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 初春の客   
   (はるのきゃく)
「御宿かわせみ傑作選」 初春の客より (平岩弓枝著:文芸春秋刊)
「はいくりんぐ」もおかげさまで、二度目のお正月を迎えました。
暮れに掲示板で話題になりましたが、平岩先生ご自身の選による本が、今月出版されましたね。
その選集のタイトルにちなみ、今月のお話は、「初春の客」にしました。

これは記念すべき第一話。
お話はちょっと切なくて、なんとなく手を出しにくかったのですが、今回がよい機会と思い、選びました。

さあ、今月はどんな五七五になりましたでしょう。
(平成十六年一月)


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「今月の五七五」拝見しました。
みなさまとても素敵な句で、話の景色が思い浮かぶようです。
(橘さん)

今、のぞいて着ました。UPお疲れ様です(^^)
>のばらさん(お早い復活を楽しみにしております。)
(E/Fさん)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 のばらさんの五七五

早いでしょう〜。夫が修理に出す出すと脅す(?)ので (でもそう言い出してもう一ヶ月…)早々にひねったのです。。。やっぱり初期の忍ぶ恋の頃のお二人、好きです。おきゃんで、切なげで涙もろいおるいさん、そして、何度読んでもすごく読みごたえのあるお話ですよね。皆さまのが楽しみです。
 (UP後に)
今月の五七五は皆さん勢ぞろいで、しかもやっぱり皆様それぞれ個性的で、わたしは読めなかったシーンもああ、こう言う言葉があるんだあ、と感心しきりです。
わたしの句にもうれしい感想を下さっていて感激です〜〜。PCの無い間図書館でどっさり本を借りました。鷹羽狩行さんの本も借りて読みました。「五七五になったら出来あがりではなく、それからが出発」という一文には「はうっ」とショックを受け(T_T)刺激になりました(T_T)皆様のお句もしっかり読んで吸収したいです〜。
(のばらさんの談)

   
恋守る心に決めてすくと立つ

いつもながら、のばらさんのお句は弾むような感じがとても楽しいです。PCを修理に出すとの事でお早い投稿にもかかわらず、バラエティーなお句に感服いたしました。「すくと立つ」はるいさんでしょうか。凛とした、るいさんの姿が浮かびます。歯切れ良くて、気持ちがいいです。
(蛍さん)



「るいがお飽きになったら、いつでも捨てて下さいまし」
眼を閉じたまま、るいが切なげにいった。言葉が終わったとたんに、眼尻からすっと涙が落ちる。
  (略)
抱いて、隣の襖をあけた。もう、夜の仕度が出来ていた。        
「初春の客」より
まだ忍ぶ恋、先行きの分からない恋に揺れるおるいさん。このお話のハンフウキさん千代菊さんの切羽詰った想い、切ないです。
   
とりどりに色散りばめて春着落つ
目を閉じて今すがる胸初春の夜
   
この刹那 このときだけの このわたし

「この刹那〜」は瞬間を詠んでいらっしゃるのにとても余韻があって、なぜか何度も胸の中で繰り返してしまいます。
のばらさんはあんなに早く八句も出来ていたのには驚き「この刹那」なんてドキッとしました。
(千姫さん)
「この刹那…」なんだかジンってきました。そんな恋もしてみたいな…なんてね。(きゃあw)
(E/Fさん)
「この刹那」皆さんお好きのようですね。これも余韻がすばらしくて好きですが、真っ先にはなはなが反応したのは「色ちりばめて」の方なんです。これが一番エロチックに思えます。これ、時間的経過も含んだ3部作だと思うのですが、千代菊の気持ちがどんどん高 まっていく感じが良く出ていて、ハンフウキの様子も浮かぶようで、切なくていいなぁ。
(はなはなさん)
わたしの句にも感想ありがとうございます〜(*^-^*) 「この刹那〜」は自分でも季語ははいってないけど「出来た〜!」って思えてました〜。「初春の客」を詠みつつかつて遠距離恋愛だった日の想いを思い出しつつわりとさらっと出来たんです。
「とりどりに〜」は実は前に出来てた句で。はなはな様にほめていただいて恐縮なんですが(^-^;)、じつは着物で出かけて帰宅して、ばば〜っと脱ぎ散らかした(ひとりで)惨状(?) が色とりどりだった時に…。でも色っぽいシーンでもOKですよね〜(^-^;)
(のばらさん)



足にまかせて走りまわっている中に、夜があけてしまった。
るいの許へ帰るにしては遅すぎるし、兄の屋敷へ戻るには早すぎた。
東吾が足をむけたのは八丁堀の定廻り同心、畝源三郎の屋敷である。        
「初春の客」より
携帯があるわけのないこの時代、出てったらそのまんまの東吾さん…。おるいさま、この頃はほんとに身を切られる思いだったかも。
   
朝さみし寒紅さして目を閉じる
   

本当に飛び出して言ったまま帰ってこない、東吾さん。男っていつでも女が待っていてくれると思っているらしいですね(今も昔も変わらんらしい…)
(はなはなさん)
一晩泊まっても、決して続けて泊まって行ってはくれない東吾さん。男のけじめとわかっていても、るいさんにとって世間に認められていない身は辛いですね。「寒紅さして」は、とても素敵な響きですね。るいさんの切ない胸の内が伝わってきます。
(蛍さん)



「与力の女房にゃなりたくないのか」
うつむいているるいの胸の中が、東吾には苛立たしい。
  (略)
「帰りましょう。今にも雪になりそう……」  
「初春の客」より
このシーン、雪とひっそりした風情のおるいさんが印象的で。
   
この恋の行く先知らず雪催
   
待つとさえ言えず雪降る髪重し
   
手にとればくずれる想い牡丹雪
   

たまこさん風(?)に言えば「雪三部作」ですね。特に「手にとれば」のお句が好きです。行く末の不安や、るいさんなりの節度を牡丹雪がよくあらわしていると思いました。
「牡丹雪」も良いですよね。
(はなはなさん)
「雪の三部作」の命名、絶妙です。この場面は、るいさんの気持ちを思うと、ホロリとしてしまいます。溶けて消えてしまう雪に、
るいさんの不安定な立場が重なります。原作の「雪」を上手に使っていらっしゃいますね〜。こんな風に雪の使い方もあるのかと、教えて頂きました。
(蛍さん)



ハンフウキさん千代菊さんは生きてるはず、と常々妄想を膨らませています!!
   
目にありし常しえの国君と行く



 たまこさんの五七五

「初春の客」、お題を伺ってすぐに読み返したのですが、なかなか出来ず…あきらめて、ほころびかけた梅でも探そうとお散歩に出たところ、なんとなく出来ました。これまでにも、歩きながら出来た五七五は結構あるので、歩くのって頭の回転にいいのかも。もっとも、梅の句は出来ませんでした(泣)。今、目の前にあるものを詠むのって、案外むずかしいですよね〜
 (UP後に)
シリーズの第一話、そして話題の名作選刊行記念にふさわしく力作ぞろいでしたね〜。やっぱり、名作選と紫陽花さんのラストシーンの絵の競作に刺激されてか、この場面みなさん詠んでいらして、それぞれうーんとうなりながら拝見しました。皆様すばらしいお作ばかりなのにご謙遜ばかり〜〜。本当に多才で、そして個性豊かですよね!
(たまこさんの談)

私の文庫ではまだ、かわせみが「柳橋」になっていて、川霧ではなく単に「夜霧」と書いてあるのですが、大川端のイメージで考えてみました。
   
誰を待つ 初春(はる)の川霧 軒灯り

情景が目に浮かぶような、とても美しいお句ですね。この軒灯りをたよりに、たくさんの人が「かわせみ」ののれんをくぐるんでしょうね。
印象的な場面なのにわたしは何にも思い浮かばなくて…。なんとも情緒、雰囲気のあるお句に「はあ〜〜なるほどお」とうなっています。霧の中のぽおっとした灯り、東吾さんや お客さんたちの目から見るよう…。
(のばらさん)
「誰を待つ」って、るいさんはもちろん…。そのるいさんの気持ちを初めて知った東吾さんの目にこの軒灯りはどう映ったことか…。皆が膝を打った、たまこさん作「再開の場面」は
こちらから
  



「滅法早いですな」
髭の濃い顔で、源三郎は老婢が慌てて運んで来た火鉢を中に、東吾と向かい合った。
「初春の客」より
「古火鉢」を「古炬燵」にすれば、現代の独身寮風景にもあてはまるかも?
   
向かい合う 友も独り身 古火鉢

たまこ様のお句はいつもはっきりした感じで場面が目に浮かぶようで、そしてその場面だけじゃない背景も想像したくなったりします。このお句も(^-^)ほんとに、独身ひとり住まいの男の子の生活も見えそうです(^- ^)
(のばらさん)



「これはおきよめでございます」
袂へ入れようとするのを、源三郎がさりげなくおさえた。こっちからみていると、なんでもなくみえるが、忠助の顔が蒼白になって脂汗をにじませている。
ぽんと手を放すと、忠助はよろめいて、その場所へ腰をついた。口もきけない。
「初春の客」より
いいかげん「三ツ柏」話題も飽きて(笑)おられると思いますがやっぱり見逃せないところなんで…
    
袖の下 一蹴する背の 三ツ柏

初版の方にある「いいってことよ」という源さんの台詞これは残してほしかったです。
たまこさんのお句は、歯切れがよくて気持ちがいいです。この場面は、私も詠みたいと思いました。でも男らしい源さんをどうしても表現出来ませんでした。「一喝する」源さんは、頼りがいがありますね〜。「いいってことよ」が削除されてしまい残念です。
(蛍さん)



あくまでも二人のサバイバルにこだわる私としては、ラストシーンも、あまり暗くないものにしたいと、言葉を探したのですが、なんか訳わからない句ですね(笑)
   
凍てる海 光の果てへ 影二つ
   

このお二人のその後について知りたい方は、ご本家の「その後アンケート」(たまこさん2作め)をどうぞ。
たまこさんはいつもながら「源さんワールド」全開ですね。で、江戸情緒の「軒灯り」もあるし、切ない「凍てる海」もあるし…本当に幅広い。たまこさんの人間性の豊かさを見る思いがします。
(はなはなさん)
「光の果て」には、ふたりには明るい未来が待っているような、希望が持てる とても良い言葉ですね。いつも前向きな、たまこさんらしいお句と思います。
(蛍さん)



 朝霧さんの五七五

あまりにも悲しく読み返してもなかなか俳句にならず手こずりました。そして今月は出来ないかとあきらめたとき、ふっと浮かんだ句ですから、出来はとにかく参加することに意義を感じております。(笑)
明日からまた備中の国に帰って参ります。帰ってきて綺麗にレイアウトされた「今月の五七五」楽しみにです。
(朝霧さんの談)

「あら、東吾さま……」
上がりがまちに立っていたるいが、嬉しさを奉公人の手前、僅かに抑えた声をたてた。
正直なもので、白い頬がすぐ上気して、なんとなく衿許へやった手に、女らしさが匂いこぼれるようである。
「初春の客」より
   
契り知り 一まわり目の お正月
   
目元染め 嬉しさ匂う 初春(はる)の夕
   
久々に おとなう部屋に 対座布団
   

「目元染め〜」のお句は、女性から見ても愛らしいるいさんが見えるようです。こんな風に待っていられたら、東吾さんでなくても毎日通ってきたくなりますよね。
朝霧さまのお句は、いつも江戸情緒に溢れていて、「大人〜」って雰囲気があります。「目元染め」は、初々しいるいさんにピッタリですね〜。「頬を染め」と しないで、「目元」としたところは、さすが〜と思いました。
(蛍さん)
この初期の頃のおるいさんの初々しい華やかな感じ満開のお句ですね〜。好きです〜。
(のばらさん)



   
理由(わけ)聞かず 初春の客 月凍る
   
肌黒く 逃げまどうかな 江戸の冬
   



少なくとも、泳いでいるハンフウキの瞼には、くっきりと緑の美しい故郷の山河が浮かんでいるに相違ない。
「初春の客」より
   
凍る海 故郷めざし 恋成就
   

ここは、今回一番の競作ポイントになりましたね。多くの方が「二人は故郷に向って旅立ったんだ」というとらえ方をされていて、辛い中にも少しだけ納得できる気持ちになりました。



 千姫さんの五七五

「初春の客」はかわせみの物語の中では好きじゃありません。なぜ、始まりにこんな暗いお話なのかな、と心に引っかかっていました。
 (UP後に)
実は私も添削をしてもらいました。私の場合一字でなく、言葉が浮かばなくて・・・ははは(実は反省しきり)
同じ物語でも人それぞれに句が出来るのですね、不思議だわ。
(千姫さんの談)

「ちょうど一年だな」
唇をはなして、呟いた。
二人が他人でなくなったのが、この前の正月、やはり、この部屋の炬燵で酒を飲んでいた。
「初春の客」より
   
忍ぶ恋 二度目の初春に 祝う盃(はい)
   

どんなに好いても、女性の身のるいさんに「忍ぶ恋」は辛いですね。「祝う盃」に、しみじみとした味わいを感じました。
(蛍さん)



愛する女を背負って、ハンフウキはまっしぐらに泳いでいる。その海の果てには、彼の母国が横たわっているに違いなかった。
「初春の客」より
故郷に流れ着ければいいねって気持ちのつもりなのですが
   
寒ざむの 海に沈みし異人の子 ふるさとの地に 流れゆくらむ
   

千姫さんがつくられた「寒ざむ」という言葉は、寒に入ってぐっと厳しくなった寒さをあらわすとともに、このお話によくあっている言葉だと思いました。故郷に向って、たどりつけるといいですね。



 茜雲さんの五七五

今回は、季語やら、いろいろな決まりごとを一切無視して、思ったままに詠んでみました。とはいっても、本当に大好きで、思い入れが強い分空回りしてしまいます。回を重ねる毎に上達される皆さんの足下には遠くおよびませんが、何とか送れて嬉しいです。
(茜雲さんの談)

江戸の向島の寮に軟禁されて二日目、遂にハンフウキは格子窓を叩きこわし、千代菊と共に、寮から脱走した。
「それが、あの晩だったのね」
千代菊とハンフウキにとって、あれが初夜であった。
「初春の客」より
   
かわせみで 夫婦の契り一夜の夢
   

ドラマではお千代さんがるいさんにお酒の仕度を頼んで、二人で三々九度の盃をかわしていましたね。胸にしみる、いいシーンでした。人から虐げられてきたお二人の人生にとって「かわせみ」での一夜は自らの力で手にした、夢のような一夜だったのでしょうね。



   
長崎に運べ荒海 魂を
   

ドラマではハンフウキさんが「長崎に、千代菊さんの故郷の長崎に帰りたい」と何度も何度も東吾さんに訴えていましたね。切ないシーンでした。



これはNHKのテレビからです。(本の内容とは少しずれます)どんどの火を見つめ、るいさんのお父上の敵を討ちたいという東吾、餅を焼く火を見つめ、弟が何をしようとしているのかを案じる兄上の目、そして、それを見つめ、自分が・・と決意する源さんの目のすべてを読んだつもりです。
   
火を見つめ決意を込める男達(おとこ)の目
   



 こでまりの五七五

以前は辛いだけのお話と感じていた「初春の客」ですが、今回読み返してみて、少し印象が変わりました。
とっても平凡な出来ですが、今月はいろんな人にとっての「初春の客」ということで、全ての句に「初春
(はる)」と「客」を使ってみました。
(こでまりの談)

「なんだか、部屋が色っぽくなったと思ったら、炬燵布団が変わったんだな」
紫地に大きく梅の花を散らした友禅の炬燵布団におそろいの座布団が敷いてある。
「お正月ですからね」
「初春の客」より
まずはるいさんが心待ちにしていた「初春の客」。
少しお話が進むと、祝言前でも互いに夫婦と認め合う感じが見てとれるのですが、これは第一話ということもあって、まだ客という印象の強い東吾さんだと思いました。
   
初春の客待つ心根の見えかくれ
   

たまこさんも掲示板で仰ってお出でなのですが、やっぱり年季が違いますね〜。「初春の客」とは、ハンフウキさんと千代菊さんの事だとばかり思っていました。それぞれの人にもいるのですよね〜。特にるいさんにとって、東吾さんが心待ちにしていたお客さまと言うのは「目からうろこ」でした。(うろこが無くても気がつきませんでした) 「見えかくれ」は女らしいるいさんにピッタリです。恥らう女性って可愛いいですね。
(蛍さん)



るいが窓から下をみた。
白く霧が流れていて、人の姿はみえない。遠くで犬の啼く声がした。
「初春の客」より
次に「かわせみ」にとっての「初春の客」の二人。
ハンフウキさんとお千代さんの道行を守るようにかかる深い霧が、印象に残りました。
   
初春の客つつみて夜霧朝の霧
   



「畝源三郎が今頃まで朝寝をしているところをみると、八丁堀も暇らしいな」
「昨夜は町廻りでしてね、誰かさんのように、朝帰りでした」
「初春の客」より
こちらは源さんにとっての「初春の客」。
親友らしい遠慮のなさがいいですね。
   
寝入りばな威張りて起こす初春の客
   

「威張りて起こす」には笑ってしまいました。東吾さんでしたら、そうするでしょうね。イメージそのものです。それを「寝入りばな」でも嫌な顔もしないのが、源さんなのですよね。「だれかさんのように」って言い返すところは、垣根のない親友だからですね。
(蛍さん)



そしてお千代さんにとって。
最後にお千代さんを抱いた人が「客」でなく、愛しあった人であったことが救いです。
   
初春の夜客にはあらぬ人に嫁し
   
逝くことは生きた証しか初春の客
   

「初春の客」で揃えたこでまりさんの作品はさすが貫禄!というか、私など思いもつかなかった工夫(というか、思いついた としても、無理ですが…)そういえば以前の「師走の客」だったか登場人物の名を全部詠みこんだ作品にもあっと驚いた覚えがありましたが。
(たまこさん)
たまこさんに誉めていただきましたが、アレは本当に苦し紛れだったんですよ。今月はなかなか作品の中に入っていけなくて何をどう詠んだらいいものか、そうこうしているうちにふっと浮かんだことだったのです。でも句の方はとても平凡でお恥ずかしいです。
(こでまり)
「初春の客」尽くしはやられたっ!って感じです。(私も困ったときは企画もので行こう)でも本当にいろいろな「初春の客」がこのお話には登場したのでしたよね。平岩先生もそういうことを意図して書いておられる、とても力の入ったお作だと思うんですね。盛り込み過ぎか知らん、とも思えるところをきちんとまとめていらっしゃるところは、平岩先生の面目躍如、力のある作家さんだからこその名作だと思います。
(はなはなさん)
大人の貫禄を感じてしまいました!!「言葉」の持つ魅力、面白さをこういう工夫で見せてくださるのはすごいです。「逝くことは〜」のお句は悲しくて壮絶ででも静かでやっぱり貫禄…。
(のばらさん)



 あっちの管理人さんの五七五

今月のお話「初春の客」、だいぶ苦労しましたが、なんとかいくつか出来ましたのでお送りします。掲示板にも書きましたが、ずっと「はつはる」と読んでたんですよ。言い訳じゃないけどフリガナふってなかったんだもん!
 (UP後に)
早速拝見して来ました。今回も「初春」から大盛況ですね!記念すべき「かわせみ」第一話で、お話としてはとても辛い結末でしたが、東吾さんとるいさんの熱い関係が描かれていて、一気に 「かわせみ」の世界へ引き込まれる出だしでしたね。
やはり印象的なシーンは二人の甘いやりとりと悲しいラストシーン。同じシーンを詠んでいてもこんなに沢山の言葉が出て来るものかと感心しながら拝見していました。皆さんの素敵な言葉のなかに入ると自分の語彙不足を思い知らされます・・・
(あっちの管理人さんの談)

藤色の正月の晴れ着に、るいの好きな香の匂いがしみている。
  (略)
まだ、よくついていない酒を盃にあけ、口にふくんで、るいの唇へ移した。
「今年の三々九度だ。るい……」
「初春の客」より
お正月は忍ぶ仲だったるいさんにとってはちょっと寂しい時だったんじゃないかなと思います。せっかく晴れ着に着替え美しく装って 待っていても、一番一緒にいたい東吾さんは三が日は兄上のお供で挨拶回り。まさか正月早々家を空ける訳にもいかず、東吾さんもやきもきしたと思います。
   
正月の 晴れ着にしみる 春の香
   

この場面をお詠みなったのは、管理人さまだけですね。「香り」のお好きな管理人さまならではの、目の付け所でしょうか。ほんのりとした香りの中で、好きな人を待つなんて、さすがの 東吾さんも、クラクラしてしまいますね。
(蛍さん)
   



   
待ちわびて 三々九度の 初春の宵
   

どなたかもおっしゃっていましたがこんなシーンを電車の中で読んでいたら本当に顔が赤くなりそうです。
でも、素敵!
管理人さまの「〜なかったんだもん!」思わず笑ってしまいました〜。(^^ゞちょっとしみじみしたお句の中、ホッとしました。
(蛍さん)
「三々九度」ここは私も五七五しようと思ってずいぶん苦しんだんですが出来ませんでした。「待ちわびて」に余情があって好きです。東吾さんの「今年の三々九度だ、るい…」は名セリフですもの。いわれてみたーい(笑)
(はなはなさん)
もう、東吾さんてば、そんな事を言われたら、今度はるいさんが クラクラしてしまいますよ〜。
(蛍さん)
東吾さんなりの心からの祈りが「今年の〜」だったのかもしれないですね。いつも明るい、お気楽な所もある東吾さん、こうやって決める所で決めるからこそ、おるいさんも惚れきってしまうんでしょうね(^-^)
(のばらさん)



そしてもう1句は紫陽花さんも描いていたラストシーン。ハンフウキさんがお千代さんを背負って、夜明けの海を泳ぎながら目指したのは二人が夢見た故郷だったんでしょうね。
   
熱き君 背おいて渡る 冬の海
   

このお話にはなぜかお千代さんの心のうちが書かれていないのですが、ハンフウキさんに負けない思いを持っていたと思うので、「熱き君」という表現にお千代さんの意思が感じられてとてもひかれました。



 紫陽花さんの五七五

投稿はたくさんありましたか?これからかな。UPまでが大仕事ですね。ご苦労様です。
 (UP後に)
遅ればせながら「はいくりんぐ」拝見しました。もちろんUPした日に見たんですよ。感想を書き込むのが遅くなりました。
今回の私の句は添削していただきました。すっきりとした五七五になって私の句ではないみたい。うれしいー。一文字違うだけでとても違うんですね。勉強になりました。
印刷して読む方もいるようで私のふざけたイラストが入っていると余分に印刷がかかるようで心苦しいです。
(紫陽花さんの談)

浜辺に大きな男が立ち止まった。背に千代菊らしい女をおぶっている。
ハンフウキが、東吾にむかって手をあげた。なにか叫んだようだが、これはききとれない。
声をあげたのは、次の瞬間、ハンフウキが海へむかって突進していったからである。
「初春の客」より
冷たいんだけど“冷たくなんかないもん”と開き直っているというか強がっているというか、そんな感じにしたかったんです。
   
我ら行く 冷たくはなし 初春(はる)の海
   

確かにこの二人は、こんな気持ちだったのでしょうね。長助さんか誰かが、「冬場に入水(自殺)する人は少ない」というようなことを言ってましたね。私もこの二人は自分たちの意志で「行く」んだと思うので「冷たくなんかない」という気持ちが、よくわかる気がします。



オマケも付けておきます。例のお屋敷では庭の池で心中ごっこをしているようです。危険な遊びです。バナナのようなものは、誰かの手です。

今月もオマケをありがとうございました!ホントだ、かわいい湯呑みくんたちには危険すぎます。
紫陽花さま、いつも可愛いいイラスト楽しみです。ちいさなお手てを繋いだお茶碗君と茶たくちゃんのこれからが気になります〜。ちっちゃな道行ですね〜。
(蛍さん)
紫陽花さんのイラスト、どこからあのような想像力が出てくるのかなぁと。コメントがまたすごく洒落ているし。来月はこの湯のみ・茶たくコンビいったいどうなっているんでしょうなんて、期待してしまいました(あプレッシャーかけちゃったかな)
(たまこさん)
「はいくりんぐ」の可愛いキャラ、湯飲み君と茶たく君の二人、すっかり「はいくりんぐ」のマスコットになりましたね。ちょこっと登場が楽しみになっちゃう!
(あっちの管理人さん)
今回の紫陽花さんのイラストは「ホッ」と出来た、いい空間でした。暗く、重たい物語でしたもの・・・これからも期待していますよ!(たまこさんに次ぎプレッシャーかけちゃったかも)
(千姫さん)
紫陽花さまの湯呑みくん&茶托くん、すっかりカップルですね。昨日DVDで見ていた「千と千尋の神隠し」でおんなじ様なペアが出てくるのですが (「坊ねずみと銭婆バード蝿)思わず茶托くんたちを思い出してしまいました。真似したくてしょうがないなんだろうな、人間になりたいのかな。
(はなはなさん)
イラスト、うれしい〜〜。すごい着想(笑)のイラストにビックリしつつ、きっと お茶托くんは浮くんだろうな、とかいや飛びこむ前に止めるはず、とかいろいろ考えちゃいました(^-^)
(のばらさん)



 蛍さんの五七五

「初春の客」は何回読み直しても、インパクトあります。るいさんと東吾さんのアツアツムードと「ハンフウキ・千代菊」の過酷な運命のギャップに、今月はパスしようかと思うほどに困りました。詠みたいシーンはいっぱいあるのですが、言葉が浮かびません。恥ずかしい句ばかりなのですが、宜しくお願い致します。
 (UP後に)
お話の方も読み応えがありますが、皆様のお句もどちらもしみじみと沁みこむようなしっとりしたお句ばかりで、こちらも読み込んでしまいました。文庫に赤線を引いて「ここを詠みたい」と思いながらも、言葉にならず、それを皆様サラリと詠まれていらっしゃる。もっと妄想をたくましくしなければならないです。
るいさんと東吾さんのしっとりシーンとハンフウキさんと千代菊さんのラストシーンはどちらもこのお話の中で凄く印象に残る場面だと思います。今月の五七五は、皆様もの凄く力が入っていらっしゃるようで、色っぽいし、哀しいし、でも哀しいだけでもない明るさもあったりと、読み応え十分です。
実は、私もそのまま流してしまうのが惜しくて、プリントしました。18枚にもなってしまいましたが、じっくり拝見する事が出来ましたよ〜。「初春の客」は平岩先生が選ばれたように、絵になる名作ですね。
(蛍さんの談)

豊海橋の袂から少しはずれて、「御宿かわせみ」と小さな行燈が夜霧の中に浮かんでみえる。
星も月もみえない、しっとりとした晩である。
「初春の客」より
糸が切れた凧のような東吾さんも、結局帰って行くところはるいさんが待つ「かわせみ」なのですね。夜霧にボォ〜と浮かんでいる「かわせみ」の行燈を見つけた時の東吾さんの気持ちは、こんな風かなと詠んでみました。
   
なつかしき おぼろに揺れる 冬灯(ふゆともし)
   

おっと、ここはたまこさんと競作になりましたが、どちらも甲乙つけがたい美しいお句ですね。
「雪催」「冬灯」など私の持っている入門用歳時記には無くて、いろいろ勉強にもなりました。
(たまこさん)
蛍様のこのお句もいいですね。霧の中で揺れる灯り、なんとなくおるいさんの恋心みたいに思えました。
(のばらさん)



第一話から二人の仲が熱すぎて、あてられてしまいました。この話をはじめて読んだのは、学生の頃でした。今思い返してもずいぶんと刺激が強かったのではと思います。今でも十分過ぎるほど強いですが。
  
冬座敷 熱き吐息や 散らす紅
  

大人の色気、蛍さんの「熱き吐息や」はステキです。こういうのはいくら「はなはなワールド」でも詠めません(感嘆)
「散らす紅」もいいなぁ。おるいさん&東吾さんで読んでいらっしゃるとも思いますが、「千代菊さん&ハンフウキ」でもぜんぜん大丈夫じゃないかな。
(はなはなさん)



片づけた布団の上に、紙片があった。平打ちのかんざしがおいてある。
「お金がないので、これをかわりにおいて行きます」
細い女文字であった。
「初春の客」より
「かんざし」は当時の女性にとって大事な品物だったと思います。その大事な物を手放さなければならないという事は、千代菊さんの辛い身の上を暗示しているように思い「かんざし」の言葉を入れた句を作りたいと思いました。
  
さめざめと かんざし哀し 冬の菊
  

蛍さんのこの視点には、ハッとさせられました。女性にとっての「かんざし」の重み、それを手放す哀しさと、潔さのようなものも感じました。
「かんざし哀し」もあっと思いました。布団の上のかんざし、ここがポイントだったんですね。こう見てみると、はなはなはこの話の迫力に押されて、細かいところまで読み込めてないのかもしれません。
(はなはなさん)
はなはな様おっしゃるとおり、まさに大人の色気です〜。それにかんざしの視点、はっとしました。本当に、この時から千代菊さんはある覚悟は決めていたのかも、と思わされました。
(のばらさん)



「いいんですか。もし誰かにみられたら……」
何度も同じことをくり返しながら、るいはいそいそと仕度をし、東吾の背後に小さくなっておまいりをすませた。
「初春の客」より
この頃のるいさんは、晴れて東吾さんとは夫婦になれる身ではないと決めていました。大勢の人が集まるところに二人揃って出かけられるのは、どんなにも嬉しかったか、るいさんの女心がいじらしいです。
  
寄り添いて 肩もふれ合う 初参り
  



やりきれないラストシーンです。連れ戻されれば辛い事が待っている二人の身の上を思うと、これ以外の方法もないのでしょうね。せめて、一縷の望みをと東吾さんも源さんも願っていたと思います。
  
凍てる海 弥陀に願いし 道しるべ
  



 はなはなさんの五七五

もう少し時間があるからがんばろうかなと思っていたんですが、なかなか難しかったです。不本意ながらこれ以上はできないっと答案を出す受験生、といった心持です。「量より質」にはなかなかならないですね。。。 作ったのの半分はボツにしました。。。どうも気に入らなくて。おるいさん・東吾さんの忍ぶ恋と千代菊・ハンフウキの秘めた恋、もう少し対比させたかったのですが…。
 (UP後に)
「今月の五七五」は質的にとてもすばらしかったのではないでしょうか。(はなはなは別として。こでまりさまの「物語の中に入っていけなかった」に、はなはなも同感でした。なんでだろう…自分でも好きな話のひとつなんですが)今回はみなさま色っぽくって〜読み甲斐ありますね。な〜んだ、やっぱりみなさま「大人の女性」ですもの、あったりまえ!ですね。
(はなはなさんの談)

「るいは変ったな」
「あばずれになったとおっしゃりたいんでしょう」
「いきいきして、色っぽくなった……」
「でしたら、どなたのせい・・・・・・」
東吾がひきよせると、るいは大輪の花のように崩れた。
「初春の客」より
おるいさんのあでやかな乱れ方が表現できているといいのですが…。先日のご本家での書き込みから妄想を膨らませました。
   
寒牡丹くずれるように腕の中
   

「大輪の花は何の花」は随分と話題になりましたね。この季節には「白か薄紅の寒牡丹」というのがるいさんのイメージだったようですね。



ちょうど一年経って…男に愛されている、と思えるから「飽きたら捨ててくださいまし」といえるおるいさんなのですね。でも深い仲になればなるほどそんな恐ろしい言葉は口にできなくなるのですが…まだまだ若い二人なのですね。ふたりともお互いに夢中、といった時期なのでしょう。句のほうもそれらしく…ちょっと色っぽかったでしょうか。
   
夜更けて手枕で想う去年の初春
   

今回は少し抑え目の「はなはなワールド」でしょうか。もしかして成瀬様の手枕を思っていたりして…うひひ。
はなはなさんの「手枕」の句へのツッコミが(笑)…「うねうね横丁」をご存知ない方とか、「はいくりんぐ」だけにいらしてる方は、もしかして、それこそ妄想にいっちゃってるかもですね(爆)
(たまこさん)
成瀬様が登場する
「うねうね横丁の人々・相生」はこちらから
この頃のおふたりは本当にお互いに夢中の恋人同士、という感じ、きっと眠るよりも話していたくて寄り添っていたくて…という感じかしらと改めて思い、寄りそっている二人を想像してしまいます。 え?いえ、おるいさん東吾さんのことを、ですよ〜〜(笑)
(のばらさん)



東吾が走り、源三郎も走った。
が、二人がみたものは、荒らくれた波の彼方を沖へ向って泳いで行くハンフウキであった。背に千代菊が帯で結びつけられてでもいるのだろうか、二つの頭が波間にみえつかくれつする。
「初春の客」より
千代菊とハンフウキの恋は一瞬にして燃え上がったのですね。これも苦しい恋、先の見えない恋があわれでなりませんでした。
   
海荒れる激しさの恋ひた走る
   
冬波に孤独を背負う恋は果て
   

さすがにはなはなさんですね〜。二人の恋を「先の見えない恋」と表現なさっているのを拝見して、妙に納得してしまいました。「恋は果て」は哀しい二人そのもの、哀しいですが、素敵な響きです。すごく余韻を感じました。
(蛍さん)



「冬の蝶」はもうちょっと浅い冬の季語のようですが、この言葉の感じがとても良いなぁと思って…。なんだか千代菊とハンフウキに重なりました。本当は「愛」という言葉もそう古い言葉でなく、 江戸時代には使われたのかどうかわかりませんが。
   
冬の蝶海をわたれよ愛抱いて
   

「冬の蝶」という季語は、初めて知りました。
美しく、はかなげな言葉ですね。



 浅黄裏さんの五七五

今月の句はことのほか難しくなんとなく未消化のままお送りすることになってしまいました。
(浅黄裏さんの談)

屋敷を出る時から心のどこかで、今夜は大川端町の、るいの許へ行くつもりがある。
  (略)
ここも、とうに表戸は閉っていると思ったのだが、近づいてみると内に人の声があった。
忍び男が、それもこんな時刻に表から入るのは、いささか気がさしながら、るいの声もきこえている。酔いと若さにまかせて、東吾は馴れたくぐりを押した。
「初春の客」より
   
忍び男の 押すくぐり戸の 馴れた音
   

さすがに第一話。
東吾さんにもこんな時代があったんですね。



ハンフウキが如何に強靭な生命力を持っていたとしても、この雪の海を小半刻と泳ぎ続けることは不可能であった。
だが、ハンフウキは泳いでいた。波にもてあそばれながら、必死に泳ぎ続けている。
「初春の客」より
今月はあまりにも救いのない結末で、どうしても千代菊とハンフウキのふたりの来世こそはと思ってしまうのです。
   
水底にも 幸あれかしと 立つ浜辺
   
鈍の海 鉛の空に のまれし思い
   
海神に ゆだねし来世 届け祈りよ
   

雪がやみかけた、明け方の品川の海。めざす彼方に少しでも陽がさしていたらと思います。
浅黄裏さまのお句が最後になっていますが、その最後の「届け祈りよ」の言葉は、こでまりさんの策略かな〜と思ってしまいました。「初春の客」を読むと誰でもそう願ってしまいますものね。最後の〆に最高のお句です。
(蛍さん)
いえいえ、着順なんですが、これこそ「天の配剤」というものかもしれませんね。
(ごてまり)
(↑あっ「ごてまり」になってる…のばらさんが教えてくださいましたが面白いのでちょっと残しておこう)
来世というのは、わたしは思い付かなかったのですが、もしかして平岩さん的には絶望して入水する二人、というイメージではなく、来世を目指す二人…のイメージもおありだったのかも!!と、はっとしました。
(のばらさん)