち合わせ場所の「ゆりかもめ」新橋駅2階のスタバに到着する。
私たちが店に入ると、一番奥で顔を輝かせた女性がいる。初対面のはなはなさんにそのことを伝えようと思ったが、その前に彼女の視線は管理人さんを見つけていた。

たまこさんを待つ間にと、飲み物のオーダーの順番待ちをしていると、小走りにこちらへ来るたまこさんが見えた。小さく手を振る私たちの前を通り過ぎ、まっしぐらに管理人さんの方に行く。そこで管理人さんの合図で私たちに気づき、振り向いて笑顔を見せてくれた。
これで全員無事合流。

まずは顔を合わせて簡単なご挨拶。
ちょっと驚いたのは、都会の方たちの何と荷物の多いこと。私はなるべく少なめにと思っていたが、あとのお三人は皆、二つずつ荷物を持っていた。特にたまこさんとはなはなさんのバッグは大きくて重そうだ。
一息ついて、発刊になったばかりの「御宿かわせみの江戸を歩く」を管理人さんに見せていただいたり、「ペコちゃん焼」の由来が書かれたパンフや神田界隈のパンフ、紫芋の和菓子などをたまこさんから頂戴した。(大きなバッグの中には、この日を楽しむための本やお菓子などがいっぱい入っていたのだ)
残念なことに「ペコちゃん焼」は土・日の開店時間が一時間遅いらしく、せっかく遠回りしてくださったのに買うことができなくて、たまこさんには申しわけないことをした。その他ご当地おやつ(名古屋限定「あん入りチョコマーブル」などや、掲示板で話題になった「満照豆」)の披露をし、そのまま根が生えそうな気持ちを振り切って、「ゆりかもめ」で日の出桟橋に向った。

「かわせみ」を読むほどに、一度は間近で感じてみたいと思ってきた大川(隅田川)。その思いは「かわせみ」ファンなら誰しも同じらしく、今回は水上バスで大川を行くことになった。
日の出桟橋で私たちを待っていたのは吾妻橋行きの「竜馬号」、出発間際に乗り込んだが、眺めのよさそうな二階席に、なんとか四人並んで座れる席を見つけることができた。
天井は透明になっていて、両サイドは窓がなく開いている。暑くない程度の陽射しが気持ちいい。
座ってホッとしたとたんに管理人さんが小さな声で言う。「実は私、船に弱いの」
それを聞いたはなはなさんが「話をしていれば、あっという間ですよ」と力強く言ったのだが、その直後に風にのって流れてきた重油の匂いに、「実は私、この匂い苦手なんです」と言う。むむっ、ちょっと心配。
左手前には浜離宮、その奥には高層の建物が見下ろす中、船は定刻に滑り出した。

     通り過ぐ離宮の庭の深緑


船が動き出すと、先ほどの匂いも気にならなくなった。間もなく船内を若い女性が回り出した。見ればその手には、限定品の「水上バスチョロQ」が。たまこさんが事前に調べて、お孫ちゃんのお土産にと言っていたものだ。
近くまで来た女性を呼び止め、みんなで覗き込む。とても精巧に作られていて、ライトをあてると中まで本物そっくりに作られていることがわかると説明してくれた。

     グランマはまずチョロQを買いにけり


「勝鬨橋」から、いよいよ橋めぐりが始まる。
少し行くと左岸に見覚えのある風景、去年泊ったホテルのあたりが見えてきた。二番目の佃大橋をくぐったあたりは、昨年「大川のお散歩」に書いた場所だったのだが、船内のアナウンスに耳を傾けると、ちょうどその対岸が「大川端町」だったことがわかった。きゃ〜、感激!
「お吉さんが出てきそうね」
「葛西舟を止めて、野菜を見ていたりして」
などと、話し合う。

     大川や見え隠れする江戸の人

たまこさんが図書館で借りてきてくださった本で名前を確認しながら、次々と橋をくぐっていく。
色も形も違っていて、一つひとつが個性的。
そして橋の名前のなんと美しいこと。
橋が近づくと、管理人さんとたまこさんはデジカメで前からパチリ、くぐったあとは振り返ってパチリと、撮影に余念がない。
そんな四人が一番反応したのは「…右手は小名木川…」のアナウンスがあった時。四人一斉に案内された方向を見たさまは、シンクロの選手のようであったかもしれない。
さらに進むと右手に青銅色の「松尾芭蕉像」が見えてきた。江戸時代、このあたりに居を構えていたらしい。

川の向こうには東京の街並、そして堤の内側には「隅田川テラス」と呼ばれる歩道が続き、所々に江戸の名残かと思うような風景も見える。
街並み、川、そして岸を結ぶ橋、そんな風景を船で進みながら、なんとも言えない満ちたりた気持ちになる。
気がつけば左側を、水上バス「道灌」がすれ違っていく。
通り過ぎたあと寄せてくる波に軽く船が揺れるが、管理人さんもはなはなさんも初めの心配がウソのよう。

     手を振りて行く船人や夏の風


もっと乗っていたいのに、予定の40分はあっという間だった。
終点の「吾妻橋」が見えてくる。
スピードをおとしゆっくりとUターンして、橋のたもとに接岸する。
感激ばかりの初めての水上バスだったが、きっと何度乗っても新しい発見があるのだろう。
そんな予感のする、大川の舟遊びだった。

 あっちの管理人さん
こでまり師匠ったら、とっても素敵な「大川の舟遊び」で、またまたこの間の感激を再び!を味あわせて頂きました。合間合間に挿入されているお句がまたいいですねぇ。こでまり師匠の素直な感性に、こちらまで心が伸びやかになるようです。梅雨なのにまるで夏のような天候に恵まれた今年のオフ会、師匠のお句で本格的な夏を前に爽やかな風を感じました。
 たまこさん
さて師匠の大川舟遊びレポート、ぴたりぴたりと置かれている五七五がさすがですよね〜〜対岸の芭蕉の碑が刺激となりますます句想も冴え渡ったものと見えます。隅田川べりには芭蕉記念館もあり、事前に申し込んでおけば、ここの研修室(和室)を借りて句会もできるのです(使用料:午前\1000 午後\1250 夜\1900) また、私たちが降りた吾妻橋から、さらに上流へ向って歩けば隅田川七福神コース、はなはなさんがお能日記で紹介して下さった梅若塚も近くです。それにしても、師匠が皆さんの様子とか、いろいろ目配りしてよく記憶されているのに対し、私は「人の言うことを聞いてないジコチュー女」なことが改めてわかりました(汗) ペコちゃん焼と平塚亭お団子のリベンジもいつか必ず!(決意)
 はなはなさん
拝見しましたよ〜。御作もあの日の感動がよみがえってくるようでしみじみ拝見しました♪思ったよりも静かな船でしたし、波もなくおだやかな「大川」でしたが、ドラマで見るような川岸の賑わいがレポートから見え隠れします。私達にとっては「かわせみの大川」なんですもの〜。たまこさまはあの日「橋」ガイドにお忙しかったではありませんか〜。おかげさまでとっても楽しかったのです。実は今日また機会があってあの日の隅田川クルーズのルートを地図で確認したのですが、あんなにたくさんの橋をくぐったんだなぁとびっくり、あの日たまこさまにいただいた「能・隅田川」の新聞記事も拝見しつつ、またひそかにクルーズ再トライをねらっています。宗匠、お疲れ様でした〜&ありがとうございました。